社会インフラ保全特集 社会資本を守る塗料・塗装の役割

プラントへの提案強化、
環境配慮とLCC低減に寄与

トウペ

清洲橋(東京都)

トウペは今年1月に防食グループを立ち上げた。国の施策として社会インフラの整備が強化される中で、同社としても体制を整え、防食分野での事業拡大を目指していく方針だ。

現在は関東と関西に担当者を置きマーケットをリサーチしており、4月以降は増員し、体制を強化する予定としている。鋼構造物向けでは橋梁と化学プラントを軸に事業展開を進めていく。

国内では建設から50年経過している橋梁が多く、老朽化対策が緊急の問題となっており、塗装によるメンテナンス需要はますます増加傾向にある。一方、化学プラントでは美観の向上や事故につながりかねない錆対策に関心が高まっている。そうしたメンテナンス需要に対して同社の持つ製品群が優位性を持つとの判断だ。また、親会社である日本ゼオンは複数の製造工場を有しており、そうした工場への塗装提案などシナジー効果も期待できる。

塗装システムの提案としては、国や自治体が管理する橋梁は新設、塗り替えともに「鋼道路橋防食便覧」のスペックに決まっている場合がほとんど。変性エポキシ樹脂系の下塗りからふっ素樹脂系の上塗りで仕上げる仕様が一般的となっており、当然、同社としても対応する各種製品をラインアップし販売を進めている。

それに対して、提案力が求められるのが化学プラント向けの塗装仕様。民間物件であるため、施主に性能が認められれば最新の塗装仕様が採用されやすいという側面がある。

そんな中で同社が提案するのが、環境に配慮した水系防食塗装システム「トアガイアシステム」だ。従来の溶剤系システムの耐久性を維持し、有機溶剤量の削減を目指した。

製品は、下塗りとして水系2液形エポキシ樹脂系「トアガイアプライマー」、中塗りとして水系2液形エポキシ樹脂系「トアガイア中塗」を展開。上塗りとしては水系2液形ふっ素樹脂系「トアガイア上塗F」と水系2液形ポリウレタン樹脂系「トアガイア上塗U」の2グレードをラインアップする。

トアガイアシステム仕様は3年前よりガス会社のプラントで採用されており(ポリウレタン樹脂系仕上げ)、秋口に施工予定の鉄塔でふっ素樹脂系仕上げでの採用が決まるなど、着実に実績を重ねている。

水系塗料はVOC発生量が大幅に削減できるだけでなく、臭気がほとんどないというメリットも大きい。作業環境だけでなく、周辺居住区に対しても水系塗料を使用することで負担を減らすことができる。ただ、溶剤系に比べて施工性において温湿度条件の影響に大きく左右されるという課題があるが、それには「条件を含めて施工性の幅を持たせるように開発を進めていく。そして、施工する塗装業者さんとの連携が重要となる」との見方を示す。

また、新製品としては、2014年に弱溶剤型ふっ素樹脂塗料「ニューフッソHB上塗」を上市した。同品は厚塗り性に優れ中塗りと上塗りを兼用できる厚膜タイプで標準乾燥膜厚は55μm。中塗りと上塗り工程を1回で仕上げることができるため、省工程、工期短縮に寄与し工事コスト削減につながる。

下塗りに弱溶剤型厚膜変性エポキシ樹脂塗料「ニューエポ21HBプライマー」(標準乾燥膜厚120μm)を組み込むことで、通常下塗り2回、中塗り1回、上塗り1回の計4工程が、下塗り1回と上塗り1回の2工程で済むというメリットがある。

厚膜塗装システムは配管などで実績があり、また現在、親会社の日本ゼオンの3工場でこの厚膜塗装システムを施工中。こうした実物件での評価結果を重ねることでデータを集積して提案力強化を図っていく。耐候性の優れたふっ素樹脂を厚く塗ることで耐久性向上が期待でき、施主へのスペック指定活動に注力していく。

長期防食が求められる鋼構造物向け塗装仕様では施主、施工業者とのヒアリングを重視する。施主の要望(環境配慮、LCC低減など)をくみ取り、最適な塗装仕様を提案することで存在感を高めていく。

主な実績

  • 清洲橋(東京都、2万7,720m2、2005年)
  • 立山山田線・立山橋(富山県、1万1,550m2、2008年)
  • 浜寺大橋(大阪府、1万870m2、2010年)
  • 国道375号橋梁(巴橋)(広島県、2万1,790m2、2010年)
  • 国道314号三井野大橋(島根県、8,310m2、2010年)
  • 両国橋(東京都、1万9,500m2、2010年)
  • 幸魂大橋(埼玉県、1万2,122m2、2010年)
  • 豊浜大橋(広島県、2万8,000m2、2012年)
  • 圏央道川島・久喜菖蒲・幸手・五霞高架橋(茨城県、6万m2、2007年〜2014年)
  • 日本ゼオン・川崎工場(神奈川県、1万m2、2014年〜)

企業プロフィール

トウペは1915年創業から2015年の今年は100周年の節目を迎えた。1949年に東亜ペイントと改称、1993年にトウペに社名変更した。2013年に日本ゼオンの完全子会社となり、新たなスタートを切っている。トウペと日本ゼオンがそれぞれ培ってきた特殊ゴム事業の技術を連携させることでシナジー効果を図っている。総合塗料メーカーとして建築塗料、鋼構造物用塗料、コンクリート防食、工業用塗料、皮革用塗料、道路用塗料を製造販売する。鋼構造物塗料では業界に先駆けて水系塗料の本格展開を開始するなど環境に配慮した製品戦略を進める。2014年には厚膜型ふっ素樹脂塗料を上市し、製品群を充実させている。

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