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Web特集

2009年09月08日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装No.153 日本エネルギー VOC排出対策で溶剤から粉体に切り替え

日本エネルギー(本社・東京都八王子市、取締役社長・清水宣彦氏)のMIYAMAブルーガスセンターでは2005年にLPガス容器塗装仕様を溶剤塗装から粉体塗装に切り替えた。その理由は"VOC排出量削減"。粉体塗装では色替え・回収再利用するなど生産性の効率化を図っており、環境対応で導入した粉体塗装が耐久品質の向上に寄与するなどのメリットをもたらしている。
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取締役部長兼MIYAMAブルーガスセンター所長・久田静氏

日本エネルギーはガス・石油卸部門、ガス小売・住宅設備部門、容器検査部門があり、MIYAMAブルーガスセンター(八王子市美山町)は、容器検査部門としてLPガス容器(ボンベ)の再検査業務やガス充填業務を行っている。工場の敷地面積は1,300m2で、従業員は管理職の他に検査17名、充填3名、事務4名の構成となっている。
メイン業務はボンベの検査で、10月から4月までが需要期となっており、この期間内は月に約1万8,000本のボンベを検査・再塗装している。その他の時期でも平均約1万本の受け入れがある。


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再検査・再塗装後のガスボンベ

現在、ガス充填業務を行っている工場は東京都で30カ所ほどあるが、再塗装を含めたボンベ検査を行っている拠点は都内では同工場のみ。オール電化や、ボンベを置く必要がない都市ガスが配管を伸ばすなど、LPガス需要は減少傾向にあるものの、LPガスボンベの検査需要は安定している。
LPガスボンベの再検査期間は高圧ガス保安法で定められており、平成元年4月以降に製造されたボンベに関しては5年に1回、製造後20年以上経っているボンベについては2年周期で検査することが義務付けられている。
同社ではコンピュータでデータ管理したボンベ再検査システムを構築。受け入れから出荷までのボンベ管理を徹底して展開している。


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耐圧試験・乾燥装置

その工程の流れを見てみると1)ボンベのデータ収集:各ボンベの記号、番号、製造年月日、ユーザー名を登録する2)外観検査:熟練工による目視で腐食状態などを見て、状態が悪いボンベは廃棄する3)残ガスの回収:ボンベの上下を逆さまにして液体状のガスを回収し、その後気体状のガスを回収するバルブ取り外し:ボンベのバルブを取り外し、ねじ山の汚れを落とす4)耐圧試験:ボンベに注水し膨張測定を行う。その後排水し蒸気により内部乾燥を行う5)錆・塗装落とし:鉄粉でショットブラストを行い、鉄素材をむき出しにする6)刻印7)再塗装8)バルブ取り付け・ネーミング―その後、卸し販売業者に出荷・納品となる。受け入れから出荷まではだいたい1週間で行っている。


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コンパクトマルチカラーブース

VOC排出対策 粉体塗装に切り替え

同社が粉体塗装に切り替えたのは2005年10月。それまでは溶剤塗装を行っており、塗装仕様は下塗りにエポキシ樹脂系、上塗りにポリエステル樹脂系の2コート1ベーク。塗装ブースは2基を使用していた。東京都では環境保全としてVOC排出抑制の施策を進めており、同社はそれに協調する形で対策を検討。
そこで、「法規制もあり環境への配慮としてVOC排出の削減に取り組んだ」(取締役部長兼MIYAMAブルーガスセンター長の久田静氏)結果、約4,000万円をかけて粉体塗装設備(ブース及び乾燥炉の一部)を導入した。


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ショットブラストで錆・塗装落とし

塗装するボンベの大きさは5kg型のものから50kg型のものまでさまざまだが、主となっているのは20kg型と50kg型のタイプのもの。この2タイプで90%を占めている。サイズは20kg型が840mm(高さ)×320mm(幅)、50kg型が1450mm×368mm
。この時期は月に350-400本のボンベを塗装しており、基本的に塗装担当は1名で行っている(脱着荷は別)。


粉体塗装ラインは工場内のボンベ再検査工程の流れに組み込まれた形で配置されており、塗装ラインの全長は約80m、ラインスピードは90cm/minで稼働している。前処理は行っておらず鉄素材の上にそのまま粉体塗料で塗装する1コート1ベーク仕様。使用している塗料は川上塗料のポリエステル樹脂系。「いくつかの塗料メーカーの粉体塗料をテストしたが、目詰まりがしないなど、ガンとの兼ね合いが良かった」(久田取締役部長)というのが採用理由。

パーカライジング製C-MCBシステム 色替え時間は1人で20分

塗装ブースは日本パーカライジングのコンパクト・マルチカラー・ブース(C-MCB)システムを使用している。このブースは何色の色替えにも対応しており、構造がシンプルなため人手による簡単なエアブローで色替え清掃作業ができるのが特長。塗料循環装置は少量の圧縮空気を使用した圧送方式となっている。
ブース入口の手前にワーク形状センサーが設置されており、センサーによりボンベサイズに対応した吐出量、レシプロ稼働幅などが自動的に設定され、効率よく塗装することができるようになっている。吐出量は50kg型では上部20g/min、底部45g、側部185・190gに設定。20kg型では上部35g、底部45g、側部100gに設定されている。その他のサイズのボンベに対してもそれぞれの条件が設定されている。


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定量供給装置

搭載している自動ガンは日本パーカライジング製「GX7000シリーズ」の摩擦帯電型自動ガン(トリボガン)を使用している。「トリボガンは入り込み性が良く、ボンベの底部にもきちんと塗着し膜厚が確保できる」と久田取締役部長はコメント。
自動ガンは4機を片面に設置。ボンベの底部用1ガンと上部用1ガンは固定されており、側部は1レシプロ1ガンを並べている。
塗料の使用色はグレー90%とアイボリー10%の2色。メイン色のグレーのみを回収再利用しており、回収率は95%ほどにもなるという。塗料はひと月平均約2トンを使用。塗料の色替えは1-2日に1回程度と頻繁ではなく、色替え時間は1人で20分。内容はブース内壁のエアブロー、ブース床面・ホッパーの清掃など。


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トリボガン搭載のレシプロで塗装
 

焼付乾燥時間は150℃×20分。乾燥炉は遠赤外線バーナーと熱風乾燥の併用で、短時間で昇温することができ効率の良い乾燥を行っている。

粉体塗装による効果 作業環境及びボンベの耐候性に寄与

環境問題への対応から粉体塗装の導入に踏み切った同社だが、VOC排出の大幅な低減の他にもメリットはあったという。
「溶剤塗装をしていたときは年に2~3回ほど定期的に水洗ブースの大掃除をしていたが、その手間がなくなったのは大きい。それに夏場には悪臭がひどくて作業環境も悪かった。塗料在庫の面でも溶剤塗料は危険物扱いだったので面倒があった」(久田取締役部長)。
更に粉体塗装によってボンベの耐久性向上に寄与している。従来3~4年周期だったボンベの検査周期が法改正により5年周期に延長したため、ボンベの耐候性が以前よりも求められている。粉体塗装されたボンベは溶剤塗装のものより錆・腐食化が少なく、ユーザーからの評判も良いという。


意匠性や外観仕上がりなどでそれほど厳しい品質を求められるわけではないLPガスボンベでは、粉体塗装の特徴がメリットとして受け取られやすい背景がある。


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色替え清掃時間は20分


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