Web特集
2007年04月01日
プラスチック塗料・UV/EB特集2007(市場動向)
プラスチック基材をベースにしたハードコート・接着の需要は液晶テレビ、プラズマテレビのディスプレー用フイルム、カラーフィルター用のレジストなどを中心に年率2ケタの伸長を示している。特に光硬化のUVハードコート材は電子材料が牽引役となり旺盛な需要に対応している。
家電を中心とする電子材料は昨年の末に単価の下落から一時的に小幅の生産調整に入ったものの年間を通じての影響はなさそうだ。更に自動車部品関連なども輸出が顕著に推移していることから、需要は旺盛。
また携帯端末も昨年9月からポータビリティー制が導入され、年末にかけて需要が伸びるなどプラスチック向けのハードコートは総じて堅調に推移している。「電子材料関連は2011年の地上デジタル波の導入まで買い換え需要に支えられ現状を維持していくのではないか」というのが業界関係者の見方。
一方、画面の大型化に伴い一層の高機能化が求められている。高硬度、光屈折の制御(反射防止)、耐擦傷性、耐汚染性など性能によっては条件が相反するものが求められるケースもあり、ハードルは高いようだ。「薄膜でかつ高硬度がニーズとしては高い。高分子にすると塗膜が割れやすくなる。従っていかに柔軟性を持たせていくか。ポリマー技術を用いて変性タイプにすることで機能付与している」と大手樹脂メーカー。
更にラジカル重合による酸素阻害問題や体積収縮による基材の変形など改善テーマは多い。それらへの解決策としてここ数年、熱硬化と光硬化を併用するデュアルキュアーの動きが高まっている。既にNCOとアクリル基を持たせたイソシアネートアクリレートの開発など複合化技術を指向する動きが出てきている。
一部ではカチオン重合の脂官式エポキシを使用するケースもあるが、光開始剤を始め材料の選択肢が狭いことに加え、大手サプライヤーのダウケミカルが昨年秋に生産を中止、撤退することを表明した。国内ではダイセル化学が生産しているものの、その生産キャパシティーも限られることから各方面に波紋を呼んでいる。
このように電子材料分野は機能中心に動いており、VOCに関しては完全クローズドシステムで対応している。そのようななかで、携帯端末が脱VOCの指向を強めている。
現状、簡単なアルコール脱脂後、溶剤のベースコート、UVによるクリヤーコートが標準的な塗装仕様。今回の動きはクリヤーコートを水性UVに置き換えVOCの低減を図ろうという考えだ。
水性UV硬化樹脂は海外メーカーが先行してウレタンディスパージョンタイプを紹介してきた。国内メーカーも追随する格好で開発を重ね、各社サンプルワークを進め、ベーシックなタイプでの処方は出来上がっている。
「従来、ベースコートの上に溶剤タイプのUVコートを乗せると、UVコートの溶剤とモノマーがベースコートをアタックしてしまい質感が損なわれたり、曇ってしまうといった問題があった」と指摘する。水性UVコートはこれらの問題を解消するとともに、ベースコートの質感を引き出すことに成功した。
更に各樹脂メーカーはオール水性化に向けた開発を進めているが「ベースコートの水性化はプラスチックが水をはじくので密着性に優れた水性プライマーを開発するか、物理的な表面改質を図らないと密着性に難がある」と各社口を揃える。
水性プライマーを使用するとラインが長くなるとともに、水を飛ばすプレヒートゾーンも加わりスペースと消費エネルギー、CO2の問題が次のテーマとして横たわる。
ダイナミックな展開続く
プラスチック用塗料市場
プラスチック用塗料は過去5年間で倍以上に伸長し、出荷金額ベース(本紙推計)で昨年は900億円を突破、1,000億円の大台を超えるのも時間の問題となってきた。この背景として急速なグローバル化がある。塗料メーカー各社が中国を含め東南アジア地域での生産を拡大しているためだ。
このため国内工場をマザー工場として海外転移するパターン。立ち上げ時には中間製品化して現地に輸出し、加工・調色する形が主流であった。ところが3~4年前からは原材料の調達から生産・加工まで一貫して現地化する方向となり、汎用グレードに関してはこの傾向が強まった。その結果国内からの輸出分が減っている。
また海外拠点での技術開発も始まった。各メーカーの共通する指向として、基礎開発は国内で担当、ユーザースペックへのモディフィケーションやアプリケーションに関しては現地で完結させるスタイルへ移行しつつある。現時点では開発レベルは高くないものの、メーカーによっては国内からの支援をゼロにする完全な現地開発体制を目指すところもある。
マーケットを見ると、新しいニーズとして薄型テレビ、ゲーム機などで需要が拡大。いずれも塗装レスの分野であったが、高級指向からデザイン性が重視されて塗装スペックが採用されている。ゲーム機はUVクリヤーを採用しており、外観品質ばかりでなく耐久性が大幅にアップした。
既存分野では携帯電話向けが中国など海外マーケットで拡大を続けている。携帯電話メーカー大手のノキア、モトローラ、ソニー・エリクソンなどを巡って、国内メーカーと海外メーカーが正面競争している状況にある。この分野はし烈なデザイン競争が繰り広げられ、製品のライフサイクルも3カ月から6カ月と短期。色出しなどトータルなスピードが要求される。
このためカシューは「ソフトデザインセンター」を設け、携帯電話メーカーのデザイナーとタイアップしたカラーデザイン開発で成果を上げている。武蔵塗料でも昨年から「CC&D=カラーコミュニケーション&デザイン」部門を新設し、デザイン戦略に本腰を入れ始めた。
こうしたデザイン指向は携帯電話にとどまらない。薄型テレビなどIT家電分野はインテリア化の方向にある他、自動車用部品のカラーデザイン指向が強まっている。こうしたユーザーからは塗料メーカーの立場でカラープレゼンテーションしてほしいとの要請がある。
カラーデザイン指向は、高光沢・高輝度のトレンドが続く一方で、マット調のニーズも強まってきた。またアルミなどの金属系添加剤の配合や光の透過性を高めた鏡面光沢など、メーカー各社にとってカラーデザイン開発は生命線となっている。携帯電話などは薄型化が急速に進み、素材強度の問題を抱えている。ABS、PP素材から複合素材に向かう傾向にある。Mg素材の採用拡大も考えられている。
このため素材転換に伴う密着性テーマが大きな課題。カラーデザイン性を高めつつ密着強度を上げるというのが共通した開発スタンス。「素材の変化のアンテナを張り、早くサンプルを入手するのが勝負」(メーカー開発担当者)とコメント。
環境対応に関しては、VOC規制施行にも関わらず、ユーザーの動きは鈍い。むしろ中国に進出した海外ユーザーが水性などの低VOCスペック採用の動きを本格化しつつある。水性UVクリヤーの採用も海外ユーザーだ。自動車用プラスチックに関しても同様で、トヨタ自動車は昨年から中国で生産する乗用車に水性を導入したが、国内はTXフリーを優先させている。
しかしこの7月からEUのREACH(リーチ)がスタートする関係から、ユーザーの化学物質管理が一段と強化されることになり、低VOCに向けた動きも本格化しそうだ。
メーカー各社は水性化をほぼ完了した段階にある。実ラインでのテストも実施されており、性能面の大きなネックはない。オール水性、無溶剤UVのラインアップも進み、メーカーとしてはスタンバイの状況。更なる水性技術の深化を目指し、第2世代水性の開発をスタートしたメーカーもある。
注目される動きとしては、トヨタがUVの採用を進めている。同社はボディー塗装ラインの水性ベースコートの導入を終え、次のテーマはライン全体の環境適正。ラインの効率化を図り、CO2の大幅削減を達成するためUVキュアリング導入を検討している。