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Web特集

2008年07月09日

工業用水性塗料・塗装特集2008 メーカー動向(塗料・原料・機器)

塗 料

2010年がターニングポイントに 日本ペイント

日本ペイントは工業用用途において水性塗料の推進を図っている。現状、水性塗料の採用は大手ユーザーに限られることから、今後のVOC対策を踏まえ将来を見越した拡販に結びつけるべく普及に力を注いでいる。「営業努力が足りないためか、(我々の)思いと市場実績がマッチしない」と打ち明けるように遅々して普及が進まない。


大手ユーザーは企業イメージやグローバル化に伴い環境のグローバル化も合わせて進めていく方向にある。しかし「さまざまな事情により、中小企業ユーザーには水性塗料の利点を十分にご理解頂けていない」と説明する。


現実的に水性塗料の価格、作業性がネックになっていることも事実。「水性塗料は溶媒が水であり、溶剤塗料のように溶剤の種類を替えて蒸発をコントロールすることができない。特に湿度の影響を受けやすいことから作業性において制約を受ける。また価格においても従来品より割高となる」とコメントする。塗料の性能、仕上り外観では溶剤並みにあるものの2つのテーマが大きな課題といえる。


ここに来てスチール家具や形状の複雑な箱物を水性塗装するケースが増えている。特にスチール家具はロットの大きなベース色(複数色)を粉体塗装で行い、小ロット・多色を水性塗料で行うというものだ。「粉体塗装の場合、色替えがネックになっている。水性塗料であれば調色できることから、使い分けることで生産性を高めようという考え方。今後の水性と粉体の棲み分けを明示する方向」という。


同社の工業用水性塗料はポリエステル樹脂をメインにしたオーデエコラインを展開している。1コートを基本に下塗りからのラインアップも行っている。現状の水性塗料の溶剤含有率は設計段階では非危険物の5%以下にしているものの、ライン条件、環境によって5~10%の配合となっている。


また重機、産業用機械向けの常乾・強制乾燥用にハイソリッド及び水性2液ウレタン樹脂塗料を展開している。特に建設機械関連はハイソリッドの方向にあり、ユーザーのほぼ30%は2液ウレタンからハイソリッドに置き換わったという。「ハイソリッドは過渡的な処置と判断している。2010年には水性2液ウレタン樹脂塗料に置き換わっていくと思う。下回りの部分は現状フタル酸塗料を使用しているが水性に換わる可能性が高い」とコメントする。
同社は実績を高めつつ、経験を積むことでノウハウとして生かしていく考えだ。

オーデックスシリーズを展開 神東塗料

神東塗料は工業用水性塗料「オーデックスシリーズ」を展開している。既にプライマーから上塗りまで製品ラインアップを図り、鉄・アルミ・亜鉛メッキ、鋼管、軽量型鋼、窯業建材及び一般金属用に対応。更に重機・産業機械向けにハイソリッドタイプの「ポリンハイソリッド」を製品化、提案を進めている。


水性塗料の焼付分野での採用は自動車部品のフレームやショックオブソーバー、配電盤などで実績を高めており、「徐々にマーケットにおいて認知されつつある」とコメントする。


また開発したポリンハイソリッドは建設機器関連に紹介を進めている。「重機、産業機械、車両は水性2液ウレタンの方向ではあると思うが、現状作業性など改善点を含むことから、当面ハイソリッドで環境対応をクリアする考え」と説明する。ノンブラ70%を確保。建機などで試験塗装を進めている。「VOC低減と固形分が高い分、塗料の使用ロスが減り、かつ塗着効率が高まることからトータルでの塗料使用量の削減に結びつく」とコメントする。


更に常乾・強制乾燥用の水性2液ウレタン塗料は次期水性塗料の主役と位置付け注力していく方針だ。「もともと分子量が大きく、塗膜性能もそこそこのレベルにある。特に反応タイプは水性塗料の方が優れる」と状況を説明する。現状のポットライフは3時間程度という。


同社の工業分野は錆止めを含めた汎用分野、建機・工作機械の産業分野及び特定ユーザーに大別される。今後自動車部品分野への対応を強化する意向を示す。「デュポンの工業用部門との連携を強めるなど協調体制を敷いていく方向で検討を進めている」という。

工業用で製品ラインアップの強化 大日本塗料

大日本塗料の工業用塗料は建材、金属焼付、自動車、プラスチックと幅広い分野を対象にしている。水性化という点では自動車部品や建材分野が進んでいるものの、その他一般工業用塗料では少し動きが鈍いとの見方だ。
「VOC対策として水性塗料、粉体塗料の2本立てで対応してきたが、ここに来て粉体塗料の採用が目立つ」と状況をコメントする。特に金属焼付の分野では粉体への移行が顕著であることから同社としては粉体をメインに市場展開を進めていく意向だ。


水性塗料においては、水性メラミンアルキド塗料は外観品質では溶剤並みのレベルにあるが、価格や作業性の面でネックとなっている。「価格的には現状の溶剤タイプよりかなり高値になる。作業性の面では高湿度期のタレ、ワキの発生などから塗装条件の変更及び塗料配合の調整などが求められる」。環境に優しいだけでは進まない。実質的なメリットが提案できなければ溶剤から水性への転換は難しいとの見解だ。
同社の水性塗料の展開は古く、70年代からドラム缶やスチール家具メーカーへの水性化を進めてきた。特にドラム缶関連では高いシェアを誇る「テクノンシリーズ」及び自動車部品向け「エマロンシリーズ」は水性塗料の定番となっている。


また一般焼付分野への対応として「アクアマイティーシリーズ」を体系化。メラミンアルキド、アクリルメラミン、アクリルウレタンなど各種樹脂ごとにラインアップを図り展開。
常乾・強制乾燥用としてハイソリッド、水性塗料の展開を進めている。とりわけプラスチック用水性塗料については「提携先であるベルバーグから技術導入し、日本のユーザー向けにレオロジーコントロール技術を駆使するとともにポットライフを延ばすなどして製品化を図った」。自動車内外装部品などのプラスチック向けに製品化、既に自動車内装部品で採用されている。「通常の2液ウレタン並みの性能を確保している他、肉持ち感やツヤなどの外観及び作業性において溶剤型と同等との評価を得て環境改善に寄与している」。


同社ではプラスチック向けにウレタンをベースにした1液、2液各種をはじめオレフィン系素材に対応したタイプもラインアップし「アクアプラニットシリーズ」として自動車内外装用及び家電用プラスチックと幅広く対応できる製品の体系化を図っている。

粉体と水性の棲み分けが進む 関西ペイント

関西ペイントは長年培ってきた水性技術をベースにさまざまなユーザーニーズに対応している。ここにきてスチール家具メーカーが水性塗料の採用に動き始めているという。メイン色は粉体塗装を行い、小口色に水性塗装を採用し併用で行う方式だ。粉体塗料の場合、色替えがネックになることから、多色への対応として液状で調色しやすい水性塗料を使用する方向だ。


「室内汚染の問題から低ホルマリンタイプの1コート厚膜タイプ(平均膜圧35‐40μm)を用いて仕上げていく方向。スチール家具は粉体塗装した製品と水性塗装した製品が隣り合わせになるケースもあり色合わせに対しては厳しい。特に昨今の粉体塗料は仕上がり外観が向上し水性塗料よりも肌がいい場合もある。1コートでタレないようにし肉持ち感を出すのは難しい」と状況をコメントする。


焼付塗装分野において水性塗料の導入に当たって完全空調までの設備投資を行うケースは少ない。セッティング時間を10分ほど設けるもののプレヒートゾーンはほとんど設けない。従って高沸点溶剤を用いるなどして塗料配合で対応する。「それぞれのラインに合うようにチューニングしてユーザーのスペックに合わせていく。ユーザーの塗膜品質、外観品質の許容範囲によって管理幅が異なってくる」という。溶剤の含有率は10%前後になる。
現状、焼付塗料においてはスチール家具に見られるように室内ものが多く、屋外用のニーズはないようだ。


また産業機械などの常乾・強制乾燥の分野では水性2液ウレタン塗料の方向であるが、過渡的にハイソリッドで対応するようだ。既にフォークリフトの一部や建機の一部で水性2液ウレタン塗料やハイソリッドが採用されている。「産業機械は厚板、薄板及び鋳物など部位によって素材が異なる。従って素材に合わせて塗装仕様が組まれている。現状のハイソリッドはN.V80%の1コート厚膜タイプ。従来のプライマー+溶剤系塗料の2コート仕上げを1コートで仕上げることでVOC対策と工程短縮を同時に達成させている」。
今後の水性化の動きに対しては慎重だ。「従来タイプに比べコストアップになるとともに作業性で改善の余地を残している。環境問題だけでは溶剤系からの置き換えは難しいのではないか。またワークによって粉体塗料、水性塗料の使い分けが進んでいくと思う」。

製品ラインアップの強化を進める 川上塗料

川上塗料は工業用水性塗料として「スイヨウシリーズ」を展開している。同社の得意とする産業機械、車両、重機、二輪の分野のアルキド系塗料を水系に切り換えていく方針からアルキド系の錆止め塗料に対して変性エポキシ樹脂タイプの「スイヨウ速乾プライマー」及び同「スイヨウ3000プライマー」の2製品を揃える。いずれも旧塗膜への塗装適合性に優れるとともに、作業性にも優れるといった特長を有す。


上塗りにはアクリル樹脂をベースにした速乾タイプの「スイヨウ2000」、変性アルキド樹脂タイプの「スイヨウ2000」及び上下兼用の変性エポキシ樹脂タイプの「スイヨウ3000」をラインアップしている。「アクリルエマルジョンでは光沢の再現性に課題が残る。またスイヨウ1000はF☆☆☆☆適合外(F☆☆☆)であることから改良を進めている」と説明する。スイヨウ3000は農機、産機の上下兼用に開発したもので台車の下回りに採用されている。


また1液エポキシ系錆止め塗料に対しては変性エポキシ樹脂塗料の「スイヨウUPプライマー」及び特殊ビニル樹脂塗料「スイヨウマルチプライマー」の2製品を揃える。前者は上市して約1年を経過するが農機具関連で実績を高めている。後者は溶融亜鉛メッキ鋼板や非鉄金属への付着性、防食性に優れた水性1液常乾プライマー。既に車両の下塗りに採用されている。
更に同社は水性2液エポキシ樹脂塗料及び水性2液ウレタン樹脂塗料の開発を進めており、近々に上市する予定だ。前者の水性2液エポキシ樹脂塗料は工作機械など耐薬品性が求められる。「工作機械の外板部は粉体塗料とエポキシ塗料(溶剤系)が使用されているが、鋳物のウェイト部分などは熱容量が大きいため常乾・強制乾燥で対応する方向にある」と説明する。


水性2液ウレタン樹脂塗料は車両、2輪、産業機械などの従来の2液ウレタン樹脂塗料からの置き換えとして開発を行っている。揮発成分が大幅に削減できるとともに、高光沢で対溶剤性に優れた性能を発揮するというもの。「ポットライフが2時間と従来タイプと比較すると作業性において課題をかかえるものの塗膜性能では遜色ないレベル」とコメントする。
同社では2010年が大きなターニングポイントになると判断しており、それまでに製品ラインアップの強化を進めるとともに、実績を重ねノウハウを培っていく方針だ。

ブッシュロン採用へ 大宝化学工業

大宝化学工業は水性2液塗料の開発のトップランナーとして、市場対応に注力している。「当初はわが社の製品しかなかったのでユーザーの反応には苦労したが、ようやく競合品が上市されてきたので、水性2液のコンセプトの理解が深まってきた」(小笠原敏明社長)と話す。
同社が開発した「ブッシュロン」(商品名)は溶剤系レベルの品質・性能にとことんこだわって上市された。「1液タイプは使いやすさがあるが、性能はどうしても落ちる。むしろしっかりした生産管理の下では2液タイプの方が品質も生産性も向上する」(同)との判断で製品化された。


工業ラインユーザーでのテストランを終了し、本格採用の方法が固まってきた。ユーザーの評価は溶剤系のウレタンとほぼ同等の性能があるというもので、VOC削減に向けたシステムとして採用していくことが決定。その第1弾として建設機械でスペック入りが決まった。
この他、他の産業機械、建材、金属製品分野で採用を検討中で「今年中には(採用が)立ち上がってくる」と見ている。
同社の水性2液技術は、水系のハルスハイブリッド樹脂と水分散イソシアネートを導入したハルスハイブリッドタイプ。水性の欠点とされた塗膜性能と乾燥性をカバーした独自製品。木工用の「プーチロン」に次ぐ水性2液タイプのニューフェイスだ。

品揃えと技術対応に強み カナヱ塗料

工業用塗料分野において水系化率3割に達しているカナヱ塗料。全製品を対象にノンクロム化を実施するなど環境対応技術で差別化を図り、売上も堅調に伸ばしている。
同社の水系製品の上市は30年以上前に遡り、フッ素、シリコンアクリル、ウレタン、アクリル、アルキドと各水性樹脂塗料をラインアップ。また水溶性、ディスパージョン、エマルションと各タイプを揃え、防錆力ならディスパージョン、耐久性ならエマルションタイプと性能・環境ニーズに応じた品揃えも強みとなっている。そのため水性塗料の販売状況としては2ケタ成長を続けており、大手ユーザーを中心に建材、シャーシ分野などで採用を増やしている。


しかしその一方で、需要のほとんどが新設ラインの採用で、「圧倒的ボリュームを持つ既設ラインでの置換は依然として少ない」(担当者)とコメント。また中小ユーザーへの広がりも少なく、「単なる塗料単価のアップだけでなく、塗装機、乾燥設備、排水処理などが必要となるため、トータルコストがネックとなっている」と話す。ユーザーにとっては、水性置換によってVOCの低減が図れたとしても塗装単価の向上に結びつかないとのジレンマも抱えている。


その中で同社は2年前に水性塗料の再利用システムに成功。大掛かりな設備導入は要らず、機械的に吹き捨てた塗料を戻すというもの。開発に際し、「当初は泡かみやクリヤーの曇り、色の変化など苦労した」と説明する。戻した塗料はバージンと混合して再塗装する。
簡易性、簡便性にこだわったことが評価され、建材向けなどで採用されている。産廃物削減にも大きく寄与することから、更に適応性を高め普及拡大に努めていきたいとしている。

汎用的ではなく個別対応に注力 ナトコ

ナトコの水性塗料展開は汎用として在庫を持つのではなく、個別に開発、商品化し対応していく方針だ。
同社では工業用金属向け水性塗料に関して、焼付分野では需要は明確な方向性を持っていないと判断。理由として「VOCに伴う変換の主体はやはり粉体塗料であり、水性に移行するユーザーは極限されているように思われる」と担当者は指摘する。
更に原料面からみても、従来水性の主体であったアルキッド系原料の入手が将来的に困難になるとの情報もあり、主体はアクリル樹脂系となるため価格、性能、仕上がり面で再検討の余地が発生し、粉体への移行が促進されている傾向が見られているという。


過去に新規架橋型として投入した製品も、安定性や仕上がり面での課題が十分克服しきれておらず、広く展開はできていない状況だ。
常温乾燥では水性化がVOC対策の切り札となるものの、仕上がり重視のトップコートでの切り替え実績はあまりあがっていないのが現状。同社としてはウレタンの水性化は必要と判断し開発を進める。乾燥性、特に指触乾燥性の問題、性能の向上、樹脂製品への適用可能な商品などへの開発が今後の課題と見ている。


「水性化はメーカー主導で開発が進められているが、市場ではまだ受け入れ態勢になっていないのが現状。特に生産性を大幅に低下させるデメリットと環境問題との天秤にかけると末端での動きは緩慢と言わざるを得ない」

原料

レベリング剤や湿潤分散剤を紹介 ビックケミー・ジャパン

ビックケミー・ジャパンは工業用水性塗料向けにレベリング剤、湿潤分散剤、レオロジコントロール剤、粘性制御ワックスエマルションなど多彩な添加剤をラインアップし展開を進めている。
水系塗料用シリコン系界面活性剤「BYK‐349」は優れた濡れ性とレベリング性を有し、泡の発生がほとんどないというもの。昨今のVOCフリーニーズに対応した水系塗料は塗液の表面張力が上昇したとき、十分な濡れ性とレベリング性を得ることができなくなり、外観品質において問題を抱えていた。同製品は高い表面張力低下能によってこれらの問題を解決した。


同品は工業用水系塗料にとどまらず、建築用塗料、自動車用塗料、木工用塗料など幅広い水系塗料に適合可能となっている。
その他、水系塗料の下地への濡れ性向上用のシリコン系レベリング剤としては「BYK‐345」「同‐346」「同‐347」「同‐348」を揃える。


また新たに市場展開に入った水系塗料の光輝材の配向性を向上させる粘性制御ワックスエマルション「AQUATIX‐8421」は粘性制御とアルミフレークの配向性を高める2つの機能を同時に行う水系塗料用の最初の粘性制御ワックス添加剤。組成は変性エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合物ワックスのエマルションタイプ。


昨年から本格展開に入っている湿潤分散剤「DISPERBYK‐2010」はコントロールラジカル重合技術に基づいた水系塗料用高分子量タイプの湿潤分散剤。同品は顔料を適切に分散安定化させるのでミルベース粘度が低下し、疎水性の主骨格を有していることから乾燥後の耐水性に影響を与えない。「欧州では実績が高まっており、国内でも引き合いが増えている」とコメント。
水系塗料用シリコン消泡剤「BYK‐093」は優れた自発的な消泡性の挙動を示すとともに各種塗料に対しての相溶性を有する。更に過剰に添加しても塗膜の透明性及び光沢性を損なわず、低温及び高温でも優れた貯蔵安定性を保持するといった特長を持つ。


その他、密着性付与剤として「BYK‐4500」及び「同‐4510」の紹介を行っている。同品は溶剤塗料の上に水系塗料を塗装する場合の相間密着向上としての機能を有し、前者は水系エマルション塗料及びアルキドエマルション用、また後者は鋼板、亜鉛メッキ鋼板、アルミ、銅などへの密着性を向上させる。「あらゆる樹脂との相溶性にも優れ、あらかじめ中和した場合は水系塗料にも使用できる」と説明する。

非塩素PP・ウレタン複合樹脂を開発 第一工業製薬

紙、塗料、光学フィルム、接着剤、ガラス繊維と各種分野に水性ウレタン樹脂を供給する第一工業製薬。水性ウレタン樹脂として「スーパーフレックスシリーズ」をラインアップしている。 塗料向けとしては、金属塗装分野に「スーパーフレックス185」を開発。同品はクロム系プライマーの代替品として開発されたもので、RoHS規制の導入に伴い開発中。同品は密着性が高く、亜鉛メッキ鋼板、アルミ、ガルバリウム鋼板などさまざまな金属素材に対して高い密着性を発揮するのが特長。またかねてからの課題であった耐水性、耐食性についても良好な試験結果が得られている。現在は耐久性試験を実施している最中で、性能面での向上を図っている。

また2006年からプラスチック塗装向けとして投入した「スーパーフレックス210」は、光学フィルムやプラスチック加工品を用途に開発したもので、現在は塗料メーカーに対しサンプリングを行っている段階。成長が期待される分野だけに引き合いも強まっているという。更に国内初となる非塩素系PP樹脂とウレタンエマルジョンを複合化させた新規樹脂を開発した。これまで非塩素PP樹脂では上塗り塗装が困難であるといった課題があったが、同品はこれを克服。樹脂表層にウレタン樹脂を配向させることで、下地との密着性を確保するとともに、上塗りとの適性を持たせることに成功した。

水性ウレタン樹脂の需要動向については、「2‐3年前はRoHS規制により水性化が加速したかに見られたが、その後の動きは弱含み。将来的には市場全体で水性シフトは進むと見られるものの、自動車分野以外での置換は遅々とするのではないか」との見方を示す。 その中で同社は新規複合樹脂の開発に見られるように樹脂、界面活性剤、その他原料と同社が手掛けるトータル力を武器に成長分野にターゲットを置いた製品開発に集中。中でも見据えるのは自動車分野向けの拡大。汎用品とは一線を画した高付加価値樹脂の開発に特化していくとしている。

水系の湿潤剤の開発に注力 共栄社化学

共栄社化学は水性塗料向けに自社の粘性調整や表面調整の技術、更にはポリマー技術を生かした分散剤、チクソ剤、レベリング剤、消泡剤を開発してきた。また海外のTEGO社との技術提携及び業務提携を図り、国内において販売促進を進めている。
同社は基材湿潤剤に力を注いでおり基材の濡れ性向上用に「ポリフローKLシリーズ」を揃える。「ポリフローKL‐600」「ポリフローKL‐800」の販売促進に力を入れている。「特に後者のアクリルポリマー/両親媒性オリゴマーを主成分とする湿潤剤はコーティング剤の静的表面張力及び動的表面張力を低下させ、被塗物への濡れ性を改善する。またハジキ、クレーター防止の効力も合わせ持つ」と説明する。濡れ性向上剤のニーズは高く、プラスチック関連向けで動きが出てきている様子。


表面調整剤や顔料分散剤は早くからTEGO社の製品を国内に紹介しており、製品のラインアップも増えている。現在有機、無機にも対応できる「フローレンTG-600シリーズ」の紹介に力を注ぐ。また自社製品である静的表面張力低下能の「ポリフローWSシリーズ」の拡販にも努める。同WSシリーズは自動車内装部品のワキ防止に利用されている。
また増粘剤の「チクソゾールシリーズ」にはチクソゾールKタイプのポリカルボン酸を主成分にしたものと同Wタイプのアマイドを主成分にしたものがある。「常乾に近い熱硬化の部分で塗料性能に寄与できる添加剤」とコメントする。


その他、レベリング剤「ポリフローシリーズ」、消泡剤「アクアレンシリーズ」など商品群は豊富。
今後、沈降防止剤の開発に力を注いでいく方向だ。「溶剤系の沈降防止剤は水系には使えない。いいものができればマーケットは広がる」と判断。

水系塗料用添加剤のラインナップ充実 楠本化成

楠本化成は溶剤系塗料用添加剤で蓄えた長年の技術を応用し、水系塗料に求められる性能をオンリーワン商品で水系塗料用添加剤をグローバルに展開している。環境対応にとどまらず水系塗料で溶剤系塗料並みの塗膜外観を引き出す商品へと更なる差別化に向けた商品戦略を展開している。
工業用水系塗料では、建築塗料など汎用に比べ溶剤完全フリー化には至っていない。沈降・ダレを防止する水系レオコン剤としては塗料に配合化された溶剤の影響を受けず、N.V低下や塗装作業性を悪くしないポリアマイド系であるディスパロンAQ-600シリーズがユーザーから高い評価を得ている。水溶性やエマルションなどの樹脂系に合わせ580、600、607、610、630とグレードがある。


また、ハンドリングを高めたグレードとして流動性ペーストのAQ‐870、添加剤から持ち込まれる溶剤をもゼロとしたAQX‐60、AQX‐61をラインアップ。6月から液状の水系レオコン剤としてポリカルボン酸系の新商品AQ‐001の紹介を開始した。今年中にはポリアマイド系の液状タイプをラインアップに加える計画も進行している。
アルミ顔料やパール顔料の湿潤剤としてAQ‐330に加えAQ‐320を展開し、アルミ顔料の塗料配合時のハンドリング性向上・溶剤削減・外観向上などでユーザーの高い評価を得ている。


表面調整剤では従来より展開中のシリコーンフリーのAQ‐7100シリーズのヌレ性・ハジキ防止効果を更に高めた新製品を準備中。ワキ防止剤についても従来のAQ‐500シリーズのラインアップの強化を行い、各種塗料配合へ対応したバランスを重視した添加剤の開発を目指している。

機器

水性塗装の実績に自信深める ランズバーグ・インダストリー

「確実に水性塗料の引き合いが増えている。関東地区においては今期2ラインを立ち上げており、自社のノウハウも蓄積されてきた」と自信を示す。
環境への対応としてユーザーは水性塗装、粉体塗装の両方を検討するが、自社の製品の形状、ロット、色数などをベースに選択する。「大ロットで色数が限られるようであれば粉体塗装。小ロットで色数が多いと水性塗装になる。またその組み合わせで粉体塗装と水性塗装を導入するケースもある」という。スチール家具はこの方向のようだ。


今期納入した電気器具の塗装では下塗りに電着塗装、上塗りに水性塗装というもの。同社の直接帯電方式のアクアブロックIIによるベル型静電塗装で連続的に色替えを行っていくシステムだ。
「導入に際しては被塗物形状、塗料の種類に合わせて機種を選定していく。ラインによって塗装条件や作業環境も異なることから塗料メーカーと機器メーカー及びユーザーが一体となって取り組むことが重要」とコメントする。


特に水性塗料の場合、湿度による影響を受けやすい。「しかし今やさまざまな経験を積み重ね、また塗料自体の大幅な進歩も相まって水性塗装の管理幅も広がり、VOC削減の大きな武器となっている」と説明する。同社では溶剤塗装と水性塗装を併用し、段階的に切り替えていくことを提案するケースもあるという。


同社の水性塗装システムには直接帯電方式のボルテージブロックタイプの「アクアブロックII」と溶剤塗装の設備をそのまま利用できる間接帯電方式の「アクアリング」及びベルタイプの「アクアベル」「エアロベル」をラインアップしている。更にアクアブロックの色替え時間の短縮化に取り組むなどバージョンアップも行っている。
また2液ウレタン混合装置についてはITWが開発した「EZ-Flow(ハンドガンタイプ)」と「Dyna-Flow(オートガンタイプ)」を揃え、展開を進めている。

ACWシリーズのマーケット対応強化 旭サナック

旭サナックは水性塗料への対応としてエア静電ハンドガン「HB3000シリーズ」の展開を進めている。自動車のタッチアップ用に採用されており、近年海外での採用が進んでいる。「日系自動車メーカーの海外生産に合わせ集荷が伸びている」とコメントする。
同エア静電ハンドガンは高電圧印加部がエアキャップ内にあるため作業中に直接触れる危険がないことに加え、水性塗料用に開発した高性能ノズルによって霧化が高まり、高塗着効率を実現した。


また水性2液ウレタン樹脂塗料用に「ACWシリーズ」を開発、マーケット対応を強化している。自社開発の硬化凝集を起こさないマグネットカップリングパワーミキサーの採用で優れた分散と高品質の塗装を可能にした。更に多段圧力制御により50/min以下の吐出量でも安定した供給が行えるといった特長を持つ。
数年前に内装部品関連で採用されて以来さまざまな市場からニーズが出てきており、同社はそれらのニーズに対応、近々バージョンアップした機種を上市する予定だ。
建機などで採用が進んでいるハイソリッドへの対応については供給系とノズルの改良を図り、高粘度塗料への対処を図った。

2液混合・オプティミックスを展開 ノードソン

ノードソンは昨年11月に従来のフィニシングシステムズグループからインダストリアルコーティングシステムズに事業名を変更。コーティング全般にわたって粉体塗装、水性塗装で培った塗布制御技術をフォーカスしていく方向性を鮮明にした。
「ここ数年、これまでの塗装の領域からコーティング分野へと事業領域が拡大しており、更なる躍進に向け事業名を変更した」と説明する。液体、粉体ともに応用領域が広がり食品、電子材料にもシステム供給を行っている。


同社は焼付塗装の分野はメインが粉体塗装と判断しており、小ロット・多色の市場で溶剤から水性に変わっていくとの見方だ。一方常乾もしくは強制乾燥の市場は水性2液ウレタン塗装に変わっていくとの読み。
一昨年から欧州で開発した2液混合装置「オプティミックスシステム」の本格展開に入った。同品はノードソン独自の電気制御式定量混合による最も安全性を備えた2液混合装置。自動、手動、エアスプレー、エアレスなどに容易に接続、機器を選ばない。また同システムは2液をそれぞれ電気的に流量計測、攪拌してスプレーガンに供給するシステム。


塗料及び硬化剤はそれぞれ相反した粘度、混合比率であっても5cc/minの低吐出から2000cc/minの領域まで安定的に供給する。更にシステムはPCなどとインターフェースを設け塗料の安定供給管理や洗浄溶剤使用量の算出を行うことができる。
「2液材料混合後の吐出量や使用量をExel形式のファイルに取り込む他、混合制度、アラーム履歴などの塗布情報の管理も行える」。ソフトウェアは最大30パターンの主剤、硬化剤、混合比率が登録できる。


既に欧州において建機、重機、自動車部品で実績を有し、2液の他に3液などのマルチに対応可能となっている。混合はスターティックミキサー式を採用している。
また水性塗料に対する塗装技術としては「Kinetix(キネティックス)」静電スプレーガンシリーズにベルタイプの「RA-20」ロータリーアトマイザータイプをラインアップしている。更にボルテージブロックとして水性静電塗装用「Iso-Flo HDボルテージブロックシステム」を持つ。

大型ラインで採用 ダイニッカ

「サンキスサーモリアクター」が大型乾燥ラインで採用されるケースが増大している。これまでの実績で省エネ効果が実証され、温暖化ガスであるCO2削減の追い風に乗っているためだ。
ダイニッカがフランス・サンキス社の国内代理店として展開している触媒を使った輻射パネルヒーターがサンキスサーモリアクター。パネルユニット化されているため、フレキシブルにラインに対応でき、熱風乾燥との併用で省エネ乾燥を実現する。


省エネ効果のポイントは熱源の立ち上がりが速く、同時に塗料などの樹脂分との相関性の高い波長を付与するためポリマーを内部から硬化させる。このため水性や粉体塗料の乾燥事例では硬化スピードのアップとともに、塗膜品質の向上といったダブルメリットが得られている。
また、特に被塗物そのものではなく、表層の塗膜のみに熱エネルギーが消費されるところから、消費エネルギーは大幅に削減できる。自動車部品の鋳物や建設機器のアームの部分などに採用され、効果を実証している。
「ユーザーはVOCとCO2の両方の削減を求めており、生産性に寄与する点が評価されてきた」(担当者)と販売に力が入ってきた。

工業用水性向けに多彩な製品 日本ワグナー・スプレーテック

日本ワグナー・スプレーテックは溶剤系、水系塗料に対応した作業性とコストパフォーマンスに優れたピストンエアレス5機種を市場に投入、展開を進めている。
上市したのはニューマチックピストンポンプエアレス「エバ・モーション」。コンパクトで使いやすい設計が大きな特長。また同品はイタリア・ワグナー社が製造したことから高いコストパフォーマンス性を実現した。


同品の主な特長は新型エアモーターの採用により騒音を減少させた。また信頼性の高い新型切替えバルブを採用。更に素早い排気システムを搭載している。その他メンテナンスフリーのピストンロッド構造、スペシャルコーティングを施したシリンダーセットを採用。自動増締機能付パッキンセットなどを装備。
用途は金属、部品、産業機械、鉄骨、スチール家具、配電盤、家電、船舶、橋梁、大型車両のシャーシー塗装に適する。「アクセサリが充実しており、静電塗装もセットできるなど拡張性が高い」と汎用性の高さを強調する。


また同社は2液ミキシング装置「フレックス・コントロール」の販売に力を注いでいる。
同品はスピーディーでかつ精度±1%の正確なミキシングを可能にした電気制御のミキシング装置。最大12色のカラーレシピが設定でき、ウレタン、エポキシ、プレイエステル系の溶剤系、水系の2液塗料に適応する。
更に水性静電塗装機「アクアコート・エアスプレーユニット」を持つ。同品は安全性と利便性の追求をコンセプトに開発された製品。塗料の収納、塗料・ポンプ圧のコントロール、電流調整などの制御のすべてをユニットで集中管理できる。更に電動自動降下機能や二重安全システムの採用、加えてユニットボックスをアクリル板で囲うなど塗料の帯電に対しても安全性を確保している。同品の価格はポンプの種類によって異なるが140万円‐150万円。

処理能力が好評価され採用進む 仙台計装工業

仙台計装工業のスラッジ回収装置「ニックスクリーンシステム」が市場で評価が高まっている。日本車輌製造の溶剤塗装ラインや関西岡村製作所の水性塗装ラインなどの大手を皮切りに採用実績が増えている。


スラッジが設備に詰まると塗装ブースの排気量に影響を及ぼし、エネルギーコストや品質にマイナスが生じかねない。そのためいかに効率良くスラッジを処理するかはどこの工場でも求められるニーズとなっている。
同システムは塗装ブースにpH調整剤「MM-1」を投入しpH値を調整する。それと同時に凝集剤「ニックスNS-005」を投入することで、塗料スラッジの粘着性をなくして細かい粒子にして浮上させる。浮上した塗料スラッジは遠心分離式の全自動回収装置「ニックスセパレーター」に送り、スラッジと水に分離される。分離した固形スラッジはドラム缶に溜まり、浄化された水は塗装ブースで再利用が可能。


同社の飯高所長は「『ニックスクリーンシステム』はユーザーごとの受注設計のため、小型から大型までさまざまな塗装ブースに対応できる。塗料に関しても水性、メラミン、アクリル、ウレタン、UVといった塗料に効果を発揮できる」として、拡販を図っている。
また、レンタルとして展開しているのも大きな特長。レンタルのため、ユーザーは初期投資やメンテナンス費がかからないというメリットがある。資産勘定となるリースと違ってレンタルであれば経費として損金処理が可能になるという。

生産性、省エネに効果を発揮 ヘレウス

ヘレウスは中波長赤外線ラジエターを中心に各種ヒーターを展開している。粉体塗装や水性塗装で実績を高めており、水性塗料では自動車関連で採用が進んでいるという。「一般工業用では既存の乾燥炉の改良で済むことから導入効果も高い」とコメントする。
導入に当たっては「各工場の被塗物や乾燥炉の状況を考慮し、フレキシブルに対応できるようにしている」というように、ライン全体の生産効率に焦点を当てた提案を行ってきた。昨今では省エネニーズからヒーターを導入するケースも増えている。


「水性塗料では立ち上がり数分で目的の温度まで昇温(850℃まで可能)させることができるのでプレヒートゾーンに採用されている。粉体塗装ではその後熱風乾燥炉との併用で硬化させる使われ方が多い。いずれにしても昇温時間の大幅なカットとCO2の低減にも結びつき、かつ1ワークの生産効率が高まる」とメリットを強調する。
またラインの流れが格段にスムースになるだけでなく「水性、粉体の塗料の溶融・硬化に適したエネルギーコントロールをすることで高品質な仕上がり外観が得られる」と品質、コスト面でもメリットが発揮される。更に同製品はチューブタイプであることからコンパクトな設計が行え、既設ラインに合わせた形状で導入できるといった特長を持つ。


ここにきて、生産効率・省エネの視点から中波と近赤外線の中間特性を生かしたカーボンヒーターが注目され、引き合いが増えている。「フイルムコーティングの分野で採用が高まっている。特に1~2秒で立ち上がり、ヒーターの1本当たりのエネルギーが高いのでラインスピードを上げることができる。またON-OFFの切り換えが速いことからロボットにヒーターを持たせて部分的に乾燥させることもできる」とコメントする。
同社ではさまざまなヒーターを有することからコーティング分野への対応を強化していく考えだ。

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