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Web特集

2007年04月11日

屋根用・遮熱塗料特集2007(市場動向) 性能競争時代に突入へ 汎用拡大見据える

遮熱塗料が年率20-30%増の勢いで市場を急拡大させている。屋根用塗料市場においては各社遮熱色の投入で汎用展開を積極化。外壁用、舗装・道路用、更には工業用・自動車用へと用途展開が進められており、遮熱機能は塗料の一大機能になるべく歩み続けている。しかし現時点における遮熱塗料の需要は工場や倉庫など企業物件の屋根塗装が圧倒的。一般改修市場での普及がテーマとなっている。

遮熱塗料マーケット概況


遮熱塗料市場は現在メーカー出荷金額で年間約20億円、出荷量ベースで3,000トン弱の規模にまで成長したと思われる(本紙推計)。元々は1995年頃にベンチャー企業によって創り出された市場。そこに既存塗料メーカーも参入を図る形でこの数年の間で急速に市場が拡大してきた。OEM供給も活発化。ベンチャービジネスとしても脚光を浴び、今も参入企業を増やし続けている。現在、40社の製品が市場に出回る乱立状態となっている。
遮熱塗料には、遮熱顔料と言われる太陽光に対する反射率が高い顔料を配合した太陽熱高反射率塗料と、中空セラミックやシラスバルーンなど空気を含有した骨材を配合した遮断熱塗料とがある。当初は遮断熱塗料による販売が多勢を占め、温度低減効果による光熱費の削減など省エネルギーを特長に企業物件での実績を重ねてきた。ただ遮断熱塗料は骨材を配合した中塗り層を入れるため厚塗りの多工程仕様となる。塗料単価も3,000円/kgを超えるものもあり一般塗料と比べて高価で、施工管理や品質確保のために責任施工体制がとられている。今も遮断熱塗料においては責任施工体制を採用しているメーカーが多い。


その一方でこの数年各社がラインアップを強化しているのが太陽熱高反射率塗料。いわゆる薄膜タイプの遮熱塗料と言われるもので、戸建て住宅の屋根の塗り替えなど汎用性に優れる。
遮断熱塗料が白色及び淡彩色を中心とするのに対して、太陽熱高反射率塗料は濃色に対応できるのが特長。住宅屋根は黒や茶色など濃色が中心で、またカラーベストや窯業屋根材といった基材適正を要する。多工程仕様はコスト高になることから、住宅の屋上・屋根は太陽熱高反射率塗料が主流となりつつある。


しかし現在のところ、住宅屋根における遮熱塗料の需要は少ない状況にある。屋根用塗料市場約200億円(本紙推計)の内、10%に満たないと思われる。強い営業力を持つリフォーム会社などがスペックインし普及啓蒙を図っているが、屋根用塗料においては溶剤系1液型ウレタンやシリコン系塗料が主流となっている。
各社が汎用分野での拡大を見据える中でネックとなっているのが、効果に対する実証性。鋼板屋根もしくはスレート屋根でかつ開口部が少ない工場や倉庫とは違い、戸建て住宅は窓など開口部が多く、屋根裏も断熱材が貼られているため、塗ったことによる効果を実感しにくい状況にある。そのため、「効果がはっきりしないものを施主に勧めることはできない」(塗装業者)と抑止力が働いている。


ではなぜ、塗料メーカー各社は最近、汎用の主力商品に遮熱色を加える動きを活発化させているのか。塗装業者にとって屋根塗装は密着不良や光沢引けなど耐候性を要する部位だけに、材料選択は慎重。一度使って信頼を得たものは使い続けるという、ある種保守的な一面も持ち合わせている。メーカーにとっては、遮熱塗料として新製品を投入するより、馴染みがある信頼性の得られた製品に遮熱色を追加する方がスムーズに立ち上げられるとの思惑が見える。塗料代も通常色の2割増し程度に抑えている。
屋根用塗料はウレタンからシリコン、フッ素と樹脂系をグレードアップさせる高耐候性に開発のベクトルが向けられている。今後も高耐候・高機能化の動きは加速していくと見られる。塗料メーカー各社は「遮熱機能はいずれ標準品となる」と口を揃える。既に外壁用、道路用、防水分野への展開も具体化しており、遮熱機能は建築塗料分野の標準機能になりつつある。

自治体が市場を後押し


遮熱塗料の市場拡大を牽引している存在として自治体の取り組みを抜きにしては語れない。全国では東京都と大阪府がヒートアイランド対策に先駆けて積極化。太陽熱反射率塗料をヒートアイランド対策に寄与する技術として、さまざまなトライアルを実施している。
東京都は、日本塗料工業会などで構成したクールルーフ推進協議会を発足し、平成18年度から屋上緑化及び高反射率塗料の施工補助事業を実施している。
事業の対象はヒートアイランド対策推進エリア(千代田区、中央区、港区、新宿区、台東区、品川区、目黒区)にある建物で施工面積50m2以上の物件。高反射率塗料の規格定義として、日射反射率は50%以上(灰色)と定めた。補助額は対象経費の2分の1で上限額500万円を助成する。
初年度となった平成18年度の太陽熱高反射率塗料の施工実績は合計24件、施工面積は1万192.7m2、交付金は2,416万4,000円となった。物件内容は戸建て(11件)や事務所ビル(9件)が多くを占めた。平成19年度も補助金事業を継続して行う予定。


大阪府でも東京都に続き、平成19年度から予算額1億360万円を計上し、ヒートアイランド対策促進事業を開始する。
同府では平成16年6月に大阪府ヒートアイランド対策推進計画を策定し、府内全域において2025年までに夏場の熱帯夜数を現状より3割削減することを掲げている。
以来、熱環境マップ、ヒートアイランド対策ガイドラインを作成し、更に昨年1月には産官学民共同の大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアムを設立するなど、対策技術の普及促進について協議を重ねている。
今回のヒートアイランド対策促進事業では、熱環境マップで対策を要すると指定された地域における高反射塗装、緑化、保水性・透水性舗装などの工事に対し、施工費の2分の1を補助する。

JIS化で評価確立を目指す


先述したように、遮熱塗料市場には40社の企業が参入する一大ブームとなっている。「現在は比較的価格が維持されている」(メーカー担当者)と話すが、今後も参入を表明しているメーカーがあることから競争激化による単価下落が懸念される。価格の下落は製品価値の存亡に関わるだけに性能評価の標準化が不可欠として、現在独立行政法人建築研究所と日本建築仕上材工業会との間で試験方法及び評価方法の原案作成が進められている(詳細は5面)。また日本塗料工業会、日本塗料検査協会も協調し、JIS化が現実化している。


ただJIS化を予定しているのは太陽熱高反射率塗料のみで、熱遮断塗料は見送る形となった。太陽熱高反射率塗料が日射反射率によって一定の性能を評価できるのに対し、熱遮断塗料は熱伝導率試験が適切な方法かも含めて性能評価に不確定要素が多いというのが理由。
その結果、これまでさまざまなタイプの製品が市場に出回ることで市場を活性化させてきた遮熱塗料市場は、太陽熱高反射率塗料だけが標準化手法を持つことである種の牽引力を持ち、今後の製品開発に影響を及ぼすことが予想される。遮断熱塗料の標準化の確立も早急に望まれるところである。

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