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Web特集

2007年06月25日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.139 川西塗装 成形・塗装の一環体制で付加価値化 

川西塗装(本社・愛知県豊橋市、社長・川西克司氏)は2000年以降相次いで塗装ラインの更新を行ってきた。特にバンパーの塗装ラインは03年から3年続けて大型投資を図り、最新のロボット塗装による高品質外観を達成した。また新たに1万坪の用地を取得し分散している工場を集約するとともに付加価値の高い塗装を行っていく計画だ。今回、同社のロボット塗装ラインを取材するとともに今後の方向性を聞いた。
20070606-6-2.JPG取締役・川西正克氏

自動車産業は好調だ。国内販売は前年を下回るものの軽自動車、輸出に支えられ国内生産は伸びている。それに伴い部品関連も順調に推移、旺盛な需要に対応している。 豊橋市に本社を構える川西塗装は四輪車のバンパーをメインに樹脂部品の塗装を行っている。塗装専業者としては国内最大の設備規模を有し、生産量を誇る。特に18年前から樹脂成形を手掛け、塗装・組み立てまでの一貫生産システムを確立、樹脂塗装を中核事業に据え成長を遂げてきた。

そのターニングポイントになったのが80年代初頭に現在の明海工業団地に移転したこと。このとき従来の金属塗装から樹脂塗装へと大きく舵を切った。まさに現社長の先見の明だ。当時はオートバイの樹脂部品の塗装を手掛けるが、第2工場新設とともに四輪車のバンパー塗装を手始めに、オーバーフェンダー、ドアミラー、スポイラーなど受注枠を広げていく。これに伴って相次いで新設塗装ラインを導入すると同時に、樹脂成形部門を立ち上げ一貫生産に踏み切る。今日の大型成形能力は大型バンパーにして1日に5,600本。ちなみに塗装の生産能力は大型バンパーに換算して1日に約4,000本のキャパシティーを持つ。社員数460名、昨年度の売上高は86億円。

20070606-6-3.JPG樹脂成形工場内

高品質の樹脂塗装に特化 現在、塗装工場は4工場を擁している。第1工場はAライン、E2ライン、Pラインの3ラインから構成され、小型部品から中型部品までの二輪関連部品とドアミラー、フロントグリル、エアースクープ、スライドドアレールなどの四輪部品の塗装をメインに行っている。E2ラインは昨年導入した最新ロボットによる塗装。

第2工場はバンパー、エアロパーツ、スポイラーの塗装を行っている。設備ラインはBライン、Cライン、Gラインから構成されており、C、Gラインはハンドガンによる手吹きライン。Bラインはタイヤカバーの専用ラインでメタリック+メタリック+クリヤーの3コートで仕上げている。1台の塗装ロボットに3ガンのスプレーガンを装着。12色に対応しているという。

第3工場はPPやウレタンなどさまざまな大型素材の四輪車部品を扱う。隣接した成形工場(第4工場)との一貫ラインで塗装を行っている。大型のバンパー、サイドマットガードを主に生産しており、設備ラインとしてはハンドガンによるバンパー塗装を行うDラインと3年前に導入したロボット塗装によるKラインからなる。 更に第5工場は第3工場同様のPPやウレタンなどの大型素材に対応するとともに、樹脂成形から塗装までの一貫ラインにより高い生産性を誇る。設備ラインはJライン、J2ラインの2ラインを擁する。

20070606-6-4.JPG穴あけ加工機

最新ロボット塗装で生産性アップ 3年前に導入した第3工場のKラインの塗装設備はロボット10台を設置。被塗物の除塵に2台、塗装に8台を配し、20時間/1日稼働で生産している。ロボットはいずれも安川電機製にABBのベルタイプを装着しての塗装。 塗装ラインはIPAによる脱脂後(1階)、被塗物は2階に搬送され、光ファイバーライトでブツ、ゴミの付着の確認を行いながらエアーブローし、続いてロボット2台を対面に設置した除塵ゾーンに移る。再度光ファイバーライトで確認を行い塗装ゾーンに進む。

20070606-6-5.JPG塗装に8台のロボットを配したKライン

塗装は下塗り2台によるプライマー塗布(約10μm)→セッティング→中塗り(ロボット2台)→ベースコート(ロボット2台)→セッティング→クリヤー(ロボット2台)→乾燥の工程。自動車外板と同じスペック。各工程片側―反転―片側といった要領で塗装を行っている。中塗り、ベースコートは1液タイプのアクリルウレタン塗料で20-25μmの膜厚を確保している。

ベースコートの色数は1直で約40-50色に対応しており、カラーチェンジャーを用いて効率よく生産を行っているものの「色替えは洗浄などを含め約15秒を要する。これが少しでも詰められればライン効率は高まる」と取締役経営企画室室長 ・川西正克氏。1回の洗浄に使うシンナーは100cc。 更に1階は隣接する樹脂成形工場から成型品(被塗物)が台車で搬入され、素材検査を行い、マスキングが施され脱脂の工程に移る。また塗装後の品質検査場にも当てられており、外観チェック、色差管理を全数行うとともに不良品はその程度によって磨き、補修するスペースとなっている。「工程管理はホストサーバーで行っていて、色相を含めすべての情報はバーコードで認識され、色替えもこの情報による」とコメントする。

また被塗物に付着するゴミ、ブツ対策は徹底されている。床には水が撒かれ、天井からはオイルネットが張り巡らされ、更に蒸気による加湿とゴミ、ブツの浮遊を防止する工夫がなされている他、「1週間に回、水洗ブースの清掃も行っている」と説明する。 昨年更新した第1工場のE2ラインはサイドパネルの塗装を行っている。塗装設備はロボット4台に静電塗装機を装着し、プライマーに1台、メタリックに2台、クリヤーに1台の構成。ロボットによるアースチェックを行うなど徹底した管理下で塗装を行っている。

先述したように樹脂成形からの一貫生産を確立しており、同社の成形機は4,000トンが1台、3,500トンが2台、2,500トンが2台及び1,600トンが1台の計7台を擁する。更に協力会社に射出成形機を19台、真空成形機を5台、ブロー成形機を10台保有することから、さまざまなニーズに対応できる体制を整えている。成形の第4工場は補修バンパーをメインに生産しており、金型だけで300を保管する。「金型はメーカーからの支給となっており成形・塗装を行って各メーカーの部品センターに納入する仕組み」と川西経営企画室室長。その他レーザー加工や穴あけも手掛けるなど幅広い対応力が同社の強みとなっている。

20070606-6-6.JPG

20070606-6-7.JPGロボット4台によるE2ライン

管理者教育で直行率向上
ここ数年、塗装ロボットを導入し生産性の向上に努めてきた。「安定した塗装条件が確立できれば塗装ロボットで十分だ。ロボットの機能も高まり再現性も問題ない。後は管理する側の問題になってくる」と川西経営企画室室長。1年半前のKラインの不良率は10%近くあったという。そこで管理者教育に力を注ぎ、現状の0-3%台まで下げてきた。「問題が発生したことに対し、きちんと現状を把握し、あるべき姿と比較し、徹底した解明を行うことで解決策は見えてくる。当たり前でシンプルなことだが、各現場で管理者がこれを行い、実行させることが重要。管理者教育によって意識がだいぶ変わってきた」と現状を評価する。同社は旺盛な需要にライン効率を上げることを最大の目標に掲げ対応してきた。


「先ほどの色替え時間・始業開始の状態・チョコ停・設備トラブル等々、ライン効率を向上させる因子はたくさんある。塗装のスピードを上げることと見えるロスには取り組むが、見えないロスはそのままにしてしまう。どれだけ意識できるかの問題だ。管理者が各現場で指示・指導し、それを徹底していくことで職場は変わる」と同氏。
川西塗装は大きく変わろうとしている。組織として会社を運営していく方向にあり、経営企画室、業務部及び製造部が一体となって事業の推進に取り組んでいる。今年の目標はオーバーミストの低減だ。同社のひと月の塗料代は約2億円。現状スプレーガンの場合で塗着効率は20%弱。80%近くがオーバーミストとして消えている。なおかつ色替え時に捨てる塗料や調合中にこぼしてしまうなど、ロスは計り知れない。この状況を改善するために各ラインでの現状把握を進めているという。


20070606-6-8.JPG塗装後の検査
20070606-6-9.JPG色相の検査

また各工場が分散していることから新たに1万坪の土地を取得し工場の集約を図る考えだ。同時にバンパー塗装の水系化にも対応する予定。「これまで成形・塗装の一貫生産をすることでモノづくりに携わってきた。これからも他社では真似のできない塗装品質、塗装管理を行い、付加価値の高いモノを手掛けることで差別化に結びつけていく」と川西経営企画室室長は抱負を語る。(青木)


20070606-6-10.JPG補正作業

20070606-6-1.jpg第一工場前景

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