Web特集
2008年10月21日
粉体塗料・塗装特集2008 企業動向(塗料メーカー)
既存製品の価値を見直す ナトコ
毎年10%以上の伸長を続けるナトコの粉体塗料事業。試作段階から本格導入への流れが加速するなど粉体塗装自体の裾野の広がりが需要増に直結していると見る。
初期導入時に比べて生産能力は倍増しており、昨年増設した分も既に飽和状態に達している。5割増しが望める3直体制も"奥の手"として据えるが、これ以上の設備増強には控えめな姿勢も。「5年後には需要は頭打ちになるのではないか」と慎重な見方を示す。
HAAタイプの状況については、「もうひとつ代替への動きが弱い。低温、コスト面、ツヤありはいいが、仕上がり感やツヤ消しの自由度がない」など一長一短の様子。現在、ポリエステル系ではウレタン硬化系6-7割、HAAタイプ3-4割の供給となっている。また同社が注力する膜厚40μmを実現した薄膜粉体についても塗料単価ベースのコストアップがネックとなり、弱含みとなっている。
それでも粉体塗料を取り巻く環境は追い風基調。「新しいマーケットを探す必要がなくなった。中堅企業が先駆的に粉体へと切り替えるケースが増えている。1コートの魅力から模様粉体に対するニーズも増している」と話す。更に伸ばすためには、「短納期、調色、小口対応など溶剤塗料とのギャップをどれだけ埋められるかが重要になる」と指摘する。
しかし旺盛な需要の一方で、採算面では依然課題も残す。そこで同社は生産体制のあり方を再考する一方で、既存製品の見直しも示唆。「HAAタイプにしてもメリットをもっと訴求していきたい。CO2削減、燃費削減という本当の特長を生かしきれていない」。省エネ、省資源の観点からも「既存製品の見直しを図ることで改めて価値提案ができるものがある」との方向性を示す。
低温硬化への取り組みを強化 BASFコーティングスジャパン
近年の原燃料高騰のあおりを受け、粉体塗料・塗装業界ともに厳しい環境に置かれている。「塗料価格に関しても社内のコストダウンの努力では原材料高騰に追いつかず、お客様にコスト負担をお願いしなければならない状況が続いている」と担当者。
一方、ユーザー側にとっては塗料価格のアップに加え、焼付工程でのユーティリティーコストの上昇が追い討ちを掛けている状況。このため、「ユーティリティーコストの削減に寄与でき、かつ省エネ、省資源対策にもなる『低温硬化』を重要な開発テーマとして掲げ、検討を続けている」。
そのひとつとして開発したのがポリエステルウレタン系粉体塗料の低温硬化タイプ。従来、硬化剤であるブロックイソシアネートの解離温度の制限から170℃が限界とされていた同塗料において、「硬化剤の変更、及び硬化促進剤の最適化を図ることで、外観の平滑性を損なわずに160℃での硬化を可能とした」とし、供給を始めた。
更にエポキシポリエステル系粉体塗料においても「反応性の観点からのポリエステル樹脂の選定、及び硬化促進剤の最適化」により、従来160-180℃を要していた焼付温度を140℃まで下げられ、かつ保存安定性も良好な塗料の開発に成功している。
一方、HAAタイプに関してはヤニの抑制、低温硬化(160℃)が可能なことから「現在主流のポリエステルウレタン系代替のNo.1と目されているが、塗膜外観のピンホールや黄変、耐湿性、耐食性など塗膜性能の問題からいまひとつ置き換えが進んでいない」との見方。
これに対して同社は「HAA系粉体塗料に最適な前処理の登場で性能面の問題が解消できることを確認。更に塗料処方の最適化によってピンホールや黄変といった塗膜外観の問題を解消し、かつ155℃で硬化可能なタイプの開発を行っている」とコメント。低温硬化型粉体塗料の開発を更に推し進めることで、「お客様にとって使いやすい安定した製品の提供」を目指す。
バリエーション増やし販売力強化 三王
三王は粉体塗料「コナール」のオンデマンドオーダーを展開。短納期・小ロット生産といったオリジナル戦略で成長を続けている。溶剤塗料から粉体塗料への切り替えが進み、出荷数量は月間10トンレベルとなっている。
樹脂別では、ポリエステル樹脂系のニーズが高まっている。ツヤありから半ツヤまでをラインアップしたことで用途の幅が広まった。半ツヤタイプが増えており、今まで溶剤系やエポキシ/ポリエステル樹脂系に流れていたニーズを取り込む格好となっている。
また、意匠性模様タイプ「コナールウエーブ」が工作機械関連を中心に採用が増えている。従来はエポキシ/ポリエステル樹脂系のみだったが、ポリエステル樹脂系や高耐候ポリエステル樹脂系を上市、模様も従来のテクスチャーからサテン調までバリエーションを増やしたことが奏功した。
昨年からサンプル的に進めていたボンディングメタリックの販売を本格スタートさせた。「溶剤塗料ではムラが出ないようにするのは難しいが、粉体塗料ではその心配がない。作業性や粉体塗料ならではの仕上がりを提案していきたい」(高橋専務)として椅子、事務機、ショーケース向けに展開を図る。
年度内には低温硬化タイプを上市予定。高橋専務は「塗料の管理を考えたとき、最高焼付温度は低すぎても貯蔵安定が難しいので160℃くらいの設計を予定」と話す。樹脂はエポキシ/ポリエステル樹脂系。市場では燃料費の高騰が続いており省エネ効果を武器に市場投入を図る。
この程、模様タイプ及びメタリックタイプの色見本を作成するなど、販売体制を強化しており、販売店としての全国ネットワークを生かしてオンデマンドオーダーを強みに需要創造に取り組む。
高耐候性ポリエステルの需要高まる トウペ
トウペの粉体塗料出荷数量は2ケタ成長を続けている。VOC規制法もあり、溶剤塗料から粉体塗料への切り替えが進んでいるためで、製造工場は2直体制を敷き対応している。同社では鋼製家具、鋳鉄管、自動販売機向けをメインに展開している。
樹脂別では、エポキシ/ポリエステル樹脂系、ポリエステル樹脂系に加え、ここにきて高耐候性ポリエステル樹脂系のニーズが高まってきた。
「従来は室内がメインだったが、性能が向上し外壁材に対応できるレベルに達した」(担当者)ため、屋外向けにも販路が広がっている。外装材や自動販売機向けなどに付加価値製品として展開している。また、硬化剤は低公害・低毒性のHAAタイプが増えている。「今後はますますより安全な粉体塗料の使用が進んでいく」(担当者)。
低温硬化タイプとして、エポキシ/ポリエステル樹脂系で140℃×20分の製品を上市。「焼付温度を20-30℃低減することにより、燃焼エネルギーを約10%レスできると考えている」と担当者。少エネ効果や温度上昇しにくい厚い鋼板などの塗装でも効果的となっている。
VOC規制が広がりを見せる中で、粉体塗料を使用する小規模工場への移行も進みつつある。同社では技術供与している三王と提携し、特定ユーザー向けに少ロット対応を行い、マーケットの裾野の拡大を図っていく意向。
新需要に関して担当者は「マーケットをみると、部品などを国外調達していたメーカーの内製化が進んでいる。国内で製造するとなればそこに新たな需要が生まれる。掘り下げるべき需要はある」として、機器メーカーとのタイアップ・連携を強めることで仕上がり品質の向上を図り、拡販に注力する方向。
メタリック粉体塗料が伸長 コープラント
コープラントは台湾アクゾノーベルから粉体塗料を輸入、販売している。
今期は前年比2ケタ伸長と順調に推移している様子がうかがえる。伸長に大きく貢献しているのがボンディングメタリック粉体塗料だ。納期は標準色で1週間から10日、オーダー品であれば1カ月見てほしいという。オーダー品のミニマムロットは300kgから。
「標準色から採用されるケースは希で、ほとんどがオーダー品。300kgの量がまとまればコスト的にもメリットは大きい」と説明する。現状の出荷量の3分の1をメタリック粉体塗料が占める。その他、模様粉体塗料などの特殊品も国内では固定ユーザーを持つ。
同社の出荷量の半分がエポ/ポリのハイブリッドタイプ。コストパフォーマンスを生かし国内メーカーからの切り替えが進む。「国内メーカーでなければダメというユーザーは少ない。スペックに合えば問題ない」という。
またパウダーの粒子径を揃え、シャープな粒度分布にしたフロー性に優れる粉体塗料や帯電効率を高め、塗着効率に優れる粉体塗料など差別化製品の紹介を進めている。
「10年以上の実績から徐々にアクゾノーベルの名前が浸透している。年々粉体塗料のニーズは高まっており、ジョブコーターなどからも引き合いが増えている。そのほとんどが口コミからの紹介」という。
低温硬化タイプを相次いで投入 神東塗料
神東塗料の粉体塗料事業は出荷量で前年比微増、伸び率はやや鈍化傾向にあるようだ。「建築基準法改正による着工遅れが響いた」と担当者。新築需要の減退に伴い家電製品や鋼製家具、各種設備などの需要が下落。また「昨年はLPGボンベの再検査に伴う再生塗装需要を見込んでいたが、思うように戻ってこなかった」(同)ことなども出荷に影響を与えた。
そうした中、需要開発への大きなテーマとして掲げるのが低温硬化への取り組みだ。塗装工程からのCO2排出削減、更には原燃料高騰の厳しい環境下にあるユーザーサイドに対して寄与度が大きいと見るためだ。
他社に先駆けて市場投入し、経験も豊富なポリエステルHAAタイプに加え、同社では150℃×15分を可能としたポリエステルNCOタイプを開発、積極的な提案を行っている。従来170℃が限界とされていた同粉体塗料で、触媒の微調整による反応開始温度を速めたことで低温硬化を達成した。「まだ量との兼ね合いもあり、通常のウレタン硬化に比べ1.5倍ほどのコスト高となるが、売上は順調に伸びている」と低温硬化へのニーズを確信している。
また内部用途ではハイブリッドタイプの低温硬化を進めている。一般的に160-170℃を要する同粉体塗料で、140℃で硬化するタイプを開発。「粘度の問題から仕上がり外観に若干劣るが、筐体内部など外観よりも防錆重視の箇所に適している」とし、提案活動を活発化させている。
同社では低温硬化に加え、「仕上がり外観とエッジカバリング(防錆)の両立」を技術開発の大きなテーマとして掲げる。「この相反する項目の精度を高めることで粉体塗料で需要開発できる分野、用途がまだまだ広がる」とし、製品開発に取り組む。
デザイナー向けに営業展開を図る タイガードライラックジャパン
タイガードライラックジャパンはアルミサッシ、アルミカーテンウォールなどのアルミ建材に向けた展開を進めている。
昨年は仙台一番町ビルのアルミサッシ約6,000m2に高耐候性ポリエステル粉体塗料のシルバーメタリックが採用された。既に神奈川工科大学、豊田市体育館のサッシなどにも採用されており、確実に実績を高めている。「ビルのアルミサッシが粉体塗料に置き換わる可能性が高い。近々に超高層ビルでの採用事例の情報を提供できるだろう」と自信をのぞかせる。
同社の出荷数量の約半分をメタリックが占める。「既にメタリック色で100色近い在庫を持つ。一昨年製作した色見本帳が好評で、色見本帳からの指定も増えつつある」ということだ。同社のメタリックは中国で生産されているが、セカンドジェネレーションの輝度の高いメタリック粉体塗料。
また昨年は円安ユーロ高に翻弄された。更に原料高から同社の仕入値も上がっている。「ボンディングメタリックが中国で生産されるのを期に中国からの調達に変えることで在庫量を圧縮した。発注から2週間で入るので、多くの在庫を抱える必要がなくなった」という。更にエポキシ/ポリエステルの販売を取り止め、建材用の高耐候性ポリエステル粉体塗料に統合することで更なる絞り込みを行い、トータル的に値上げ分をカバーした。現在の在庫量は約40トンという。
今後、同社はビル、店舗の内装関連向けに粉体塗料の推進を図っていく方向だ。「これまで技術サポートを中心に据えて営業展開を進めてきたが、当社のメタリック粉体や意匠性・デザイン性の高いファインテクスチャーを中心にデザイナーに向けた展開を図ることでマーケットを広げていく」方針だ。
HAAタイプで焼付140℃を可能に 関西ペイント
関西ペイントの今期前半の出荷数量は前年比3-4%の伸長幅となっている。「7月以降減速、粉体塗料の出荷は下期の伸びが高いので後半に期待する」とコメントする。
同社は総合塗料メーカーとして粉体塗料に限らず水性塗料、電着塗料、ハイソリッドとユーザーの求める適切な塗料の提案を重視する。「適材適所の提案を心がけている。電着+粉体塗装の2コート2ベーク仕上げを、電着の焼付を半ベークにして粉体塗装し、一緒に焼き付けてしまうことでエネルギーコストの低減を図る省エネ工法を確立するなど、総合メーカーとしての優位性と技術力で価値を見出していく」方向を強調する。
一方、汎用粉体塗料のニーズは依然として低温硬化、薄膜化が強い。昨今の原燃料の高騰や素材高の中で省エネ、省資源、省工程によるトータルコストダウンを求める動きが高まっている。
同社は低温硬化が可能なHAAタイプのポリエステル粉体に着目し、硬化温度を下げる開発を進めてきた。現在溶剤並みの140℃×20分を実現した。「樹脂や触媒の選定から独自の処方によって達成した」という。既にひと月に約10トンレベルで出荷しており、「現状、ユーザーを絞りモニター展開の状況にある」とコメントする。
屋外用途の耐候性が求められるユーザーや大型ワークに採用されており、「イソシアネートのウレタン硬化タイプの高耐候性粉体塗料と同等の塗膜性能にある。特に(HAAタイプ系は)屋外暴露では促進耐候性試験よりいい結果が得られている」と説明する。
今後、VOCにとどまらずCO2の削減といった大きなテーマが控える中で、粉体塗料ではエポキシ、ハイブリッドタイプでそれぞれ150℃硬化が可能になっており、今回のHAAタイプの低温化によって弾みがつきそうだ。
新製品を開発、無発煙、ヤニレス訴求 久保孝ペイント
久保孝ペイントは非ブロックイソシアネート(非B-NCO)硬化型ヤニレス粉体塗料「ニッシンパウダーPE.777ライン」の本格販売を始めている。既に同タイプの製品は個別ユーザー向けに2年前から供給を開始していたが、塗料設計を見直し、コスト対応を図るなどリニューアルを実施。個別ユーザー向けとして量的拡大を目指していきたいとしている。
同777ラインはポリエステル樹脂系粉体塗料で、焼付温度は通常180℃×20分。オプションで160℃×20℃の低温硬化タイプも可能だが、同社がまず訴求したいのは、無発煙でヤニが出ない点。ヤニの発生が著しい場合は被塗物を黄変させてしまうことから、「ヤニレス機能を前面に訴求していきたい」との意向を示す。
ブロック剤フリー、非カプロラクタム製品では先行してHAAタイプを上市しているが、付着性、耐アルカリ性、耐湿性、耐中性塩水噴霧性において、777ラインの方がHAAタイプよりも性能面で優位性を発揮していることから「コンタミの問題からHAAタイプを推奨していくケースもある。ユーザーに応じてプリミド系と非プリミド系を販売していく」と使い分けを提案する。777ラインにおいては、耐候性、耐食性、耐熱黄変性、ヤニレスを特長としていることから、道路資材や照明灯反射板などへの採用を狙っていく。
同社の粉体塗料事業は「業界平均の伸びを見せている」と毎年売上を伸ばし続け、全社売上の50%を超えるまで成長している。昨年は東京に開発部を設け、ターゲットを絞った形で新規顧客の拡大を図るなど精力的な動きを見せている。
開発面では機能性に対するニーズが増加。耐すり傷性機能や鋼製家具向けに溶接スポット跡や素材の粗を隠す機能性ボンディングメタリック粉体を開発するなど、意匠性を兼ねた機能性粉体の開発提案も積極化している。
また計192色を常備色に揃えるカラーカードについても「重要な戦略ツールとして位置付けている。色の見直しなど進化を図っていきたい」と小口需要も強化していくとの意向を示す。
粉体塗料でマーケットイン ローム&ハースジャパン
ローム&ハースジャパンは国内の粉体塗料ビジネスに向け準備を進めている。「コアユーザーをメインにビジネス展開を進めたい」としており、マーケットリサーチを行う一方、国内参入に標準を合わせた作業を開始した。
ローム&ハースの粉体塗料ビジネスはモートンの買収による。既にワールドワイドな展開を図っており、中国・米国・イタリア・スペインに生産工場を有している。
また国内においては既にコイルスプリングの粉体塗料で実績を持ち、商社を通して輸入販売されている。「もともと北米(自動車部品生産)において採用された塗装仕様が国内の対米輸出車にも採用され輸入販売してきた。下塗りにジンクの粉体塗料+上塗りにエポキシ粉体塗料を使用して2コート1ベークで仕上げる仕様(デュアルコート)」と説明する。同社はこの実績を基に自動車部品へのデュアルコートの紹介を進める考えだ。
更にアルミホイール用としてアクリル系粉体塗料を欧州で展開しており、認証が取れていることから国内においても展開を図っていく意向を示す。「クリヤーにとどまらず下塗り、中塗り、上塗りのシステムとしての対応も可能なことから欧米の実績を基に情報提供を含め対応を図っていきたい」という。
その他、差別化製品としてアルミ建材用粉体塗料、意匠性・デザイン性の高い模様粉体塗料、ボンディングメタリック粉体塗料なども合わせて紹介を行っていく方向だ。
超低温タイプで低燃費、省エネ訴求 川上塗料
量的拡大から質的転換を図る川上塗料。昨年開発した110℃×20分(被塗物温度)の超低温硬化エポキシ粉体塗料がふた夏を超え、実用レベルに達したことから販売展開に弾みがついている。
同社が需要分野に見据えるのは機械部品分野。鋳物、アルミ、紙加工品、プラスチック複合材など高熱加工が難しいとされる素材への応用展開。「ハニカム構造の紙加工品にアルミシートを貼り付けた飛行機の内装材についても良好な評価を頂いている」と手応えを見せる。
同品のガラス転移温度は50℃台。心配される貯蔵安定性については「夏場は25℃以下の管理で3カ月、冬場で6カ月は充分可能なレベルと確認できている」と説明。
同社としては需要分野の拡大を図る一方で、まずエネルギーコストに対する寄与を前面に訴求していきたい意向を示す。「炉壁からの放熱、ハンガーなど搬送設備による熱の持ち出しなども含めた総合的なエネルギーコストの比較の結果、180℃→120℃焼付により、約50%のランニングコスト低減可能との試算結果を得ている(某塗装設備業者に協力依頼)」と説明。省エネ、CO2削減に寄与する"低燃費"粉体塗料としての価値を訴求していく。
今後の展開としては、現在同品は純エポキシ系で耐候性に課題を抱えていることもあり、屋内用途で熱容量の大きい厚ものの部品素材の採用を視野に入れる。その一方で、更なる需要拡大を図るべくレベリング性のアップや意匠性の開発を図る他、中耐候性ポリエステル系の超低温化タイプの開発にも着手するなど、超低温硬化機能を同社の機軸機能と位置付ける。更に顧客ニーズに対応した模様粉体塗料の開発、またボンディングメタリックの供給も始めている。
生産設備の投資計画については、需要増に対して現在の2直から3直に対応する準備を図る一方で、「設備更新の時期が近づいている」とこの2年以内にも段階的に着手していくとしている。
付加価値製品の販売に注力 中国塗料
中国塗料は粉体塗料「コナロンシリーズ」を展開。ここ数年はメタリックや意匠性粉体塗料といった付加価値製品の販売が増加し、その結果「出荷数量では横ばいだが売上は増加している」(担当者)との傾向を示す。
メタリックは耐薬品性など物性が向上したため、屋内部だけでなくフェンスやドア、農機具など屋外向けにも用途の幅が拡大。溶剤系メタリックからの切り替えも進んでいるという。特に回収が可能なボンディングタイプのニーズが高まっている。
同社ではエポキシ/ポリエステル樹脂系、高耐候ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系など用途に合わせた製品をラインアップ。ユーザーの要求に対応するため、ウレタン・TGIC・HAAなど硬化系タイプ別にトータルでの提案を行っている。最近では環境対応や低温硬化といった特性を持つHAAタイプの販売に注力している。
同社の低温タイプは各樹脂系でラインアップしている。エポキシ/ポリエステル樹脂系では標準タイプの「コナロンH8000」(180℃×20分)に対して「コナロンH8600」を上市。155-160℃×20分の低温硬化タイプで、鋼製家具などで採用されている。「熱風温度の低減化など省エネニーズは高まっている」(担当者)。
更に同社では省エネ化として、薄膜低温硬化型エポキシ/ポリエステル樹脂系の「コナロンH8000TF」の採用実績もある。薄膜化(約40μ)により塗料使用量の削減も可能になる。薄膜化、平滑性、高隠ぺい性、高外観をアピールし溶剤からの切り替えを図る。また懸念される貯蔵安定性も良好で夏場でも使用が可能となっている。
塗料から塗膜形成までトータルな提案 日本ペイント
日本ペイントの粉体事業が順調に推移している。今年度上半期の月平均の出荷量は750-800トンレベルにある。
好調な要因はスチール家具メーカーの大手を中心に伸長している他、関連会社及び下請け業者も粉体に切り替えている点を上げる。更に季節ものの家電製品(エアコンなど)の出荷が引き続き好調に推移していることによる。
ここ数年の原燃料の高騰と環境問題が相まってユーザー側から省エネ、省資源、省工程、更にそれを踏まえてのトータルコストダウンの要請が強い。
同社ではビリューシアを前面に省資源、コストダウンの提案を行っている。「薄膜・美粧仕上げによって塗料の使用量の低減が図られるとともに、帯電コントロールや被塗物とガン距離などの調整によって回収効率が高まり廃粉が少なくなる。その結果、産廃物の削減にもつながる」と説明する。このような営業提案が奏効し、同社の粉体塗料の中でビリューシアの占める割合は40%となっている。
またCO2絡みからの省エネニーズも高い。塗料メーカーサイドからの対応としては低温硬化の開発になる。「現状、HAAタイプのポリエステル粉体塗料で低温硬化への対応を進めている。従来2次物性の問題が指摘されてきたが、前処理剤部門と一体となって取り組むことで2次物性の問題はクリアした。利用に給するレベルから更なる低温化に向けて努めており、160℃から150℃、更に140℃に向けフィールドテストを行っている」という。
更に省エネ、省工程に寄与するのが粉体調色システムだ。既に6システムが稼働中にあり、同社は更なるバージョンアップに取り組んでいる。「これまでは少量ながらも残塗料が発生した場合廃棄していたが、ユーザーからの要望もあり省資源の観点から再調整して再使用できるようにCCMのバージョンアップを図った」と説明する。
その他、これまでの焼付乾燥炉は熱風循環式が一般的であったが、同社はIHやIRの導入によって生産効率が高まるとともに省スペース、CO2対策向けに検証を進めていく意向だ。
アルミ建材へ対応を強化 大日本塗料
大日本塗料のこの上半期の出荷数量は前年比2ケタアップと昨年に引き続き好調に推移している。「VOC対策がフォローの風になっている。月平均の出荷数量は500トンレベルで推移しており、(粉体塗料は)下半期が需要期になるので、更なる拡販に期待する」と積極的だ。
好調な要因はスチール家具が伸びていること。「大手を中心に粉体塗装への切り替えが進んでいる。中小メーカー及び下請け業者はいまだに溶剤系を使用しているところが多い。今後も期待できる分野」とコメントする。
また建設機械もいい様子。建設機械は各部位ごとに素材が異なることから塗装仕様も異なる。「従来の2液ウレタン塗料、フタル酸系塗料を使用していた部位が粉体塗料に置き換わっている」と状況を説明する。熱量の大きな厚板ものに関してはIRと熱風式との併用によって省エネ、CO2削減、生産効率を高めるなどの動きが顕著という。
同社は省エネの視点から従来のポリエステルウレタン硬化タイプで低温化に取り組んできた。既に160℃×20分タイプが製品化されている。しかし、カプロラクタムフリー、更なる低温化のニーズに対しウレタン硬化タイプでは限界があるとの判断。加えてアルミ建材への対応としてHAAタイプの高耐候性粉体塗料の品揃えが求められつつあることから、HAAタイプのポリエステル粉体塗料の開発を急ピッチに進めている。「下地処理から上塗りまでトータル的な対応を図っているが、それぞれの用途ごとにテーマを決めて開発を行っている。現状、用途を限定すれば十分製品として給するレベルのものもある」とコメントする。
またアルミ建材関連への対応としてHAAタイプの高耐候性ポリエステル粉体塗料の開発とともに、超耐候性ともいえるふっ素樹脂粉体塗料「パウダーフロンCW」を新たに開発した。従来のアルミサッシやカーテンウォールに使用されてきた溶剤系ふっ素樹脂塗料同等の性能を有するもので、今後アルミ建材への対応を強化していく方向を打ち出す。
アクリル粉体塗料の市場開拓に注力 東亞合成
東亞合成は自動車部品をメインにポリエステル系粉体塗料、エポキシ系粉体塗料及びアクリル系粉体塗料を展開している。今期前半の出荷数量は前年比3-4%のアップとなった。対米輸出の減少、更に国内消費の減退から国内生産も減る傾向にあり、「景気の後退が鮮明になる中で、先行き不透明」とコメントする。
そのような中で、数年前に開発した120℃×20分硬化のエポキシ系粉体塗料の引き合いが増えている。「CO2の問題や樹脂と金属の複合材料の採用などからマスキングレスにして工程短縮のコストダウンを図る考え」と事情を説明する。
硬化温度が120℃ということから貯蔵時には30℃以下での保管を求める。また塗料の受注ミニマムロットは1トン以上ということだ。
また同社はアクリルメーカーとしてアクリル酸エステルからの一貫生産を行っている。この生産体制を生かしアクリル粉体塗料で差別化を図ろうとしている。「アクリル系粉体塗料は塗膜性能としては耐候性に優れ、また焼付温度も150℃と溶剤系塗料とほぼ同等。しかしコストがネックになっている」と打ち明ける。
同社としては耐食性にも優れ、かつフロー性のいいアクリル系粉体塗料の開発を進める意向を示す。「アクリル系粉体塗料は一部のアルミホイールのクリヤーに採用されているが、大きなマーケットの動きはない。開発を急ぎニッチなマーケットで実績を重ねていきたい」とコメントする。
GLOBE COLORSの普及へ カドワキカラーワークス
カドワキカラーワークスは粉体塗装のカラー戦略を志向する。4月に独自の粉体塗装カラーサンプル「GLOBE COLORS(グローブカラーズ)」を完成させ、ますます独自色を強めている。
GLOBE COLORSは粉体塗装色の色見本帳で、メタリック、ソリッド、パールニュアンス、サテン調など自社技術による豊富なカラーバリエーションが特長のオリジナルカラーツール。同社では5人の営業体制を取り、設計士やデザイナー向けに意匠を提案。既に有名ブティック什器やアミューズメント機器、携帯電話及びデジタルカメラの試作品などで採用されている。
門脇正樹社長は「グローブカラーズに対する反応は当初の思惑よりも大きい。デザイナーが持っている『色数が少ない』『量産でないと対応してもらえない』といった粉体塗装のマイナスイメージを打ち破るインパクトがある」と手応えを感じている。
今後は量産での色の再現性など塗料メーカーとタイアップした形で品質向上を図っていく。更に導電性や絶縁性など機能性を付加させた粉体塗料の開発も見据えている。
同社の今後の方向性としては、カラーデザイン提案から板金加工までをカバーした事業展開に取り組む。横浜地区は地場産業が少なくメーカーから最終仕上業者までの体制が整っていない。そのため塗装だけの請け負いで、加工業者が遠方の場合には輸送コスト負担も少なくない。そのため「板金をカバーすることで受注を広げていく」(門脇社長)として、地元業者とのネットワークを強めることで、トータルコスト低減や品質向上を図り営業展開を図っていく。
塗装の高付加価値化を図る 城南コーテック
城南コーテックは塗装の高付加価値化に取り組んでいく。「単なる平米単価だけの受注ではなく、要求性能に合わせて前処理からの提案をしたり、塗装では電着プラス粉体、粉体プラス溶剤、下塗プラス粉体などさまざまな組み合わせで提案をしていく」(渡邊忠彦社長)と、より優れた品質づくりを志向する。
そのためにはユーザーニーズを的確に把握する必要があり、従来のプレス加工業者からの受注だけでなく、よりメーカーに近い位置で、最終仕上である塗装・塗膜性能の提案に注力する。
また、省エネに関しては「当然取り組んでいかなければならないこと」としながらも、省エネ=低温硬化タイプ粉体塗料という単純構造にはいかないという。「当社では粉体塗装ブースでの無人化を実施しているが、ブースには空調設備がないため、特に夏場では室内温度は高くなっている。そのため塗料のブロッキングの問題が出てくる」。
当然、空調設備を設置すれば新たなエネルギーが必要となり、低温硬化による省エネ効果が分かりづらくなってしまう側面がある。そのため塗料には保管での貯蔵安定性だけでなく、作業時でも耐ブロッキング性が求められる。
渡邊社長は「コーターが取り組まなければならないこともあるし、塗料の作業性などメーカーに求めることもある。また、お客さんもこうした状況を理解してもらった上で粉体塗装を考えてもらうことが大切」と互いの理解の必要性を訴える。