コーティングメディア・オンライン独自のコンテンツをお届けします。新聞・雑誌の定期購読、単行本ご購入承り中!

Last Updated: 2008年10月21日 08:57  RSS 2.0
キーワードを入力してサイト内のニュースを検索できます。

Web特集

2008年03月06日

内装マーケット特集2008 内装市場には業界を変えるパワーが秘められている(マーケット動向) 

室内環境面でも更には意匠的な側面においても脱・ビニルクロス、脱・新建材などのニーズが高まり、内装仕上げにおける塗料・塗材のボリュームが一気に拡大するかに思えた。しかし需要の広がりは実感できずにいる。生活者(住まい手)の要望に応えるかたちで、モデルハウスではペイントや塗材による仕上げが主流になりつつあり、ようやく住宅の内装への足がかりができるかに思えた。しかし住宅供給者にとってコストや施工性の壁はことのほか重く、このままでは単なる「モデルハウススペック」で終わりかねない。

珪藻土や漆喰系の塗り材、本格的なドライウォール工法によるペイント仕上げ、塗装下地壁紙とペイントの組み合わせなど、各地の住宅展示場のモデルハウスで塗料・塗材による内装仕上げが増えている。ビニルクロスに席巻されていた以前に比べれば、住宅の内装スペックが変化してきている様子が明らか。もはやビニルクロスでは満足しきれなくなった生活者ニーズが具体的に表面化し始めた格好だ。
しかし業界的にはそうしたトレンド変化の実感が湧かない。理由は明白。モデルハウスでは使われているものの、実物件ではほとんど採用されておらず、需要の盛り上がりが感じられないためだ。業界の課題である内装需要の開拓も、このままでは単なるモデルハウススペックで終わりかねない。
生活者が求めているのに広がらないのはなぜか。最大の障壁はハウスメーカーや工務店など住宅供給者の受け止め方にある。具体的には施工性とコストの壁。クロスと比較すると工期が長く、他の職種との並行作業ができず工程管理も煩雑化。クロスであれば下地の粗を隠してくれるが、塗りの場合クラックなどクレームにつながる危険性が高いなど、クロスに慣れてきた住宅供給者にとって極端に手離れが悪いのだ。


このことは当然価格にも反映される。汎用的なクロスの施主渡し価格は一般的に1,200円/m2ほどだが、ペイントや塗材に至っては3,000円、5000円、場合によっては1万円近い単価が平気で示される。これではいくら施主が望んでも実質的には手が届かない。
確かにクロスに比べれば工期が長い分人工を必要とするが、その差額分ほど職人にスライドしているわけではない。差額の大部分は、手離れの悪さやクレームの懸念に対する安全料の意味合いが強く、言い換えれば施主の手の届かない範囲に意識的に追いやられているというのが実態に近い。そうした負のイメージを凌駕するメリットや魅力を理解させない限り前には進まない。

デザイン性で差 
ここで改めて塗料・塗材の魅力について再確認してみる。まず、クロスと決定的に違うのはデザイン性の高さだ。
継ぎ目のないシームレスで一体感のある空間、色や質感の自由度が高くウインドウトリートメントやファブリック、調度品など他のインテリアエレメンツとのコーディネーションで空間が劇的に変化する。更に光の反射が柔らかくやすらぎ感を与えるとともに、陰影を際立たせることで空間に広がりを感じさせる。光の当たり方による色の見えの違いなど照明光との演出性も高い。
いずれも工業製品で単調かつ無機的なクロス仕上げでは表現できない手づくり感があり、デザイン的なレベルの差が歴然として存在する。


エコロジーの観点でも然り。ホルムの削減、消臭、抗菌、更には漆喰のように調湿機能を持たせたものなどクロスも進化を遂げており、機能面での差別化は示しにくくなっている。しかし住宅建築の方向性は、100年住宅に代表されるようにサスティナビリティーがキーワードになっている。その面で、張り替え・廃棄のサイクルが運命的なクロスに対し、塗替えでリフレッシュできるエコロジー性、塗り継ぐことによる風格の醸成、LCC視点でのコスト低減など住宅の長寿命化に即した仕上工法であり、この点は今後ますます訴求力が高まっていくはずだ。


地場工務店へのアプローチ
これらのポイントを押さえた上で、まずは"地場工務店"といわれるクラスをターゲットとして狙いたい。大手に採用されることに越したことはないが、ハウスメーカーや広域展開のパワービルダーではスペックしたとしても企画や設計段階の意図が販売現場に根付くまでに時間と労力がかかる。それに対し工務店クラスは施主との距離が近く、素早い行動と成果が期待できる。加えて着工数の減少、需要の大手への集約化など厳しい経営環境にあり、生き残っていくためにも施主への訴求度がより高い住まいづくりを指向する。そういった面での素地が整っており、ビビットに反応する可能性が高い。
大手に比べ1社当たりの使用量は多くを期待できないが、国内の住宅建築の7割ほどを依然これらの工務店が担っていることを考えれば、点から線、面へと広がり、トレンドをつくり出す可能性がある。
こうしたクラスを狙う理由はもうひとつある。それは、いち塗装業者やいち塗料店といった裾野の広い業界企業がアプローチしやすいという点だ。ここで「内装は手間がかかるばかりでスケールメリットが小さい」とネガティブな発想に捉われてはいけない。


確かに内装に食い込むためには単なる商品知識だけではなく、デザインやコーディネーション、場合によっては色や質感を楽しむ住まいかたのプレゼンなど高度な提案力が要求される。しかし、こうしたノウハウを持ち得ることによって、これまでの従属的な立場から提案力をベースとした付加価値の高い業態へと変革するパワーを秘めていることに目を向けるべきだ。
内装のメインである壁の需要を取り込むことは、クロス業が他のインテリアパーツを扱い業容を広げているのと同様に、デコレーションの総合ショップ化への道が開ける。クロスに比べデザイン的にもテクニック的にも高度な塗料・塗材を扱っていることによって、インテリア市場でイニシアチブを取ることも夢ではない。


更に塗料・塗装の普及啓発といった課題に対しても、色や質感の楽しみ方、機能の有効性を認識してもらう点でも、生活者にとって身近な空間である内装で使われることが最も効果的。内装市場は産業のステイタスアップをもたらす可能性を秘めている。(泉)

F☆☆☆☆の存在がより浮き彫りに 自然塗料の動向

昨年、東京都が行った自然塗料7製品の商品テストで、その内の2製品が日塗工自主管理によるホルムアルデヒド放散等級F☆☆☆☆を表示しているにも関わらず、規定の放散量を超えていたとする指摘が、自然塗料を上市するメーカーを一時震撼させた。塗装仕様書に記されている塗布量と、製品ラベルに表示されている塗布量との相違があったことが今回の事態の発端だが、安全管理と消費者に対する情報提供の重要さを改めて思い知らされることとなった。 これを受け、日塗工は商品表示に関する改善を各社に促し、かつホルムアルデヒド自主管理要綱の改定を実施。現存のF☆☆☆☆製品の廃止及び再登録を要請した。自主管理要綱の改定については、第三者機関での試験などを義務付ける一方で、これまで「その他」の分類にあった自然塗料を「天然油を配合した塗料」として定義化し、新たに「天然系塗料」の分類として再登録を受け付けることになった。 自然塗料のみならず、酸化重合反応を持つ油ベースの塗料が硬化乾燥中にホルムアルデヒドを放散することは以前から指摘されていたが、改めて表面化したことで、上市各社はF☆☆☆☆登録の返上組と再登録組と対応が分かれた。

結果的には和信化学工業、玄々化学工業、ターナー色彩などが返上した一方で、大谷塗料、大阪塗料工業らは再登録し、F☆☆☆☆表示を維持。またトップシェアを有する日本オスモはローソリッド系の一部製品でF☆☆☆☆を取得した。 ただマーケットに対する影響はそれほど大きな打撃を与えなかった模様。あるメーカー担当者は「影響としては2003年の建築基準法の改正の方がインパクトは大きかった。今回F☆☆☆☆を維持したことで、売りやすくなった、使いやすくなったという声をもらっている」と、市場ではF☆☆☆☆表示そのものが安全性や安心感を担保する存在として定着していることを確認できる結果となった。また天然植物油を主原料としていることでエコ製品としての評価も高く、設計士や消費者などを中心に根強いファンを抱えていることもうかがえる。

しかし安全性を全面に打ち出してきた自然塗料にとって、水性製品の台頭により、安全性の訴求だけでは成長が難しくなったのは事実。水性、天然系と技術要素の違う環境対応製品が流通する中で、両者とも塗料性能で差別化を図る局面を迎えている。

20080220-5-1.jpg写真提供=スクエアミーター

« 前のWeb特集Web特集一覧次のWeb特集 »

Web特集|ニュース|コラム|インタビュー|データルーム|イベント情報|セミナー情報|リンクネットワーク