Web特集
2008年11月12日
シリーズ: 揺れるライン塗装
揺れるライン塗装№149 大型製品向けに新工場を建設 カドワキカラーワークス
カドワキカラーワークスは粉体塗装のオリジナルカラーサンプル「GLOBE COLORS(グローブカラーズ)」を作製するなど、粉体塗装のカラー戦略を志向。少量多品種対応、デザイン性の高い豊富なカラーバリエーションといった他社とは差別化したアプローチで成長を続けている。最近では、今年銀座にオープンしたヨーロッパのクリスタルメーカーのビル内壁や什器、日本に進出する北欧のアパレルブランドの店内什器、新宿の老舗百貨店のヘルスフロアーの内壁パネルなどを手がける。こうした中、デザイナーにカラーデザインを提案する上で、大型製品の依頼も少なくなかったという。
門脇社長は「当社は商業店舗などの物件対応も多く、そういうときに大型製品の問い合わせもあった。しかし、これまで対応できる設備がなかったので、お客様側に設計段階で当社の設備サイズに合わせて、ワークを分割して対応してもらっていた。協力会社に外注するケースもあった」と語る。
そこで新たな事業展開を図るため、建築建材など大物の塗装を行える大型コンベアを導入した工場を新設した。塗装有効寸法はH2,150mm×L4,200mm×W1,000mmと大型製品への対応力を有する。また、溶剤塗装にも対応したライン構成にしたことで、大物、小物、溶剤塗装、粉体塗装までをカバーした幅広い対応力を身に付け、ユーザーニーズに合わせた塗装プランニングの提供を可能にした。
独立した大型前処理
K2新工場の敷地面積は750でライン全長は60m、そして大型ディッピング槽による前処理設備が独立した構成となっている。前処理をラインと分けた理由について、工場長の芳賀友晴氏は「当社の場合、以前より営業戦略としても単物件対応や少量多品種などを得意としており、当然その素材材質や前処理方法も多岐にわたります。製造サイドとしてもその戦略に対応していく必要があり、塗装ラインと前処理工程を独立させることで、あらゆる物件にフレキシブルに対応していくことが可能です。また、脱脂しにくい製品であっても、ラインスピードの制約を受けずに、時間をかけてしっかりと前処理することができる。もちろん大型製品の前処理だけの作業も受注できる」とメリットを説明する。
今までも同社には前処理のみの問い合わせが来ることもあり、本格的な大型ディッピング槽により事業拡大に向けた新たな広がりを見込んでいる。
工程は脱脂-水洗(1回目)-化成処理(リン酸鉄皮膜)-水洗(2回目)-湯洗の5工程のディッピング方式。処理時間は20-30分ほど。化成処理工程ではエアーバブルにより液剤を攪拌させ複雑形状でも確実な皮膜形成を行う。乾燥工程はなくエアーブローまたは自然乾燥で行っている。水洗はオーバーフローで使い捨て・注ぎ足しを行っており、水はph調整を行った後、活性フィルターでろ過させてから排水している。
溶剤・粉体に対応した大型塗装ブース
大型塗装ブースは開口部H3,500mm×L6,400mm4,100mmッシュプル方式で設計。自動車メーカーの塗装ラインと同じダウンフロー方式の水洗ブースを採用。オーバースプレーミストはグレーチング下へ吸い込まれていく。
また大型製品対応により、ブース開口部が大きくなってしまうが、ワークのサイズに合わせて排気ファンの回転速度を変化させ、プッシュプルのブース内圧バランスを最適な状態にコントロールすることで、ゴミの侵入を最小限に抑えている。
「少量多品種であるために、埋蔵管のブラッケット、機能製品、パーソナル向け製品、アーティスティックなモニュメントなど製品ごとにそれぞれの使用目的や用途や製品価値レベルをよく理解する必要があるため、品質に対しては神経質すぎるくらい臨機応変に判断していく必要があります」(芳賀工場長)という同社の姿勢を具体化。高品質・高外観を売りに成長しているベースとなっている。
塗装は溶剤塗装と粉体塗装の両方に対応している。塗装はハンドガンで行っており、粉体塗装はランズバーグ製のユニットガンを使用。ユニットガンは1つの塗料タンクに2ガン、2コントローラーがカートに設置してある。塗装マンは4人を配置し、溶剤塗装と粉体塗装の作業時間帯を分けている。
芳賀工場長は「溶剤塗装と粉体塗装では乾燥炉の設定温度が違うので、ラインがフル稼働した場合でも、きちんと効率よく塗れるよう、1日の段取りを考慮して工程を管理する必要がある」と常に最適な方法を思考する。
大型製品という共通項があっても、物件対応を得意としている同社では形状が異なるものが多いことが予想され、いかに柔軟な塗装体制が組めるかが効率的なライン稼働に重要となってくる。実際、本格稼働したばかりの現状でも直径3m、2.4m、2mのパラボナアンテナや3.5mの柱などワーク形状はさまざまだ。
K2工場では現在は溶剤塗装の方が多い状況だ。環境問題を見据えて粉体塗装に切り替えるタイミングを計っている客先も多く、同一ラインで比較のための試作塗装も容易に行えるため、スムーズに粉体塗装への移行が可能となっている。
将来的にはK2工場へもレシプロ導入を見据えている。継続品に対しては作業効率も良い上、同社としても粉体塗装のノウハウを生かせるというメリットがあるためだ。
乾燥炉は赤外線と熱風併用
焼付乾燥炉は電熱式近赤外線と熱風循環の併用タイプを採用。近赤外線により短時間で温度上昇させ表面をメルティングさせて、熱風循環で硬化させることが粉体塗装には適しているという。加えて、板厚の厚い大型製品も焼付時間を短縮するために近赤外線は有効だ。また、オーブンを平型炉とし水平コンベアーラインとすることで、長尺物の焼付も可能にした。
乾燥炉の制御盤にはあらかじめ8つのメモリーが設定でき、溶剤塗装、粉体塗装、溶剤塗装+粉体塗装などさまざまな仕様に対応して設定温度をボタン1つで変更することができる。
また、乾燥炉の外壁パネルにはGLOBE COLORSのサテン調のブルーを使用し、カドワキのロゴマークを表記した。無機質な工場内にブルーが鮮やかに映える。カラーデザインを志向する同社ならではのこだわりが表れている。
対応力を強化し事業拡大
K2新工場が設立するまでは、大型製品や溶剤塗装の発注が来た場合、同社のネットワークを通じて協力会社に依頼するケースもあった。しかし、外注ではどうしても品質と価値とのコンセンサスがとれず、不具合が生じることも避けられない。特にGLOBE COLORSなどカラーデザインにこだわるデザイナーや同社に対し、協力会社との間に価値観の違いが発生することもしばしばあったと言う。
「物件対応であれば一発勝負。そのとき顧客に認めてもらわなければ、その後の発注はなくなってしまう。そういう意味でも社内の目の届く場所ですべての塗装を管理したかった」というのが門脇社長の思いだった。
景気後退が続いている中では既存ユーザーからの受注増は見込みにくいのが現状だ。そんな中で同社では設備及び人材への投資を行い成長を図る方向だ。対応力を強化することで、従来カバーできなかった大物塗装及び将来的な粉体塗装への移行を見据えた溶剤塗装といった、新規ユーザーの獲得に注力していく。「今後も日本人にしかできないこと、カドワキにしかできないことを提案し続け、市場のニーズにしっかりと応えていきたい」と意気込む。
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