Web特集
2005年10月20日
シリーズ: 揺れるライン塗装
揺れるライン塗装 No.127 カドワキカラーワークス S&Bで最新粉体設備を導入、生産性、外観品質が大幅アップ
「景気は踊り場を脱却しつつある」との政府見解の大きな拠り所は旺盛な設備投資にある。今期は前年比で2ケタアップと大手企業は積極的な投資を計画している。特に自動車を中心にした輸出産業が依然投資に旺盛、工作機械、産業機械も受注量を維持しており、好調だ。
塗装専業者も昨年から設備更新を積極的に行う動きが堅調になってきた。受注量の増加に対する増産体制。次期受注を考慮した最新設備の導入など生き残りをかけた投資を行っている。「従来のままではジリ貧になる。新たに設備投資を行って、生産コストのダウンを図り、新たな仕事を受注していく」ことで生き残りを図る。
カドワキカラーワークスはパウダーコーティングを前面に出し、小ロット・多色・短納期、高品質・高外観をうりに仕事を伸ばしてきた。これにより他社との差別化を図るとともに、デザイン性の高い模様粉体やメタリック粉体で提案営業を行い、差別化を明確にしてきた。
アミューズメント機器
現在、同社の大きな柱になっているアミューズメント機器、住宅関連の宅配ロッカー、レジャー施設関連及び店舗機器類は意匠性塗料の採用による提案営業の賜物だ。
そして、機動力を生かし小ロット・多色・短納期に対応してきた。「被塗物としては一品勝負のような大きなものから複雑形状の小さなものまで多種多様の塗装を行っている。今回の設備更新は工場の手狭に加え、ラインの合理化と品質の向上を図るためにS&Bを行った」と門脇正樹社長は説明する。
一貫ラインで品質向上
今回の新ラインは前処理から焼付までの一貫ラインとなっており、ライン全長は144m。
前処理は環境に配慮したクローズドシステムの前処理ラインを導入。脱脂と化成処理を兼用したリン酸鉄による処理を行い、水洗2回の純水洗で水切り乾燥といった工程。水切り乾燥炉の温度は170℃×20分。「鋼板を合わせた被塗物が多いので高温に設定している」ということだ。また箱物が多いので水切り方法に関しては改善の余地がある。
以前は、前処理は外注に出していた。「前処理の内製化により、物流コストの削減はもとより、前処理-塗装のライン直結によるゴミ不良の低減に大きく貢献している」と導入効果を強調する。
パウダーコーティングの塗装設備は旭サナックの最新ブース「エコカラーチェンジシステム」を導入した。今回導入したブースにはブース内の自動清掃装置は装備されていないものの、塗料が付着しにくいパネル(Ec ’Board)を側面、天井、床面部に採用するとともに、側面パネルと床面パネルの接合部をラウンド形状にすることで塗料の隅溜りを解消し、清掃性を向上させたものだ。更に回収はブース下部より吸い込むダウンフロー方式を採用した。ブースの開口部は高さ2,100×幅1,500のサイズ。
塗装は1レシプロ4ガンを対面に設置し、必要に応じ後補正を入れて行っている。ガンはいずれも旭サナックの新型ノズル採用のEc ’Coronaシリーズ。1ガン当たりの吐出量は100~250g/minに設定。また同社のスクリュータイプの定量供給装置 6ガン用を導入した。「定量供給装置の採用によって管理がしやすくなった。また数値管理によってデータとして残すことが可能になる」と品質管理に大きく貢献しているようだ。
また焼付乾燥炉(山型炉で全長20m)は近赤外線・遠赤外線と熱風循環の併用にすることで、スペースは従来の半分ですむとともに、短時間で一気に昇温し、熱風循環で硬化させることでレベリング性に優れた平滑仕上げが可能になった
一方、ラインに乗らない小ロットものは手吹きガンで対応しており、自動機の色替え時間の間に塗装を行い焼き付ける仕組みだ。
同社が使用する塗料はアクゾノーベル、PPG、ジョータン、タイガードライラック、プロテックと独自ルートによる輸入も含め意匠性の高い外資系のメーカーが多い。国内メーカーは大日本塗料、久保孝ペイントなど。
今回の新設備導入により数値管理にすることで塗料使用量の低減もさることながら、「乾燥炉を近赤・遠赤+熱風循環にすることで熱効率が大幅に高まり、品質向上と短納期化が図られ受注の幅が広がった」と頬を崩す。
人材育成の強化に取り組む
新設備導入によって生産性は2.5倍に高まっている。このラインをうまく生かしていくことが、今後のカドワキカラーワークスの発展に大きく貢献するからだ。
「今後、合理化、機械化する中で更にIT化を進めオペレーティングの部分を含め、マネージメント出来る人材も育成していく必要を痛感する」と門脇社長。
一貫ラインによってライン管理水準がより重要になってくる。同時に自社のノウハウを蓄積していくことが重要だ。「単にパウダーコーティングということだけでは差別化は難しくなってくる。意匠性はもちろん、工業塗装における差別化を図るための固有技術の蓄積に取り組んでいく。それが全体の底上げに結びつくと判断している」と同氏。例えば前処理ラインにおいて、水切りの被塗物のつり方ひとつとっても各社工夫がある。こういったひとつひとつの創意と工夫が企業の財産になるという。
最後に「創意、工夫を考え出すのは人、人材に尽きる」と門脇社長。新たなスタートに立ち、新たな決意を胸に刻んだようだ。
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会社前景