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Web特集

2006年04月18日

シリーズ: 水性自動車補修塗料システム

水性導入のための基礎講座・日本ペイント 水性自動車補修塗料システム(1)   

第1章 環境問題の現状


1.1 環境法規制と補修現場の取り組みの必要性
1.1.1 大気汚染と改正大気汚染防止法


東京都心から富士山を見ることが出来る日が最近増えたように思えるのは気のせいでしょうか。しかし、光化学注意報の発令日数は決して減っているとは言いがたい状況です(図1)。そうして思ってみれば、富士山はもやがかかり、ぼんやりとかすんでいます。東京湾を挟んだ対岸の房総半島から眺めれば、東京都心は椀を伏せた大きなドームのようにうっすらと茶色の雲に覆われているようにも見えます。南海の孤島の白い砂浜、コバルトブルーの海、どこまでも続く澄んだ青い空には程遠い感じがします。


粉じんやNOx、SOxといった物質の大気中濃度は大幅に低減し、これまでの大気汚染防止法の成果にもかかわらず、光化学オキシダントによると思われる患者さんが500名/年(平成16年度)にも迫ると聞きます。光化学オキシダント濃度が1時間値で、0.12ppm以上になると光化学注意報が発令され、0.24ppm以上になると警報となります。光化学オキシダント濃度が0.15~0.25ppmでは、1時間で目や気道への刺激や喘息発作回数の増加、2時間で気道刺激症状(せき、胸部不快感)や肺機能の変化が起こり、0.3~0.6ppmでは2時間で気道刺激症状や肺機能変化に加えて血液生化学的変化や気道収縮に対する気道反応性の亢進が現われるといわれています。揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds;VOC)から光化学オキシダントが生成する現象が報告され、欧米などではVOC削減を図る法規制が作られました。国内では自治体条例はあったものの大気汚染防止法にはVOC排出を抑制するものがありませんでした。


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VOCは大気中のオゾンなどと反応して活性度の高い物質(有機物ラジカル)を生成し、これが一酸化窒素(NO)などと反応して結果としてオキシダントが増加します。ほとんどすべてのVOCが光化学オキシダントの生成に関与するといわれています。また、同様に有機ラジカル同士の反応により揮発性の低い化合物が生成し、これが凝集してジーゼル排ガスで話題となったものと類似の粒子となる(浮遊粒子状物質=Suspended Particulate Matter;SPM)ことにもVOCが関与するといわれています。
SPMを含めてどんなVOCも元凶なのかは研究されているところですが、このVOCが産業界から150万トンも大気中に排出され、その半分以上が塗料を使用する塗装によってもたらさせている(図2)ことは、塗料塗装に関わる企業が何らかの行動を起こす責務があるのではないでしょうか。なお、今回の改正大気汚染防止法ではVOCを「気体となる有機化合物」と定義し、物質は特定していません。光化学オキシダントやSPMを生成する恐れのあるものは分子量や沸点などの関わりなく、すべて排出を抑制しなければならないVOCです。


大気汚染ではその元凶となる物質が遠方に飛んでいってからであったり、飛んでいる間に化学変化して別の物質になって、人の健康障害を引き起こすこともあって、元凶物質を出している企業を特定することは難しいかもしれません。だからといって対策を後回しにして良いはずがありません。憲法第25条第1項に、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとあります。そして、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利について最大の尊重を必要とする(第13条)とあります。これを全うするのが、人として企業として当然の行動であるべきです。
しかし一方、環境を最優先にする余り経済活動を後退・衰えさせたのでは、文化的で豊かな生活を損なうことになって、生存権に逆行するようなことはご免被りたいところです。ベストミックス(図3)という国と企業が手と手を取り合って最善の取り組みを行おうとする試みが、今回の改正大気汚染防止法に盛り込まれました。法による直接規制として塗装に関わる対象施設やそこから排出されるVOC濃度基準値(表1)が設けられましたが、大規模で対策資金の工面が出来そうな企業に法規制によって確実に排出抑制・削減の対策を講じていると考えられます。法規制の対象となった企業も含めて、すべての企業は自主的に取り組み、企業本来の活動である社会貢献に資する行動をするかどうかが問われています。このことはやはり憲法第12条に、不断の努力によって権利を保持し、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うとあり、大気汚染防止法の条文にも企業の責務として明示されています。


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大気汚染防止法第17条の13「事業者の責務」
事業者は揮発性有機化合物の大気中への排出又は飛散を抑制するために必要な措置を講ずるようにしなければならない。

企業が行うVOC排出抑制にはいろいろな方法がある中で、低VOC塗料へ転換する手もあります。自動車補修用塗料の需要を見ると日本塗料工業会データによれば、低VOC塗料比率が極めて低く(図4)、塗料メーカーとしてはそれを提供し、大気汚染防止法の趣旨に添う必要があります。

大気汚染防止法第17条の14「国民の努力」
何人も製品の購入に当たって揮発性有機化合物の使用量の少ない製品を選択すること等により揮発性有機化合物の排出又は飛散の抑制を促進するように努めなければならない。


大気汚染防止法の目的に、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに人の健康に係る被害が生じた場合に事業者の責任を定め、被害者の保護を図ると明記されています(第1条)。それは工場外に排出するVOCを抑制し、削減することにありますが、工場内や現場の労働者の健康を守るために設けられた種々の法規制の趣旨も同時に守ることも忘れてはなりません。


1.1.2 その他の環境安全関連法について

その他VOCなどに関連する法律での対策について簡単に紹介します。(図5)


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