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Web特集

2006年08月31日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.134 栄和電機 コンパクト粉体ラインで効率生産

栄和電機(本社・広島市南区的場)は今年1月に1億円強を投じて粉体塗装設備の更新を行った。道路資材の塗装をメーンとする同社はコンパクトな専用ブース2台、手吹きブース1台を新たに設置し、効率生産を行うことで受注生産を可能にした。今回同社のコンパクトな粉体塗装ラインを取材した。
20060823-6-2.JPG 第2工場工場長代行 梶野慎一郎氏

重厚長大といわれた鉄鋼、造船が長い不況を脱し、淘汰・再編を経る中で生き残ったところは未曾有の好景気に「わが世の春」を謳歌している。

栄和電機の安浦工場は主力のロンジ部門、ショット部門及びウォータージェット部門(いずれも第1工場)を擁し、造船所からの受注に昼夜を問わず対応している。特にロンジ部門はロンジの製作を行っている。ロンジは船体の補強材で、いわば一番基になる骨格の部分、この仮組を行っている。同社のロンジ部門は国内シェアの60%を占め、瀬戸内海沿岸の造船所に納めている。「長い造船不況を経て、他社が撤退する中で生き残ってきた」格好だ。

またロンジ部門同様にショット部門も造船、海洋構造物などをメーンにショットブラストの表面処理加工を行い、1次防錆を施して出荷している。この部門も西日本一の加工量を誇る。 更に水力を使い各種金属、新素材、コンクリートなどを自由に切断するウォータージェット部門は国内でも1位、2位を競う最先端設備を保有する。

瀬戸内海というロケーションにあって造船・海洋構造物・プラントを中心に据えたコア事業に人、モノ、金を投じ技術の向上に努めてきたことが奏効した。

塗装ライン更新

塗装部門(第2工場)は13年前から溶剤系塗装を開始し、8年前に粉体塗装に着手するなど、業容を広げてきた。塗装部門のラインは更新した粉体塗装ラインと、長尺モノや大型被塗物に対応した大物塗装ライン、小物塗装ラインの3ラインから成る。


20060823-6-3.jpg ロンジ部門の自社開発の仮組装置
20060823-6-4.jpg ショット部門の一次防錆の塗装

大物塗装ラインはW1,800×L1,100×H2,600mm、最大重量2,000kgまで対応可能。また小物塗装ラインはW500×L3,000×H1,400mm、最大重量100kgまで可能となっている。大物ラインの主な被塗物はハウスメーカーの外階段の製作を受けている。一方の小物ラインは道路資材などの小ロット・多色に合わせ溶剤塗装で対応している。

3ブースで効率生産


今年の1月に導入した粉体塗装ラインは回収再利用できるカートリッジタイプの樹脂ブースが2台と吹き捨てブースが1台。アウターブース156m2のスペースにコの字形に直列に配備しコンパクトに収めている。専用ブースはイエロー系とホワイト系、吹き捨てブースはブラウン系及びその他の色相と分けている。
「イエロー系とホワイト系で全体の85%を占め、ブラウン系を入れると約90%をカバーする」と第2工場工場長代行・梶野慎一郎氏。


20060823-6-5.jpg 大物塗装ライン

塗装設備はいずれもランズバーグ・インダストリー製。ブースはポリカーボネートを採用した透明度の高いダイヤモンドブース。専用ブースは1レシプロ2ガンを対面に設置するとともに吹き捨てブースはハンドガンを1式装備している。オートガンは数値化された電流・電圧制御のOptiTronic、ガンコントローラーにOptiGunを採用。またハンドガンはEasyガンを採用した。ちなみに同ブースでの最大被塗物形状はW3,000×L600×H2,000mmまで。


20060823-6-6.jpg 小物塗装ライン
20060823-6-7.JPG イエロー専用の塗装ブース

「従来は1ブースで吹き捨て塗装を行ってきたが、生産性が悪く、ムダも多かった。また乾燥炉は電気炉で炉長が短く、鋼材の種類によって設定を変更するなど手間を要した。導入後8年が経過し更新期に入ってきたことから、全面的な見直しを図った」(同氏)と導入経緯を説明する。特にブースに関しては透明の樹脂ブースであることから、被塗物の流れや塗装状況が外からつぶさに確認できる点を大きく評価する。


更に設備面では小スペースに対応するとともに天井の高さに制限があったため、ブースの回収部分はピットを掘って埋める格好にして設置するとともに、振動フィルター・排気ファンをブース背面に直角に置き、横にせり出さないようにすることでスペースの有効活用を図った。
また乾燥炉は屋外に山型炉を新たに設け、往復タイプにして230℃×15分で管理している。

塗料使用量40%削減

メーンの道路資材はレギュラー品の形状で50‐60アイテムあり、現状の生産量はひと月に10,000本弱。モノによっては桟の接部を溶接しており、その部分は塗料が付きにくいことからガン距離や吐出量を変えて対応。「形状記憶装置を用いて被塗物形状を確認するとともに、桟の長さから溶接箇所を判断して自動制御で対応している。通常の形状は5パターンに類別しデータ入力してある」と梶野氏。通常の塗装条件は1ガン当たりの吐出量が100g/min、ラインスピード3.0m/min、平均膜厚90‐95μm。


20060823-6-8.JPG ホワイト専用の塗装ブース

更新後半年が経過し、塗料使用量は従来の40%近くの削減効果を上げ、また塗装品質も向上した。特にラインスピードがこれまでの1.5倍に高まるとともに、吹き捨てで行っていたものを回収再利用することで原価低減が図られたことが大きい。「塗料の使用効率は80%近くまで高まっていると思われる」(同氏)とコメントする。


更に、納期の短縮、スポットものが増える中で、これまで同社は材料で2,400‐2,500本の在庫とともに、完成品で3,000本近い数を在庫して対応してきた。しかし生産性が高まることで、最低限度の在庫で済み、レギュラー品については受注生産でこなせるレベルにある。「倉庫業も兼ねるような状態であったが、大幅な在庫の低減で効率がよくなった」と梶野氏は胸を張る。


また品質管理は外観チェック、密着性能の碁盤目などロットごとに行っている。塗料はポリエステル系粉体塗料。イエロー系、ホワイト系などのメーン色は久保孝ペイント製品を使用している。 
同社のひと月の塗料代は230‐250万円。塗装部門の人員は12名。そのうち粉体塗装には6名を配している。

ニッチマーケットでトップ

造船が活況を呈す中で、塗装部門は危機感を募らせる。「現状の道路資材以外の受注になかなか結びつかない。なんとか我々の特長を生かし、次のステップにつなげたい」(梶野氏)と打ち明ける。同社の売上の70%近くをロンジ部門が占める。ショット部門も含め造船関連に占める割合は高く、それだけに将来につながる青写真を描きたいという思いは強い。


20060823-6-9.JPG 吹き捨てブース

現在の道路資材関連の多くは電気メッキ及びドブ付けメッキの上に目荒し程度の脱脂で塗装を行っている。従って同部門では前処理ラインを持たない。この辺が事業の拡大にとって大きなネックになっているように思われる。


しかしながら、小物ラインと大物ラインを有し、粉体塗装ラインもあることから、短納期への対応を前面に受注に結びつけることもできる。更にジンクリッチの粉体塗料と上塗りで防食への対応を強化することもひとつの方法だ。また他部門との連携で塗装をアピールすることも可能ではないか。


稼働して半年、現在のラインを使いこなし、粉体塗装の更なるノウハウを蓄積することで、自社の特長がより鮮明になってくる。それを生かすことで自ずと自社の方向性が見えてくるように思われる。


同社は1956年に電力用機材の販売・製造を目的に設立。以来ショット部門、ロンジ部門、更には塗装部門と多角化を進めるとともに業容の拡大を図ってきた。ニッチに特化し、技術の研鑽に努めることで小さなマーケットの巨人となった。光る個有技術を有し、トップレベルにある。まさに生き残り戦略のサクセスストーリーを見るようだ。(青木)


20060823-6-1.JPG同社安浦第2工場・事務所

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