Web特集
2005年10月11日
シリーズ: 「ひやり」「ハッと」戸建て住宅の塗り替え
「ひやり」「ハッと」戸建て住宅の塗り替え(6) ニューライフ・アカデミー 古畑秀幸
第5章 仕様決めと積算・見積もり
積算は、施工部位の全体を漏れなく数量(m2、m、枚、個、箇所、本など)を拾い出しますが、数量の答えは1つしかありません。先日、ある施主様が半日かけて外壁と屋根の面積を全部細かく算出し、塗装店様の見積もり数量と比較したメモを持参されたことがありました。このようなことは滅多にないでしょうが、相見積もりではよく施工内容(材料と仕様)と単価、数量の3項目が比較されます。この積算を正確に行うことは、塗装店の信頼と技術力の高さを示すことになります。
既築住宅の場合、10年以上経過した物件では、施主様から新築の図面を出していただくことは2割ほどしかなく、結局現場で実測するしかありません。図面がある場合でも、主な寸法や開口部の位置とサイズなど実地の測定と確認が不可欠です。当然4面とも写真撮影をして、出来る限りすべての情報を記録し、確認漏れなどで2度手間にならないようにします。この作業は大変重要な作業です。施主様から見ればきちんと数量積算をやっていることが信頼出来る業者となり、結果的に簡単には断りにくくなります。
数量の確認は2回チェックを入れ、正しい数量をつかみます。最近では簡単に図面から拾い出しを行う機械がありますし、ぜひとも社員全員が自信を持って正しい積算が出来るよう育成もしていただきたいと思います。
私自身、これまで窯業系サイディング材の積算見積もりを1,000件以上行ってきており、速さと正確さではかなり自信があります。窯業系サイディング材の積算は、項目数が20~30項目もあり、各部位の数量(m2数、m数、本数、箇所)と使う材料(枚数、本数)を図面上へ割付を行いながら拾い出しを行います。1物件の積算に1時間半程かかります。見積もり漏れが起こった場合、業者が相手ですとほとんど追加の費用はいただけないので、チェックは欠かせません。
さらに積算で注意したいのは、敷地内のすべてのもの(擁壁、塀、カーポート、犬小屋、オイルタンク、物置など)を網羅し、クリーニング及び塗装を提案することです。建物の外壁や屋根がきれいになると、何もしない部分は一層汚く見えるようになります。逆に周辺部のクリーニングや塗装をお客様へのサービスとして対応し、立派な業績を上げている塗装店様もいらっしゃいます。
ここで便利な係数を読者の皆様へお知らせいたします。戸建て住宅の外壁の実壁面積(開口部を除いた)は延べ床面積の1.4倍になります。このデータは私がこれまでの窯業系サイディング材の積算で得た係数です。ただし屋根ではこのような係数はつかめませんでした。この係数により積算した壁面積のチェックはより簡単に出来ます。
次に仕様決めです。仕様とはデザイン、意匠、色といった見える部分と機能、性能といった見えない部分を費用のトータルバランスを持って提案し、絞り込むまでの一連の作業を指します。
ステップ1では、新築時並みの機能、性能、色などを原状回復することです。ステップ2は、お客様の要望と近隣の住宅外観デザインや街並みを考えた上で、塗装店様のセンス(意匠、デザイン、色など)を加味した提案を行うことです。施主様は、原状回復を御希望される方と最新の住宅外観を御検討される方に分かれます。特に後者の方は、築年数に関係なく近所で外装リフォームが行われますと、急に自分のイメージのリフォームをやりたくなる方が急増しています。塗装店としてはそのような思いを具現化する提案やツールや情報発信と体験を働きかけることが重要になります。
最近急成長している水廻りのリフォームで大手のメーカーの業績が伸びている理由はここにあります。キーワードは、「おもわずやりたくなる外装リフォーム」です。
そのためには〈1〉ショールーム併設の来店型店舗〈2〉施工現場のショールーム化(ビフォー&アフターを体感していただく)〈3〉今までの施工物件のカタログ(写真集、マップ、案内)〈4〉CGソフトの活用〈5〉いつでも見られる=ホームページの開設は最低限必要です。
塗装だけのリフォームでは、3年もすると古いイメージの外観になってしまい、施主様ががっかりされた事例がよくありました。私は必ず1プラン最新の住宅外観“外観丸ごと新築”を働きかけております。
参考までに低層住宅の外壁の3分の2を占める窯業系サイディング材のデザインの歴史を振り返ると、昭和50年初頭は縦張り無塗装品(現場塗装)が主流でデザインよりも機能、施工工期の短縮がポイントでした。55年頃には「横張り無塗装品」(現場塗装)の登場と現場で好きな色を塗るカラフル塗装により、ツーバイフォー住宅の増加とあいまって急激にデザインの良い外観が普及しました。60年代に入ると「タイル調ツートン」塗装技術の確立と金具施工の開発により更に高意匠化が進み、65年頃からは「石積み・割り石調」で多色印刷技術の開発によりほとんどすべての建築素材が窯業系サイディング材で表現したデザインに揃ってきました。それとあわせて、現場で塗装することはほとんどなくなり、塗装店の新築住宅向けの仕事は急減しました。