Web特集
2009年05月18日
住宅塗替えマーケット特集2009 元請け支援ビジネス(ジャパンカーボライン・プロタイムズ・日本ペイント販売)
重防食塗料メーカーとしてのイメージが強い同社だが、実は低層賃貸住宅に特化した塗り替え施工会社との側面を併せ持っている。国内最大の低層賃貸住宅管理会社を顧客に持ち、約10年の実績、件数にして累計1万棟に及ぶ塗り替え実績を有しており、「ここで積み上げてきたノウハウが注入されている」(同社取締役・松山譲氏)のがJCC会の強みだ。
同社のもうひとつの顔である低層賃貸改修事業はシビアな世界だ。全国に数十万棟の管理物件を抱える顧客は、当然ながら数社の塗料メーカーに材工で受注を競わせる。その中で「ダントツのシェア」(同)を勝ち得ているのは「価格対応力だけでなく、施工品質、管理品質を含めた総合力で顧客に支持されているから」と明快に答える。
低層賃貸改修事業の施工会員は現在約140社。同社だけで全国にまたがる物件を管理するのは不可能で、現場でのことは彼らに任せるしかない。このためいかに会員施工店との信頼関係を構築するかが事業の生命線だ。
「受注価格がシビアな中で当社が高い利益を得ていたのでは会員の士気が下がる」と、同社が工事から得る利益は実質的な管理費のわずか数パーセントのみ。しかも受注価格そのものを会員施工店にオープンにしている。「厳しい制約の中でパートナーが利益を得られるよう最大限の努力をしている」姿勢が会員施工店との強い連帯感を醸成。それが現場での仕事ぶりに現れ、発注元の信頼を獲得、同社のシェアアップにつながるという好循環を生み出した。
更に、効率的な見積作成フォーマットや居住者に最大限配慮した施工管理手法、安全性の高い工事環境の整備など、会員が円滑に仕事を進めやすいよう施工バックアップのノウハウを蓄積。「当社はあくまで塗料メーカーであり、塗料の拡販が本来の目的。ただ、この10年の中で育まれたパートナーとの強固なネットワーク、良質な工事を遂行するノウハウの蓄積は大きな財産になってきている」とし、企業としての広がりに期待を寄せる。
元請受注に独自の優位性
こうした背景の中から、一般の戸建住宅の塗り替えを対象とした「JCC・全国10年塗膜保証の会」が誕生した。会員会社の一部から「元請けとしてビジネスを成長させたい」との声が強まり、それに呼応するかたちで同社が仕組みづくりに着手したもの。
ここには低層賃貸改修事業で蓄積してきたノウハウがふんだんに詰め込まれている。会員会社にとって最も優位なのは保証体制に基づく施主への安心感の訴求。JCC会の塗膜保証は国内で唯一、大手損保会社が担保した保証内容となっており、施主の不安解消という点で高い効果がある。
また工事内容そのものでは塗料の独自性がポイント。標準スペックの「無機くん」は、過酷な環境下で使用される重防食塗料専門メーカーの同社が絶対的な自信を持つトップコートのノウハウが生かされている。
住宅塗装としてはかなり贅沢なスペックで、無機由来の"ふっ素を上回る超耐候性"が実曝25年以上の光沢保持を約束。大切な家の資産価値向上という点で訴求力を持つ。
更に、カタログやチラシなどの販促類には会員会社の社名を直接印刷するとともに、"住友グループ塗料メーカー"を冠した現場用の垂れ幕、会員専用のネームプレートなどを用意。「こうした付帯的なものでも、きちんとしたものか否かで施主の印象は大きく変わる。会員が単独で揃えるにはコスト的に困難。こうした販促類も会員にとっては大きなメリット」と説明する。
そして直接的には目に見えないが、低層賃貸住宅の改修工事で体得してきた施主への対応能力がJCC会会員の大きな強みになっているという。「不特定の人が入居するアパートでは、種々のクレームが発生し、工事に当たっては細心の注意を払わなければならない。例えば休日前の作業終了時には養生シートをすべて巻き上げ、日照や居住者の視界を確保するなどの配慮が必要で、アパートの改修で揉まれた細かな気遣いが会員には自然と身についている」と説明する。
JCC会では、工事ごとの塗料の購入と販促類の実費のみで、ロイヤルティなどは発生しない。「先述のように重防食に特化した塗料メーカーとの本分に揺るぎはない。従ってJCC会においても塗料の拡販が当社の目的。ただ強固な信頼関係を築いてきたパートナーとのネットワークはまぎれもない事実で、この財産をどのように展開していけるのか、今後が大いに楽しみ」と、塗料メーカーと塗装店との新たな関係づくりが始まっている。
元請志向の塗装店を強力にバックアップする戸建住宅塗り替えリフォームのフランチャイズ組織「プロタイムズ」(本紙既報)がスタートした。「超地元密着による対象顧客の完全データベース化」で潜在顧客を顕在化させ、コンスタントな受注による小規模塗装店の事業の永続性と利益体質を高めるのが主眼。事業意欲の高い塗装店が続々と参加表明しており、住宅塗装市場の一大旋風となりそうだ。
先月、フランチャイザー(本部)となるアステックペイントジャパングループの「プロタイムズ・ジャパン」(本社・福岡市、代表取締役・菅原徹氏)が設立された。4月4日に行った初の事業説明会には50社の塗装会社が参加、このうち20社は早速事業への参加表明を行うなど「予想以上の反応」(菅原氏)を見せた。
プロタイムズが想定するのは、およそ3万世帯を1つのエリアとし、この商圏内で永続的に事業展開できる小規模塗装店の姿。「3万世帯のうちマンションや塗り替えをしない世帯を除くと1万棟ほどが対象として浮かび上がる。塗り替え周期を20年とすると、毎年500件ほどの工事がエリア内で発生し、どこかが受注している。プロタイムズの加盟店は地域No.1を目指しこのうち30%強の年間170-180棟、金額にして2億円/年の元請受注を想定している」とビジネスモデルを説明する。
これを実現するのが同社独自の元請支援プログラムで、本紙2月4日の紙面でも報じた通りその内容はシステマチックで完成度が高い。
根幹となるのは「超地元密着による完全データベース戦略」。対象となりうる物件すべてに対して築年数や住宅タイプ、素材、劣化度、次期施工の目安、施主の年齢層や家族構成、嗜好に至るまで細分化してデータ管理が行える。
一方で各種販促資料を豊富に揃え、現場見学会や地域イベントへの出展など販促のバリエーションも多彩。対象顧客の属性に合わせた「適時適切なアプローチ」を継続実施することで潜在層を見込み客に昇華させていく。
更にこの管理ソフトは、どの顧客にどのようなアプローチを行うかなど、担当者のその日の業務が明示される。営業に不慣れな担当者の仕事を定量化できるため、「現場管理者など現有の従業者が無理なく顧客アプローチを行える」。営業マンを雇い入れることの困難な小規模塗装店がいかに営業効果を高めるかを主眼にシステム設計された。
また、現調、プレゼンでは、施主への説得力を高める「建物診断DVD」、平面図から即座に立体パースを立ち上げ正確な面積の算出、水彩画風パースや現物塗見本で施工後のイメージを確認できるシースルー機能など"魅せるプレゼン資料"作成ツールを用意、クロージングでの受注確度を高める。見込み客の発掘からアプローチ、クロージングに至るまで漏れのないシステムを完成させた。
万全の人材育成プログラム
小規模塗装店を想定したこうしたハード面の充実とともに、プロタイムズが注力するのが人材育成プログラムだ。
加盟店に対して経営者及び営業担当者の1日研修を毎月1回義務づけ、東京と福岡で行う。経営者研修は活発な意見交換の場とし、成功事例など有用な情報を共有するとともに、加盟店同士の精神的な結びつきを強める。
また担当者レベルの研修ではロールプレイング、各種ツールの効果的な使い方、数字への意識づけなどスキルアップとともに、それぞれが抱える問題解決のコンサルテーションの場とする。「同じような立場の全国の仲間が集まることで刺激を受け、モチベーションが高まる」狙いもある。
更に、3カ月に1回ほどの割合で職人研修も組み込む。「職人さんは現場の顔。彼らのマナーや仕事ぶりひとつで、施主や近隣への印象は180度変わる。常用さんへの遠慮もあり改まって職人研修を行っている会社は少ないため、既に参加している加盟店の経営者からは好評」とのことだ。
こうした人材育成を通じて加盟店の底上げを図り、地域競合他社との競争力を高めるとともに、フランチャイズシステムの根幹でもある加盟店との意識や方向性の共有化、規律の遵守にも役立てたい狙いがある。
プロタイムズの料金体系は、加盟金、開業パック費用、月々の固定ロイヤルティの他、施工出来高の変動ロイヤルティからなり、「小規模塗装店の加入を想定し、無理が少ない金額」に設定されている。
システム使用料、研修などはすべてこの中に含まれ、また変動ロイヤルティは瑕疵保証の原資に充てられる。ただし、この料金体系はパイロット店的な側面のある今年度のみで、次年度からは加盟金及び固定ロイヤルティは増額になる予定だ。
使用塗料に関してはプロタイムズ発祥の母体となった「アステックペイント(遮熱・防水)」を中軸に、光触媒(ハイドロテクト)、フッ素系、シリコン系、ウレタン系で仕様を組む。
工事価格は大手ハウスメーカーやリフォーム会社の価格帯をベンチマークし、下請けや流通を排除した元請けだからこそできる2ランク上のスペックやサービスを訴求する。防犯センサーライトの設置やエアコンホース巻き替え、ガラスや樋の清掃、基礎・土間洗浄など「お客様が喜ぶサービス」を無償で行う。
菅原徹社長は「住宅塗り替えのコンペチターであるハウスメーカーは自社のOB客を中心に数字が読める。これに対して独立系の塗装店はほとんどがスポットで、数字が読めないというのが共通した悩み。工事を取り続けなければならない宿命の元請塗装店に対して"数字の見える化"を約束し、社会的な地位の向上を含め永続的なビジネスにつながる支援を行う。それがプロタイムズの使命」と説明する。
日本ペイント販売・カラモニーは今年から大幅な戦略の転換を実施する。カラモニーをスタートさせて10年が経過。これまで塗料販売店を基盤とした塗り替え物件の受注、機能強化に努めてきたが、3年前から開始した色彩ブランド「ハナコレクション」(以下・ハナコレ)の落とし込みや受注体として末端施工店の存在が際立ってきたことから、今後は販売店を基点としながらも施工店に対する支援型ビジネスへ軸足を移す。
同社では住宅塗装分野を成長市場との見方を一段と強めている。同社マーケティング部部長・清水潔氏は「大型物件が減少し、マンション改修においても下地診断の実施や価格競争により利益が悪化している。住宅分野におけるストック需要は多く、建築塗料市場として伸びるのは住宅分野しかない」とコメント。更に今回の戦略の転換を清水氏は「販売店の本来の姿を強化していくため」と表現する。
販売店との共存共栄、活性化を行動指針としたカラモニー事業は販売店が塗り替え物件の受注体になるべく、カラーシミュレーションソフトやコンピュータ調色機の設置、カラモニー専用塗料の開発、ディズニーキャラクターのステンシルサービス、ANAマイレージシステムとの提携、塗装コンシェルジュ「男を上げる」など機能強化並びにサービスの拡充に努めてきた経緯がある。これらを通して、地域に根ざす販売店の存在を際立たせ、活性化させるとの視点があったからだ。全国110拠点と広がりを見せていることからもカラモニーに対する期待がうかがえる。
しかしながら、カラモニー事業全体に目を向ければ、積極的な活動を見せる販売店がある一方で、稼働率や成長性の点で限界が見えてきたのも事実。清水氏の「本来の姿を強化する」との言葉の裏には、販売店が現状の取引先である施工店の将来性に関与し、サービス提案を強化することが最も有効な形であり、拡張性の高いビジネスだとの見方があるためだ。また塗装施工店の元請指向の高まりも拍車をかけた形となった。
"デザイン"としての訴求へ
従来、住宅塗り替えの受注体としてはハウスメーカー、リフォーム会社、工務店などが挙げられる。ハウスメーカーはOB顧客に特化しているためマーケットに対する占有率は小さい。主流はそれぞれの地域に存在する工務店やリフォーム会社。現在では、これに専門工事業者である塗装店が元請けとして加わり、受注競争を繰り広げている。しかし同社としては、「元請け、下請けを問わず、施工は地元の塗装店が携わる」ということに主眼を置き、カラモニーは生活者に対するブランド展開を積極化する一方で、施工店への訴求を強化。川上・川下の両面に向けてブランド認知の向上を図ろうとしている。現在、その看板となっているのが「ハナコレ」だ。
ハナコレは花の色彩イメージと塗装を連動させることで、単なる塗り替えからデザインの領域へ踏み込んだ色彩コンセプト事業。ツートーン配色やアクセントカラーを取り入れるなど、「彩色生活」という新たな価値訴求を図っている。またこれらの配色提案を同社のデザイナーが担うという点も大きな差別化要因。清水氏は「塗り替えをしなければ家が潰れるわけではないため、生活者の塗り替えに対する意識は想像以上に低い。需要を喚起するためには"モノ"を売るという発想ではなく、"コト"を売る発想が必要と感じた」と話す。
ハナコレの利用においてはリフォーム会社向け、塗装施工店向けといった限定は設けておらず業種問わず利用できるのが特徴。定期刊行物「ペイントかわら版」(発行部数1万部)による情報発信を行う一方で、養生シートや販促物、グッズなどのノベルティを充実させることで顧客満足度の向上を図る。カラモニー店はこれらサービス機能の仲介役としての存在感を発揮することが期待されている。
ハナコレのアンテナショップ
既にカラモニー店を仲介役とした施工店レベルでのハナコレの積極利用が進んでいる。2月には都内3カ所に拠点を持つ塗装リフォーム会社・リフォームプラザが日本ペイント販売、カラモニー店との連携でカラモニー発のハナコレショップとしてスタートを切った。新設した学芸大学前店は同社初となる来店型ショップスタイルをとっており、カラモニー事業としてのアンテナショップ的役割を担っている。
学芸大学前店店長の日高弘路氏は来店型ショップ開設に至った経緯について「競争が厳しくなる中で、当社としては施工品質を徹底的に向上させていくことで差別化を図る方針を固めている。そのためにISO9001も取得した。また使用缶数表示や見積りの明示化など品質の裏づけに対するシステムを持つ日本ペイントとカラモニー店との関係を強固にすることは当社にとってプラスになると判断した」と説明する。店内はガーデニング向けの木部用塗料「ローズガーデン カラーズ」の陳列及び店頭販売を行っている他、ハナコレデザインによる施工写真を壁面に飾る。
ハナコレに対して日高氏は、「これまで塗料の種類や塗装回数による耐久性が差別化のポイントだったが、ハナコレによる色彩提案は他社にない大きな差別化ツール。特にメーカーのデザイナーが自分の家のために配色提案をしてくれることに施主様は非常に価値を感じてくれている」と成約率を高める上でも有効との見方。今後の展開に対する手応えを感じている
« 前のWeb特集 | Web特集アーカイブ | 次のWeb特集 »