Web特集
2008年04月02日
電子材料は依然年率2ケタ増を維持 建材・携帯のコーティングは減少(UV・EBコーティング特集2008)
2006年のUV・EBコーティング材の出荷数量は前年比5%増の18,130トンであった(ラドテック研究会調べ)。中でもフィルムコーティングは前年比20%増と大きな伸長にあるものの、量的に大きなマーケットを有しているウッドコーティングは若干の伸びで、概ね横ばいであった。
この傾向は昨年も同様にあり、電子材料関連のフィルムコート、オプティカル・ディスクコーティングは顕著に推移。年率2ケタアップを維持したものと見られる。一方のウッドコーティングは建築需要の低迷、特に建築基準法の改正に伴う審査の遅れから住宅着工数が大幅に減少。建材、内装部材にこの影響が出始めている。加えて米国・サブプライム問題から建材関連は輸出も落ちており、総じて需要は低迷している。
また携帯電話は2006年の国内生産量が4,800万個であったのに対し、昨年は前年比7%減の4,500万個に減少するなど年間生産量が固定されつつある。一昨年のポータビリティー制の導入も需要拡大には結びつかず、「国内は飽和状態。買い替え需要のみになりつつある」(関係者)ことが明確になった。(ちなみに昨年の中国の生産量は5‐6億個と世界の50%強を占める)
従って、国内需要は液晶テレビ、プラズマテレビなどの薄型テレビやパソコンなどのディスプレー用フィルムのハードコートやカラーフィルター用のレジストなどの電子材料分野がマーケットを牽引している格好だ。
その電子材料分野も需要は旺盛なものの単価の下落とともに機能、性能面での要求は年々高まっている。特にフィルム関連では光屈折の制御(低屈折率)、帯電防止、曇り防止、耐汚染性、耐擦り傷性といったニーズが依然高く、「高硬度でかつ柔軟性に優れたコート材といった相反するニーズが求められている」と供給メーカー。ユーザーの末端製品の下落に伴うコストダウンの要請と厳しい開発競争にしのぎを削る。また電子材料は国内需要にとどまらず、最終製品としての輸出も多いことから、現状ボリュームで採算を合わせているのが実態。
一方、環境問題が世界的な広がりを見せる中で、UV・EBコーティングに関してはいまだに溶剤含有のコート材を使用しているケースが多い。国内では木質建材が無溶剤タイプに置き換わった他、欧州、東南アジアでも木質建材のハードコートには水性UVを使用している。
樹脂に関してはノキアが中国の一部の生産ラインで携帯電話のハードコートに水性UV採用している程度で、本格的な採用は少ないようだ。国内においても試験塗装は行われ、各塗料メーカー処方はできているというものの、(樹脂での)採用はない。「プラスチック素材への水性対応は難しい。水の表面張力を下げ、かつ塗膜として従来並みの塗膜性能が求められると非常に開発レベルが高い」と供給メーカー。また「国内は高機能、高外観の方向にあり、密着性を含め、水性タイプではニーズに応えられない」と説明する。特に携帯電話はより高外観の方向にあり3コート、4コートで仕上げる製品もあることから、水性化への対応は先のことのようだ。
マーケットの市場開拓も環境問題同様に遅々として進まなかったが、ここに来て徐々に実を結びつつある。BASF社は自動車OEMの補修用塗料にUVプライマーを開発、上市した。小さな傷をラインの最終工程で修正することで時間とコストの節約が可能となった。従来のプライマーが欠陥の補修に30分を要するのに対し、新プライマーは2‐3分で済むという。またモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社はスマートフォーツーのポリカーボネート製ルーフにシリコーンハードコーティングが採用されたと発表し、話題を呼んでいる。耐候性、耐擦り傷性、耐薬品性に優れた表面品質を提供しているという。
その他、UV硬化技術を用いて自動車部品の電子材料分野では封止や接着機能としての用途が広がっている。また酸素阻害による体積収縮の解決策として従来の熱硬化とUV硬化を併用したデュアルキュアーの技術に注目が集まっている。
水性シフトの動き顕著に プラスチック用塗料市場
プラスチック用塗料の出荷が依然好調だ。2007年の出荷金額は初めて1,000億円の大台を突破し、各社の出荷数値を推計すると1,060億円台に達した。主要メーカーの出荷実績は軒並み2ケタに近い成長を続けている。
成長要因は中国、マレーシア、タイなどアセアン地域での需要が拡大していることがある。中国には世界3大携帯電話メーカー(ノキア、モトローラ、ソニー・エリクソン)の生産拠点があり、これらに日系塗料メーカーが供給する構図。特に携帯電話のトップコートのUVコーティングに関しては日系がほぼ独占状態にあり、武蔵塗料をはじめカシューなど各社が現地生産での供給体制をとっている。
アセアン地域には日系家電メーカーの集積が高く、国内でスペックしたものが生産され、主として輸出される形になっている。国内の家電生産が頭打ちだが、海外シフトによりプラスチック用塗料の現地供給の比重が拡大する傾向にある。
一方国内でも携帯電話のデザイン競争の影響から、掃除機にUVコーティングが採用されたり、薄型テレビのフレームに採用されるなど、需要の成熟化に伴う高度ニーズに加え、家電メーカーのコンプライアンス強化から水性シフトが鮮明になりつつある。
既に携帯電話で水性UVの採用が近づいている他、UVワンコート、水性ベースコートの採用に向けたラインテストなども始まった。「ここ1年間くらいのテストランを経て採用されてくるのでは」と塗料メーカーは見ている。
自動車分野ではボディー(車体)の水性シフトが本格化し、これに伴ってバンパーなど内装部品の水性シフトが拡大した。また内装部品は車室内環境の安全対策からTXフリーの要請があり、各塗料メーカーともTXフリータイプの塗料ラインの開発をほぼ終了した段階にある。しかしここに来て自動車メーカー大手はTXフリーというステージを経由せずに水性シフトを進める動きが活発化してきた。
大手自動車メーカーのグローバル戦略の基本スタンスとして、グローバルスタンダードの確立がある。当然塗装スペックについても水性システムが基準とされており、このメーカーの海外プラントでは水性は導入実績がある。国内の内装部品の水性導入も秒読み段階にある。
プラスチック用塗料は家電、自動車、その他の雑品の3分野に大別され、いずれの分野とも需要は旺盛。家電関連ニーズは意匠性向上や耐擦り傷性、耐指紋性などの機能ニーズが高度化。自動車では軽量化からプラスチック素材の比率が高くなりつつあり、これに伴うコーティングニーズが拡大。雑品分野では化粧品容器などが好調だ。
コーティング技術の方向としては、環境対応に伴う水性ニーズが本格化してきた。各社ともここ7‐8年、水性技術に集中してきたこともあって、水性塗料の開発にめどをつけた段階。だが溶剤系に匹敵する性能、物性になると差があるという実態がある。水性技術力が格差につながる可能性がある。
またハードコートとしてUVキュアリングがクローズアップしてきている。UV塗料は溶剤系並みのVOCを排出するため、無溶剤UV化や水性UV化をテーマとして開発レースがし烈になっている。2年前くらいから開発メーカーが出始め、昨年あたりから一部水性UVの採用実績が出てきた。今年から実績が拡大する見通し。
また新しい技術としてUVワンコートシステムが注目されている。UV塗料そのものに着色顔料を含有しているので、プライマーとのセットでワンコートが可能。ただしUV透過を阻害しないような顔料を限定するため、カラーの制約がある。
UVキュア分野を拡大させる要因として、メッキ代替ニーズが出始めている。メッキ化成処理にはクロムなど重金属問題が付きまとっており、メッキ代替としてコーティングが注目されているためだ。金属コーティングの上にUVクリヤーという仕様の実績が出ており、参入塗料メーカーも目立ってきた。更にプラズマ放電によるUVキュアも紹介されており、ヨーロッパでは自動車ボディーのクリヤーをタクト処理する実証ラインが稼働を始めている。自動車塗装工場のコンパクト化に寄与するシステムとして国内自動車メーカーでも採用に向けて検討がスタートした。
プラスチック・UV塗料は拡大の方向にあるものの、環境を軸に大きく転換するステージに突入している。