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Last Updated: 2008年10月21日 08:57  RSS 2.0
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Web特集

2008年03月21日

高まるメンテナンス需要 重防食塗装による長寿命化・LCC低減を(超耐候・重防食塗料特集2008)

橋梁に対する品質と耐久性について社会的に関心が高まっている。ここ数年、海外で道路橋の崩壊事故が発生し、国内橋でも損傷が多く見られるためだ。橋梁は高度経済成長期以降に数多く建設されており、今後老朽化が急速に進むことが想定されている。そこでこれらの橋梁に対してどのように維持管理していくかが大きな課題となっている。塗装の担う役割が大きくクローズアップされてきた。一般塗装仕様から重防食塗装仕様へ移り変わる傾向が強まる中で、現状の需要動向を見る。

国土交通省によると、全国にある約15万橋(15m以上)の内、建設後50年以上経過した橋梁の数は現状の約8,900橋から、10年後に約2万8,700橋、20年後には約6万8,200橋に膨らむと想定されており、その割合は約半数を占めることになる。 国管理道路の橋梁では、5年に1度の定期点検を行っている。損傷のある橋梁に対しては毎年度修繕を行っているが、点検の結果新たに修繕が必要な橋梁も見つかっている。そうした対策が急務となっている橋梁は年々増えつつあり修繕が追いつかないのが実態だ。

そこで、国土交通省は昨年「道路の中期計画(素案)」を作成し、2008年度以降10年間の道路整備の方向性を示した。その中で、明確に道路橋の寿命を100年以上に長寿命化することを目標に掲げている。そこで全国の道路橋に対して、定期的な点検を行い早期に補修箇所を発見し、架け替えや大規模な修繕にいたる前に対策を施して長寿命化を図る方針だ。また、地方自治体へも同様の長寿命化修繕計画を策定するように促す意向だ。 そうしたメンテナンス工事で主流となるのが重防食塗装仕様だ。LCC低減の観点から、従来のフタル酸系や塩化ゴム系塗料仕上げではなくポリウレタン樹脂塗料やフッ素樹脂塗料を上塗りで使用し、耐久性を確保する。市場では3年前の「鋼道路橋塗装・防食便覧」改定後、新設では溶剤タイプ、塗替えでは弱溶剤タイプのフッ素樹脂塗料仕上げが一気に広まった。最近では官公庁発注の物件だけでなく、各道路会社などでも「便覧規格」の仕様を採用するケースが増え広がりを見せている。

フッ素樹脂塗料で塗装することで、従来7‐8年で繰り返してきた塗替え工事の回数を減らすことができ、塗装のLCCを低減しながら橋梁の長寿命化に取り組むことができる。実際、20年前にフッ素樹脂塗料で施工した構造物のデータが出ており、メーカーは実績の裏づけをもとに優位性をアピールすることができる。 今後は橋梁の維持管理に対する国の予算が増えていくことが予想され、メーカー各社は膨大なメンテナンス需要に向けて、ラインアップを充実させた上で営業展開を強化する方針だ。

民間分野での需要動向
一方、民間分野では需要は増加傾向にある。バブル崩壊以後、予算がまわらなかったメンテナンスに、業績回復によって予算がついて工事が出だしてきている。そのときの塗装仕様は従来の一般塗装仕様ではなく、LCC低減を重視したものとなることが多いという。そのために塗料メーカーとしてはポリウレタン樹脂系や超耐候性タイプのフッ素樹脂塗料を提案する。特に「便覧」改定後はその影響を受けてフッ素樹脂塗料の採用が多くなっている。


更に、環境配慮を重視するユーザーが多いことや、旧塗膜を再溶解しないことから縮れや膨れといった問題を起こさないといった施工上のメリットもあり、弱溶剤タイプが市場で浸透してきている。
また、コスト削減につながる厚膜タイプもユーザーからの関心度が高い。下・中塗り、または上・中塗り兼用のため、例えば通常4回塗りが3または2回塗りで仕上げることができ、工程の短縮がそのままコスト削減につながる。そのため、メーカーとしても塗装業者としてもユーザーに提案しやすく、差別化製品にもなる。実際、鉄塔では工期が制限されるため、省工程仕様が主流となっている。
しかし、厚膜タイプで気をつけなければいけないのが施工品質。塗替えは刷毛で塗る場合がほとんどで、その場合標準塗付量を塗らなければ膜厚を確保できずに膜厚検査でクリアできなかったり、透けてしまったりすることがある。そうすると再塗装しなければならなくなりかえって手間がかかる。


環境にやさしいという点で最も優れているのが水系塗料だ。現在、水系塗料は一部の鉄道会社で採用されている。JR東日本は毎年10数橋程度で水系塗料を使用している。新たに東京メトロも試験施工として水系仕様を採用しはじめた。両社が塗替え工事において指針としているのが鉄道総合技術研究所の「鋼構造物塗装設計施工指針」だ。同指針ではECO塗装仕様として、中塗りに水系エポキシ樹脂塗料、上塗りに水系上塗塗料(樹脂の指定はない)をスペックインしている。ただ、補修部分の下塗りには溶剤タイプの厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料を使用している。
水系塗料は施工管理が厳しく、オープン販売している塗料メーカーは少ない。気候や乾燥時間など施工上の課題があり、ほとんどの場合がメーカー立会いのもと行われているのが現状で、汎用化にはまだ改良が必要だ。

塗替えにおける差別化技術

メンテナンス需要の増加に伴い、各社では塗替え向けの製品開発に力を入れている。塗料では超耐候性化、厚膜化、省工程、環境対応化などがポイントとなっているが、塗料以外にもシステムとしても市場ニーズにマッチした技術が投入されている。今回、差別化を図る武器となるべく開発された、「塗膜診断・塗替仕様選定システム」「塗膜除去技術」「高塗着スプレー塗装工法」の3つの技術動向をまとめた。

塗膜診断で塗装仕様を提案 大日本塗料
大日本塗料は「FS3システム」を開発した。これは塗膜の健全度をさまざまな手法で診断し、ユーザーの要望に対応した最適な塗替え仕様を選定するというもの。昨年11月よりパイロット的に市場展開を進めている。


塗膜診断・塗替仕様選定システム「FS3システム」の流れとしては、まずユーザーのインタビューから始まる。案件(構造物)を環境や塗装系により区切る。区切った部位ごとに補修履歴や旧塗膜の種類、補修時の素地調整及び塗装系を聞きデータ化する。
次に目視及び画像処理により塗膜診断を行う。区切った部位のデータを集めてそれぞれの劣化面積パーセントを計算し、劣化面積が一定値以上となると補修が必要と提言する。塗膜診断は、装置を用いて旧塗膜の付着性や素地表面の分極抵抗を測定する。この装置は高抵抗の塗膜でも診断できるため、塗膜の厚い状態でも塗膜下のサビなど劣化状態が分かる。


その結果、期待耐用年数に応じた防食システムが選定でき、経済性の高い塗替え仕様の提案が可能になる。
また、塗膜下金属腐食診断装置は素材にアルミニウムを使用することで重量を半減させ、現場でも容易に取り扱えるようにした。
同社では「米国で発生した高架橋の崩落事故を受け、このシステムの現場での操作性を汎用的にすることで、まずは国内における構造物の緊急点検への適用、並びに今後の伸びが予測される維持修繕需要に確実に対応していきたい」としている。

画期的剥離工法を展開 土木研・山一化学
独立行政法人土木研究所、山一化学工業が共同開発した鋼構造物長寿命化に対応した旧塗膜除去技術「インバイロワン工法」がテスト採用から本格採用の段階に入ってきた。ブラスト工法に比べ作業性や環境・安全性が高いとの評価が確立しつつある。


インバイロワンは高級アルコールを主成分としており、柔らかなペースト状で旧塗膜表面への濡れ性が良好。このため塗膜への浸透スピードが速い。塩化ゴム系の旧塗膜に約24時間で素地である鋼材面まで浸透し、塗膜との界面を軟化させ付着力をなくすことができる。
工程はインバイロワンを塗布し軟化反応を起こさせ、塗膜除去を繰り返す。工程は1‐2回で、軟化時間は24‐48時間程度が標準。


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インバイロワン工法が注目されているのには、旧塗膜に鉛やクロムといった有害重金属が含まれ、ブラストや電動工具による除去工法では塗膜ダストの飛散を防ぐことができず、現場を密閉するなどの措置をとらなくてはならないという背景があった。またブラストに伴う有害物を含む産業廃棄物が大量に発生し、処理コストが肥大化するというネックもあった。
このため橋梁のメンテナンスでは剥離工法が主流となりつつある。「周辺環境への配慮ばかりでなく、作業者の安全性の面でも評価されている」と山一化学の担当者はコメント。現在同社は同工法を材工一体でシステム展開しており、全国で10数社の塗装会社とネットワークを構築。剥離工法の品質維持をベースに拡大を図っている。

高塗着スプレー工法、実績の広がり 橋塗協
日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会(橋塗協)が展開を進める高塗着スプレー塗装工法が着実に実績を伸ばしている。また、昨年6月1日には国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録されるなど、橋塗協は更なる認知・普及の促進を期待している。


高塗着スプレー塗装工法は、エアレススプレーに補助エアーを組み込んだ静電気塗装方式と導電性飛散防護メッシュシートを組み合わせてシステム化した現場施工技術。塗料飛散が極めて少ない現場塗装用の生産性の高い塗装方式として提案している。


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橋塗協・技術部の飯田眞司氏は「この工法は刷毛並みの塗布量で目標膜厚を確保できる。特に数千、数万平米といった大型の橋梁の方が、その特長を最大限に発揮できる。飛散が少ないので、その場が噴霧まみれにならずに作業環境も良い」と自信を持つ。
施工実績としては、平成10年度340m2から始まって、平成15年度5万2,866m2、平成16年度8万5,282m2、平成17年度8万5,282m2と順調に増えており、平成18年度では12万2,068m2と初めて10万を超えた。今のところ、名古屋高速道路公社での使用がほとんどを占めている。平成10年より同公社において試験施工を実施してきた成果のもと、平成16年度より全面的に採用されている。ただ、平成19年度では北陸地方整備局発注で4物件2万4,700m2を施工するなど、広がりを見せる。


また、昨年6月には新技術情報提供システム「NETIS」に登録。これは国土交通省の「公共事業等における技術活用システム」によって蓄積された技術情報のデータベースで、HP上で公共工事に活用できる技術を探すことができる。「全国各地の橋梁管理部門やその担当者にインターネットを通じて広報されるようになり、この塗装工法の認知が促進されていくことと考えている」。

20080227-6-1.jpg写真提供:旭硝子

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