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Web特集

2006年04月17日

シリーズ: 水性自動車補修塗料システム

水性導入のための基礎講座・日本ペイント 水性自動車補修塗料システム(上)

プロローグ:欧州水性事情・上

昨年6月のオートサービスショーは、塗料メーカーにとって1つの転換点であったかもしれない。ほぼすべての補修塗料メーカーは、環境配慮商品を前面に出したディスプレーであり、特に水性塗料については国内メーカーでは以前の1社のみの状況から一変し、主要メーカー4社が自社の水性塗料の開発状況を展示していた。

日本ペイントは、その中でもオートサービスショー前日に自動車メーカーとの水性塗料についての共同開発の発表を行い、展示会においてはe3(イーキューブ)コンセプトの提案と水性塗料システムの紹介をさせて頂いた。特にオーデベースe3システムの紹介でサーフェーサーからクリヤーまですべて水性塗料を使用するオール水性コンセプトの提示を行い、国内各社の中で一歩先んじた印象を来客者が持ったのではないかと思う。

一方、外資系塗料メーカーはこの状況をどう感じているのであろうか。水性塗料については既に欧州ではかなりの実績があり、いざ使用が義務付けられた場合には商品の投入が即座に可能である分、かなり余裕のある状況であったと思う。しかし、現在主流の溶剤型補修塗料と同等の補修外観品質を求められるとそう簡単にはいかないであろう。

今の日本の環境法令などを見てみると、水性か溶剤かの選択はユーザーに任される状況がここしばらく続くと言える。義務付けられた場合には水性同士の競合であるから、ある意味水性だから溶剤型より悪くても水性の中で少しでも有利であればいいという開発も可能だろうが、あくまで現在使用しているものに比べて品質を落とさないことが求められることになると、顧客対応力では国内メーカーに一歩譲る状況になるであろう。

いよいよ日本国内においても欧米の状況に近づいてきたことによるビジネスチャンスをうかがいつつ対応力もつける必要があるのではないだろうか。

こんなことを考えながら、水性塗料をより使いやすくする検討を日々行っている状況であったが、心の中では実際水性塗料を使っている欧州の状況をもう一度知りたいと思っていた。そんな折、フランス、ベルギーの水性塗料を視察出来る機会が偶然にも舞い込んできた。この機会を逃すまいと思い、早速会社の了解を取り具体的なスケジュールを決めて航空券も手配した。

スケジュールは、昨年11月20日から28日の約1週間となった。訪れるBPは7店、その他に塗料販売店2店と盛りだくさんであり、またBPが使用している塗料も事前情報では5社の塗料メーカー(すべて水性塗料)、BPの規模も中~大規模とバラエティーに富んでいることも大いに好奇心をそそるものであった。

計画を具体化していった11月初旬といえば、フランスで警察官に追われたと思った少年2人が変電所に入り、感電死したのが発端で、パリ近郊の移民街で起きた警官隊との衝突が各地に飛び火して暴動に発展し、サルコジ内相の「社会のクズを片づけろ」などの暴言が火に油を注いだ状態がベルギーに飛び火している状況で、一時は渡航自粛によりこの話がなくなるのではないかとびくびくしながら、一方でこの機会を逃してなるものかと変更のきかない航空券を手配した。(もちろん格安のためだが)

幸いにも11月20日には、ほぼフランス国内においては沈静化し、ブリュッセルでも平穏に向かっていたため予定通り出発した。
現地に着いてみるとパリ市内は、全く暴動の当地ではなかったようで夜間もごく普通に若い女性の1人歩きも目に付いた。(実は、フランスは今回初めてであったためどんな状況であるかも分からなかったが、さすが文化の都市、ファッションの都に相応しい女性の姿が見られた。日本人らしき働く女性の多さにも驚いた)

本題のBPでの水性状況であるが一言で言うと「水性塗料を使用しているBPは、進化している」ということである。

表でも水性塗料の使用開始時期を書いたが、1年前から使用しているBPと8年間使用しているBPとでは、水性塗料の使用環境(設備含めて)が大きく異なっているということである。もちろん、会社規模や地域性などもあるので一概に論じるのはどうかとも思うが、素直な実感であった。
あえてもう1つ付け加えると、水性塗料を使っているBPは、水性塗料をよりよい(最良を目指して)条件で使っていこうとしていることである。(表に保管状態やブース温度やブース改造など示している)

私は、仕事柄水性塗料の説明をユーザーや塗料販売店にする機会がよくあるのだが、必ずといっていいほど聞かれることは、何℃で凍るのか、凍っても使えるのか、何℃までなら塗装出来るのかである。もちろん初期では設備を含めて投資に直接影響するものであるから当然の質問である。

しかし、それらの質問は水性塗料をよりよい条件で使うためのものでない。進化と言ったのはまさしくこの部分である。最良の条件を作り出すことで水性塗料は溶剤系を超えるパフォーマンスを示すことを彼らは経験と実践で知ったと確信した。

実際、彼らに1)水性塗料を使ってトラブルはなかったか2)溶剤型に比べどうであるか3)溶剤型に戻りたいかというような質問をすると、1年前に切り替えたBPのROUZE塗装担当は、水性塗料は使いにくい(気を遣う)という本音を漏らしてくれたが、その他は初期のトラブルこそあれ現在は何の問題もなく、溶剤に戻るメリットがないと明言した。日本においても実際に水性塗料を継続して使用しているBPは、皆この進化を遂げつつあると思う。

さて、現在欧州においてどの程度水性塗料が使われているのであろうか?欧州は、2004/4/42EU指令において2007年1月1日より既に公表されている溶剤規制値に適合する補修用塗料の使用が義務付けられる。その中でどうしても規制値を溶剤塗料でクリア出来ないのがベース塗料である。従って、欧州の水性化というのはすなわちベース塗料の水性化であって、クリヤーやサーフェーサーなどは依然として溶剤型が主流である。

EUの板金整備協会の方の話などを総合すると、EU指令が実効となる地域での水性化は現在50%を超えており、イギリス、オランダではほぼ100%水性化に移行出来る状況となっている。しかし、フランス、ベルギーではまだ40%程度のBPしか水性を使っていないとのことであった。未使用のBPが多く、また普及率が少し頭打ちになっているようであった。2007年には水性以外使えない状況になるにもかかわらず、未使用のBPは指令発効の延期もしくは猶予期間の延長(現在が猶予期間であるのだが)への期待を相変わらず持ち続けている。このことにかなりの危機感を抱いているようであった。

そういう状況であるならば、早めに水性塗料を導入しているBPは、ますますその優位性が発揮されると思われる。特に、前述したよりよい環境作りとともに調色データのライブラリーが増えることによる調色時間の短縮が非常に有利になってくるはずである。

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