コーティングメディア・オンライン独自のコンテンツをお届けします。新聞・雑誌の定期購読、単行本ご購入承り中!

Last Updated: 2008年9月 1日 17:43  RSS 2.0
キーワードを入力してサイト内のニュースを検索できます。

Web特集

2006年01月25日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.130 武蔵金属 ワイパー塗装の専用粉体装置を導入

武蔵金属(本社・埼玉県行田市、社長・五十嵐進氏)は昨年末に増築分を合わせ約1億円を投下して粉体塗装ラインを導入した。ワイパー関連の塗装を行うとともに、現在の家電製品も近い将来環境対応から粉体への置換が進むものとの判断による。同社は耐熱塗装やフッ素塗装などの特殊塗装をメーンに手掛ける中で、今回粉体塗装ラインとともに今後の方向性を取材した。
20060118-6-2.jpg常務取締役・五十嵐亨氏

穏やかな景気の回復を受け、北関東は自動車部品を中心に輸出関連の業種が好調に推移している。とりわけここ2~3年の間に設備投資した塗装業者は繁忙情態が続く。「コストダウンを図るとともに高品質に対応しており、仕事が集中している」と業界関係者。一部ではお断りするケースも出ているようだ。

旺盛な需要に支えられる中で武蔵金属は昨年末に粉体塗装ラインを導入し、新たな需要への対応を強化した。同社はこれまでシリコーン系による耐熱塗装や機能性を付与したフッ素塗装などの特殊塗装をメーンにしてきた。 売上構成比では耐熱塗装が全体の35~40%、フッ素塗装が30%、その他がメラミン・アクリル塗料による金属塗装。特殊塗装が全体の70%を占め、使用塗料は溶剤系塗料が中心。メーンの取引メーカーは家電メーカーを中心に約40社。扱いアイテムは1000点弱に及ぶ。

「家電メーカーのオーブンレンジ、クッキングヒーター、ファンヒーター、及び一部エンジン部品などの耐熱塗装や厨房部品に機能性を付与したフッ素塗装などを手掛けてきた」と常務取締役の五十嵐亨氏は説明する。メーカーからこうした機能を付与したいとのさまざまな相談が持ち込まれる。「メーカーの企画段階からタイアップして開発を進めるので品質保証込みで提供するケースがほとんど」(同氏)という。

20060118-6-3.jpg

粉体塗装を行うワイパー

20060118-6-4.jpg

前処理ライン

遠赤効果、マイナスイオン、抗菌といった機能を持たせたジャーポットや炊飯釜のフッ素塗装では高い塗装シェアを持つ。特に炊飯器の内面コートのフッ素塗装は試行錯誤の末、同社独自の塗装法で安定した品質の確保に成功した。「塗料の比重が高く、吐出量の安定が難しい。湿度の微妙な変化で静電反発が起きてしまうので平均膜厚を35~50μmに収めるのに苦労した。独自の三軸ロボットを考案し、回転と吐出制御を行うとともに搬送にも工夫した」と当時を振り返る。

「見える化」による管理重視


昨年末に導入した粉体塗装ラインは、同社にとって汎用粉体塗装の量産ラインとしては初めて。3年ほど前から環境対応を考慮し粉体塗装を検討してきたが、すぐに粉体塗装を行う対象物が得られず、計画は延び延びになっていた。「一昨年にワイパー塗装の依頼があり、評価を進める中で設備導入に踏み切ることにした。もともと家電製品の比率が高いので、自動車部品を手掛けることで仕事量のバランスも考慮した」と事情を打ち明ける。同時にVOC規制の法制化など環境規制が進む中、既存ユーザーも環境対応から粉体塗装を検討し始めたことが導入に弾みをつけた。


今回導入した粉体塗装ラインはブース並びに塗装機器のすべてランズバーグ・インダストリーのゲマ製品を採用した。ブースは昨年始めに上市したダイヤモンドパウダーブースに1レシプロ4ガンと固定ガン4ガンを装備するとともに補正を加えたOPTiコントロールシステム。ガンはOPTiオートガン・ⅡAとXAタイプの組み合わせだ。


20060118-6-5.jpg

内部まで透視出来る樹脂ブース


20060118-6-6.jpg

レシプロと固定ガンによる塗装


ブースの選定に当たっては「粉体塗装の量産ラインは初めてのことなので、塗装の状況がつぶさに見え、被塗物の流れが確認出来る点がいい」と採用理由を説明する。選定したダイヤモンドパウダーブースはブース側面と天井パネルに電気絶縁性と透明度に優れるポリカーボネートを採用。ブースパネルへの塗料の付着を抑えるとともに高い透明度でブース内面が透視出来ることが最大の特徴。


更に今回コントローラをモニター管理出来る仕様に変えることでガンの配置、レシプロの動き、被塗物の移動がモニター画面を通して確認出来るようにした。「管理の状況を常に目視出来る状況にしておきたい。塗装条件、制御も数字だけでなく管理者が自分の目で状況把握出来る状態」と先のブース選定といい、同社の管理に対する思いの強さが伝わってくる。


塗装対象物のワイパーは品質的に高外観が求められることから、塗料の供給系のコンタミが懸念される。同社は専用ラインとして立ち上げる方針だ。「当面クロの艶消しをメーンに塗装していく。状況を見ながらもう1色増やし2色に対応出来るようカートリッジフィルターと塗料タンクを揃え、色替えへの対応も図る」考えを示す。

特殊塗装はノウハウの塊


粉体塗装ラインは前処理からの一貫ラインとなっており全長200m。前処理は従来の焼付塗装と兼用となっており、トロリーのシャワー式で脱脂→第1水洗→第2水洗→表面調整→化成処理(燐酸亜鉛)→第3水洗→第4水洗→純水洗→水切り乾燥の工程。そして粉体塗装を施し焼付乾燥。焼付炉は山型炉で全長50m。温度は200℃×20分(180℃×30分)。


ブースの仕様は幅1880mm×高さ3000mm(床上)×長さ5000mmというもの。塗装対象物の寸法は700mm×2000mmまで対応可能だ。また1ガン当たりの吐出量は80~100g/minに設定。ラインスピード2.0~2.4m/min。ワイパーの生産量はひと月(20日稼働)に約16万本を予定している。本格稼働は1月の中旬から下旬になる見込み。


また特殊機能のフッ素塗装の工程は前処理→フッ素塗装→焼成処理の後品質検査を受け出荷の段取り。炊飯釜の内面コートは前処理後ポリアミドベースのプライマーを塗布し、フッ素粉体塗装を行う。回転塗装で行っており1回転に1秒を要し、6回転で仕上げている。吐出量は数グラム。「食品衛生法の関係で回収再利用は出来ない。従って効率のいい塗装が求められる。薄膜で均一塗装を行うために回転塗装を採用し、ロボット塗装で仕上げている」とノウハウを披露する。焼付温度は400℃。生産量はひと月に約1500個。


20060118-6-7.jpg

モニター管理に仕様変更した制御盤


20060118-6-8.jpg

焼付乾燥炉


家電製品の耐熱塗装は前処理→静電塗装→焼成処理→品質検査→出荷の工程。基本的にはメラミン・アクリル塗装とほぼ同じ工程を取り、ディスク・ベル・マイクロベルでの塗装。
品質管理は目視の他、ロットごとの膜厚検査、密着検査、硬度などユーザーの品質項目に則り管理を行っている。


取引塗料メーカーはオキツモ、サンコート化学、三和ペイント、ケミスターなど。粉体塗料は東亞合成。


20060118-6-9.jpg

炊飯釜のフッ素コーティング

粉体を特殊塗装に次ぐ柱に


同社のひと月の塗料代は対売上高比で25%を占める。また焼付を焼成処理というように温度も高いもので700~800℃に達することからエネルギーコストもバカにならない。


更に「ここ5~6年の間に2~3億円の投資を行ってきた。特殊な塗装が多いので受注に伴い設備投資がかかる。また増設のたびに建屋の建て増しでしのいできたので手狭感は拭えない。今回の粉体ライン導入に際しても乾燥炉の部分は建て増しで対応した」というように、今後この辺の問題が大きな課題になってくるものと思われる。


また上述したように既存ユーザーも環境問題に対し粉体塗装を検討していることから、今後同社は粉体塗装を特殊塗装に次ぐ柱に育成していく方向にある。小ロット・多色のニーズに対しては色替え対応のブースを導入し、ワイパーの専用ブースと多色対応のブースで粉体塗装の需要を取り込んでいく意向を示す。


既に先を見越し、今回の粉体塗装設備設置に合わせる格好で設置スペースも確保しており、これまで培ってきた特殊塗装のノウハウを生かすことで粉体塗装でも独自の地歩を固めていきたい考えだ。


「ワイパーの稼働を上げつつノウハウを培うことで独自の品質体系を築きたい」と抱負を述べる。(青木)


20060118-6-10.jpg

メラミン・アクリルの塗装ライン

20060118-6-1.jpg

本社工場前景


« 前のWeb特集Web特集一覧次のWeb特集 »

Web特集|ニュース|コラム|インタビュー|データルーム|イベント情報|セミナー情報|リンクネットワーク