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Web特集

2008年01月06日

CHINACOAT2007及び地元企業見学ツアー 日系企業3社を視察

日本パウダーコーティング協同組合とコーティングメディアは11月19‐22日の4日間、「CHINACOAT2007及び地元企業見学ツアー」を開催した。地元企業見学ツアーでは中国・上海地域にある日系塗装工場3社を訪問し、中国進出企業を取り巻く環境や現状などを視察した。
内需への展開として塗装工場新設 上海栄叶塗装有限公司

自転車用駐輪機やカーポートなどの製造販売を行っているイナバエクステリア(本社・神奈川県横浜市、社長・稲葉貴人氏)は、上海にも生産工場を持ち日本への輸出拠点として展開している。昨年、今まで外注していた塗装の内製化及び日系企業からの受注を図るため、新たに粉体塗装工場の上海栄叶塗装有限公司を合弁で立ち上げた。 塗装工場の従業員は17名で、塗装ラインは全長250m。前処理は脱脂(2回)→第1、2水洗→表面調整→リン酸皮膜処理→水洗→純水洗という流れ。粉体塗装はハンドガンで2名が塗装している。製品によって条件は変わるが、焼付乾燥は200℃で8‐15分ほど、ラインスピードは2‐2.8m/minとなっている。塗装設備は中国メーカーのものだが、塗装ガン及び粉体塗料は日系メーカーを採用している。

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大手日系メーカーからの仕事も数カ月後からスタートするなど、塗装事業の強化を図っている。ただ、塗装工場の設立の許可には苦労もしたという。「排水、空気、音など住民の環境配慮に対して、ここ数年基準が厳しくなっている。特に塗装工場の許可を取るのは大変で、この地域では当社が最後だと思う」と稲葉司会長。同社では前処理の水の排水処理装置を設けるなど環境配慮に投資を行った。 人件費の上昇や税制優遇の減少などにより日本市場向けとしての中国生産拠点のメリットが薄れつつある。そのような中、同社は昨年から中国国内でも駐輪機の販売をスタートさせるなど事業拡大を図っている。内需獲得へ向けた展開強化の柱のひとつとして塗装工場を位置付ける。

日系ユーザーを対象に業績好調 上海真鶴塗装有限公司

上海真鶴塗装有限公司はヤブタ塗料(本社・神奈川県小田原市)65%、相模塗装10%、日本ケミカルコート10%、松下塗装工業所10%、上海浦郡噴塗用具有限公司5%の日中合弁会社。2003年に「日系企業を対象に品質の良い溶剤塗装をするために設立した」(董事長・薮田勉氏)。 4年目を迎えた同社は「営業マンが必要ない」ほど仕事量があり順調に成長を続けている。その要因として、薮田董事長は「環境配慮からこの地域では他に塗装工場の許可がおりないだろう」とここ数年環境に厳しくなっている状況を挙げた上で、ターゲットを絞った戦略が奏功していると分析する。

「最終ユーザーはほとんどが日系企業となっており、高品質が求められる。汎用的に塗装の仕事を取っている競合企業が少ない上、技術差でローカル企業とは競合にならない」。塗装工場は単独ではなく、親会社とともに進出するケースが多いという。

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同氏によると、2000年ごろから日系企業の中国進出の第3次ブームが起きており特に中小企業の数が増えているとのこと。中国に生産工場を移転したユーザーからコスト削減のためローカル塗料の使用を要求されることもあるが、「塗料中に油が浮いていたり、色が合わなかったり、密着性が良くない」などの問題もあるため、塗料の選択には注意を怠らない。 日系塗料以外に、良質のローカル塗料が見つかる場合もあれば、台湾系のものを使用する場合もあるという。人件費の上昇などもあり、日本で塗装した場合のコストと比べ「7‐8割はいっている」のが現状という。また、指定により日本から塗料を輸入する場合は高くなる場合もあるという。

工場の従業員は現在130名。アクリルメラミンの溶剤焼付塗装を行っており製品はアルミの小物が90%。前処理ラインの他、コンベアーライン2つ(1つはクリーンルーム)、バッチ塗装1つの設備がある。前処理剤は日本パーカライジング製を採用。工程は脱脂→水洗(2回)→表面調整→リン酸皮膜処理→水洗(2回)→純水洗。純水装置は錆対策からステンレス製を使用、処理能力は2トン/時間。 コンベアーラインは2つあり、Aラインは全長110m、塗装ブースは5m幅で2名、乾燥炉は長さ45mで焼付温度は80‐200℃。ラインスピードは1.4‐1.8m/min。クリーンブース仕様のBラインは全長100m、塗装ブースは3m幅で2名、5m幅で1名、除電ブース2m、乾燥炉は長さ40mで焼付温度は80‐200℃。ラインスピードは0.6‐2.8m。バッチ塗装のブースは5m、乾燥炉は金庫型2000×2000×3500mmと2000×2000×2000mmの2タイプを装備。

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その他には汚水処理設備を設置している。また、「中国では何でも自前でやるのが当たり前」という考えがあり、冶具は自社で製造している。そのためサイズ・形状調整など細かな対応が可能となる。 塗装ブース内は1週間に1度清掃しているためきれいに保たれている。日系メーカーのユーザーがほとんどのため検査が厳しく品質管理には力を入れているのが分かる。不良率は3.7%となっており、一番多いのはゴミの付着。また、剥がれやサビの発生の問題に対してはエポキシプライマーを塗装して対応しているという。

中国人の気質として真面目さを持つ一方で企業に対する忠誠心が少ないといった特徴があるという。そのため同社では総経理を中国人スタッフに任せている。「管理は現場スタッフに任せている。そうでないとうまくいかない。日本人は技術を指導している」(薮田董事長)と役割は明確。

差別化戦略で圧倒的シェアを確保 大金空調(上海)有限公司

今期末には売上高1兆3,300億円、経常利益1,210億円を見込むダイキン工業。13期連続増益、7期連続で過去最高収益の更新を続ける背景には、海外事業への積極投資が大きく寄与している。2007年3月期では、国内・海外の売上比率が49%対51%と逆転。現在同社では2010年度をターゲットに据え、空調・化学事業のグローバル№1企業への歩みを始めている。 中国での生産拠点の中核となる大金空調(上海)有限公司は、日中合弁企業として1996年に設立。虹橋空港から12km、浦東空港から35kmの上海市の中心部の華庄工業区に約1万3,000m2の工場を構える。手がけるのは家庭用エアコン及び業務用エアコンなどの総合空調、低温・冷凍機器の製造。外部から調達した電装品や半製品の組み付け、板金、梱包を行っている。

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塗装に関しては、昨年粉体塗装設備を導入した。これまで外部に委託していたが、内製化することでコストダウンを図っている。 塗装工場では主に室外機の外板パーツの塗装を手がけており、工場建屋は2階建て。1階部分をハンガー掛けのスペースとして確保し、2階部分に設備を配備している。

被塗物の素材は亜鉛メッキ鋼板。前処理は予備脱脂→脱脂→第1、2水洗→表面調整→化成皮膜処理→第3、4水洗→純水洗。前処理剤は日本パーカライジング製を採用している。 設備一式はローカルメーカー製を採用し、塗装機器は日本パーカライジング製を採用。レシプロ5ガン×2を対向に配置し、粉体塗料はエポキシ系を使用している。膜厚のターゲットは60‐70μm、コーナー部分には手吹き補正が入る。焼付温度は200℃×15分、ラインスピードは4m/分。

塗装工程自体は日本と遜色ないが、課題も抱えている。「ターゲット以上に膜厚がついてしまう。いかに薄くするかが課題となっている」(薫事長・檀野博氏)と実際には90μmの膜厚になることもあることから、コストダウンには均一な薄膜仕上げが不可欠となっている。 そこで同社では現在、日本ペイント製の粉体塗料のテストを開始している。これまで粉体塗料はローカルメーカーのものを採用していたが、鉄粉やゴミの混入、ロットのバラツキ、薄膜に仕上げると透けるなどの欠点が見られたという。そこで塗料コストは上がるものの日本製に切り替えることでトータルでのコストダウンに着手している。既に内製化したことによる効果は明白で、この1年で月12万元、年間約2,300万円のコストダウンを実現。更に不良率の低減に努めるとともに、現状のm2当たりの塗装コスト換算で25%のコストダウンを目標としている。

同社の工場には黄色の帽子をかぶった作業員の存在が目立つ。彼らは検査員としての職務を担っており、ライン工程に介在する形で検査を行っている。3人に1人は検査員というほどの人員を配置。作業員と検査員を分け、豊富な検査人員を投入することで、品質確保に取り組んでいる。日系企業に対しては高品質、先進鋭なものに対するニーズが高いという。

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現在、中国事業での売上高は約1,600億円。販売先の90%以上は現地向けで占められている。1996年にスタートして以来、1997年は赤字だったものの、1998年には単年で黒字化を達成。1999年には累損赤字の一掃と順調な飛躍を遂げている。ただ順調な飛躍を遂げている要因となっているのは、中国の経済成長に伴う需要拡大だけによるものではない。 中国のエアコンは圧倒的にノンインバータタイプが占め、インバータタイプしか有しない同社の家庭用のルームエアコンのシェアは2.5%に過ぎない。その一方で、室外機1セットに対して室内機が複数台接続できるビル用マルチ分野では74.3%と圧倒的なシェアを有している。ローカル企業などがひしめき価格競争の激しい家庭用空調ではなく、商業ビルや病院、銀行、大型飲食店などの物件にターゲットを絞り、高収益分野に特化したことが中国での需要拡大へと弾みをつけた。檀野薫事長は「中国で成功するためには販売戦略がなければいけない」と話す。

そのため同社では製造部門の整備のみならず、近隣に6万m2の敷地を有する倉庫を保有。またトラブルの際に消費者がコンタクトセンターに問い合わせると、近場のサービス店がフォローするなど生産から流通、販売、アフターサポートに至るまで万全の体制が敷かれている。 また販売面においてはローカル企業が特約店として展開しているが、特定の特約店の販売力が強くなることに対してはリスクになると、専売店やショールーム(プロショップ)の整備を図ることでリスク回避にも努めている。

「D‐Solution Plaza」と名付けたショールームは北京、上海、広州に構えている。上海市街地のショールームでは、リビングをあしらい空間デザインとして訴求。室内機では塗装した外板に透明アクリル板をかぶせることで立体的で鮮やかな意匠を持つ家庭用エアコンなど、日本以上にデザインに対するニーズは高いようだ。

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