Web特集
2007年09月25日
自動車補修用塗料特集2007 ケーススタディ(オートサプライヤー編)
ヤマグチ(本社・名古屋市、社長・山口直樹氏)はディーラー内製BP、一般BP向けに展開、ユーザーの入庫台数が減少している現状で、塗料周辺製品の販売強化などトータルでのフォローを進めていく方向だ。 ディーラー・一般BPの入庫台数の減少傾向が続いている。山口社長は「飲酒運転取締りの強化により事故車が減少し、また、低価格車が普及しており、事故が起きたとしても補修ではなく全損になってしまうことも多い」と分析する。更に軽自動車の入庫率が増えるとBPではデメリットが多いという。保険の見積価格が安くなってしまうからだ。材料や作業工程は普通車と同じでも見積単価が安くなれば、効率は悪くBPへの負担は少なくない。
更にガソリン価格の高騰により、車に乗ること自体が減っているという。結果として、ディーラーは内製化率を高め、ディーラーからの下請けBPでは直需指向を本格化したり、損保からの入庫確保を強化したり、整備に力を入れたり、中古車販売を行ったりとさまざまな展開を図っている。 ユーザーの入庫台数が減少すれば、同社にも直接的に影響が及ぶ。売上減少をどのように補うのか。同社では新規顧客獲得とともに、トータル的なフォローを行っていく。例えば、認証工場の資格を取得するよう促し、申請のフォローを行ったり、情報を提供したりしてユーザーを支援していく。
また、部品商の塗料販売に対して、オートサプライヤーである同社も周辺製品の販売を展開する。「整備事業を強化しているユーザーもあり、工具やエンジンオイル、バッテリーなど広い範囲での販売を考えている」(山口社長)。 ユーザーに対する総合フォロー展開を明確にする一方で、環境対応には「水性塗料か低溶剤塗料のどちらで進むのか見極めが難しい」と市場を静観している段階だ。
ユーザーのディーラー内製BPでも一部で水性塗料の使用が始まった。設備投資もエアーブローだけで済み、仕上がり外観も悪くはないと評判は上々のようだが、乾燥が遅く作業性が悪いなど課題はある。加えて技術レベルの高い塗装担当者が水性塗料を使用するため、従来の溶剤塗装にかかる時間が少なくなり効率が悪くなってしまうという。更に水性塗料の廃液処分は溶剤系よりもコスト高になってしまう。そのため、水性塗料の採用に積極的なBPは少ないというのが現状だ。 同社が水性か低溶剤かで方向性を思案中なのは、「本当に環境に良いのは水性塗料なのか」と判断がつかないからだ。
確かに水性塗料を使用すれば、VOC量は削減できる。しかし、乾燥に要するエネルギーは多くなり、今度はCO2排出問題が考えられる。BP側にとっては水性塗料を使用することによる企業イメージアップを図るのか、それとも作業性やCO2の問題を加味するのかメリットの考え方も分かれるところ。 山口社長は「行政がトータル的見て、環境には水性塗料が良いと打ち出せば方向性ははっきりする」として、法規制の今後に注目する。
スピーディ販売はユーザーBPに対するコンサルティングを積極化している。「入庫状況が悪化する中で、将来に不安を抱えるBPに対し、ビジョンなり道筋なりを示すことが大切」(川上哲常務)との判断からだ。 今力を入れているテーマがVOC対策と認証問題。金にならない環境対策にあえて取り組んでいるのは「後ろ向きの対策や消極的な対応ではむしろマイナス」と考えるからだ。環境問題を経営課題にきちんと据えることによって、BP経営を抜本的に見直すよう促したいとの考え。
「これからのBPのモデルになるのがヨーロッパのケース。BPの経営者の意識が高く、車に対するサービスを積極的に創りだしている。工場ではなく、ショールームないしショップとしてのBPづくりが目立つ。要は顧客に対するサービス精神や市場感度が高い。こうした事例を説明しつつ、将来目標をどう考え、そのために何をなすべきかを一緒に考えていくスタンス。危機意識が強まっているので、最近の研修参加者は非常に熱心」との手応え。 認証に対してもVOC対策と同じく時代の流れとのコンセンサスを共有化するようにしている。部品の脱着など車の安全に関わる要素なので、認証は必要条件となっていると説明する。同社としてはスムーズな認証に向けた手順を示すことで誘導していきたい考え。
水性システムに対してもポジティブだ。BPの関心にも手応えが出てきているという。「若いBP経営者は水性導入の欲求が強い。他よりも早く習熟しVOC削減だけでなく、差別化につなげたいとの思いがある」。 職人感覚の残るBPだが「もうその業態では生き残れないという自覚がある。企業としてのBPの在り方を作り上げていく上でも、我々の役割は大きい」。
このため市場の現状に対しては決して悲観はしていない。BPの仕事の奥深さをよく知っているからだ。「確かに事故車両の減少など、構造的な要因による淘汰も出ています。楽観するわけではありませんが、反面仕事の内容はより高度になっており、経験と勘で収まる仕事ではなくなっている。むしろアフターマーケットの中で、カーオーナーなどとダイレクトに関係できるBPの地位は優位性がある。技術向上とフロント力があればBPの企業成長力は出てくる。市場を見る力をつける点でも我々の情報力で支援していきたい」と強調する。
昨年11月、デュポンの地区代理店となり「山形部品」の1部門から「オートファーベン」として別会社化。全デュポン製品の扱いも可能になった。この2ブランドの優位性を生かした市場展開を加速させている。
「国産の自補修システムに満足していない顧客をターゲットに売り込みたい。特にスタンドックスについては色にこだわり、ツヤや仕上がり感で差別化しアピール。またデュポンブランドについては効率性やロス削減などの効果の実績をベースとして、幅広いユーザーに展開している」と担当の柿崎秀雄氏。
同社は東北エリアに拠点を有し、スピーディーな供給体制が強み。更に自前の研修センターを活用したユーザーニーズに合ったカスタマイズ研修機能がある。東北には研修拠点が少ないため、競争力に直結する。
市場的には楽観を許さない状況にあるという。塗料販売店への卸機能をどう活性化させるのか。「地場の塗料販売店はBPとの結びつきが強く、人間関係がベース。しかしBPは後継者がなく廃業するケースが目立つようになっており、先細り傾向にある。抜本的な対策が必要だ」という。
同社ではBPに対するコンサルティング機能強化を図る。認証工場に向け、BP工場の在り方が変化していくことは確実なため「BP工場として必要な条件について、人材面も含めてコンサルティングしていきたい。このため塗料販売店との連携も欠かせない。二人三脚でコンサルティング力を高め、顧客関係を再構築する必要がある」。
水性に関しては「かなり関心が高まってきている」と実感している。その一方で水性導入となると大半のユーザーは様子見の状況だという。「規制強化など外部的な力が働かないと一気に水性とはならないのではないか」との見方だ。
とはいうものの「水性への布石を打つ時期」として、水性研修に注力していく考えを示す。「水性は難しいというアレルギーを取り除いておく必要がある。いずれ水性の時代が来ることを踏まえていないと、塗装が成り立たなくなる」とアドバイスする。
自動車部品商は第2純正部品の登場など、市場環境の厳しさが増している。「トヨタの水性補修塗料の純正品化は大きな脅威になる。ビジネスとしてのオートサプライヤーの存立に関わってくるだろう。いずれにしても顧客との信頼関係がベースになる。ここをしっかりとするために何をすべきかが問われている」(柿崎氏)。
近畿圏ではトップサプライヤーに位置する泉塗料。今年4月には本社の移転に伴い、研修施設を開設するなどサービスサポートに加え、技術支援両面での機能強化に努めている。
研修施設については「10年先を見据えた」(取締役営業本部長・西村勲太郎氏)と話すようにブース、乾燥促進機など完全水系対応の最新設備を取り揃えた他、80名収容可能なセミナールームを設置。同社主催の勉強会や車体組合などから施設利用の申し込みを受けるなど、早くもコミュニケーションツールとして役立ってきた。
市況については「5月‐7月は荷動きが鈍かったものの、機器類の販売が寄与し売上は伸びた。塗料は横ばい傾向にある」と話す。
顧客の入庫量減少に歯止めがかからない需要環境の厳しさに変わりない中で同社が指向するのは、今ある商圏の深堀り。「まだまだ回りきれていない顧客がたくさんある」と攻めの姿勢を全面に打ち出す。現在同社は本社の他、大阪、和歌山、尼崎に営業所を配置しているが、現時点ではエリア拡大よりも既存の商圏でのシェア拡大が重要だと位置付けている。
また環境対応に伴う水性化の流れに関しては、「水性タイプは必要だがすべてではない。内製化ディーラーでは普及が進むと思うが、一般BPではしばらくハイソリッド、低溶剤タイプで落ち着くのではないか」との見方を示す。保険協定が定めた水性塗装仕様の作業単価は現実とかなり乖離しているため、採算に乗らないというのがその理由だ。とはいえ、同社は関西ペイント、スタンドックス、R‐Mの各社製品を取り扱っており、水性ニーズに対しての備えは整えている。更に新設した研修施設の活用も今後増加すると見られ、普及に備えた技術サポートにも余念はない。
しかしそれ以上に同社が懸念するのは商流の変化。トヨタ自動車が部販会社を介して純正品の取り扱いを始めたことに対し、「現時点では水性タイプだけにとどまっているが、溶剤系まで手を広げないとは限らない」との危機感を募らせる。ただ「物流はできてもサポートはできない」と小回りを効かせたサービス力で差別化をしていく意向を示す。
同社の理念は"変化に絶えず対応しながら変革を続けること"。人間性、知識、販売ノウハウを駆使し、顧客とともに成長していくことを同社の事業理念として掲げている。
同社の自補修事業は売上全体の9割を占める。そのため10年前から始めたリフォーム事業とカッティングシートのFANTAC事業が本業である自補修事業を下支えする新規事業として育成している。特にリフォーム事業においては地域密着に特化する方針で、「着実に仕事をこなすことで近隣住民からの信頼を得たい」と今後の成長性に期待を込めている。
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