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Last Updated: 2008年10月21日 18:53  RSS 2.0
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Web特集

2008年09月29日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装No.148 ツガワ 花巻工場コーティングセンター 塗装の内製化で一貫生産体制を確立

金属加工の大手、ツガワ(本社・神奈川県横浜市、社長・駒田義和氏)は花巻工場内に生産ラインと直結する形で花巻工場コーティングセンターをこの春に立ち上げた。総工費10億円を投じて設立した同コーティングセンターは下塗りに電着塗装、上塗りに水性塗装と粉体塗装が行える環境対応型塗装ラインの編成。今回、同コーティングセンターを取材し同社の方向性をうかがった。
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塗装事業部 事業部長代行本部長 高橋成年氏

塗装を従来の外注政策から内製化し、一貫生産システムを作り上げることでフレキシブルに対応しようとする企業が増えている。金属加工の大手であるツガワもその1社だ。ツガワはユーザーニーズにいち早く対応するために自社のネットワークの構築と一環生産体制を築くことでタイムパフォーマンスとコストパフォーマンスに対応。更にクオリティーを追求した結果が今回の花巻工場コーティングセンターの設立となった。

同社は1953年(昭和28年)に板金加工業としてスタート。業容の拡大を進め開発・設計から製造、納品更にはサポートまでのネットワークを構築。現在ではATM、アミューズメント関連及び半導体関連などの機器の設計・製造をメインに手がけている。生産体制としてはMS開発・花巻工場、北上工場、鹿角工場、二戸工場、シー・アンド・エーを擁し金型製造から板金プレス、塗装、組立、検査、出荷まで各工場が連携しネットワークを形成している。

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電着塗装

この春、花巻工場内に総工費10億円を投じて竣工した花巻工場コーティングセンターは下塗りに電着塗装を施し、上塗りに水性塗装及び粉体塗装で仕上げるというもの。従来塗装は北上工場内のシー・アンド・エーで行ってきた。「20年前に導入した設備で溶剤塗装と一部粉体塗装に対応してきた。乾燥炉の更新など行ってきたが、設備の老朽化に加え生産キャパシティが追いつかず外注に頼ってきた。更に納期の短縮化、品質の向上などのニーズの高まりに加え環境問題への対応などからコーティングセンターを建設した」と同社塗装事業部・事業部長代行本部長の高橋成年氏は経緯を説明する。

コーティングセンターの設立によって時間稼働に換算してひと月(22日稼働)の仕上げ面積の生産能力はシー・アンド・エーの約8倍の128万3000m2になる。更に第1生産センター、第2生産センター、第3生産センターに直結していることから効率のいい生産システムとなった。

一貫生産体制で生産効率を高める

今年の1月から3月に設備を搬入・設置し4月から稼働に入った。しかしトライアルに時間がかかるとともに、ユーザーの仕様変更がスムースに進まず思いの外遅れる。「これまで溶剤塗装がメインで一部粉体塗装を行ってきたが、今回量産品の屋外製品は粉体塗装で仕上げ、小ロット多品種品は水性塗装で行う仕様。ユーザーに仕様変更の承認を頂くとともに見本板の製作に時間を要した」と同社の森田一男氏は状況を説明する。特に下塗りに電着塗装を行うことでコストアップにつながるとの懸念がユーザーの過剰な反応となった。


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UF水洗

同社は一貫生産体制よるタイムラグの短縮と品質の向上、更には環境対応を目的にコーティングセンターを設立。タイムラグの短縮、品質の向上は直截的にユーザーはメリットが得られるものの、従来溶剤塗装をしてきたユーザーにとっては過剰品質になる。「梱包資材の廃棄費、横持ち運賃、管理者の派遣、更にはバリ取りの工程短縮などでコストダウンを図りほぼ従来同等の価格で受注できる算段」にある。


更に素材もタンデム材、SUS430、及びSUS304をSPCCに統一し、下塗りの電着塗装との兼ね合いによって性能とコスト面での両立を図る考えだ。
また塗装においても現場が不慣れなため、さまざまな問題に対処しながらの稼働。「見本板を作るにも一貫ラインのため載せて出てくるまでに約3時間を要し、水性塗装ではワキの発生、膜厚のバラつき、電着ではエアーポケットによる塗料の持ち出しなど当初の計画通りに進まず時間を費やした」と森田氏はコメントする。


今回、下塗りに電着塗装を導入した理由は「屋外製品に関してエッジ端面の防錆力をアップする狙いがある。これまでエッジ部がスケているケースがあった。そこで電着塗装+粉体塗装にすることで大幅な防錆効果を期待した。実際にエッジ部端面にきちんと塗料が付着していることが検証されている。また新たな仕様によって前工程のバリ取り工程が短縮できるといったメリットが生まれた」という。


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試行錯誤の水性塗装

ラインは前処理、電着塗装、水性塗装、粉体塗装の一貫ラインとなっており、ライン全長517m(ハンガーピッチ612.9)、コンベアースピード2.1~2.6m/minに設定。最大ワーク寸法はW・900mm×L・1800mm×H・2000mmに対応できる大型ラインで、メインの被塗物は箱物の筺体及びその部品。
前処理及び電着塗装は着荷後(1階)予備脱脂-脱脂-水洗-水洗-化成処理-水洗-水洗-温水洗-純水洗。そして(カチオン)電着塗装を行い3槽のUF水洗後に乾燥といった工程。化成処理と純水洗はディップ式となっており、特に化成処理槽は52m3の槽でリン酸亜鉛処理を施す。またメンテナンスを考慮し置換槽(54m3)を併せ持つ。


脱脂剤にはノニフェノールフリータイプを採用し、キレート剤配合による設備付着スラッジの抑制を行っている。また低スラッジタイプのリン酸亜鉛処理剤を使用することで廃棄物の削減と低温化(38℃)を同時に可能にした。


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水性静電塗装

電着塗料は国内初の白色電着塗料を採用。「電着塗装ではUFフィルターにより洗浄後の水を塗料と水に分離し再使用することで95%以上の使用効率となっている」という。前処理剤、電着塗料は日本ペイントが供給。
上塗りの水性塗装と粉体塗装は直列に配備し、水性塗装の塗料は日本ペイントのオーデエコライン。機器はランズバーグインダストリー製のラジェンドガンを装備した1レシプロ6ガン(横列)を対面に設置し静電塗装を行っている。水性のボルテージブロックは直接帯電方式の絶縁架台式による。架台2台を用いて1台に塗料タンクを2つ揃え4色を自動切替えで行う。また補正には2人を配して対応している。


水性塗装ブース内は湿度コントロールがなされ、常時50%に保たれている。ストロークは200mmピッチ、セッティングは10分に置く。「この春、水性塗装から立ち上げたが、ワキの発生が多く焼付温度を165℃×20分から145℃×20分に下げることで落ち着いてきた。更に梅雨場のタレと次々と問題が発生し対処に苦慮している状態」と森田氏は打ち明ける。また経験不足から(静電気)帯電量の調整、吐出量、エアー圧の細かなコントロールがうまくいかず膜厚(平均膜厚30μm)が一定しないなど試行錯誤の連続の様子。


粉体塗装はノードソン製のカートリッジ式のプラスチックブースを採用。シュアコートを装備した1レシプロ6ガン(縦列)を対面に設置し、メイン色のホワイト系2色を回収再使用しており、その他の塗料は吹き捨てで対応している。現状の色替え時間は2人で40分程度。メイン色2色以外は吹き捨てにすることで生産効率を高める選択をした。塗料は日本ペイントのビリューシアを採用し、平均膜厚40-50μmの平滑仕上げを目指す。
上塗りの水性塗装と粉体塗装は焼付温度が異なるため温度管理が大変だ。通常は水性-粉体-水性のローテーションで行っている。

組塗装への移行を進める

ユーザーの仕様変更を行いながらの稼働であるが、経験不足もさることながら電着塗装、水性塗装、粉体塗装を同時に立ち上げて管理していくのは大変なことである。特に水性塗装は作業性の面で制約される。溶剤含有量が5%程度の水性塗料(ポリエステル塗料)となるとシビアな管理が求められる。「1シーズンを通して行ってみないとどのような問題が発生するか分からない。しかし現状、溶剤塗装と同等の要求を水性塗装に求められてもできることとできないことがある。それをきちんと理解し管理手法を確立していくこと」と森田氏は課題を指摘する。


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粉体静電塗装

被塗物の多くは筺体である。オーダーメイド品が多い中で、その半数は自社で設計していることから電着塗装のエアーポケットによる塗料の持ち出しやねじ穴の埋まり(粉体塗装)など設計段階からの工夫で改善していく考え。
更に今後、現状の部品塗装から組み立てて塗装する組塗装への移行を進めていく方針。「もともと組塗装を目標にしており、そのためにゴンドラの塗装治具を設計し試作を始めている。ゴンドラに組み付けの済んだ筺体を載せて吊り上げて塗装していく仕組み」(森田氏)と説明する。


同社は環境をキーワードに防錆力の向上を目指し、下塗りに電着塗装、上塗りに水性塗装、粉体塗装を採用した。今後、水性塗装は自社で調色を行いながら塗装することで差別化に結びつくとの思惑もある。「あせらずに着実に問題を解決しつつ自前の管理手法を確立していく」(高橋氏)と前向きだ。


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汚泥処理装置

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花巻工場前景

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