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Web特集

2006年07月12日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.132 イワサキ 粉体塗装設備導入で24時間稼動体制に

オフィスアクセサリーの供給メーカー・イワサキ(本社・大阪市住之江区、社長・岩崎剛巧氏)は昨年6月に粉体塗装装置を導入し、小ロット・多品種・多色化への対応を整えた。納期のリードタイムが短くなる中で、職人に頼らない管理の容易な粉体塗装に切り替えることで、24時間稼働体制を確立。生産の一貫体制を生かしたモノ作りに邁進している。
20060628-6-2.JPG管理グループ・グループリーダー・岩崎基造氏

この4月から改正大気汚染防止法が施行された。VOC対策としては自動車メーカーを中心とする大手ユーザーが水性化を指向する中で、スチール家具メーカーもホルムアルデヒドフリーやVOC対策に取り組んでいる。特にここ数年ラインの更新に合わせ、従来のメラミン架橋系塗料から粉体塗料を指向するメーカーが多い。その流れはメーカーから協力会社へと徐々に広がりを見せている。

今年創業80周年を迎えたイワサキは、オフィスアクセサリーの供給メーカーとしてラック、コートハンガー及び収納家具を手掛ける一方で、大手オフィス家具メーカーへのOEM供給も行っている。 企画・開発・設計・製造・組み立て・出荷まで一貫生産を行っている同社はOEM供給の他、ここ数年デザイン部門に力を入れている。オリジナル製品がカタログショップのインターネット販売で実績を高めつつある。

そのような中、同社は昨年6月に数千万円を投じて粉体塗装ラインを立ち上げた。「VOC対策とともに近隣に対する臭気の問題、作業環境の改善などから粉体塗装を導入した」と同社管理グループ・グループリーダーの岩崎基造氏は導入理由を説明する。同時にパンチレーザー複合加工機、パネルベンディングシステムなども導入し生産キャパシティーを高め、24時間稼働体制を構築した。

取り扱いの製品アイテム数はオリジナル製品も含め約800アイテム。部品点数にして2,500点に上る。受注ロットは50~100ロットと多品種・小ロット生産となっている。「2001年からセル生産方式を導入した。現在の現場は正社員2人で対応している」という。ロット単位にならない単品モノも多く、ラインに乗らないものや試作品は従来の溶剤系塗料仕上げで対応しているという。

20060628-6-3.jpgメーンのラック 20060628-6-4.jpg収納家具

色替えは2人で13分

同社の表面処理ラインは前処理ラインと粉体塗装ラインに分かれており、一貫ラインにはなっていない。生産のランダム性から小回りを利かせる必要があり、間接ラインとなっている。 前処理ラインは脱脂→水洗→化成処理(リン酸亜鉛)→水洗→水洗→水切り乾燥の工程。そして移載して粉体塗装ラインに入る。

20060628-6-5.jpgPipe Laser

今回導入した粉体塗装ブースは独・ワグナー社製の高速色替えブース「Super-Cube」。1台はメーン色(10色)に対応したサイクロンタイプの全量回収再利用ライン。もう1台は使い捨て及び補正ライン(対面補正)として2台直列に設置している。

ワグナー社の高速色替えブース・Super-Cubeは回収リサイクル系統、ガン供給系統及びガン内面すべて自動クリーニングが行え、ブース内壁板は特殊樹脂によってパウダーの付きにくい構造となっているのが特長。

20060628-6-6.JPG←ワグナー社の高速色替えブース→20060628-6-7.JPG

回収再利用ブースは上下遥動タイプの1レシプロ7ガン(コロナ式C3ガン)を対面に設置。1ガン当たりの吐出量は80-100g/minに制御。被塗物とガン距離は約25cm、ラインスピードは2.5-3.0m/min、焼付温度は180℃×20分に設定。 ブース入り口にマルチホットセンサーを装備し被塗物形状に合わせて塗装条件を自動変更する仕組み。「塗装条件は被塗物形状など25パターンに分けてプログラムされている」と製造グループ塗装チーム・チームリーダーの池田仲治郎氏。ブース開口部は高さ2,000mm、幅800mmとかなり大きな被塗物にも対応出来るようにしている。

メーンの被塗物は平板のフラットなものからラックに使われる角棒・丸棒などさまざまな形状のものがセットで流れる。「高速色替えブースの塗着効率は平均して50%強のレベル。使用効率としては75-80%にあり、20-25%は廃棄している状態」(池田氏)と説明。

メーン色はクリーム、ブラウン、ホワイト、シルバーメタリック、メタリックグラニッシュなどの10色と指定色を含め約20色に対応している。「1日の色替えが8-9回、色替えしやすいように淡色から濃色へと段取りはするものの、しばしばスポットで飛び込みが入り段取り通りにはいかない」(池田氏)のが実情。色替え時間はブース内外の清掃時間を合わせて2人で13分ほど。塗料タンクはメーン色に合わせて8台持つ。

指定色ではメタリックが主流

平均膜厚は50μm以上の指定が多いものの、箱物などの内面塗装ではスケを心配し補正を行うなど膜厚的には50-80μmに収まるよう塗装している。しかし箱物やラックなどはネジ部分が多く、パウダーが付き過ぎるとネジ穴が埋まってしまい、ネジが入らないといったクレームに結びつく。「冶具の工夫と設計変更などで改良して対応している」と池田氏。塗装の仕上がり外観などでの不良はない。粉体塗装の外観は溶剤並みに近づいていると感想をもらす。

色相はメタリック色が増える方向にある。シルバーメタリック、ブロンズ、メタリックグラニッシュなどを扱うが、シルバーメタリックはボンディング製、ブロンズ、グラニッシュは混練方によるメタリック粉体塗料を使用。「シルバーメタリックが全体の25%を占めている。コストの問題もあり自社のオリジナル製品では使用を減らしていく方向」(岩崎氏)にあるという。 むしろ色相の傾向としては艶のあるホワイトが人気色になりつつあり、大手スチール家具メーカーもホワイトの品揃えを進めているようだ。

粉体塗料はエポキシ/ポリエステルのハイブリッドが全体の70%を占め、ポリエステルタイプが残り30%の比率。塗料メーカーは久保孝ペイント製をメーンに、シルバーメタリックでは日本ペイント製を使用している。塗料代はひと月に約300万円程度。 品質管理はOEM、オリジナル製品を含め同社品質保証部が定めた品質チェック項目に則り行われる。ロットごとに膜厚、色差、密着、外観といったところを現場がチェック。 塗装部門は正社員が2人で管理を行っており、製品の着荷、脱荷、清掃など現場労働は派遣社員9人が担当。

モノ作りにこだわり

ここ4-5年、塗装は外注に頼らずすべて自社で行ってきた。「外注の塗装業者が付加価値製品に特化するとともに、納期のリードタイムが短くなっており、外注に出していては間に合わない」(岩崎氏)といった事情を抱える。今でもメッキ関連は外注に出しているものの、後継者難から減少の方向にありメッキもメッキ調粉体塗料に変更せざるを得ない状況になりつつある。

売上はここ数年横ばい状態で推移する中、同社はモノ作りの面白さが分かり、プライドを持って仕事が出来るような環境作りに取り組んでいる。「鋼板からプレス、板金、加工、溶接、塗装、組み立てまで一貫して手掛けていることから、それぞれの工程ごとに“ショップ”と称して独立採算で損益を見ていく。厳しさと同時にゲーム感覚でショップごとにグループ長を中心に知恵を出し合い、他のショップを参考にするなど試行錯誤しながら取り組んでいる」と岩崎氏。

20060628-6-8.JPG補正・吹き捨てブース 20060628-6-9.JPG溶剤系ブース

これによって、各ショップの原価に対する意識の徹底が図られてきた。「毎月の損益が分かるレベルであるが、各ショップの取り組みが結果として数字に現れるので、楽しんでやっている」と岩崎氏はいう。 この10年の間に各メーカーは在庫の圧縮を進め、トヨタ自動車の生産方式、いわゆるカンバン方式を導入し、必要なものを必要なとき、必要な量だけ納入する体制を築いた。「インターネット販売に関しては、リードタイムは4日しかない。生産には正味1日。組み立てまで行って10個単位で全国7カ所に送る。OEMのオフィス家具メーカーのリードタイムは半月。一貫生産でモノ作りをしていかないと間に合わない」(岩崎氏)。リードタイムはどんどん短くなっているという。

同社は24時間稼働体制にすることで供給量のキャパシティーを高めると同時に、フレキシブルに対応することで大手オフィス家具メーカーのOEM供給を満たしつつ、BtoCに対応したオリジナル製品の比率を高めていく方向にある。(青木)

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