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Web特集

2008年04月08日

温暖化対策の抜本策となるか 国や自治体が補助事業で牽引(屋根用・遮熱塗料特集2008から)

ヒートアイランド対策の普及・促進を目的に平成19年度は国や自治体の補助事業が活発化した年となった。東京都が先行し、環境省は毎年7億円を拠出し5カ年計画で実施。大阪府もガイドラインを独自でまとめ対策に乗り出した。しかし採用技術は「環境保全を訴求したいとする企業PRの意味も込められている」ことからか屋上緑化が多く占める結果となった。次年度以降に効果の実態が具現化すると見られる。

年7億円を補助、全国10街区を対象 環境省
環境省は平成19年度から5カ年計画でクールシティ中枢街区パイロット事業を行っている。これはヒートアイランド現象の顕著な街区を全国から選び出し、その街区においてCO2削減効果を有する施設緑化や保水性建材、高反射塗装、地中熱ヒートポンプなど複数のヒートアイランド対策技術を組み合わせ一体的に実施する事業に対して補助を行うというもの。対象の街区にクールスポットを作り出すことでヒートアイランド現象の緩和を狙う。


補助事業の対象となる街区は(1)大手町・丸の内・有楽町周辺街区〔東京都千代田区〕(2)小名木川貨物駅跡地街区〔東京都江東区〕(3)大崎駅周辺街区〔東京都品川区〕(4)押上・業平橋駅周辺街区〔東京都墨田区〕(5)池袋駅周辺街区〔東京都豊島区〕(6)横浜市みなとみらい21地区〔横浜市〕(7)大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺街区〔大阪市〕(8)名古屋駅周辺街区〔名古屋市〕(9)博多駅周辺街区及び渡辺通周辺街区〔福岡市〕小倉駅周辺街区〔北九州市〕の計10街区。
対象は民間事業者の有する建築物で、一部の技術に対して上限額があるが補助額は対象事業費の2分の1。低木緑化に対しては30,000円/m2、薄層緑化は10,000円/m2、高反射塗料は4,500円/m2が補助される。


初年度となった平成19年度は補助総額7億円で、公布対象事業は15件となった。重複するものも含めて対象技術は、屋上緑化12件、高反射塗装3件、その他壁面緑化、高反射性防水シート、親水性光触媒技術などが採用された。エリアとしては、東京都9件、大阪5件、福岡1件となり、三菱地所が5件ともっとも多く採用された他、日本郵船、日本貨物鉄道、朝日放送、オリックス不動産、三井住友海上火災保険、三井不動産、ビープラネッツ、リアルエステートサービス、サンシャインシティといった企業物件が名を連ねた。ヒートアイランド対策の効果の検証は事業者負担で行うことになるが、その結果は環境省へフィードバックされる予定。「今年の夏過ぎには何らかの結果が出ると思う」(環境省)と話す。
平成20年度からは低炭素化社会モデル街区形成促進事業として名称を改め、平成19年度同様予算案7億円を計上し、平成24年度まで継続していく予定。

補助金事業終了、住宅での採用多数 東京都
東京都や関係区、日塗工などから構成されているクールルーフ推進協議会は平成18年度、平成19年度と実施してきた高反射率塗料及び屋上緑化の施工補助事業の公募を終了した。2年間の高反射率塗料の合計の施工実績は91件、施工面積は2万9,616.4m2、交付金は8,355万4,000円であった。


補助事業の対象はヒートアイランド対策推進エリア(千代田区、中央区、港区、新宿区、台東区、品川区、目黒区)にある建物で施工面積50m2以上の物件。補助金は対象経費の2分の1で上限額は500万円とした。
初年度となった平成18年度は公募期間が10月の1カ月間と期間が短かった上に季節としても夏以降であったため、件数は24件にとどまった。内訳は事務所ビルなど業務系建物が11件、住宅が13件。屋根の仕様は住宅ではスレート系が多く(10件)、業務系ではコンクリート下地が多かった(8件)。断熱材の平均は50mmであった。


2年目となった平成19年度は4月から公募をスタートさせ期間も7カ月間と長かったため、件数は67件と大幅に増加した。また、建物の種類も共同住宅20件、戸建18件と住宅への広がりが見られた。その他は事務所が10件、商業ビル3件、業務と住宅併用16件の施工実績となった。
また、東京都によると、平成18年度の高反射率塗料事業によるCO2削減量は計19.56トンと換算。これは当初の目標に対して149.3%の達成率となり大きな効果を上げたかたちとなった。


補助事業の公募は今年度で終了となる。もともと環境省からの補助金を活用した事業であったため、環境省の終了と連動するかたちで公募も終わる。東京都独自では平成20年度に予算を組む予定はない。
ただ、クールルーフ推進事業自体は引き続き効果の調査及び報告を行うために今後も継続される。協議会としてもクールルーフの普及啓発をすすめるためにシンポジウムの開催など活動は続けていくとしている。また、東京都は「高反射率塗装は手軽に施工できることもあり、今後の調査結果次第では再度予算化する可能性もある」(担当者)としている。

類型ごとにガイドラインを策定 大阪府

大阪府は平成16年6月に大阪府ヒートアイランド対策推進計画を策定し、平成37年度までに大阪府全域において夏の熱帯夜数を現状より3割削減、また屋外にクールスポットを創出し夏の日中の体感的温度を低減することを目標に掲げている。
これを受け、大阪府は府内の全域を1km2ごとに区分し、熱環境(熱負荷特性)マップを作成。商業・業務集積地域、住宅地域など熱負荷に応じて4類型に分類し、それぞれの類型に適したヒートアイランド対策のガイドラインを設けている。その中で屋上の高反射化の効果に対しては、住宅密集地においては地上緑化が最適とする一方で、商業・業務地が集積している地域、商業・業務地と住宅地が混在している地域においては有効だとしている。また対策技術の技術的知見に関しては、平成18年度に産学官民共同の大阪ヒートアイランド対策技術コンソシーアムを設立。高反射塗装については素材関連WGで調査研究、具体的活用の提案が行われている。塗料関係からは大日本塗料、大高商会、日本ペイント、日本特殊塗料らが参画している。


大阪府はこれらのガイドラインに沿った対策の実現を誘導・加速させるため平成19年度にヒートアイランド対策導入促進事業を始動。民間の新築及び既存の建築物に対し、合計面積500m2以上を対象に助成を行った。その結果、申請件数9件の中から審査を行い点数化し、上位4件に対し総額5,000万円の助成を行った。
物件の内訳は新築2件(トラックターミナル・分譲マンション)、既存2件(病院・老人ホーム)。高反射塗装については新築2件に採用。その他屋上緑化が4件すべてで採用された他、透水性舗装、高反射系の屋上防水シートなどの対策技術が採用された。


当初、同補助事業は平成20年度も含めた2カ年計画でスタートし、3年目に本格的な検証を行う予定にしていた。しかし橋本徹新府知事が財政再建を掲げていることから、「平成20年度の実施は未定」(大阪府)と次年度以降の計画は白紙の状態。

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