Web特集
2007年08月31日
性能競争の時代へ、差別化鮮明に(木材保護・着色塗料特集2007)
マーケット概況
70億円規模と言われる木材保護塗料市場。マーケット自体は横ばい傾向をたどるが、半数以上のシェアを持つ日本エンバイロケミカルズの「キシラデコール」の牙城を崩すことが競合他社の原動力となっている。それでも、ここまで大きくシェアを動かすまでには至っていない。知名度と実績ともに「キシラデコール」の強さが際立つ状況が続いている。
しかし脱溶剤化に伴う環境対応の流れや新築から改修へと需要構造が変化していることを販売拡大のチャンスと捉える向きが強い。特に環境対応の流れにおいては、今後どれだけ水性市場が拡大するかが注目される。現在、水性タイプに特化するのは、和信化学工業、キャピタルペイント。これに今年新規参入したエーエスペイントが加わる格好。その他のメーカーも水性タイプのラインアップに余念がない。
水性タイプはこれまで作業性や仕上がり感に欠点を抱えていたが、ユーザーに対するダイレクトマーケティングや継ぎムラの出にくい塗料設計を施すなど、アプローチの違いはあれ、各社の動きが活発化している。依然として圧倒的に溶剤系が占めるが、いち早く需要を確保することで、普及期に主導権を握りたいとの思惑がある。
また油性タイプで一貫した姿勢を見せる三井化学産資も塗り替え市場を視野に耐候性を向上させた新製品を投入し、前年比2ケタ増の伸び。薬効成分を配合し、性能とエコの両立を訴求する日本オスモも「ウッドステインプロテクター」で2倍以上の伸びを示すなど、各社のスタンスの違いが明確になりつつある。
JASS規格の影響
昨年11月、日本建築学会が「建築工事標準仕様書・同解説JASS18塗装工事」において「木材保護塗料塗り(WP)」を新設したことは、メーカー各社に大きなインパクトを与えた。目的は内外部用ピグメントステイン及び内部用オイルステインと区分するため。
JASS18塗装工事の5節10項に記載された内容を見ると、「適用範囲は建築物外部の木質系素地に対する半透明仕上げを目的とした塗装に適用する」。また木材保護塗料の定義についても、「防腐、防カビ、防虫効果を有する薬剤を含むことを特徴とする既調合の半透明塗料」と明文化された。更にJIS規格がないことから乾燥時間や促進耐候性を盛り込んだ品質規定や試験方法を定めたJASS18 M-307を制定した。
これまで木材保護塗料市場には屋内外用や薬効成分を配合しない製品など、定義のない中で各社のスタンスに委ねられていた部分があったが、一定の制約が設けられたことで、メーカーの販売施策にも影響が出ている。
更に日塗工もJASS制定を受け、木材保護塗料をホルムアルデヒドの自主管理対象品から除外。かつ現在F☆☆☆☆を表示している製品についても返上を求め、屋外用途である製品の登録を認めないとの姿勢を打ち出した。
現在、木材保護塗料としてF☆☆☆☆を表示しているのは、油性タイプでは三井化学産資の「ノンロットシリーズ」、大阪塗料工業の「ニューボンデンシリーズ(油性タイプ)」の2製品。水性タイプに関しては、ほとんどのメーカーがF☆☆☆☆を取得している。
各社、対応が迫られている最中だが、強制力がないことや仕様書の運用に多少の時間を要すると見られ、現時点では静観の様子。中でも水性タイプを持つ企業にとっては、屋内外用のF☆☆☆☆表示が差別化になっていたこともあり、返上に応じるのが難しい状況となっている。
その一方で、元々外部用専用としてF☆☆☆☆表示を持たない日本エンバイロケミカルズの「キシラデコール」、日本オスモの「ウッドステインプロテクター」はJASS18 M-307適合品として、積極的に訴求する意向を示す。
塗料販売店の存在高まる
これまでメーカー各社の営業の中心は設計指定活動にあったが、改修需要の増加に伴い、材料選択が塗料販売店に任せられるケースが増えている。価格競争力の強い製品や利益率の高い製品など、販売店の支持を得ることが販売拡大を勝ち得るための重要な要素となっている。製品開発においても、低臭、撥水性、耐候性と塗り替えに適した機能性の開発にシフトしている。
しかし、木部の改修は技術的な難しさを抱えている。北面、南面、山側、海側などひとつの物件でも劣化状況が違い、仕上がり品質の標準化が難しい。また、これまで造膜型は改修時に塗膜の割れや剥がれなど下地調整に難があり、浸透タイプの方が塗り替えに適するとされていたが、最近の各社の製品開発の流れを見ると、浸透タイプと造膜タイプの中間タイプである半造膜型タイプを上市する傾向が見られる。吸い込みが止まらないなどの状況に対し、ある程度膜をつけて止めるという発想がうかがえる。
木材保護塗料市場はこれから性能面での競争へと突入していくと見られる。特に耐候性においては、木材保護塗料の寿命は一般的に2-3年程度と他の塗装部位に対して、極端に短い。塗り替え適性を有しながら、いかに耐候性を確保するか。相反する技術課題だが、これをクリアすることが市場成長の鍵となっている。