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Web特集

2005年12月12日

シリーズ: 「ひやり」「ハッと」戸建て住宅の塗り替え

「ひやり」「ハッと」戸建て住宅の塗り替え(8) ニューライフ・アカデミー 古畑秀幸

第7章 養生、洗浄、下地調整

施工現場でたまに見かける看板やPR付き養生シートは、広告宣伝の機能を兼ねるとともに、誰がどのような工事をしているのか施主や近隣の方に知って頂くための重要なツールとなっています。また、連絡先(責任者、電話番号)を明示しておくことも重要なことです。看板やPR付き養生シートがない現場を見ると、無責任で安っぽく見えかねません。今や洗浄時における屋根、外壁材などの石綿(アスベスト)含有建材の飛散問題も懸念されていますので、工事会社と工事責任者の表記はなおさら必須になります。

参考になる事例として、まずプレート(サイズ600×900mmくらい)に工事名称、工事内容、工期、現場責任者の氏名(出来たら顔写真)、連絡先電話番号、安全衛生に関する表記をしたものを作ります。次にもう1枚のプレートへ施工前写真と施工後の完成イメージ写真(CG)と工事の特徴などをカラー印刷したものを掲載します。

先日あるところで、このようなプレートを工事期間中に掲示したところ、近隣の奥様より2件見積もり依頼があり、その内1件で受注が決まりました。既に官公庁の工事で、完成イメージCGや仮囲いに楽しい絵などが描かれ楽しい雰囲気を作っていますが、戸建て住宅の塗り替えでも、完成が楽しみになるような演出が必要です。このような演出をすることで、現場にかかわる施工技能者や外注業者にとって程よい緊張感を与える効果もあります。

また施工技能者の服装、ヘルメット、靴も配慮する必要があります。色や形によっては、施主にプレッシャーを与えかねません。会社のポリシーをはっきり伝え、外注丸投げ施工ではないと施主に安心して頂くためにも、出来るだけ会社で統一の作業着、ヘルメットを揃える方がいいでしょう。担当している営業(兼現場監督)の方は、毎日朝夕の2回は現場に顔を出し、施工の進捗状況及び工事内容の確認を報告し、施主との打合せを行うことが重要です。

洗浄ですが、一番注意すべきことは漏水を起こさないことと下地基材へ余分な水を含ませないことです。これは塗膜の剥離や膨れといった後々のクレーム予防として最も重要なことです。モルタルや窯業系サイディング材及びALC板のシーリング部分の切れやクラックが生じ、防水に問題がある部分は必ず洗浄前に補修を完了しておくことです。

失敗談として窯業系サイディング材の物件で高圧洗浄を行ったときに漏水が起こり、1階のリビングの天井から水滴が落ちてきて、家具や家電品が濡れてしまったことがありました。原因としては、1)窯業系サイディング材の工法が直張りで「通気構法」でなかったこと2)2階の切り妻部の軒天との取り合い部のシーリングの施工不良3)ノズルの方向がやや上向きであったことの3点でした。これは、今後急増する窯業系サイディング材を使った外壁の塗り替えにおいて重要な注意点です。必ずシーリングの打ち替えと補修、クラックの補修、窯業系サイディング材の板の浮き、隙間のパテ押さえなどは、洗浄前に完全に行ってください。

更に窯業系サイディング材の特質として比重が0.9~1.2と軽量かつポーラス(多孔質)で親水性を持っているため、水や湿気を良く吸い込みます。窯業系サイディング材は1昼夜で自分の重量の半分ほどの水を吸い込みます。しかもクラックやシールの目地切れ部分の狭いところからも良く吸い、乾燥するときは数倍の時間がかかります。水蒸気も表面全体から発散しますので、塗膜を押し出し、簡単に剥離や膨れを起こします。弾性系の塗料を使うと膨れや剥離を一層起こしやすくなります。

窯業系サイディング材の板間のシーリングの打ち替え時に、サイディングの木口に古いシールが少しでも残っていると後から剥離、切れのクレームを起こしますので、古いシールを完全に除去する必要があります。

またシールの打ち替え時の重要なポイントとして、色決めがあります。仕上げ塗料の色に近い色を選択することが後々のシーリング部の切れのクレーを防ぐことになるからです。窯業系サイディング材用のローモジュラス変成シリコンシール材は1液タイプで約400~500色もありますので、色は間に合います。

このノウハウは私が20年以上前に大手ハウスメーカーへ提案し、30万物件の新築に採用されました。シール部分の切れなどのクレーム防止に大いに役に立ちました。

シールの材料特性として、一般的に1液タイプは被着性能が高く(専用プライマーが必要)、多少湿気にも強い反面、低温では硬化時間が長くなります。それに対して2液タイプは、プライマーがないと全く密着性がなく、水分に弱い反面、気温が多少低くても(0℃以上)硬化します。

洗浄時の注意点として、窯業系サイディング材はモルタルに比べ脆いので圧力とノズルとサイディング材の距離をよく考え、水圧を適正にしないと古い塗膜だけでなく基材そのものが削られてしまいます。
一般的には、窯業系サイディングの洗浄は高圧洗浄でなく、水流でスポンジ洗浄がベストです。

◇プロフィール:
1954年(昭和29年)、長野県生まれ。
ニチハ、旭硝子に勤め、26年間窯業系サイディング材の営業、商品開発を行う。1998年からは塗膜のメンテナンスビジネスの開発を担当した。
現在、有限会社ニューライフ・アカデミー代表として独立し、塗料・タイルメーカーのアドバイザーの他、CGソフト開発などさまざまなリフォーム支援事業に携わり、活躍の場を拡げている。

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