Web特集
2005年06月17日
シリーズ: 揺れるライン塗装
揺れるライン塗装 No.125 外山工業 高速色替えブースで生産性大幅アップ
価値観の多様化はライフスタイルの在り方を大きく変えてきた。求められる製品も個性が求められ、より個別化の方向に進んでいる。そこには量産・規格品に飽き、オリジナリティーとアイデアに富んだ嗜好性の強い製品を求める動きが高まっている。そしてメーカーは企画から製品化までをいかにスピードアップ出来るかが勝敗を分ける。
外山産業グループは住宅、余暇関連製品の企画・開発、製造から販売までを一手に行う「製販一体」の企業グループだ。オリジナルブランド「グリーンライフ」の製品を企画・開発し、全国のホームセンターや通信販売会社に販売するグリーンライフ、住宅設備機器などを卸す外山産業、住宅設備機器などの施工を行うメッツ、更に開発設計・製造、部品加工まで行う外山工業の4社を中核にグループは構成している。
自社ブランドの「グリーンライフ」を擁するグリーンライフは製品の企画・開発・販売を行う。エクステリアから園芸・アウトドア・DIY製品はもとよりエコロジー関連製品までを揃える。その製造を受け持つ外山工業は同グループのオリジナルブランド「グリーンライフ」製品の開発設計から試作、金型の設計・製作まですべて自社内で行える体制を整え、金属プレス、プラスチック成型、溶接・塗装・組み立てまで一貫した生産を行う。
外山工業は1967年に外山産業の製造部門として設立。金属板金、プレスを行い塗装、組み立ては外注に出していたが、その後内製化を図り一貫生産を整えた。溶剤系塗装と粉体塗装を手掛け、園芸用品やレジャー用品の塗装を行う。また収納庫などはプレコート粉体塗装を行うなど生産性の改革を押し進めてきた。2000年3月にISO9001の認証を取得。更に2003年2月にISO14001の認証・登録を済ませる。
一方、生産体制の国際化にもいち早く取り組み、中国・台湾・韓国・イタリアなどの協力工場と連携し、部品の海外調達を積極的に行っている。
現在「屋外バーベキューコンロ、郵便ポスト及び収納庫などの開発製品が売上比率では高く、収納庫は8万台/年の生産、ポストは13万個/年の生産となっている。その他、石油コンロ、給湯器及びファンヒーターなど国内メーカーの部品塗装も行っている」と製造部部長・太田護氏は説明する。
塗装で付加価値を高める
同社は今年の1月に8,000万円強を投じて粉体塗装ブースをリニューアルするとともに周辺設備も新たに入れ替えた。溶剤系塗料と粉体塗料で仕上げている同社のブース配列は溶剤系ブース―粉体ブース―溶剤系ブースと粉体塗装を真ん中に前後で溶剤系塗装をする仕組みになっている。前処理、溶剤塗装設備は従来のもので、1コート1ベーク、2コート1ベークに対応。
今回の粉体ブースのリニューアルは「従来はカートリッジタイプで色替えに2人で約1時間かかった。生産性を考え、吹き捨てで行うケースも多かったが、しかし産業廃棄物などの資源の問題やその焼却費、更にはVOCなど環境問題を考慮し回収・再利用する方向で検討し、高速色替えシステムの導入に踏み切った」と経緯を説明する。
粉体塗装を行っているホースリールや郵便ポスト及び収納庫の色相はクリーム系、ライトグレー、シルバー、青銅をメーンに10色に対応している。生産数量で多い郵便ポストは形状もさまざま、素材はステンレスが多いことから塗装品は全体の20%弱。「今後、塗装することによって高級感が演出出来ることから、粉体塗装の比率を高め、付加価値を上げていく」(同氏)方針だ。
今回導入した高速色替えブースはランズバーグ・インダストリー・ゲマ事業部の「MAGIC・BOOTH・SYSTEM」。
同ブースは2重のプラスチック材料を採用した絶縁壁面によりブース内に付着・残留する粉体塗料を最小限に抑え、エアーブローで容易に清掃が行えるというもの。また採用されているサイクロンは高い捕集効率と内面への塗料付着を抑えるセルフクリーニング機能を合わせ持つモノサイクロン。
最大ワーク2,000mm(高さ)×800mm(幅)×600mm(奥行)まで対応可能となっており、1レシプロ10ガンを対面に設置し塗装を行う。「2段吊りでも塗装が行えるように5ガン2列の配列にして塗装範囲に幅を持たせ、均一塗膜に仕上がるようにしている」と説明する。1ガン当たりの吐出量は80~90gとやや抑え目。平均膜厚は40μmを目安にしている。
回収・再利用で産廃量削減
またガンコントローラはゲマが誇るOPTiガンコントローラ搭載のシステムユニット。同システムユニットは225通りの塗装プログラムのメモリー機能を持ち、モジュラー化設計により設備のシステム設計が容易に行え、かつ塗装セッティングは均一な塗装を実現するといった特長を持つ。
「レシプロケーターのプログラムとガンのプログラムを合わせて行え、かつ左右のレシプロケーターとガンの塗装条件を変えることが出来るので使い勝手はいい。製品アイテムは若干形状が異なるなど品種が多いので、レシプロを後ろに下げるなどの細かい条件出しを行って使用している」(同氏)と現状130くらいのプログラムを入力している。ちなみにプログラミングは自社で行っているという。
これによって、生産性は高いもので従来の30%アップに結びつくとともに、塗料は回収・再利用で使用量が減っている。それ以上に廃棄塗料の低減効果が大きい。「色替え時間は2人で20分と大幅な短縮が図られ、1日数回の色替えを行っている」と時間短縮を強調する。
同社の塗装ラインは全長380m。前処理は湯洗、脱脂、水洗、水洗、表面調整、化成処理(リン酸亜鉛処理)、水洗、水洗純水洗、水切り乾燥の工程。水切り乾燥は160℃×15分。その後、溶剤塗装及び粉体塗装を経て焼付乾燥炉に入る。焼付温度は180℃×20分、ラインスピード4.5m/minに設定している。
粉体塗料はポリエステル粉体塗料。日本ペイントのビリューシアをメーンに川上塗料、水谷ペイント製を採用。また溶剤系はロック製のアクリル及びメラミン塗料を使用。
品質管理はロットごとに抜き取りで目視、膜厚、密着性など規格に則り行っているということだ。
更なる生産性アップに向けて
1月にライン稼働に入り、当初はレシプロの引や吐出量などの塗装条件により、ラボテストでの条件と実際とが微妙に異なり、若干再塗装をするケースがあったようだが、「塗料の使用効率は90%以上と高いレベルで推移している。ゴミ・ブツの付着による不良が2%ほど発生しているが、更なる低減に向け取り組んでいる」ということだ。現在2交代で生産しており、午前中に溶剤塗装を行い、午後から粉体塗装と時間を分け、効率化に努めている。
今後、色替え清掃の更なる短時間化に向け取り組むとともに、コントロールシステムを使いこなしていくことで品質の向上、コストダウンに結びつける考えを示す。「ブースの最高部は床面から3mを越える。またガン(20ガン)の清掃にも時間を要すことから、この辺の清掃を容易に出来るよう工夫することで時間短縮は可能と判断している。またデジタル操作は若い従業員にとって全く抵抗がない。従って吐出量、電流・電圧の制御を含め細かなプログラミング対応を進めていきたい」と今後に期待を寄せる。
また現在、製品の20%ほどは前補正を入れているが、設計段階から補正レスにし、生産性の向上とともにコストダウンに向け取り組んでいく考え。