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Web特集

2007年11月01日

底の見えない施工単価下落 サービス業的対応で差(建築塗装特集2007)

官公庁物件は依然として低迷が続く一方で、民間の大規模改修マーケットは拡大している。需要増が続く改修マーケットだが、価格競争の激化は底が見えない。いくらでも安い単価が出てくるし烈な単価競争のトンネルの中から抜け出すには何が必要か。そこには実績や資本力に加えてきめ細かなサービスが決め手となっている。管理組合の情報力が増す中で現場での要求事項が変化してきている。

日本塗装工業会によると会員の完工高のうち7割が塗替え工事で占められており、リフォーム事業への注力はどこの業者にも言える。その理由は改修マーケットの需要増とともに新築物件での過度の価格下落だ。
ゼネコンは安ければどこの業者でも良いとの考えで、下請業界は完全に崩壊している。そのため、ゼネコンの下で新築工事を行っていた大手塗装会社も改修事業へとシフト。ある塗装会社は「ゼネコンは下(下請け業者)を育てる気がない。本当は新しい工法や技術が学べるなどのメリットもあるので新築工事をやりたい」と本音を漏らす。


こうした状況から脱却を目指し新築工事から離れ、改修マーケットや戸建リフォームへとシフトチェンジするのは自然な流れ。ただ、新築ではゼネコンの下から離れる会社が出ているが、改修ではそうではない。改修工事ではゼネコンからの下請けであっても、新築ほど悪条件ではないのだ。その理由として、「改修工事のノウハウを持っている専門工事業者をゼネコンは頼っているからだ」との見方がある。
新築工事であれば現場に生活者はいない。しかし、改修工事であれば生活者がいる中での工事となる。そこにはきめ細かな対応などノウハウが不可欠であり、そこをゼネコンは頼っている現実がある。とは言うものの、改修工事でも基本的に単価競争が厳しいのは同じだ。しかし、景気回復の追い風もあり、改修マーケットの需要は増えておりパイはある。

売上増が収益に比例しない
日本塗装工業会のデータによると、会員の完成工事高は平成8年の1兆330億円をピークに減少を続けている。ここ4年間を見てみると、平成15年7,760億円、平成16年7,540億円、平成17年7,670億円、平成18年7,610億円と横ばい傾向が続く。しかし会員数は減少しており、1社平均推移では2.38億円、2.38億円、2.51億円、2.57億円と回復基調になっている。
売上高は伸びているが、そのまま収益に比例するかといえばそうではないのが実態だ。元請けで工事を請け負ったとしても利益率が必ずしも良いとは限らない。「管理組合はかなり情報を得て勉強している。単価でも厳しく、ゼネコンや管理会社の下請けのときの方が、利益率が良い場合も少なくない」との声もあり、ほとんどの施工業者がぎりぎりのコストでやっている状況だ。


そこで必要になるのが社内管理レベルの向上。まだまだ"どんぶり勘定"の会社が多く管理の徹底で収益を向上させている会社は少ない。原価管理を徹底せず、施工単価が下がっている中で収益を上げるには工事で手を抜くといった最悪の状況になりかねない。

きめ細かな対応が評価に
元請けで見た場合、単純な価格競争から脱するためにはどんな対応が必要なのだろうか。そこで見られるのが、従来とは変化が見られる要求事項だ。
管理組合の評価は実績や資本力、メーカーとの連帯保証などがまだまだ多くの比重を占める。しかし、管理組合の意識も高まっており、改修も2回目、3回目の場合も多い。そうした場合の決め手となるのが信頼性、居住者の目線に立ったきめ細かな対応だ。


施工技術だけでなく、細かな気配りが大切な評価ポイントとなっている。あいさつ、礼儀、マナーはもちろんのこと、「車の飛散対策」「エアコンが使用できる」「窓に付いた汚れをこまめに拭く」「現場での生活者との自然な対応」「足場の安全管理」など、こうしたソフト対応をしないと施主からは評価されない。職人は技術の向上だけを求めていれば良いという時代ではなくなっている。
そこで協力会社の職人を集めて定期的に勉強会を開催し、従来の新商品、技能研修に加え、あいさつやマナーの指導をする塗装会社が増えてきている。ここでは一方的な指導というよりもコミュニケーションを深めながら、きめ細かな対応の必要性を説いている。

現場代理人の力量が品質に
元請けとしてリフォーム工事を取れる唯一の専門工事業である塗装業者にはゼネコンの役割が求められている。つまり、塗装会社の"ミニゼネコン化"であり、ここで大きな役割を担うのが現場代理人だ。
高品質を施主に提供するにはいかに優れた現場代理人を揃えるかにかかっている。しかしそれが難しい。自社の現場代理人をひとつの現場に常駐できればそれに越したことはないが、現実的にはいくつもの物件を掛け持つため、協力下請会社に頼むことが多い。その場合はどうしても能力的にもモラル的にも劣ってしまうことが多く、段取りが悪く現場がうまく回らなくなってしまう。


また、あるケースでは社員の高齢化により若返りを図り、若い現場代理人が増えた。現場のベテラン職人はプライドもあり、その若手との折り合いが付かないといった問題も起きている。
現場代理人の能力・人材力がそのまま施工品質につながっている。協力会社の社員を含めた人材育成が今後ますます重要度を増していく。


施工単価の下落、価格競争の激化の中で求められるのはきめ細かなサービスだ。実績や資本力だけでは管理組合など施主の信頼は得られない。そして信頼を得るには確かな施工品質が必須事項。それには自社・協力会社を含めた現場代理人の育成に注力する必要がある。きめ細かなサービスと現場代理人の能力がこのトンネルを抜け出す鍵となる。(桜井)

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