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Web特集

2008年12月16日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装№150 協信 粉体高速色替えブースを導入し、生産性向上 

協信(本社・岐阜県中津川市、代表取締役社長・山尾恭右氏)は高まる多色化ニーズに対応するため今年8月に粉体高速色替ブースを導入した。その結果、大幅な色替え時間の短縮と塗料回収によるコストメリットを実現。「ユーザーに溶剤塗装から粉体塗装への切り替えを提案し新規需要を増やしていきたい」(山尾社長)として事業の拡大を図る考えだ。
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代表取締役 山尾恭右氏
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社長付 新井日出夫氏
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製造部塗装課課長 佐藤有二氏

協信は板金、塗装、溶接、組立事業といった、三菱電機の中津川地区協力工場であった4つの会社が統合する形で1972年に設立。住宅用レンジフードを中心にエアーカーテンやバス乾燥・暖房・換気システム用機器など三菱電機の換気送風機を素材加工から完成品組立まで行っている。その工程はプレス加工-溶接-塗装-組立-検査を経て完成品として出荷。


また、本社工場(敷地面積8,430m2)に加え、2001年には新たな生産拠点として福岡工場(岐阜県中津川市、敷地面積1万7,345)を新設し、他メーカーからの受注を確保したり、部品ごとに受注するなど更なる事業拡大に取り組んでいる。現在の従業員数は200名、年商は約40億円。
主力製品であるレンジフードは家電製品同様に販売力強化のためカラーバリエーションが増える傾向にある。
ここ数年、同社としても多色化における生産性の向上は大きな課題となっていた。そこで、色替え時間の短縮及び自動化による効率アップを図るため高速色替えブースの導入を決意。今回、ホソカワミクロンワグナー製の「スーパーキューブブースシステム」を導入した。

色替え時間が2時間から7分に

同社では塗装ラインは溶剤+粉体塗装ラインと粉体塗装専用ラインの2ライン体制を敷いている。今回、スーパーキューブブースシステムを導入したのは粉体塗装専用ラインで、ライン全長は250m。
建物の1階に前処理設備、塗装ブース、熱風乾燥炉があり、その後ワークは2階に移動して脱荷・検品作業になる。2階には組み立てラインがあり、塗装後すぐに組み立て作業に入れるような構成となっている。


前処理はシャワー式で、工程は脱脂2回-水洗い-水洗い・表面調整-被膜化成処理(リン酸亜鉛)-水洗い2回-乾燥の流れ。前処理剤は日本ビーケミカル製を使用。処理剤は薬剤により中和して排水している。
乾燥炉はガス熱風式で180℃-190℃×20分。熱風は交換機を通さずにそのまま熱循環を行っている。
塗装部門の人員は着荷2人、塗装2人、脱荷・検査2人に加えて全体を統括するリーダー1人の7人体制で作業を行っている。


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換気送風機

塗装ブースは1レシプロ4ガンを対面に配置。ガンは均一でソフトなスプレークラウドを実現した「HiCoat-C4」ガンを採用。後補正は1人が手動ガンで行っている。すべてに補正が必要となるのではなく、細かくチェックして要求膜厚に足りないワークのみを補正している。
主な被塗物のレンジフードのサイズは4種類あり、平均でH1400×W900×D600mmの箱物。通常のラインスピードは1.7-1.9m/minで吐出量は1ガン当たり標準90g/minに設定している。要求膜厚は40μm以上となっており、台所で使用されることから耐食性を有する膜厚が求められている。


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1レシプロ4ガンを対面に設置

粉体塗料はエポキシ/ポリエステル樹脂系で、大日本塗料と神東塗料の塗料を使用している。
今回導入したスーパーキューブブースシステムは、ブース本体のプラスチックパネルが壁面への塗料付着を抑えワークへの塗着効率を向上させる。オーバースプレー塗料はブース壁面に沿って落下し吸引スリットに捕集される。また、床面中央に落下した塗料はサイドにあるスリットに常時吸引される。ブース内は常にクリーンな状態を保つように設計。そのため最小の清掃作業で済む。
清掃は2名で実施している。清掃箇所はブース内部、塗料タンクやインジェクターがあるパウダーセンター、サイクロンフィルターなど。一方、ホース内部は自動で清掃される。


また、レシプロガンもパネル装置により前後するときにエアーブローで自動清掃される。同色系での清掃時間は「立ち上げ当初は20分だったが今は7分ほど」(製造部塗装課課長・佐藤有二氏)に短縮。大幅な効率アップを達成した。
同社では常備色30色を有し、1日の色替え回数は5~6回にも及ぶ。以前は「雑巾拭き作業など、手作業で細かく清掃していて2時間くらいかかっていた」(佐藤氏)。そのためラインを止めての作業となっていたが、清掃時間が7分になった現在はワーク間隔を調整して空きスペースをつくることで、ラインを止めずに清掃でき、塗装ブース以外の作業員の手を休めることがなく作業性の向上につながる。


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パウダーセンター

回収により塗料半減

粉体塗料は回収し再利用している。ブース内で落下した塗料はダクトを通じてサイクロンに送られ、そこで不純物と分離して塗料タンクに回収される仕組み。サイクロンとつながっているダクトは塗料が付きにくいためコンタミの問題もないという。
佐藤氏は「現在はまず白やクリーム、ベージュなど同色系だけを回収している。使用する粉体塗料量は回収する前は10袋だったが今は半分の5袋に減った。回収することで塗料使用効率は90%以上となりロスが少なくなった」と、塗料回収による大幅なコストメリットを実感する。なお、黒色などの場合は旧ブースにて吹き捨てで塗装しているという。


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塗料タンクに回収される

また、旧製造管理部・現社長付の新井日出夫氏は塗料メーカーの供給体制の変化の影響も大きいという。「今まで粉体塗料は350kg、400kgなどある程度の量からでないと塗料メーカーは対応してくれなかった。でも、最近では少量でも対応してくれる。たとえその分塗料単価が上がったとしても回収することで不利にはならない。今後更に回収率を高めることが自社の競争力になる」(新井氏)。


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清掃時間は7分に短縮

独自指針で環境配慮

製品の仕上がり品質に関しては「求められるレベルは高い」と新井氏。メーカー基準が製品や位置によって1-7級までに分けられている。現在の不良率は2-3%ほど。ゴミ、ブツ、ゆず肌などが不良原因となっている。不良品はそのままラインに乗せて1階の着荷場に移動しそこで手直しされる。同社では毎日数値化し推移を把握し、原因究明・問題解決に取り組む。
また、同社は中津川沿いに位置することや民間住宅にも近いことから環境には特に配慮している。汚水排出に関しては、法規制の3分の1という厳しい自主規制値を設けてそれに沿って排水している。


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着荷、不良品は戻され手直しされる

2005年には環境マネジメントシステムであるISO14001を取得。今回の設備導入が環境面でも大きく貢献すると新井氏はみる。「環境側面で言えば、LPG、廃プラスチック、汚泥など塗装部門が最も負荷の比重が大きい。そのため今回の設備導入によって、計画としては廃プラスチックの処理量(粉体塗装ラインだけでなく社内全体として)は約60%強減らせると見込んでいる」として、粉体塗装への転換及び粉体塗料の回収効率向上に注力する。


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脱荷後は隣りの組み立てラインへ

今回の高速色替えブースシステム導入により、同社は大幅な色替え時間の短縮と塗料回収による塗料使用量削減を実現した。8月に稼働したばかりのため、段取りや作業方法など改善点も残っている。例えば、換気送風機でも高級志向の流れがありメタリックカラーの要望も出ているという。そのため、同系色だけでなく、メタリックを含めたさまざまな色での色替えや回収に関しては「どうやっていくか。どのように影響していくかを調査することは、これからの取り組み事項」(新井氏)とのこと。ただ、粉体塗装の少量、多色化ニーズへの対応力強化への方向性は明確だ。
山尾社長は「粉体塗装のイメージも変わってきた。薄膜化も可能となり溶剤塗装からの転換の可能性も広がる。そうした新たな需要を創造し、今回導入した塗装ブースを最大限に生かして事業拡大につなげたい」と述べる。

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