社会インフラ保全特集 社会資本を守る塗料・塗装の役割

コスト高・職人不足を解決、
省工程塗装システムを提案

関西ペイント

東京電力:大井火力発電所

関西ペイントは2020年東京オリンピック・パラリンピック招致が決定されてすぐに「東京オリンピック・パラリンピックワーキンググループ」を立ち上げた。各種競技場施設やインフラ施設での採用を目指している。

同ワーキンググループは重防食塗料を中心に建築塗料、更に工業用塗料の担当者も加えた横断的なチーム構成となっており、同社にとっては「工業用塗料も加えた3分野連携のプロジェクトチームは初めての試み」という力の入れようだ。

オリンピック・パラリンピック開催による関連施設の建設及び改修に際しては、鋼構造物だけでなく鉄骨や外装パネルなども関わってくるため、各塗料分野の担当者が情報収集し、最適な塗装仕様を見極めて設計事務所やゼネコンへの指定活動を進めていく。同社ではこれまでに東京ドームや日産スタジアムなど競技施設で数多く採用されており、そうした実績を強みとして、提案力を高めていく。

その中で同社が提案するのが"職人不足"と"コスト"に対する塗装からのアプローチ。現在、建設業界では深刻な人手不足に陥っており、仕上げ工程である塗装現場においても職人不足が常態化している。また、コスト削減は施主やユーザー(施工会社)から常に求められるのが実情。

そんな要望に対して同社が提案を積極化させているのが、環境配慮型省工程重防食塗装システム「ユニティーモ」だ。塗装の工程数を減らすことで、工期短縮、人工削減が図れ、結果としてコスト削減に寄与できる。

特長としては、下塗上塗兼用塗料と厚膜形下塗塗料との組み合わせにより、省工程の重防食塗装を実現する。例えば、従来のふっ素樹脂系仕様は、下塗りとして変性エポキシ樹脂系さび止め塗料を2回塗り(計120μm)し、その上にふっ素樹脂系用中塗塗料(1回、30μm)、ふっ素樹脂系上塗塗料(1回、30μm)で仕上げる4回塗り工程、計180μmとなっている。

一方、同社が提案するユニティーモシステムでは、下塗りに弱溶剤厚膜変性エポキシ樹脂系さび止め塗料「エスコNBマイルドH」(120μm)を使用し、その後に下塗上塗兼用塗料「ユニテクト30SF」(60μm)で仕上げる2工程システム。2工程でありながら、通常仕様と同じ膜厚、計180μmが得られる。

そして、この「ユニテクト30SF」はシリコン変性エポキシ樹脂系でありながら、「ふっ素樹脂上塗りと同等の耐候性が得られる」(同社)という特長を有している。高価格帯に位置するふっ素樹脂を配合しないことで原料コストを抑えた設計となっている。

一般的に建築用塗料で使用されるアクリルシリコン樹脂系とは違い、ユニテクト30SFではピュアシリコン樹脂系を採用しシロキサン結合により優れた耐候性を発揮させる。促進耐候性試験(キセノンランプ法)ではふっ素樹脂系塗料と同等の5000時間で光沢保持率90%を保持する結果が得られている。

実績としては2002年から電力関連施設などで重ねており、実物件での耐候性としても「10年以上経過しているが、問題ない結果が得られている」と実証済み。同システムは新カテゴリーとなるため、これまでは電力関連施設をはじめ民間物件での採用が多いが、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されたことも追い風として、国土交通省管轄の橋梁など公共工事においても採用が増えている。

近年、国内では社会インフラの整備が緊急課題として挙げられており、維持管理における塗装の役割がクローズアップされている。その中で、"省工程""コスト削減"に寄与する同システムを積極的にPRし、受注増を目指していく方針だ。

また、環境配慮の最先端の位置づけとして水性塗料があるが、同社でも重防食塗料の水性化の開発を進めている。鉄道橋や歩道橋などでの実績があり、引き合いがある案件に対しては対応する方針。汎用的に市場展開するのではなく、作業環境(気温、湿度)を管理しながらの物件対応として展開している。

主な実績

  • 福岡ヤフオク!ドーム(屋根鉄骨、16万m2、1993年)
  • 京セラドーム大阪(屋根鉄骨、9万m2、1996年)
  • 札幌ドーム(屋根トラス・支柱、5万m2、1999年)
  • 東京ドーム(本体、外構壁面、2万1,000m2、2009年)
  • 横浜日産スタジアム(炬火台・屋根鉄骨など、4,000m2、2013年)
  • JR大阪駅(屋根鉄骨、3万8,000m2、2010年)
  • 東京タワー(塔体、1万6,000m2、2013年)
  • 東京電力・鹿島火力発電所(煙突、3万8,000m2、2013年)
  • 島根県・都賀大橋(橋梁修繕、4,300m2、2012年)

企業プロフィール

関西ペイントは1918年に創業以来、各種塗料の分野において、日本の塗料メーカーのトップ企業として成長し、今日ではグローバルなペイントメーカーの地位を確保している。国内の売上高は全体の約半分で、その他はアジア、インド、アフリカでの売上を伸ばすなどグローバル化を強化する。事業分野は自動車用塗料、建築用塗料、船舶・鉄構用塗料、工業用塗料、自動車補修用塗料、家庭用塗料を持つ総合塗料メーカー。鉄構用塗料(重防食塗料)では省工程に寄与する厚膜タイプのラインアップを充実させており、下塗り・上塗りそれぞれに厚膜タイプを上市。また、素地調整では、ブラスト処理面を形成できるハンディ動力工具を展開するなど、鋼構造物向けの塗装システムを強化している。

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