Web特集
2005年12月12日
浮上する「ペイントカラー」(建築) 生活者支援を広げよう!
ペイントカラーがインテリアエレメントとして認知されてきたとはいっても、業界側のアプローチによるものではない。むしろビニルクロスに比べて「塗料は扱いにくい、コストがかかる」という弱点をカバーして、ペイントカラーを支持している生活者や一部のデザイナーの後押しがあるからだ。
8年前、塗料ディーラーとしてペイントカラーをインテリアの世界に持ち込んだカラーワークスはいまだに例外的存在。大半のディーラーにとって、カラーワークススタイルは「まだ早い、まだニーズはない」との見方。「首都圏のような市場の深さがないので、地方では出来ない」との判断が支配的。チャレンジする意欲すら見せないディーラーが圧倒的だ。
ショップとして来店型の目玉としていたカラモニーも色彩提案力はトーンダウン気味。目先の数字を追える戸建て塗り替え受注に走り、ハード販売のスタイルから脱却出来ないばかりか、色彩ビジネスの成長力を自ら奪ってしまっている状況にある。
1面でも指摘したように、色彩現場から見たギャップは、むしろ拡大するばかり。潜在性を含め、デザインや色彩というニーズの方向は社会的なトレンドでもある。モノを消費することの限界が指摘されて久しいが、ソフトの固まりともいえる色彩ビジネスが成長出来る基盤が形成されつつあるのに、業界レベルのアプローチはほとんどされていないのが実態だ。これに遅れれば遅れるだけ、ペイントカラーのビジネスチャンスは他業種に奪われていくことになるのは火を見るより明らか。
まず競合が考えられるインテリアエレメントとして、窓と壁の現状をチェックしてみよう。
窓デコレーションの現状
インテリア空間構成の中で「窓」の役割は大きい。その機能は、採光、通風、換気、眺望だが、生活環境の面では遮光、遮断、遮蔽といった逆の機能もある。いわば外部との調整をする機能といえる。
これら窓のデコレーションとしてウインドートリートメントがある。カーテンをはじめ、ブラインド、ロールスクリーン、ローマンシェード、すだれなど。屋外ブラインドも含まれる。
ウインドートリートメントの種類はカーテン(ドレープ、レース、ケースメント、スタイルカーテン)ローマンシェード(プレーンタイプ、シャープタイプ、バルーンタイプ、オーストリアンタイプなど)スクリーン(ロールスクリーン、プリーツスクリーンなど)ブラインド(ベネシャンブラインド、バーチカルブラインドなど)カーテンレールなど。
ウインドートリートメントの市場規模は年間約2,500億円と推計され、インテリア意識の高まりから窓の拡大や形態の多様化の波が押し寄せており、素材の高品質化、スタイルの追求などから、カーテンを中心とした市場規模は量的拡大から質的拡大の傾向を見せている。
カーテンの流通は、他の繊維品と同様に複雑な構造となっている。その背景としては、生産工程が多岐にわたり、労働集約型で、少ない資本での参入が可能であることから多段階の生産・流通構造となっている。
流通経路的には原糸メーカー産元(生地メーカー)ブランドメーカーの流れ、流通業としては通販から、専門店、家具店、デパート、量販店、ホームセンターまでが含まれる。代理を経由して施工はハウスメーカー、内装工事業者、工務店、ゼネコンなどがからむ。
原糸メーカーには大規模装置を有する合繊メーカーから小規模な紡績メーカーまであり、多種多様な繊維素材を製造している。これらは商社や糸商を通じて生地メーカーに販売される。
産元・生地メーカーはそれぞれの産地において、織物の製織企画機能を有し、機屋(製織)や染色加工業者をコントロールして生地として仕上げ、ブランドメーカーなどに供給。自らも生産設備と商品開発能力を備え、直接小売店に商品を供給するケースもある。
ブランドメーカーは自らのブランド名でカーテンの販売流通を行っており、カーテン流通の主流となっている。販売企画、商品企画、品質管理、生産管理、物流デリバリーなどの機能で主導権を持っている。
クロス壁は盤石か?
国内で壁紙が内装材として普及し始めたのは1960年代後半から。高度成長期には住宅やオフィス空間での需要増大があり、建築工事のスピードが重視され、工法は工場部品組み立て型のSRCやRC造りにより型枠工場を省力化するカーテンウォール工法や、住宅などのツーバイフォー工法が普及し、湿式工法から乾式工法の流れが強まった。
建築物の内装下地として石膏ボードが台頭してきた時期と、壁紙が住宅に採用されるようになったのは同じ時期。ボードに対し合板は防火材料認定制度に乗り遅れ、ボードが合板のシェアを奪っていった。石膏ボードの仕上材としては、塗装のように2度塗りや工期の心配のない壁紙がうってつけの材料と市場から認知され、単価も安いということが内装材としてのシェアを絶対的なものとした。
もともとゼロベースで出発したため、壁紙は用途の広さから、貼って仕上げるのが当たり前となり、「安直な代替品」「ぼろ隠し」との評価があっても、壁紙だけで内装を仕上げる時代が続いた。
しかし、90年代に入って壁紙にも変化が起きる。出荷データから、最先端のモードを発信するような商業空間(施設)から壁紙が消えていく。「壁紙のデザイン性のなさ、意匠としての限界がある」との声が急速に強まり、これが住宅を供給するハウスメーカーやディベロッパーにまで及んで今日に至っている。
ところで壁紙とひと口にいってもビニルクロスからペーパー、織物、化学繊維、無機紙など素材も各種ある。しかし9割はビニルクロスという状況は変わっておらず、織物壁紙が減りペーパー壁紙が急成長する傾向にある。
壁紙の流通構造は、製造メーカーブランドメーカー地方を商圏とする2次問屋販売店施工業者生活者。施工を伴う材料であり、通常の建材ルートとは異なっている。
壁紙のセールスポイントは見本帳にある。ブランドメーカーが見本帳を作成し、この見本帳に自社の壁紙が収録されるか否かが製造メーカーにとっては死活問題。それだけブランドメーカーの流通・施工の支配力が強いということ。このため外国からのデザイン性の高い壁紙が参入出来ない非関税障壁との指摘や、流通ルートを選べないという硬直性の問題もあるとされている。
また、塗料業界と同じく、最後にお金を払ってくれる生活者を顧客と思っている受け皿(業態)がない。製造メーカーはブランドメーカー(販売・問屋)をお客だと考え、販売店は施工業者や住宅メーカーをお客と思っているという関係。下請構造にとり込まれ、生活者に支えられた自立した産業構造となっていない。
壁紙の9割を占めるビニルクロスの出荷は、96年度に8億m2と過去最高となってからは低下しているが6億4,000~5,000m2台にある。環境問題や非塩ビへの関心が高まっている中でもビニルクロスが支持される理由は、さまざまなニーズに対応出来る色やデザインが豊富にあることに加え、量産性があり価格が安く施工性が良い面が依然あるためだ。
ちなみにビニルクロスの主なメーカーはアキレス、オカモト、関東レザー、共和レザー、ダイニック、凸版印刷、日本ビニル工業、ヤマト化学工業、ロンシール工業など。ブランドメーカーとしてはサンゲツ、シンコールウォール、テスコ、トキワ産業、リリカラ、ルノンなどがある。