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Web特集

2006年06月22日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.131 化成工業 スピンドル塗装で高品質塗装を達成

プラスチックの金型製作・成形加工メーカーの化成工業(本社・長野県下伊那郡阿智村、社長・中島秀明氏)は昨年末に2億円弱を投じてレーザー加工装置とスピンドル塗装装置を導入。成形から塗装、レーザー加工、組み立てまでの一貫生産体制を確立した。同社の誇る成形クリーンルームから塗装・レーザー加工までクリーンルームtoクリーンルームによる徹底した管理体制によって高品質なモノ作りが可能となった。スピンドル塗装の現場を取材した。
20060614-6-2.JPG中島秀明社長

好決算に沸く国内。この4月で「バブル景気」の51ヵ月に並び、この秋にも戦後最長の「いざなぎ景気」の57カ月を超えると見られる景気拡大。円相場、米国景気及び原材料価格の高騰といった懸念材料はあるものの、旺盛な設備投資がけん引役となっている。中小・零細企業は依然コスト対応に追われる中で、周辺領域のビジネス拡大、固有技術の深耕に励んでいる。

化成工業は創業以来30有余年、小型精密部品から自動車内装品などの大型部品の成形、更には近年のOA機器の飛躍的な発展に伴う社内での完成品組み立てに至る一貫生産への対応を図ってきた。そして今回の塗装・レーザー加工装置の導入によって新たな高精度の技術領域を開拓しつつある。 現在、同社の主力製品はセイコーエプソンのプリンターハウジング、カートリッジがメーンとなっている。その他では自動車内装部品のスイッチ類やセンターパネルなど。ここ5-6年の間に会社も取引先も大きく変わった。

20060614-6-3.jpg主な製品・自動車関連部品 20060614-6-4.jpgOA機器関連部品

2001年に現社長の中島秀明氏が社長に就任した。精密加工でかつ技術を要するものに特化するとともに、若手の採用で人事を刷新した。「成形メーカーと名の付く企業はたくさんある。その中で独自性を打ち出していくには狭く、かつ深く技術を追求していくこと。常に1ランクアップするための努力を社員に求めた」と中島秀明社長。

そして今回、横の広がりを求めてスピンドル塗装とレーザー加工を手掛けることで高付加価値製品への対応を図った。「従来、塗装品は外注に出していたが、レーザー加工を行うために塗装を内製化する必要があった。外観品質は無論だが、厳しい膜厚管理が求められるので熟練工による勘と経験ではなく、数値管理出来る設備を選択した」と同氏。今回はタクボエンジニアリングのスーパースピンドルを採用した。

また、金型製作から塗装品質を考慮した設計が行えることも同社の強み。しかも成形・塗装・レーザー加工・組み立てまで一貫生産システムによってムリ、ムダを除き、成形もクリーンルーム内で行っていることからクリーンルームtoクリーンルームで極めて高い歩留まりを実現した。

徹底した品質管理
塗装は初めて行うに等しい。従って全くの素人集団が高品質塗装を目指してスタートした。「塗装というと3K職場で品質が安定しない、熟練工を要する経験と勘の世界というイメージでした。数値管理が行え、定量化を図られる設備を求めた。タクボエンジニアリングのスーパースピンドルはデータ管理とティーチングが容易で、かつ少量吐出の管理がきちんと行え、ブース、乾燥炉を含めシステムで提案頂いた」と平邦彦氏は採用理由を説明する。


20060614-6-5.jpgクリーンルーム成型工場 
20060614-6-6.jpgエアーシャワー室

特に塗装後レーザー加工を行うので膜厚のバラツキを4μm以内に抑えたかったようだ。現状はシリンジーポンプによってバラツキ2μmで管理しているという。
またティーチングは4-5組の基本パターンをアジャストして塗装プログラムを作っている。
工程は、1階で成形した被塗物は2階に上がり、エアーシャワー室を経て除電装置で静電気による影響を除去し、ターンテーブル式のスピンドル塗装を行い、プレヒートコンベアーで強制乾燥、その後バッチ式(ドライテック)の本乾燥に入る。なおターンテーブルでの移載は人が行っている。


「塗装ブースはクリーンルームとなっており不良率は800-1000ppmの幅で維持するよう努めている。またルーム内は温度22℃±0.5、湿度60%に管理され、常に同じ条件で塗装が出来る環境になっている」(平邦彦氏)と胸を張る。


また作業員によるブツ・ゴミ・ホコリの持ち込みを極力避けるために完全防塵服の着用を義務付けた。入り口には吸着マットを敷き、作業所にもクリーンベンチを設置する気の使いようだ。さながらIT関連の電子材料のファインファクトリーを彷彿させる。

少量吐出の回転塗装で高品質
現在はケンウッドのカーオーディオやパナソニックのカーナビなどをメーンに塗装している。
ロットはカーオーディオであればユニットで2,500個、摘み部分が50,000個、パネル部が2,500個といった具合。
塗装はアンダーコートにホワイトを塗装し、その上にブラックを乗せ、トップコートはメタリック調で仕上げている。レーザー加工でトップコートのメタリックと下のブラックをカッティングする。「膜厚はホワイトが15-17μm、ブラックが22μm、トップコートが12μmの塗着。ブラックはLEDの光が漏れないように少し厚めにしている」(平邦彦氏)と説明する。


20060614-6-8.jpg少量吐出のスピンドル塗装

現在の不良率はパネルが5%台、摘みが1%台まで低減。目標は0.5%に置いている。「塗料中に混入しているブツなども不良の原因になる。現在粗い目と細かい目のメッシュで濾過して使用している」と塗料メーカーの生産品質とのギャップに驚きを隠さない。塗料はほとんど指定塗料の2液ウレタンタイプを使用。


更にガンは低圧霧化タイプを2ガンずつ4ガン装備。1ガン当たりの吐出量は6-7cc/sec、エアー圧は0.15hPa。プレヒートコンベアーの強制乾燥は30℃×5分。本乾燥の焼付は80℃×1.5時間に設定。給排気量は給気が160m3/min、排気が130m3/min。
20060614-6-7.jpgスピンドル塗装装置(除電部分)
少量吐出の回転塗装によって塗着効率は極めて高く、「塗料使用量(購入量に対する有効塗着量)は80%近くになると思う。廃棄する塗料は非常にわずかなもの。色替えごとに使用している洗浄用シンナー1.3Lを廃棄している。再生シンナーは使用していない」(同氏)とここでも品質へのこだわりを見せる。
今回導入した塗装ロボット・プロシリーズ(PRO2000S-Type)は塗料消費量を計算出来る点が最大の特徴。従って部品1点のコスト計算が出来る。
現状の稼働時間は1日数時間稼働の状況だが、この下期から本格的な稼働に入る計画だ。既に量産モノの受注が決まっている様子。

設計段階からのコストダウン
射出成形機は大・中・小合わせて49台を擁し、その内、24台が成形クリーンルームとなっている。その歩留まりは100ppm台と高品質を誇る。そのノウハウと塗装ノウハウを生かしていくことで精密・高品質部品の供給を進めていく意向だ。「塗装工程において冶具のセットに時間がかかる。金型製作の段階から塗装を念頭に置いた設計を行えば単価はもっと下げられる」(平氏)と設計の段階からの提案に意欲を見せる。


20060614-6-9.jpg塗料調合室 20060614-6-10.jpgレーザー加工機

今回も冶具の製作や製品の固定化のために圧着冶具を考案するなど既成概念にとらわれず、チャレンジしてみるといった姿勢が同社の躍進の原動力になっているようだ。
品質という点では1998年に品質の国際標準規格であるISO9001を取得。2001年にはISO14001の認証も取得している。さかのぼること13年前(1993年)にはオムロン品質管理実施賞を受賞している。


20060614-6-11.jpg自社開発した圧着治具

また海外への対応として1997年にフィリピンにK&K MOLDING.INC. K&K CENTRL MOLD.INC.を、2000年にはタイにN.S.TECH CO.LTDを設立。更に中国の拠点として化成香港有限公司、中国深せん事務所を設立し東南アジアにおける金型・成形・組み立ての生産拠点を確立し、情報及び原材料・部品の集積基地として機能を強化した。「本社機能とアジアの生産拠点網を結び、全世界に製品と情報の供給網を張っていく」(中島社長)方向だ。


今回の塗装・レーザー加工を含めた一貫生産システムの確立は更なるグローバル化のキー技術ともいえ、東南アジアでの次のステップへの礎石といえる。(青木)

20060614-6-1.jpg本社前景

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