Web特集
2008年04月07日
超耐候・重防食塗料特集2008 メーカー動向(塗料・原料・副資材)
日本ペイントは重防食市場に対して長期耐久性・環境対応ニーズに注力した製品戦略を行っている。また、規格のある官庁物件、または民間物件でもそれぞれに適した塗装仕様を提案する。 民間のメンテナンス需要は増えているという。「備蓄タンク、石油・石化コンビナート、化学メーカー設備などで、バブル崩壊以後行っていなかったメンテナンス工事が出だしている」(担当者)。その際、施主のニーズは従来の塗装仕様ではなく、環境を意識した仕様にシフトしている。加えて、コスト削減の要望も高まっている。 そこで同社では、昨年8月から「ハイポンダブルガード」の販売を開始した。同品は弱溶剤形下上兼用塗料で、民間のメンテナンスで軽防食用途をメインに展開している。厚膜(60μまで可能)のため工程短縮が可能な上、変性エポキシ樹脂塗料に近い防食性・付着性と、シリコン・ウレタン樹脂塗料グレードの耐候性機能を併せ持つ。工程短縮によるコスト削減メリットが施主のニーズをとらえるとともに、施工業者にとっても提案製品となるためリピーターとなる。
また、鋼道路橋塗装・防食便覧などの橋梁規格に対しては、弱溶剤形の「ハイポンファインシステム」が戦略製品となっている。オール弱溶剤システムで、上塗りにはポリウレタン及びフッ素樹脂塗料をラインアップ。 今後の展開として、「厳しい条件下にある鋼構造物の塗装では施工品質の管理が重要。メーカーとして技術をアップする手助けにも注力していく」。
重防食塗料分野のトップメーカーである大日本塗料は「メンテナンス需要は膨大にあり、今後塗り替えニーズは増えてくる」との見方を示し、LCC低減、弱溶剤タイプ、水系タイプ、厚膜タイプといった豊富なラインアップで市場展開を進めていく。 主力製品は「スマイルシリーズ」。塗替えでは主流となっている弱溶剤形塗装システムで、ふっ素樹脂系・ポリウレタン樹脂系・厚膜など各用途に合わせた下・中・上塗り塗料計10製品を揃える。「エポオールHBスマイル」は浸透性変性エポキシ樹脂下塗塗料の厚膜タイプで標準膜厚は100μ。厚膜形ポリウレタン樹脂上塗塗料「VトップHBスマイル」の標準膜厚は55μで中・上兼用として使用できる。両品を組み合わせることで、通常4回塗りのところ2回塗りで仕上げることができ、省工程・コスト削減メリットを提供できる。更にふっ素樹脂系の弱溶剤厚膜タイプ「VフロンHBクリーンスマイル」を上市予定。また、下上塗り兼用として、弱溶剤厚膜形シリコン変性エポキシ樹脂塗料「Vシリコンスーパー」を展開。表層にシリコン樹脂層、基材側に変性エポキシ樹脂層が配向されるため優れた防食性と耐候性を有する。加熱残分が92%と固形分が高く、標準膜厚80μで塗装が可能。煙突やタンクの塗替えで採用されている。
水系塗料は下・中塗り用にエポキシ樹脂塗料「水性エポオール」、上塗り用にポリウレタン樹脂塗料「水性VトップH上塗」を展開している。鉄道の橋梁などで実績を重ねる。
川上塗料の重防食分野は、ポリウレタン系被覆材「ウレオールRIM」を主力に据える。海外向けのパイプラインの新設及び改修需要を中心にコンスタントに出荷を伸ばしている。 同品はウレタン樹脂をベースに速乾性を持つウレア樹脂の特性を応用した無溶剤型のエラストマータイプの塗布型被覆材。指触乾燥時間20秒と超速硬化機能を有し、低温環境下においても施工性が高く、かつ高い塗膜物性を発揮するのが特長。1回塗りで0.5‐4mmの超厚膜塗装を可能にし、衝撃性、耐摩耗性を有する。大量の既設ラインを有するロシアを中心とした寒冷地での需要が圧倒的に占め、同社のポリウレタン系被覆材の売上の8割を輸出で占める。「当初ロシアではドイツなど欧州メーカー製品が多勢を占めていたが、長期防錆性、2液エポキシ系プライマーの密着度が評価された」(担当者)と切り替えを加速したことに自信を深めている。 施工は専用塗装機を用いたスプレー塗装。塗料と硬化剤を高圧定量ポンプ、プライマリーヒーターを経由させ、スプレーガンの先端で混合する「衝突混合システム」を採用。吐出直前で混合させるためポットライフはない。
用途はパイプライン、埋設ガスバルブの他、国内では鉄骨構造物、海上ブイ、サイロに採用されている。現在は「防食性能では圧倒的に高い性能を持っている」と国内市場での需要拡大に動いており、現在30年保証を切り口に鋳鉄管メーカーを中心にアプローチを図っている状況にある。
神東塗料は、構造物用、建築用のウレタン、フッ素のJIS規格が耐候性塗料規格として1つに統合することを受け、これに新たに加わるシリコン系を主力とした販売展開を行っていく方針。また環境対応、省工程化を製品開発の中心に据えており、現在コールタール系エポキシ塗料と塩化ゴム系塗料の代替製品として「セラボーンHB」と「セラボーンMP」の2製品を主力に据えた展開を図っている。 高耐候性厚膜形アクリルシリコン樹脂塗料の「セラボーンHB」は鉄構重防食用上塗り塗料。大気中の湿気と反応し、無機特有の優れた耐候性を発揮するシロキサン結合と凝集力の強いウレタン架橋を組み合わせることで、耐候性の他、付着性、耐溶剤性にも優れた性能を発揮する。また1回の塗装で乾燥膜厚50μmを可能にし、短工程を実現した。鉛クロムフリータイプ。 新設の省工程塗装仕様は、下塗りに「ネオゴーセープライマーHB」を塗布後、同品の1回塗り仕上げ。使用量は170g/m2。
「セラボーンMP」は厚膜形変性エポキシ樹脂塗料。同品は1回塗りでエアレス塗装120‐150μm刷毛塗りで100μmの塗装を可能にした厚膜性と防食性に加えた中塗り機能を兼ね備えたのが特長。「セラボーンHB」との組み合わせで、短工程、省工程化を可能にする。また不揮発分83%のハイソリッド塗料のためVOC含有量が少ない。鉛・クロム、重金属も含まないことからグリーン購入法適合製品として販売している。
関西ペイントの環境対応型省工程塗装システム「ユニテクトセーフティ工法」が立ち上がってきた。システムの開発は4年前だが、厳しいメンテナンス環境に阻まれていた。しかしここ1‐2年、電力会社での採用が急拡大。担当者は「性能、コスト両面で評価されてきたので、幅広い分野での実績につなげたい」と話す。 同工法のコンセプトは省工程と安全性。防食性と耐候性をひとつの塗料で両立させ、1工程を実現。安全性に関しては弱溶剤タイプとした他、鉛やクロムを含まない環境品質を設計に盛り込んだ。 最大の特徴である省工程は「下上兼用塗料」の開発で可能にした。これまで別々であった防錆力を付与する工程と耐候性のための工程をひとつの塗料で行う1工程にした。
開発のポイントは同社が独自性を有する配向技術。乾燥前、シリコンとエポキシの各樹脂は混在しているが、乾燥後にはエポキシ樹脂は素材側に、シリコンは表層側に配向する。極性値の違いをコントロールするテクノロジー。 シリーズには「ユニテクト10セーフティ」(JIS K‐5625同等レベル)、「同20セーフティ」(ポリウレタン系システム同等レベル)、「同30セーフティ」(アクリルシリコン系システム同等レベル)がある。 実績拡大の背景には、同システムの採用によるコストパフォーマンス性の認知が高まっていることがある。工期短縮に直結し、設備停止期間を短くすることができるからだ。
常温亜鉛メッキ塗料の開発・販売に特化するローバル。2年前に日本建築センターの建設技術審査証明事業の認定を取得し、販売展開に弾みをつけている。 証明を受けたのは、ローバル製品を塗装した塗膜は溶融亜鉛メッキの最高グレードであるHDZ55と同等の防食性能を有するというもの。通常、鋼材の長期防錆には、溶融亜鉛メッキが広く使われているが、亜鉛メッキ槽に浸浸して処理するため、鋼材の寸法、形状、施工場所に制約を受ける。これに対し、同社は塗装での亜鉛メッキ処理を実現しており、複雑形状物や溶接及び切断された鋼材にも現場施工で処理できるメリットを持つ。 HDZ55規格に対応した塗装を提供するためには、ブラスト処理による素地調整、また鋼材には平均乾燥膜厚80μm以上塗装することなどが必要となる。そのため同社は「Cold Galvanizing ローバル工法」と名付け、責任施工体制での展開を図っている。今年から希望する企業に対し、施工管理研修を積極的に行っている。
この他にも、ローバルの2回塗りが住宅品確法における特別評価方法で国土大臣認定を取得。防錆措置の最高グレードである区分5の塗装系(下塗りから上塗り4工程)と同等の性能を有することが認められ、工期短縮、コスト削減を可能にした。
無機‐有機ハイブリッド塗料「シロキサンエース」の動きが活発だ。スーパー促進耐候1,000時間で光沢保持率80%以上の"ふっ素を超える耐候性"が最大のセールスポイント。建物の長寿命化ニーズの高まりから民間を中心に採用が増加。加えて、公的機関などによる性能評価の動きもあり、重防食分野における「ふっ素の次世代の上塗り」として期待を膨らませる。 更に「無機成分が極めてリッチ」という独自性への評価が高まっている。ひとつは安全性。プラント火災などの事故が相次いでいる中で、無機リッチで燃えにくく延焼回避の点で注目が高まっている。また、原油高騰を背景に他の製品価格が上昇している中にあって、無機主体のためコスト的な影響を受けにくいといった点もセールスポイントとして浮上、好調さを支えている。
一方、省工程ニーズに適合して伸ばしているのが超厚膜型エポキシ塗料の「マイティマスチック」だ。素地に強力に浸み込む浸透性樹脂の配合により長期防錆性能を発揮する上、エアレス1回塗りで膜厚125μmを標準確保する省工程がメリット。建築基準法改正による着工遅延で各ファブリケーターの現場は混乱をきたしている。多工程を要する従来の防食仕様は時間的にもストックヤード面でも困難が生じており、その解決策として1コートが可能な同塗料への需要が急伸している。 独自要素の高い製品を強化する同社。「社会的ニーズ、あるいはユーザーソリューションへの貢献など説得力が高まっている」とし攻勢を掛ける。
フッ素樹脂塗料の専門メーカーAGCコーテックは重防食マーケットへの対応を強化していく方向だ。 これまでの同社の重防食対応は電力会社の鉄塔やプラントなど民需に実績を持つものの橋梁関連などの官公庁の実績は少なかった。「どちらかというと重防食というよりも建築関連をメインにマーケット対応を図ってきた。17年12月の鋼道路橋塗装・防食便覧の仕様改訂に合わせ弱溶剤タイプのフッ素樹脂塗料も上市し、スペック対応も図った。同時に防食分野に強い販売店さんとの関係強化も進めていく」意向だ。 同社の弱溶剤タイプ「ボンフロンライト」は従来のフッ素樹脂の耐候性や耐久性を確保し、かつ仕上剤としての作業性や仕上がり感を損なうことなく、キシレン・トルエンを含有しない環境への配慮を行った製品。「従来の強溶剤フッ素樹脂塗料では溶解してしまう下地へも塗装が可能になり、塗装範囲が広がった。また刷毛、ローラー、スプレーのいずれの塗装方法でも作業性に優れる」と特長を説明する。
同ボンフロンライトにはセメント系下地及び旧塗膜が残るケースに合わせた新設・改修仕様のボンフロンライトC工法、ボンフロンライトHBC工法、更にアルミ、亜鉛メッキ、ボンデ鋼板などの旧塗膜が残るケースではボンフロンライトM-60工法、ボンフロンライトHBM‐60工法を有する。 民需を含めたメンテナンスマーケットでは実績を有することから民需、官需を問わず積極的に展開を進めていく方針だ。
トウペの防食塗料分野は、新設工事の需要増から売上ベースで前年比10%の伸びを見せる。道路橋などで新仕様になり、ポリウレタン樹脂塗料仕上げからふっ素樹脂塗料仕上げへの切り替えが広がっているためだ。 民間では設備メンテナンスの需要は増えつつあり、同社では橋梁・プラントなどのメンテナンスとして、「ニューフッソ21DC上塗システム」をメインに展開している。 同システムは環境に配慮した弱溶剤形ふっ素樹脂塗料仕上げで、「便覧規格」に対応したシステムとなっている。同システムでは強溶剤仕様と比較して、トルエン・キシレン量を91%削減できるため、高まる環境配慮ニーズに対応することができる。東京都の清洲橋など数多くの実績を残している。
また、更に環境に配慮したシステムが水系防食塗装システム「トアガイアシステム」だ。同システムは従来の溶剤系の耐久性を維持し、有機溶剤量の削減を目指したシステム。下塗りに水系2液形エポキシ樹脂塗料「トアガイアプライマー」、中塗りに水系2液形エポキシ樹脂塗料「トアガイア中塗」、上塗りに水系1液形ハルスハイブリッド樹脂塗料「トアガイア上塗」の塗装仕様となっている。「トアガイア上塗」は紫外線による樹脂劣化が少なく、ふっ素樹脂塗料に迫る高耐候性を持つ。 同システムはJR東日本の橋梁では、中塗、上塗に水系塗料を用いたECO塗装系として採用されている。また、最近では工場の鉄骨でオール水系塗装の使用も増えているという。
中国塗料は造船や橋梁ファブリケーターなどの新設分野をメインに展開している。ここ数年は橋梁など構造物の大型化が進んでおり、それに伴い同社でも右肩上がりに推移している。 ただ今後はメンテナンス需要の増加を見据え、塗替え分野への展開を強化していく方針だ。 長期耐候性ニーズに対しては、弱溶剤形フッ素樹脂塗料「フローレックス上塗MS」を上市している。重防食塗装仕様系の上塗りとして、橋梁や海洋構造物のバクロ部、プラントなどに適した耐候性、耐薬品性、耐水性などの性能を有する。
省工程タイプとしては「エコロガードシリーズ」を推奨している。同シリーズは鉛・クロムなどの重金属系の防錆顔料を含まない無公害形防錆顔料を使用した、環境対応形塗装システム。標準膜厚125μの厚膜タイプである特殊変性エポキシ樹脂塗料「エコロガード100」と、特殊ポリウレタン樹脂塗料「エコロガードU」を上塗りで使用することで、155μの膜厚を2回塗装で確保することができる。 また、新設で実績を重ねており、今後塗替え分野での採用を目指しているのが、高耐久性無機質系塗料「ケイソルシリーズ」だ。ケイ素化合物を主成分としている同品は、フッ素樹脂塗料と同等以上の高耐候性を有する。更に無機質系であるため塗膜は難燃性の上、耐熱性、撥水性、耐薬品性などを持つ。 同社では「重防食塗装分野では、実績が重要となるため、塗替え物件での実績を増やしていく」としている。
旭硝子が展開しているフッ素樹脂「ルミフロン」の需要増が続いている。鋼道路橋塗装・防食便覧の改定により、新設では強溶剤タイプ、塗替えでは弱溶剤タイプのフッ素樹脂塗料仕上げがスペックに入ったためだ。 「便覧」の影響は大きく、同社では民間分野に対して、新仕様をPRするとともにフッ素樹脂仕上げを提案している。その際、20年以上の実績が同社の武器となっている。 「良いものを長く持たせるというニーズに対して、当社では実際20年経った物件のデータが揃っており、そうした情報を提供することでLCC低減の見通しが立つ。その点を最終のお客様である施主様に評価して頂いている」(担当者)。
弱溶剤形塗料用フッ素樹脂「ルミフロン」に使用するミネラルスピリットは溶剤独特の悪臭の発生を防ぐことができる。更に施工面では、旧塗膜が塩化ゴム系であっても、塗膜の再溶解を防ぐためリフティング現象などの塗膜欠陥発生の防止に高い効果を発揮するという特長がある。また、光化学オキシダントや大気の酸性化に関わるオゾン発生量を従来溶剤に比べて大幅に低減できるなどのメリットもある。 同社では「LCCの考え方が実際の場面で広がりを見せてきている」との見方を示し、超耐候性化の流れに乗りフッ素樹脂の拡販を図っている。 また、水性タイプに関しては「重防食用としては溶剤タイプの性能に追いつくべく開発を続けていきたい」としている。
インターナショナルペイントは、日本企業の海外プロジェクトでの採用を足がかりに実績を伸ばしている。 同社が主力とするのは、ポリシロキサン系塗料による厚膜仕上げ。国内では薄塗りの多工程仕上げが主流なのに対し、同社は下塗りに無機ジンクリッチ、上塗りにポリシロキサン系塗料の2工程、膜厚200μmという短工程厚膜仕上げを製品化している。 日本ペイントと提携を解消して3年が経過。内需向けではシェアは低いものの、日本企業が中国、インド、ドバイなどの海外プロジェクトを受注するケースが増加。結果的に発注主である海外企業から同社製品を指定するケースが増えている。世界トップメーカーとしての認知度が国内に反映した格好となっている。
販売スタンスとしては、エンジニアリング企業やベンダー企業に対しての指定活動が中心。アルキド、エポキシ系、ポリウレタン、ジンクリッチ、ポリシロキサン系と各種製品を揃える中で「製品そのものを売るより塗装仕様を売っていく」(担当者)と要求性能に応じた仕様提案や施工技術フォローなどエンジニアリングの側面からのアプローチに特化している。 特に製品の環境安全対応では差別化を図っており、VOC含有量はEPA(アメリカ環境保全局)が定める1リットル中のVOC量370gを大幅に下回る218gを実現。またほぼ全製品で対応する鉛・クロムフリーに対しても、「亜鉛末の精度を高くすることで極限的に抑えた」と乾燥塗膜0.01%重量比以下を実現。
旭サナックは重防食向けの高塗着スプレーガンを開発、高速道路の改修などで採用が進んでいる。 高塗着スプレーガンはエアーラップ静電ガン。10年ほど前に日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会から、2007年以降の団塊世代の大量退職での塗装職人不足によるインフラ維持の危機を回避するために、塗装の機械化、省力化を目的に開発した。「当時は刷毛塗りで行っていたが、作業効率が低く1日7時間稼働でも100m2がいいところ。作業効率が良く、作業場周辺への塗装ミストの飛散の少ない塗装システムが求められ、それに対応したもの」。 テスト施工を経て、5年前に名古屋高速の改修用として正式に認定された。課題の作業効率は1日7時間稼働で比較すると刷毛塗りの約10倍と大幅なアップが可能となり、塗り面積がフラットで大きいことから期待以上の成果を発揮。「大吐出にして低圧で吹き付け、アシストエアーによって塗料の霧化状態を良くする。吐出圧は4‐6MPa。作業場の周囲に導電性ネットを張ってアース(接地)させ、静電気を帯電した浮遊する塗装ミストが透過するのを静電捕集して、外へ塗装ミストを飛散させない仕組み。3m以下の風であれば90%以上の塗着が可能」という。
現在、首都高速でもテスト施工を行っており、名古屋高速に次いで採用が期待される。また橋梁においても各都道府県で試験施工を進める方向にある。既に秋田県、新潟県、鳥取県や北海道開発局の管轄する橋梁ではテスト施工が済み、正式に認可された。
大日本インキ化学工業は、重防食分野のトップコートとして無機有機の複合樹脂であるポリシロキサン‐アクリルハイブリッド水性樹脂に特化した開発を行っている。ポリシロキサン含有率30%タイプの製品を既に上市済み。昨年は設備ラインを増強するなど、水性フッ素樹脂からの代替を見据え、本格販売に転じている。 同品はディスパージョンタイプの水性シリコン系樹脂で、高耐候性、低汚染性、高硬度、高架橋密度を有するポリシロキサンと耐クラック性、保存安定性、顔料分散性、塗装作業性を有するアクリル樹脂を組み合わせたもの。カルボキシル基による硬化触媒作用を利用することで高性能水性樹脂の開発に成功した。
また現在は、かねてから開発を進めていたポリシロキサン含有率75%タイプのサンプルワークを始めている段階にある。ポリシロキサンの含有率を高めると塗膜硬度が硬くなり、もろさが伴うという難題に対し、「複合的な架橋システムを採用した」(担当者)。塗膜の硬度を指す塗膜伸度では、これまでの5%以上に対し、試作品ながら10%以上のものも開発。重防食分野のみならず、多用途への展開を視野に入れている。 一方、下塗りでは耐食性と低VOC、耐食性と耐候性を兼ね備えたディスパージョンタイプのエポキシエステル系樹脂を開発。「EFD‐5560」は塗料設計でTVOC1%未満を実現。「同‐5580」は、下塗り、中塗りを兼ね備えた性能を有し、工期短縮に寄与する。
大塚刷毛製造は道路橋維持管理機材カテゴリーの拡充を図る。橋梁のメンテナンス需要拡大に対応した副資材ニーズが強まっているのを受け、関連機材をシステマチックに展開することでユーザーの利便性を高める狙いがある。 橋梁の補修は下地作りがポイント。そのため塗膜剥離機材として「NEWマルテー弾だんホイール」を新たにラインアップ。同品は深削り防止溝が深入りする刃を食い止める機能があり、必要な塗膜除去だけをスムーズに行うことができる。また振動を吸収するため、揺れが少なくなり作業者の負荷を軽減。長時間のグラインダー・サンダー作業が苦にならない。初心者でも粗スジなくきれいに仕上られる。 同品には直径31φの「鋼板用ミニ」、ホイール専用集塵カバー「ガイドカバー」が用意されている。 橋梁用の塗替え刷毛として新たに「ぼると」をラインアップ。ボルト回りは塗料の入り込みが悪く、必要膜厚が確保しづらかったが、「ぼると」は狭いところに入り込めるよう刷毛板が邪魔にならないように設計されている。サイズは20号。
この他安全保護用の「ブレスリングブロワーマスクBL‐100S型」は電動ファンの働きで呼吸のリズムに合わせて送風する機能を付与。排気時には送風量を抑えなめらかな呼吸ができるため、長時間の保護マスク装着が苦にならない。 「LEDスーパーライト」はヘルメットに装着でき、抜群の明るさを確保した。
高耐久低汚染塗料としてアクリルシリコン樹脂塗料「ネオシリカシリーズ」を擁するイサム塗料。強溶剤から水性、また1液、2液とラインアップを揃え、性能、コストなどニーズに応じた製品対応を可能にした。 シリーズの最高級グレードに位置付ける2液タイプの「ネオシリカ21Cシリーズ」は強溶剤、弱溶剤系、水性タイプをラインアップ。これにそれぞれ硬質タイプ、軟質タイプを揃える。また1液タイプでは弱溶剤系の「ライトシリカ」、水性では「アクアシリカ」を上市する。 特に「ネオシリカ21Cシリーズ」は、フッ素と同等の性能を保持し、かつコストパフォーマンスの高さが最大の特長。最近では大手ゼネコンの保有物件に採用された他、水性、弱溶剤タイプの需要も増加。住宅密集地で臭気を気にするビルオーナーなど施主からの指定も増やしている。 その一方で、昨年スタートしたタイル壁面専用の低汚染改修システム「タイルガード」も今年2年目を迎え本格化の兆しを見せている。
タイル壁面は自然環境の影響で剥離やひび割れ、漏水などの劣化現象が生じる。それに対し同品は防水性を付与した下塗りで劣化現象の発現を抑え、かつ低汚染性を持つクリヤーを塗布することで、タイルの意匠を損なわずに仕上げることを可能にした。同品は責任施工グループである「イサムエラストマー会」専用塗料だが、同品の上市により入会希望企業が増加する契機となった。
「水性セラタイト」の出荷が好調だ。耐汚染性の代名詞ともなったセラタイトシリーズだが、環境適性と長期耐久性の面から水性セラタイトが選ばれるケースが増大している。弱溶剤タイプを抜く勢いがある。 水性セラタイトシリーズには「水性セラタイトSi」(アクリルシリコン樹脂系)、「水性弾性セラタイトSi」「水性セラタイトF」(フッ素樹脂系)、「水性弾性セラタイトF」をラインアップし、品揃えは充実している。 低汚染性と長期耐久性との両立には同社の独自技術を導入。セラミック複合技術(特許)によって塗料中に分散していたセラミック成分が乾燥プロセスで塗膜表面に配向し、表面のセラミック成分の密度が高くなると同時に、分子同士の結合エネルギーも高める。これにより低帯電性を発現し耐汚染性に寄与。加えて架橋密度の高い親水塗膜を形成する。
建物の長期耐久性ニーズは集合住宅や戸建住宅分野にまで広がりを見せており、「汚れにくくて長持ち」とのセラタイトのイメージが定着。出荷的にはアクリルシリコン系が先行しているが、フッ素系も順調に伸びている。 セラタイトの評価は施工した実物件で施主などから「他の建物と比べて汚れが目立たない」との声が挙がっており、強い追い風となっている。また同社の幅広い品揃えも強み。担当者は「コストと品質のバランスをとりにくい状況下で水性セラタイトシリーズは環境・安全といった付加価値を付与できる」とコメントする。
超耐候性、超低汚染形変成無機塗料「ダイヤスーパーセラン」シリーズの市場での存在感が高まってきた。「LCCの定着とともに、防食あるいはビルやマンションなど建造物のトップコートとして採用が進んでいる」(担当者)と手応えをつかんでいる。 同品は無機結合剤同士の縮合反応、無機結合剤と反応性有機樹脂との反応、反応性有機樹脂間の反応といったメカニズムによりハイブリッド効果を発現。超耐候・超低汚染・難燃及び高硬度といった無機本来の特性に加え、フレキシブル性、耐酸・耐アルカリ性など有機の特性を同時に発揮する。 無機‐有機ハイブリッド塗料の草分け的存在として早い時期から指定活動を開始。千葉マリンスタジアムや函館五稜郭新タワーなど著名な物件での採用の他、ガスタンクや化学プラント、送電鉄塔、更に腐食環境の激しい海上橋での採用など、民間を中心に実績が増加。また、追跡調査での好結果を踏まえて追加物件でも採用されるなどいずれも評価が高い。
更にエポックメーキングな事例として、多賀城市・町前歩道橋での採用を挙げる。官公庁の物件において「性能本位で本格採用された」(同)ためだ。一部の公的機関で、超耐候カテゴリーにおける無機―有機ハイブリッド塗料の性能評価の動きが出始めていることから、今後の公共需要に期待を寄せる。 溶剤系の他、シリーズとして弱溶剤、水系タイプもラインアップ。作業環境や改修需要への対応力も高めている。
水谷ペイントのナノコンポジットWは販売から3年が経ち、市場での広がりを見せている。発売当初は高級志向のマンションなどで採用が目立っていたが、最近はユーザーの幅が広がっているという。「光触媒塗料と比較され、その場合価格メリットから採用されるケースが出ている」(担当者)。 同品はナノテクノロジーを駆使した設計で、無機質塗料に限りなく近い塗料となっている。大きな特長がその超低汚染性。緻密に分散したシリカ粒子が汚れの進入をブロックし、更に親水性の塗膜表面がセルフクリーニング機能により汚れの付着を防ぐ。その機能が光触媒塗料ユーザーの関心を集めている。その他の性能としては、難燃性、耐候性、強靭な塗膜などさまざまな特長を有する。
同社ではここにきて、ユーザーとの関係を強化している。従来から施工店を対象にしたパートナー制度を構築(現在750社)しているが、このほど技術者を対象に認定制度を実施する。「従来は会社単位だったが、今回は個人単位の認定制度。施工技術者が施主に対するアピールとして活用して頂ける」(担当者)として、全国6都市で認定技術者勉強会を実施する。 また、販売店の営業マンを対象にした研修会も開催している。講義終了者にはナノテクノロジー技術取得を認定する。こうした活動を通じてユーザー組織を構築していく意向だ。 また、サイディング用クリヤーを近々発売予定。サイディング仕上げの塗替え保護用として展開を図る。
菊水化学工業は超低汚染・高機能塗料「ナノペイント」を展開している。ツヤ消しでありながらフッ素を凌駕する超低汚染を実現した。 「戸建て住宅でツヤ消し・高耐候性の需要があった。そうした製品は少なく、ナノペイントがニーズに対応した商品として評価されている」(担当者)。 同品はナノレベルの無機質系超微粒子を有機成分と複合化した従来の塗料とは全くことなる水系塗料で、ナノレベルの複合粒子により成分の偏在がなく緻密で強靭な塗膜を形成する。無機質成分の比表面積も大きく、親水性に優れセルフクリーニング効果により低汚染性を実現している。 また、透湿性に優れ無機系下地へも優れた密着性を発揮する。更にローラー塗装したときに下地が目立たず工程も少なく済むという施工メリットもある。また、色は同社が展開する1200 kabe colorに対応、さまざまな色でツヤ消しが可能となっている。
超耐候性塗料のオーソドックスグレードとしては「スーパー無機ガードZ」を展開している。同品は超耐候・低汚染形水系無機塗料で、無機の反応硬化の特性で優れた耐久性を発揮し、メンテナンスサイクルを延長する。 用途としては、住宅やマンション、店舗、事務所など一般建築物の内外装に適する他、土木構造物にも適している。適応下地はモルタル面、コンクリート打放し面、石膏ボードなど。「当社としては下・中・上塗り材でJIS製品を提供するとともにテクスチャーで高付加価値を付与していく」としている。