Web特集
2008年12月09日
1116(いいいろ)の日特集2008 ケーススタディ(1)タミヤプラモデルファクトリー・こうべディーアイワイ・クラブ
プラモデルを買ったその場所で組立、塗装、撮影ができる―。そんなありそうでなかったワークショップが今年3月、トレッサ横浜にオープンした。 その名も「タミヤプラモデルファクトリー」。国内トップの模型メーカーであるタミヤ初の公式ショップとして位置付けられ、オープン以来、新聞、テレビで多数取り上げられるなど内外の注目を集めている。
仕掛けたのはガソリンスタンドや工業用潤滑油の卸売から釣り堀やバッティングセンターといったアミューズメント施設など幅広い事業を手掛ける今関商会(本社・川崎市川崎区、社長・今関康裕氏)。「気兼ねなく模型づくりができ、塗装のできるスペースがあったらいいね」という今関社長の何気ないアイデアが事業化に向けて舵を切った。何よりも圧倒的なブランド力を持つタミヤからブランドと商品提供の協力が得られたことで一気に具体化した。 このショップ構想には大型ショッピングモールの建設計画を持つディベロッパーらがこぞって関心を示し、出店誘致を打診。結果的に川崎という地の利があることに加え、ものづくり支援を掲げるトヨタ自動車が関東初のオートショッピングモールを立ち上げたことから「トレッサ横浜」での出店を決めた。
店内はプラモデルや関連商品を販売するショップゾーンとアトリエゾーンを設置。アトリエゾーンは仕切りのある20席のワークデスクを設置し、壁には懐かしのプラモデル写真を飾るなど、さながら"お父さんの趣味の書斎"の雰囲気を醸し出している。デスクの広さや高さ、イスのデザインなど細部にまでこだわった。またガラス張りにすることでモール内を歩く人からも中の様子が見えるようにした。塗装室は4つのスペース各所にエアブラシと集塵機を備え付けている。 料金は一般で平日30分400円(会員300円)から。工具の貸し出しや作りかけのプラモデルを保管できる専用ロッカー(有料)も用意している。
当初は昔に模型作りを嗜んだ50代、60代といった団塊世代層の来店を想定していたが、蓋を開けてみると家族連れの客も多いという。現在、第3期ミニ四駆ブームと言われており、土日にはミニ四駆を楽しむ子どもたちで賑わいを見せている。 オープンして半年以上が経過した。従来、坪単位当たりの販売を重視する大型店舗小売において、空間部分の多いワークスペースを設けることは採算面では逆行したビジネスと言える。ただ、トレッサ横浜の専用ホームページでは常に上位のアクセスを記録するなど注目度は抜群。同店ではイベントの開催やプラモデル教室も随時開催しており、一般消費者と直接触れ合う機会を増やすことこそが新たなプラモデルファンを開拓することにつながるとの考え方に立っている。
アドバイスがファンを増やす
昨今のプラモデルは成型技術が革新したことでより高精度な組立ができるようになった。その一方で、仕上げという完成度に直結するペイントは今も昔も作業する人の手に委ねられており、それがプラモデル作りの醍醐味ともなっている。
そこで同店は単なる場所の提供にとどまらず、知識の提供や技術アドバイスができる人材を常駐している。プロモデラーであり、エアブラシでは多数の著作を持つ同店マスターの長谷川伸二氏(写真)がその人だ。
長谷川氏は「これまでプラモデルの販売を担ってきた町の模型店が減少し、量販店に取って替わられている。しかし彼らは模型店のオヤジさんのような対応はしてくれない。客にとっては模型への疑問や悩みを相談したくともできない。コミュニケーションが取れず、聞こうにも聞く場所がなくなっているのが現状です」と語る。ちょっとしたアドバイスをする人材や情報がないことがプラモデルファンの人口を減少させたと指摘する。
特にペイントにおけるサポートの存在は大きく、塗料・溶剤の選択、エアブラシの使い方、調色など初心者には分からないことばかり。しかし、完成に対する期待は大きいだけにイメージした仕上がりが得られなければファン離れにもつながる。それだけに「失敗しても、リカバーできることを知ってもらいたい」と説明する。仕上がり感に対しては、鏡面仕上げ、メタリック、パールマイカなど実車さながらの仕上げを目指すことも。趣味の世界だからこそ、こだわりは深い。
長谷川氏は毎日無料でエアブラシ教室を開催し、エアブラシの使い方やメンテナンス方法を伝授している。特にものづくりや色を愉しむ機会が乏しい子どもたちにとって、リアル感を追求したエアブラシ塗装に対する関心は高いという。「何度も練習してエアブラシを上手にこなせるようになった小学5年生の子もいる」。
同店はかつての子供から現在の子供へと世代継承を担っている。
10月17日、一般消費者を対象にHDC神戸で開催された「ケイソウ土塗り方教室」(主催:日本ケイソウ土建材)に飛び入り参加した。 講師を務めるのはこうべディーアイワイ・クラブ代表の北村隆雄氏。同クラブは白色珪藻土壁材のリーディングメーカー・日本ケイソウ土建材やNHK文化センターからの委託を受け、平成16年から毎月1回以上教室を開催、受講した一般消費者の延べ人数は「優に1,000人を超えている」(北村氏)人気のDIY教室だ。
塗り方教室のスタートは午後1時半。最初の1時間強は座学で、珪藻土壁材の特性、特になぜ日本ケイソウ土建材製品なのか、住環境や人体への効用を交えて説明が行われる。続いて下地処理、養生、塗り方と講義が続くが、例えば下地の状況(下地の種類やアクが出やすいか否か、既存壁紙の上からあるいは剥離後などの状態ごと)と対処方法、必要なツールの情報(購入場所と価格の目安、攪拌機については手持ちの電動ドライバーに着脱できるアダプターでOKなど)が具体的に伝えられ、一般消費者のDIYへのハードルを低くする。 そして塗り方の説明。初めて鏝に触れる人も多く、うまく塗れるかどうかが心配。「職人のようにフラットに仕上げるのは難しいが、素人が無心に塗った壁はプロでは真似のできない味わいがある。素人なりのテクスチャーと光の反射が醸しだす"揺らぎ感"は抜群」との独特の言い回しに参加者は俄然やる気を盛り立てられる。教室開催の一方で、DIYヘルパーとして活動する北村氏の実体験をベースとした語り口に、参加者は一様に「北村ワールド」へ引きずり込まれていく。
座学終了後はいよいよ塗り体験。特製の体験用ボードは枠や幅木に見立てた木枠で囲み、マスキングや際の納め方も体験できる。初めて鏝を使うため最初はおっかなびっくりの参加者も、「細かなことは気にせずたっぷりと塗り付けて大胆に鏝を動かせばいい」とのアドバイスに乗せられ作業に没頭。 途中、用意された2種類の材料の違いを確認したり、櫛引や波ゴテなどのテクスチャー仕上げにもチャレンジしながら、時間一杯作業を楽しむ。一人当たりに割り当てられた面積は2ほどだが、塗っては剥がしながら作業を行い、参加者は「DIYでも十分にできる」との手応えをつかめるボリュームを体験できる。
この教室の特徴は、実際にDIYで使用する予定者が多いこと。事実この日参加した女性は「中古物件を購入してリフォーム、天井と壁は石膏ボードのままで、近日中にセルフ塗り壁をします」と気合十分。また別の男性は「時間的な余裕もあり、DIYリフォームを予定。既存のプリント合板にも施工できることが分かり、やる気が出てきた」とコメント。そしていずれも珪藻土の持つ住環境や健康へのメリットを期待するとともに、自ら住まいづくりを楽しみ、住まいへの関わりを深めていきたいとの想いが伝わってくる。
こうべディーアイワイ・クラブ代表の北村氏はユニークな経歴の持ち主だ。もともとは企画やイラストなど広告デザインの仕事が本業。しかし、平成7年、阪神・淡路大震災で住居が全壊し、新たに家を建てることに。これを機に家づくりへの関わりを深めることになる。 北村氏が目指したのは「ローコストかつ健康的で頑丈な家」。途中、「既存の工務店相手では施主主体の家づくりができない」など住宅建築の在り方に対するギャップも経験したが、被災者住宅復興支援組織との出会いを通じて北村氏の家づくりの要望は叶えられた。
このとき、低予算をカバーするため自分でできる範囲は自ら施工するハーフビルドを決行、その中で珪藻土塗りを初めて体験した。この経験で「施主が主体的に家づくりに取り組むことの大切さ」を実感、その後の「ケイソウ土塗り方教室」へとつながっていった。 「数々の材料を試したが、調湿、消臭、汚れにくさなど効果がずば抜けている」ことから、使用する材料は日本ケイソウ土建材製品オンリー。この材料を使いDIY教室の他、DIY施工応援、工務店からの依頼物件を手掛けている。 DIY教室は月に1-2回のペースで神戸、京都、大阪、徳島などで開催している。参加費は1,575円で、毎回15-20名が参加する。またDIY施工応援は日当18,000円プラス諸経費実費で行っているが「施主の真剣に取り組む姿、達成感、住まいづくりへの想い、そして素人が無心に仕上げた味わいにいつも刺激を受ける」と精神面でも活動の糧になっている。
ただし、「まだボランティアの範囲を超えておらず、これらの活動だけでは飯が食えない(笑)」ため、現在は広告デザインとの兼業。ボランティアから事業として確立することを目指している。
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