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Web特集

2006年11月22日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.135 恵亜工業 プラスチック塗装の高外観品質化に対応 

恵亜工業(本社・埼玉県坂戸市、社長・櫻井晃氏)は今年の春に約20億円を投じて銀鏡塗装及び家電・自動車部品のプラスチック塗装に対応した最新鋭の塗装工場を立ち上げた。特に銀鏡塗装はモデル工場と位置付けFC展開を目指すとともに、大手ユーザーからの量産品受注に結び付けていく意向だ。一方プラスチック塗装は大型UV塗装、TV枠塗装など幅広いニーズに対応するため塗装ロボットを導入し高品質塗装を手掛けていく考え。最新鋭ラインの現状を取材した。
20061101-6-1.JPG戸ヶ崎淳一副社長

デジタル家電が好調に推移している。特に液晶、プラズマに代表される薄型テレビは好調だ。今年の1‐9月の国内出荷金額は前年比111.7%の1兆1,642億円と突出した伸びを示している。しかも大型化が進み30型以上の大画面が薄型テレビを牽引している格好だ。この動きは2011年の完全地上デジタル放送まで続くと予想される。

このような中で、恵亜工業は大型UV塗装ライン、TV枠専用塗装ラインを導入。更には大物被塗物に対応した大物塗装ライン及び小物被塗物に対応した小物塗装ラインを併設しプラスチック塗装の強化を図った。 また銀鏡塗装は親会社のアドバンスがライン指導、受注、資材供給をサポートし、塗装をオーラ産業が管理することで量産品での実績を高めていく方向にある。

同社はアドバンス(本社・埼玉県坂戸市、社長・櫻井晃氏)とオーラ産業(本社・群馬県邑楽町、社長・戸ヶ崎淳一氏)の共同出資で昨年7月に設立。 今年の3月に群馬県邑楽町の鞍掛工業団地に塗装工場を立ち上げた。数年前から両社は銀鏡塗装でタイアップし、マーケット創造に取り組んできた。これまで遊戯機械、家電製品、自動車部品などにスポット的に採用されてきたが、今回の銀鏡塗装の本格ラインの稼働で工業生産に乗り出す意向だ。 同工場は3階建ての敷地面積9,990m2、建屋面積4,995m2。1階に大型UV塗装ライン、TV枠専用塗装ライン、更に大物塗装ライン、小物塗装ラインを併設する。3階に銀鏡塗装の銀膜処理ラインと塗装ラインを擁す。

20061101-6-2.JPG600mm角に対応するUV塗装ライン

20061101-6-3.JPG除塵をしてロボット塗装を行うTV枠専用ライン

ロボット塗装で均一塗膜を達成

大型UV塗装ラインは600mm角(対角80mm)のワークに対応できるよう設計されており、下塗り(ベースコート)+上塗り(UVクリヤー)の2コート仕上げまで可能。塗装機器は旭サナックのAF型6軸ロボット2台を設置。ガンは低圧霧化タイプのAGB‐21(ミクロエース)を装着。ワークは43ハンガー、塗装は60秒・80タクトで送っており、除塵室から下塗り‐IR乾燥‐上塗り‐IR乾燥‐UV照射‐冷却室の工程。


TV枠専用塗装ラインは2台のAF型ロボットを用いて効率よく生産している。「1台のロボットで塗装すると2分かかる。2台設置し1分ずつ重ね塗りで仕上げている」と同社常務取締役・工場長の島尾高文氏は説明する。ガンはUV塗装同様AGB‐21を採用している。


20061101-6-4.JPGTV枠塗装の検査

同社で使用している自動ガンはすべてAGB‐21タイプ。同ガンは霧化性に優れ、吐出圧0.2‐0.25hpaの低圧エアスプレーガン。高い塗着効率と安定した高い塗膜品質が得られるのが特長となっている。ロボット塗装によってムダ吹きを抑え、塗料使用量の削減と品質の向上に寄与。


また乾燥炉はボイラーで温水を沸かし、その温水を乾燥炉内に循環させて被塗物を乾燥させる仕組み。ここでは80℃×30分に設定。「燃焼ガスがいらずクリーンな環境が維持でき、品質の安定につながる」と同氏。同社の塗装室内は2,000キロボイラー4台で加温・加湿しており、安定した塗装環境を形成している。更に塗装室はクリーンルームクラス10,000に維持されており、給気装置は高速ギャラリー、エアハンユニット、コイルユニット、フィルターユニットなどから構成されている。


「高外観のプラスチック塗装に対応するため塗装環境の整備に投資した。TV枠専用塗装ラインは40インチ画面をメーンに塗装しており、シルバーで仕上げている。TV枠の塗装は高光沢仕上げの方向にあり、シルバーと黒の2トーンが増えている」と同社副社長の戸ヶ崎淳一氏は動向を説明する。薄型の大型テレビはインテリアとしての要素が高いことから高級塗装傾向が強まっている。「究極はピアノの漆黒仕上げ。塗料粘度、エア調整、膜厚管理などの条件にノウハウがある」(同氏)と言う。


 

フレキシブルな大物、小物ライン

更に併設されている大物塗装ラインと小物塗装ラインは汎用性に富んだフレキシブルな対応を目的に導入した。大物塗装ラインはAF型ロボットとAF1型の小型塗装ロボット1台ずつ設置し、ターンテーブル式のバッチ式塗装。ここでは40インチのTV枠のマスク塗装と50インチのTV枠を塗装している。小物塗装ラインはミストレバー、リモコンや昇降機のボタンなどをメーンに塗装を行っている。「1分間にMAX140回転まで上げられることからスピンドル塗装も可能」と島尾高文工場長。


大物塗装の乾燥炉はコンベアの乾燥時間が20分、30分、40分と可変式になっており、被塗物によって任意に選択できる。またここではチャーバエンドで炉内の乾燥温度、塗装室の温度・湿度などを記録し不良時の条件割り出しに利用している。


20061101-6-5.JPG大物被塗物の塗装

同社では均一塗膜を得るために塗装はロボット塗装で行っておりティーチングは自社の人員で行っている。「熟練者が手吹きで塗装を行い、その軌跡に合せてティーチングをし、調整しながら最短のタクトで塗装できるよう詰めていく」(同氏)やり方だ。立ち上げに際しては旭サナックに研修に行くとともに、川崎重工の研修センターにも行くなど現場の8名全員がティーチングができるという。


20061101-6-6.JPG可変式の大物被塗物の乾燥炉

現状の不良率は人的なものも含め5‐10%ほど。「今後データを分析しながら更なる低減に努めていく必要がある」と島尾工場長。


20061101-6-7.JPGレーザーカット(2台保有)

銀鏡塗装の工業化に向け稼働

3階の銀鏡塗装ラインは銀鏡皮膜処理と上塗塗装に分かれており、銀鏡皮膜処理は活性‐定着‐水洗‐水洗‐銀鏡‐銀鏡‐水洗‐水洗‐エアブローの9ゾーンを経て水切り乾燥、そして上塗塗装の工程。被塗物は600mm角まで対応可能で被塗物を回転させて処理する仕組み。水洗、処理剤の噴霧器は進行方向に対し左右に移動する。


20061101-6-8.JPG銀鏡皮膜処理ライン

「銀鏡皮膜はデリケートな皮膜なので活性の段階で親水性を与え、水をはじかないようにするとともに銀鏡膜を安定化させる。そして不純物を洗い落とし、銀鏡膜を作るA液とB液を2頭ガンの先端で混合させて銀鏡膜を形成させる。要するに化学反応によって銀を析出させる。その膜圧は0.06~0.08μ」と戸ヶ崎副社長。


20061101-6-9.JPG銀鏡皮膜処理ラインの水洗

銀鏡皮膜は熱の影響を受けやすいことから塗装室内は温度25℃、湿度70%に管理されている。また水洗の水はイオン交換水を利用している。
ブース水は外の貯蔵タンクに送り、浄化させてまた戻す循環システムとなっており、臭気を含め環境との調和を企業方針として貫いている。


20061101-6-10.JPG銀鏡皮膜処理ラインの水切り乾燥

「環境問題からクロムフリーのニーズが高まっており、銀鏡塗装が求められてくると判断している。これまで工業化に向け改善に改善を重ね、強度も高まっている。外部用途ではまだクリアしなければならないテーマもあるが、室内であれば使用に給するレベルにある」と戸ヶ崎副社長。


今後同社は無公害の銀鏡塗装システムとして協力者を仰ぎつつFC展開を進めていく意向だ。
またプラスチック塗装に関しては現状家電製品がメーンになっていることから「経営の安定化に向け自動車部品も積極的に受注していく」(同氏)方針にある。(青木)

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