コーティングメディア・オンライン独自のコンテンツをお届けします。新聞・雑誌の定期購読、単行本ご購入承り中!

Last Updated: 2008年10月21日 08:58  RSS 2.0
キーワードを入力してサイト内のニュースを検索できます。

Web特集

2006年09月13日

GHS対応 期限迫る 分類データ収集のスピードがカギ

色材協会は8月29日、東京塗料会館において「混合物製品(塗料)とGHSシンポジウム」を開催した(後援・日本塗料工業会)。今年12月1日から実施されるGHSに関し、行政サイドの考え方や作業の進捗状況、また業界の企業にとってどのような問題点が考えられるのかなど、各分野の専門家を講師にシンポジウムを開いたもの。各企業にとって緊急のテーマなだけに、メーカーの技術、業務担当者など募集定員を上回る200名ほどが参加した。

GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)は、化学物質及び混合物に固有な危険有害性について世界統一の分類と表示を行い、それを取り扱う労働者、消費者、輸送関係者、救急対応者に分かりやすく伝えることでリスクを最小限に抑える注意喚起が主目的。2003年に国連勧告で発効され、全世界規模でのGHSの完全実施は2008年だが、日本を含むAPEC加盟国は前倒しし、2006年までに実施することが決められている。


GHSは化学物質を引火性液体、有機過酸化物、金属腐食性物質など16項目の物理化学的危険性と急性毒性、発がん性、生殖毒性など10項目の健康有害性、1項目の水生環境有害性について該当項目とハザードレベルを表示しなければならない。
塗料に関してはすべてが対象になる。製品個々についてGHSに則ったラベル表示とMSDSの提出が必要。ラベル表示では新たにドクロマークなど誰が見ても分かりやすい危険有害性を表す絵表示(ピクトグラム)と「危険」「警告」などの注意喚起語を表示。具体的な危険有害性情報を記載する。
またMSDSに関しても危険有害性の要約欄で絵表示、注意喚起語とともに区分などGHS分類の判定結果に従った表記をする。


こうした一連の作業を行うためには、塗料の組成、成分の特定を正確に行い、すべての成分を単一化学物質に分解し、それぞれについてハザード情報を把握しておく必要があり、情報の取得と判定作業はタイムリミットとの競争になっている。
経済産業省・化学物質管理課の加藤二子氏は「GHS:国連で話し合われてきたこと」と題した講演の中で「GHSは化学製品の危険有害性の性質と、その危険有害性の程度について絵表示などを用いて分かりやすく伝えるとともに、それに対してどのように対処すべきかをセットにして記載しているのが特徴」と目的を説明。国内では既に1500物質のGHS分類事業がスタート(8月末時点で約900物質を公表)、労働安全衛生法の一部改正、MSDSのJIS改正などが行われ、「世界で最もリードしている」状況を報告。また経産省では混合物の分類ツールを作成中で11月に公表予定。ただ時間が差し迫っていることから9月には設計図を公開する予定と述べた。


厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課の城井裕司氏は「改正労働安全衛生法における表示・MSDS交付制度」について講演。
今年12月1日から改正安衛法が施行される。「職場で使用されている化学物質を取り扱う際に危険有害性や適切な取り扱い方法などを知らなかったことによる爆発災害や中毒薬傷などの労働災害が依然として発生している」とし、危険有害な化学物質による労働災害防止のため、対象化学物質の表示やMSDS交付に関する法改正の目的を説明。ここでGHSの表示、MSDSの手法が利用される。つまり安衛法対象物質に関しては、GHSに則った対応がなされていなければ法律違反になる。


また改正では表示(ラベル)については現行の92物質から99物質に、通知(MSDS)については638物質から640物質に対象物質が増える。法令上で規定している混合物の濃度下限値である裾切(カットオフ)値も表示対象物質で現行の0.5%、1%、3%、5%、10%から0.1%、0.3%、1%、裾切値なしに、MSDS交付対象物質は現行の1%から0.1%、1%、裾切値なしに変更される。ただし、平成20年11月30日までの間は、対象物質の含有量がその重量の1%未満のものは法規制の対象にならない、また新たに規制対象となるもののうち、12月1日現在で在庫品として既に存在するものは平成19年5月31日までの間適用しないなどの経過措置が適用される。


日本塗料工業会製品安全部長の和田英男氏は日塗工が作成した「GHS対応MSDS・ラベル作成ガイドブック-混合物(塗料用)」暫定版について、概要の説明を行った。
同ガイドブックは塗料についてのGHS分類、MSDS及びラベルの作成などについて具体的な手法が記載されている。
和田氏は「GHS導入への取り組みとしてGHS分類に利用する原料(化学物質や混合物)の分類データ整備がまず重要。政府が行っている1500物質の分類データのうち塗料原料として使えるのは500物質程度。しかし塗料のGHS分類を行うには1000物質ほどのデータが必要で、残り500は日塗工が主体となってデータベースの継続整備を行っていく。また各企業も原材料メーカーから入手できる情報を活発に寄せていただきたい」と協力を呼びかけた。日塗工では、継続整備する原料情報のデータベースを電子情報で提供していくとしている。


今回のGHSはメーカー出荷品だけにとどまらず、調色で顔料のコンテンツが変わった場合など調色センターからの出荷品も対象となる。このため流通を巻き込んだ業界全体の問題と言え、難しい対応が迫られている。
なお、日塗工のガイドブック(暫定版)は会員・3,000円、一般・4,000円で頒布を始めている。また政府が行っている分類結果公表はhttp://www.nite.go.jp/で、安衛法関連の情報はhttp://www.jaish.gr.jp/で閲覧できる。

20060906-7-1.jpg

« 前のWeb特集Web特集一覧次のWeb特集 »

Web特集|ニュース|コラム|インタビュー|データルーム|イベント情報|セミナー情報|リンクネットワーク