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Web特集

2006年12月13日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.136 村田機械・加賀工場 外観品質の向上を目的に粉体導入

繊維機械、ロジスティックス・FAシステム、搬送システム及び工作機械などの製造メーカーである村田機械(本社・京都市伏見区、社長・村田大介氏)は昨年10月に同社加賀工場内に粉体塗装ラインを導入した。繊維機械の外観品質の向上を目的に1億円強を投じて立ち上げたもの。100%受注生産の混載ラインにおいてカンバン方式でタイムリーな生産を行っている。今回同社の粉体塗装ラインを取材した。
20061122-6-2.JPG生産技術部生産技術課 走尾博之課長

繊維産業は長引く不況とともに安価な海外製品によって淘汰されてきた。しかし、なんとか生き残ったところは世界的な好景気から需要が盛り上がっている。村田機械の繊維機械事業もそのひとつだ。同社は紡績会社や合繊会社にさまざまな紡績機械を提供してきた。

 

加賀工場では空気による紡績方式を採用したボルテックス精紡機や糸を紡ぐ自動ワイダーなどを生産している。「高生産・高品質の機械を開発、提供することで生き残ってきた。自動ワイダーは国内では当社だけ、世界でも供給しているメーカーは3社のみとなった」と取締役・品質保証部長兼加賀工場長の高崎茂氏は説明する。「現在は99%が輸出で中国、インド、パキスタンなどに出荷している」(同氏)という。今日、日本で作られている紡績は100万錘程度、30年前の10分の1にとどまるようだ。

20061122-6-3.JPG自動ワイダーの本体 20061122-6-4.JPG自動ワイダーの組立

残り物には福というが、生き残るためには多くの辛酸があったことは想像に難くない。「ハード部分はすぐ真似されるが、ソフトの部分は真似できない。ソフト部分のノウハウの蓄積が今日の村田ブランドを作り上げてきた」と高崎茂取締役。同社はいち早く平準化を図り、今日のカンバン方式を20年前に取り入れることで受注生産の仕組みを作り上げてきた。また塗装においても20年前に電着塗装を採用し、ハード部分は全品塗装を行ってきた。

今回の粉体塗装の導入はドイツ、イタリアの競合メーカーの製品外板部にハンマートーンの粉体塗装が施されていることから、同社の電着塗装1回仕上げでは競合メーカーと比べて見劣りするという営業サイドからの要望に応えたものだ。「検討を重ね、見えるカバー類やドアなどを中心にレザートーンの粉体塗装を行うことにした。電着塗装後に移載し、粉体塗装を行う」と生産技術部・生産技術課の走尾博之課長。 当初は粉体塗装を行うことで塗料代のコストアップが大きなネックとなったが、部品点数が全体の4分の1程度であり、塗料の回収再利用、更には生産増によって吸収していく考えだ。

20061122-6-5.JPG自動搬送車で生産の合理化

色替えは2人で5分

昨年の10月に立ち上げた粉体塗装ラインは全長102m、ラインスピード1.75m、40ハンガー・3mピッチというもの。更に電着からの移載にストレージライン15ハンガー分を取る。

粉体塗装ブース及び機器は独・ワグナー社製を採用した。ブースはワーク寸法幅100mm×高さ1,400mm×長さ4,000mmに対応したスーパーキューブブースシステム1台を導入。機器はコロナタイプの1レシプロ5ガンを対面に設置し、補正を入れている。

20061122-6-6.JPG前処理 20061122-6-7.JPG電着塗装 20061122-6-8.JPG粉体塗装のアウターブース

色相は外板部のホワイトとブルーの2色。ホワイトが70%を占める。色替えは1日に2回行っており、色替え清掃に要する時間は2人で5分。「ハンガー4-5個分あけて、ブース内とパウダーセンター及びホッパーの清掃を行っている」と組立生産課・道原一利係長は説明する。塗料は全量回収・再利用しており、塗料の使用効率は95%以上と高いレベルを維持している。

ワグナー社のスーパーキューブシステムの本体は特殊プラスチックのサンドイッチパネルを採用。ブース内は一体構造となっており、清掃しやすい構造。更に回収する床面はブース中心部とブース側面の塗料落下部のテーパー部にエアーブローノズルを有し、その対面に吸引のサンクションスリットを設けている。またブース内の気流制御によって均一な制御風速を可能にしたというもの。これによって塗料の溜まりがなく、ブース外への塗料の流失が抑えられるといった特長を持つ。

同社では吐出量を抑え、被塗物とガン距離(約150mm)を短くすることで塗着効率の向上と付き回り性の向上を図っている。平均膜厚は50μmに設定し、奥行きのある部品は補正で対応している。稼働して1年を経過するが、非常に清掃が行き届いており、ブース周りには塗料が落ちていない。 またアウターブースを設けることで外部からのゴミの持込を極力押さえ、常に一定の塗装環境の維持に努めている。「ゴミによる不良はほとんどない。立ち上がり当初、ホワイトでスケが出た程度。外観もレザートーンの模様の出来方で膜厚のおよその見当がつくレベルまできた」(同氏)と胸を張る。

更にハンガーの管理もきちんとしている。付着した塗料は一定時間ごとにブラスト(ジグストリッパー)処理し、早め早めに対応している。またひと月の部品点数は600弱、ジグは10種類程度ですべての被塗物に対応できるよう工夫を凝らす。

塗料はナトコ製を使用。低温硬化でかつ耐擦傷性に優れるものをお願いしたということで、ハイブリッドタイプの160℃硬化。硬度はH程度となっている。ひと月の使用量は約1.5トン。 焼付乾燥炉は20ハンガー分のスペース。中波赤外線と熱風の併用によって省スペース化を実現するとともに、仕上がり外観に優れた塗膜品質を達成した。

20061122-6-9.JPGレシプロ5ガンを対面に設置 20061122-6-10.JPGソフトスプレーより平均膜厚50μm

全品塗装の電着ライン

全品塗装の電着塗装ラインは20年前に導入したもの。ワークセットして前処理工程に入る。湯洗予備脱脂アルカリ脱脂第1水洗第2水洗第3水洗(シャワースプレー)第4水洗純水のフルスペック。液タレ切り後に電着塗装に移りUF1UF2UF3RO移動。スライドさせて乾燥(135℃×32分)の工程。

各浴槽は幅1,200mm×高さ1,400mm×長さ4,000mmのワークサイズに合わせディッピングで行っており、3.5分タクトで移動していく仕組み。 管理項目は各浴槽の温度、アルカリ濃度、HP管理、塗料温度、WSB値など毎日測定するとともに、見本プレートとの照合による色差管理(0-0.8)、更には硬度など多岐にわたる。「電着塗装後に粉体塗装を施すワークには予め目印をしておき、スムースに移載できるようにしている」(同氏)という。電着塗料は関西ペイントが供給している。使用量はF1、F2合わせてひと月に8-9トン。

20061122-6-11.JPG小ロット用の手吹きブース 20061122-6-12.JPG中波赤外線と熱風の併用炉

塗装現場の管理は電着ラインが6名、粉体ラインは4名で行っている。「粉体塗装は熟練工を必要とせず、管理しやすいのがメリット」との感想。続けて「今後、塗料メーカーに更なる低温硬化を求めるとともに、吐出量の制御をシビアに管理していきたい」と走尾課長。 現在同社は2直体制のフル操業が続いている。「為替相場が円安に振れており、ユーロ高も幸いし価格競争力は高まっている。このフォローの風を生かしたい」と高崎茂取締役。

既に同社は中国・上海においても一部の繊維機械製品を製造しているものの、品質の安定というところで苦労している様子。国内の生産増に伴い、海外での安定した供給体制が次のテーマとなりそうだ。(青木)

20061122-6-1.JPG加賀工場事務所棟

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