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Last Updated: 2008年10月21日 08:57  RSS 2.0
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Web特集

2008年01月06日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装 No.142 松本現色化学工場 長尺12m級、大物一品塗装に特化

松本現色化学工場は昨年11月、大阪府堺市に最大12mの大物・長尺物に対応したオール粉体塗装工場を新設した。同工場は2,480坪を擁する西日本最大級の塗装工場として24時間のフル操業も可能としている。同社が目指すのは、"メーカーが内製化を嫌う量産規格外の大物、長尺モノの一品塗装"。同社にとって今回の工場建設は、町工場からの脱却を意味し、成長路線を歩むターニングポイントと位置づける。

20071128-6-2.JPG代表取締役・松本益美氏

「一時は縮小することを検討した。しかし父が築いてきた長年にわたる顧客との信用を捨てるのは忍びなかった」と語る松本益美社長。松本社長は15年前に父が経営する同社に入り、平成10年に副社長、平成13年に社長に就任。2代目経営者として松本社長が決断を下したのは成長への歩みだった。堺市津久野にあった工場は既に手狭になり、設備は老朽化。繁忙期には生産量がキャパシティを超え、外注に委託せざるをえない状況も生まれていた。更には周辺近隣への環境配慮も避けられないことから、新工場建設へと踏み切る。10億円投資した新工場は、まさしく不退転の決意だった。


同社は昭和37年、表面処理加工業として創業し、昭和39年溶剤塗装ライン、平成4年に粉体塗装ラインを導入するなど、大手建材メーカーの日鐵住金建材の協力塗装会社として、ガードレール塗装をメインに安定的に事業を展開してきた。しかし、バブルの崩壊、公共工事の減少など需要環境が厳しさを見せ始めた15年前、「売上比率の9割を占めていた」(松本社長)特定の顧客への依存度の高さがリスクとなり、松本社長はこれまで経験のなかった営業の世界へ飛び込む。


20071128-6-3.JPG塗装後のメッシュフェンス

松本社長は「営業は全くの未経験。何も分からないまま仕事をもらいに顧客を回りました。図面の読み方、見積書の作成の仕方など、ときには顧客の担当者に怒られながら教えてもらいました」と当時を振り返る。結果的に日鐵住金建材の協力会社であるということが信用力となり、取引企業を拡大。メッシュフェンスや高欄等道路製品の塗装など量産体制ができないものの一品塗装を主力に、経営基盤の安定化に努めている。「需要環境の変化や生産キャパシティの問題が差し迫ったところに、ちょうど用地とのめぐり合わせがあり、タイミング的にもラッキーでした」と話す。

直線的ライン、スペースを有効活用
新工場は大和川の南側、大阪湾沿岸部の堺市堺区築港八幡町にあり、投資額5,000億円といわれるシャープの新工場建設予定地の近隣に位置する。その場所で旧工場の2.5倍の広さとなる約8,199㎡の敷地を取得し、オール静電粉体塗装ラインを新設した。


20071128-6-4.JPG風力発電の支柱

同社が得意とするのは、ガードレールの他、ガードパイプ、高欄、メッシュフェンス(溶接金網)、風力発電の支柱など景観対応型商品といわれる大物・長尺品の塗装。得意先には、日鐵住金建材の他、トーアミ、神鋼建材、大阪製鐵、竹中工務店、住軽日軽エンジニアリングら大手建材メーカーが名を連ねる。


20071128-6-5.JPG小型塗装ライン

塗装設備には3億円を投資。工場内は、大型粉体塗装ラインと小型粉体塗装ラインを導入した。ラインレイアウトは、全長143m、全幅15mの建屋の壁を這うように大物塗装ラインレールが巡り、その中に小物塗装ライン、大型長尺製品を塗装するためのシンプルなライン設計が施されている。

  

大型塗装ラインは、コンベア長256m。前処理工程はシャワー式で予備脱脂→脱脂→水洗→水洗→表面調整→化成処理→湯洗→湯洗→水切り乾燥。化成処理皮膜にはリン酸亜鉛を使用し、亜鉛メッキ用と鉄用と被塗物の素材に応じ、2槽設置している。前処理設備の長さは40m。


水切り乾燥炉は、導入に際し苦労した部分のひとつ。塗装ラインの管理責任を務める取締役統括部長の栗林裕一氏は「温度や熱のかけ方など被塗物によって熱負荷を大きく可変するのが難しかった」と話す。熱源は都市ガスで、ダクトは焼付乾燥炉と独立させた。


大物塗装ラインではW1,000×L12,000×H2,800mm、最大重量1トン超までの塗装を可能としている。粉体塗装ブースはランズバーグ社のポリカボネート樹脂ブース「ダイヤモンドブース」が2台(第1・第2ブース)と補正用として、Optiハンドガンユニット2台(第3ブース)を設置した。


第1ブースは、1レシプロ5ガンを対面に設置、第2ブースは1レシプロ7ガンを対面に設置している。塗装制御システムはOptiコントローラー、ガンはOptiガンを採用。第3ブースにはOptiハンドガンを採用した。ダイヤモンドブースを採用した理由としては、「塗料が付着しにくく、清掃が容易」(栗林氏)と評価する。


20071128-6-6.JPG400mに及ぶ前処理設備

また工夫を凝らしたのは、第1ブースと第2ブースの相互利用で色替え効率を図った点。ブースの土台にレールを配備し、台車で入れ替える格好。オンオフの切り替えを可能にし、更に定量供給装置を導入せずにホースでの色替え対応にしたことで、スピーディーな色替えを実現した。1日の色替えは約10色。これにより、色替え時間は正味1分と大幅に色替え効率を高めている。ブース入れ替え時のハンガーの引っかかりに対しては、ブース幅と同様の約10mのハンガーを取り外しできるようにしている。


第1、第2ブースの使い分けとしては、第1ブースをメッシュフェンス向け、第2ブースをガードレール類などその他の用途で使用。被塗物によって長さが違うため、第1ブースは2m、第2ブースは2.8mに設定している。大型ラインのラインスピードは2.5m/分。乾燥炉は60mで焼付時間は180℃×20分。水切り乾燥炉と同様、都市ガスを熱源とする熱風循環乾燥を採用し、炉内にはリアクターパネルを設置している。平均膜厚はガードレールで50μm、メッシュフェンスで150μm。いずれも屋外用途のため塗料はポリエステル系粉体塗料を採用。塗料は回収利用している。


一方、手吹き塗装となる小物塗装ラインのライン長は81m。ガードパイプの部品塗装などを手がけている。ガンは、ラインズバーグ製の静電粉体ハンドガン「Easyハンドガン」を採用し、ブースは「オープン5」を採用している。


20071128-6-7.JPGガードレールを塗装

先述したように工場内はすっきりまとめられている印象。栗林部長は「特注品を強みとしていくには、大きくてすっきりしたラインレイアウトが必要だった」と説明。塗装ラインは建屋の敷地を生かし、直線的なレイアウトを構築することで、スペースを生み出し、大物・長尺モノの多品種品塗装に対応できる要件を備えている。


中でもメッシュフェンス塗装は月2~3万枚を生産。常時1万枚をストックしている。またフェンスの先端部を丸くする曲げ加工を発注企業から特別に機械提供を受け、内製化している。曲げ加工を内製化することで、入荷時に平網のまま入荷することができ、物流効率が高まるというメリットがある。また同社で曲げ加工した後、塗装、梱包、出荷(現場直送)まで一貫した商品作りが可能となるため、顧客にとっても欠かせない存在となっている。


20071128-6-8.JPGダイヤモンドブースを採用

20071128-6-9.JPGレールを敷きブースを移動

攻めの経営を目指す
新工場が稼働して1年が経過。「旧工場時代と比べて売上は増加している」(松本社長)と上々のスタートを切った。人員も旧工場時代と同様30名を維持したことで、結果的に人件費率の抑制、塗装の効率化によるコスト削減に大きく寄与した。しかし、その一方で、需要期と閑散期を平均化させることを課題として抱えている。


ガードレール類や、高欄等の道路製品の需要期は毎年2月、3月に集中し、そのときは派遣社員を10名増やし、土曜日も操業。場合によっては日曜出勤も余儀なくされるほどめまぐるしい2カ月間となる。大型塗装品を扱うため手作業に頼らざるを得ず、体力の消耗も大きく、「従業員への負担も大きい」と需要期と閑散期との差を小さくすることが不可欠となっている。


その対策のひとつとして、「現有の設備を最大限に活用して、現状の道路製品以外の分野にも積極的に受注活動を行うことで、主体的に需要を獲得していきたい」と意気込みを見せる。同社は、粉体塗装の環境性と大物・長尺モノを武器に攻めの姿勢を打ち出すことで、新たな塗装会社像を見据えている。


20071128-6-10.JPG補正作業

20071128-6-1.JPG工場前景

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