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Web特集

2007年05月28日

シリーズ: 水性自動車補修塗料システム

水性導入のための基礎講座・日本ペイント 水性自動車補修塗料システム(17)

2)3コートパール色の調色手順
ソリッド及び2コートメタリックと異なる調色手順は、下記の項目になります。


20070321-8-1.JPG

(1)マイカベースの塗布量の判定テストピース作成
(a)計量調色したカラーベースを隠ぺいするまで平滑に塗装します。塗り肌はマイカベース塗装時のマイカ配列に影響するため肌荒れに注意して下さい。
マイカベースの塗装回数ごとのテストピース作成が必要なため、3-4枚塗装します。
乾燥は塗装面を指でやや強く押しても塗膜がよれない程度まで行います。
(b)カラーベース塗装部を一部マスキング後、設定した塗装条件でマイカベースの膜厚 (塗装回数)を『3回、4回、5回、6回』と変化させて塗装した個々のテストピースを作成します。
インターバルを十分に取り、クリヤーを塗装し強制乾燥します。
※カラーベース部を残すことで、後述するカラーベース調色の際に色の方向性が確認しやすくなります。


(2)マイカベースの塗布量の確認
実車と塗装したテストピースを比色し、最も近い塗装回数のテストピースを選びます。
マイカの塗布量の判定が目的で、カラーベースの色相は参考程度に観察を行います。
(a)確認(比色)方法
正面(90°)で見たときの、マイカの大きさ、立体感を確認します。
(3)カラーベースの調整(調色)
明度・彩度・色相の調整はカラーベースで行います。
(a)黒原色の混入による明度調整、更に最も不足している着色原色を配合量から算出して追加混入することで、色相・彩度を調整します。


3)比色
調整したカラーベースをテストピースに塗装・乾燥後に、先に決めたマイカベース塗布量(塗装回数)条件でマイカベース塗装し、クリヤー塗装・乾燥後に比色を行います。
(1)比色のポイント
正面色(90°)マイカの輝きが強く、カラーベースの色相はほとんど見えません。
すかし面(45°)マイカの輝きとカラーベースの色相の両方が見えます。
すかし面(15°)カラーベースの色相が強く、マイカの輝きはほとんど見えません。
(a)カラーベースの比色は、すかし面(45°・15°)で確認します。
(b)実車と比色し色相判定を行います。濃淡、不足している色味があれば、再度カラーベース調整を行います。


3.4 水性ベースの塗装

3.4.1 水性ベースの塗装環境条件

1)湿度と乾燥性
溶剤型塗料の乾燥性は、塗装環境温度の影響を受けることが知られており、適当な希釈シンナーを選択することで、乾燥性の調整を行います。湿度に関しては、梅雨など高湿度時に*ブラッシングを起こすこともありますが、湿度が溶剤型塗料の作業性に影響を及ぼすことはあまりありません。
一方、水性塗料の場合、塗装作業性(ヌレ、タレなど)と作業時間(乾燥性)の点で、湿度の影響を大きく受けます。雨の日には洗濯物が乾きにくいのと同様、湿度が高いときは水性塗料の乾燥時間は長くなります。
(グラフ1)は温度範囲が18-35℃の種々の環境条件で水性メタリック塗料を塗装したときの乾燥時間(フラッシュタイム)を相対湿度の横軸にプロットしたものです。


20070321-8-2.JPG

湿度が高くなるに従って乾燥時間が長くなり、70%を超えると乾燥性が急激に低下することが分かります。つまり塗装において温度より湿度に大きく影響を受けており、適正な環境条件範囲があるのです。


2)塗装最適条件マップ
水性ベース塗装における好ましい環境条件範囲及びそこから外れた条件の対策について(マップ1)に示します。このマップは、塗装作業性、仕上がり外観、乾燥性などを考慮し、塗装現場の経験をもとに作成したものです。


20070321-8-3.JPG

中心の四角形の部分が好ましい範囲です。しかしながら、日本は南北に長く、また四季や梅雨もあり、常にこの範囲に入るとは限りません。従って、塗装環境や塗装条件をブースやブロアーなどの補助的な機器により好ましい条件を作り出すことが必要となります。


〈低温条件〉
冬場では、(相対)湿度が比較的低いときでも、気温が低いために乾燥時間が長めとなります。これは晴れた日でも冬場の方が洗濯物の乾くのが遅いことから実感できるのではないでしょうか。同じ(相対)湿度でも、作業現場での経験上、15℃以下となると作業者のストレスが急激に大きくなっています。従って、冬場ではブースの暖機運転を行い、20-25℃程度を保つことが望ましいのです。


〈低湿条件〉
冬場に暖機運転を行うと、湿度が下がり40%以下の低湿状態となることが多くなります。低湿時の課題は、塗装ミストの表面から水分が蒸発しやすいため、ぼかし塗装などで遠目に飛んだ塗料ミストの過度の乾燥による肌荒れやざらつきです。このときには、乾燥を遅らせる目的として、保湿効果を有する希釈剤を用いることで対応します。また、塗装による対策も必要となります((1)ミストを遠くに散らさない(2)塗装回数をできるだけ少なくする(3)アンダークリヤーを引くなどの工夫を行います)。


〈高湿条件〉
相対湿度が60%を超える高湿度条件の場合では、ブース温度を+5-10℃上昇させることにより、湿度を好ましい範囲まで下げることが可能となります。例えば(グラフ2)の20℃にて湿度80%の場合、温度を25℃に昇温させることで、湿度が60%に下がることが分ります。


20070321-8-4.JPG

〈高温高湿条件〉
気温が30℃を超えるような場合には、ブースの暖気運転は作業環境上対応しにくい手法です。高温高湿条件の塗装では、塗料粘度が低く、また乾燥しにくいために、アルミの泳ぎやタレが発生しやすくなります。対策として、スプレーガンの設定で通常よりも吐出量を絞り気味とし、圧を高めとすることでミストの飛行中における乾燥を促進させる条件をつくります。また、補助的な機器を用い温風を塗装面に当てて乾燥を速める工夫も望まれます。


3)今後の開発の方向性
以上のように環境条件による違いが溶剤系に比べて大きいため、理想の塗装条件について考えるとき「スプレー塗装工程」と「フラッシュオフ乾燥工程」を分離する必要があります。
スプレー塗装工程では、塗装エリア全体の環境制御が必要となるため、希釈剤の変更や塗装条件の工夫で対処することが望まれます。一方、フラッシュオフ乾燥工程では、乾燥を行うだけなので、温風によるエアブローやヒーター類による塗板の加熱を行うなど、扱いやすい乾燥機器や方法を開発していくことで、作業時間の短縮化を実現することが可能です。それが水性塗料をより身近なものにするために進むべき方向性であると考えます。
*ブラッシング:シンナーが蒸発するときに周囲の熱を奪うことで、湿気により結露が発生して、塗膜表面が乳白色に曇る現象をいう。


3.4.2 上塗り塗装工程


1)上塗り準備工程
上塗りを行う前に、塗装ブースや実車の塗装部位を清掃し、塗装できるようにハードナーやシンナーを混入するなどの準備を行います。
水性ベース塗料は通常1液型なので、ハードナーは配合せず、希釈剤を所定量配合します。
(1)必要な機器・材料
この工程では、エアダスターガン、スプレーガン、計量器、調色した塗料、希釈剤、脱脂剤などとタッククロス(粘着布)が必要です。
また水性塗料の乾燥には、大量の空気の流れがあることが重要であるため、専用のエアドライヤーを用意します。
スプレーガンなどは、水性塗料に使用可能であることをあらかじめ確認して準備してください。
(2)塗装ブース内の清掃
車両を搬入する前に、塗装ブース内を清掃します。必ず塗装ブースを起動してから、ブース内の天井や側壁、温風発生口などをエアブローし、床面に散水してゴミやほこりを除去します。
(3)作業着のエアブロー
塗装専用の作業服に着替え、エアブローしてから塗装します。
元々水性塗料は静電気によるほこりがつきにくい性質がありますが、塗装面に付着するゴミやほこりの半分以上は作業着から出ると言われていますので確実に行うことが重要です。
(4)車両の清掃
塗装面とその周囲をエアダスターガンでゴミやほこりを吹き払い、シリコンオフで脱脂清掃します。
このときにマスキングの状態も点検します。

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