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Web特集

2009年09月17日

メンテナンス市場、販売戦線激化 価値訴求に多様化、新業態の登場も(屋外木部用〈木材保護〉塗料特集2009)

100億円に満たないニッチ市場ながら、新規参入企業が相次ぐなど積極的な動きが目立つ屋外木部用塗料市場。高まる改修需要を見据え、メーカー各社は製品開発、流通網を強化している。一方、木の素材感を生かしつつ、木造建築物の長期的な保存に寄与するという日本独自の意匠感性に応えることで成長してきた木材保護塗料も需要構造の変化や環境対応や顧客の嗜好の多様化にさらされ、一層の差別化が求められている。

現在のところ、マーケット全体の景況は横ばい基調。本紙推計では木材保護塗料市場が約55億円-65億円程度。これに木材保護塗料以外の屋外用木部塗料を含めて約100億円程度の市場と見られる。
直近の荷動きにおいては、各社「昨年後半から今年春頃にかけて落ち込んでいたが、4月からは反転してきた」と口を揃える。しかし、不況のあおりを受ける一方で、木材という素材の汎用性の高さから年間ベースでは大きな変動がないとの見方も強く、底強さもうかがえる。しかしながら、住宅着工件数の減少、樹脂を混合した人工木の普及拡大、少子化など、この市場を取巻く構造要因も小さくなく、新たな需要喚起策が求められている。


その中で各社、目を向けるのが改修需要の深掘り。15年前から起こった"ガーデニングブーム"によりウッドデッキやラティスフェンスなど木製エクステリア需要が増大。木造建築物を含め、今それらのメンテナンス期を迎えていることから、各社改修市場での成長路線を鮮明にしている。


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造膜タイプ投入相次ぐ

木材保護塗料は本来、防虫、防腐機能を付与した半透明仕上げと言われる木目を生かしたステイン仕上げを指す。通常、2~3年で再塗装を要するが、実際その頻度で施工されているケースはごくわずか。塗装業者サイドでは、一般の外壁塗料と同等の耐久性を望む声が多く、施主にとっても足場代を含めたコスト負担は大きく、結果的に10年近く放置されている物件も多いのが実態。
それに伴い著しく劣化の進んだ木材においては「塗料の吸い込みが止まらない」「被塗材に付着したしみや汚れをカバーできない」といった課題が生じており、各社隠ぺい力の高いエナメルタイプ(半造膜系)の木材保護塗料を品揃えする流れが加速している。しかし、塗膜によって初期耐久性が高まる一方で、経年変化により剥がれや膨れなどのリスクも生じる。再塗装時のメンテナンス費用もステインタイプよりも工程数は増える。メンテナンスにおいては、物件の劣化状況、立地環境、樹種、気候条件などを配慮した適材適所の仕様提案が不可欠となっている。

水性普及にハードル

木材保護塗料市場においては、依然水性化の普及は遅々としており、圧倒的に油性系が占める。その理由に「木と水はなじまない」といった木材の性質的な問題と「塗りにくい」「乾燥が速すぎる」「塗り継ぎムラや刷毛ムラが出る」など、水性特有の塗料特性と絡み合う。しかし、有機溶剤を排除した製品開発は各社の共通認識となっており、未上市のメーカーも含め水性タイプの開発に着手している。現時点では、先んじて水性タイプを打って出ることで主導権を握るか、油性系同等の性能が得られるまで上市を見合わせるか、市場での位置づけによって判断が分かれている。
実際、塗装の現場では水性タイプへのハードルは高い。移行が進まない要因に「木に水性は使いにくいものだ」といった先入観が大きく影響している。また使い慣れたものから未知の材料を使うだけの動機づけも不足しており、塗装品質を最大限に優先するユーザーからの自発的な置換は容易ではない。


それでも和信化学工業、キャピタルペイントといった水性タイプに特化する先行メーカーは来たる水性化時代に備え、塗料設計の改良、塗装方法の提案、推奨塗装用具など、塗料特性を克服すべく複合的なアプローチを実施。既に水性タイプを使用している塗装業者からは「以前に増して使いやすくなった」「耐候性も良い」と実用レベルにあるとの高評価を得ているケースも少なくない。設計サイド、ユーザーサイドにも環境対応を社会的共通認識として訴求することで、地道ながらも着実に売上を伸ばしている。また自治体による水性指定の増加や、既住物件のメンテナンスや市街地などの施工において、臭気対策ニーズが強まっていることも需要を押し上げている。


臭気対策ニーズで優位性を持つ水性タイプだが、ここにきて油性系においても低臭タイプの製品が伸びている。7月にはトップシェアを有する日本エンバイロケミカルズが低臭タイプの「キシラデコール フォレステージ」を投入。かねてからテスト販売を実施していたが、本格販売に踏み切ったことで、「臭いがない」という付加価値だけでは水性タイプの優位性は見出しにくくなっている。
現在のところ、法的規制のない状態での水性タイプの普及は難しく、水性タイプの拡大を図るためには、水性タイプの特性を付加価値とした展開が必要となっている。

規格化から性能強化の動き

日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説(JASS)2006年版」に木材保護塗料塗り(JASS18 M‐307)が新設されたことを受け、上市メーカー各社は適合表示品として訴求する動きを積極化させている。しかし、今回取材したメーカー16社の内、JASS適合を表示しているメーカーは9社。その他メーカーは、規格の成り行きを静観したり、規格とは一線を画した販売施策を見据えている。
仕様書に盛り込まれたとはいえ、まだまだ設計関係者の認知は低く、ほとんど設計指定には入っていない状況。現状では適合表示メーカーによる啓発活動に終始している。しかし現在、国土交通省が発行する各省庁の共通仕様書「公共建築工事標準仕様書」「公共建築改修工事標準仕様書」に木材保護塗料塗りがJASS18の内容をベースに盛り込まれる方向で準備が進められており、国、民間ともに公的塗装規格としての位置付けを色濃くしてくると見られる。


屋外木部を塗装する塗料には、薬剤の有無、屋外用、屋内外兼用、F☆☆☆☆の有無、ステインタイプ、造膜タイプなど、種々の製品が流通している。その中でJASSでは、木材保護塗料に対し薬剤成分の含有を義務付け、屋外専用の半透明仕上げ(木目を生かす)の塗料と定義している。JASS規格化は数ある塗料ジャンルに埋没しないためのステータスを手にしたとの見方をする関係者も多い。
しかし、課題は規格そのもののハードルの低さ。性能に関する規定では、促進耐候性試験480時間、乾燥時間16時間以内の他、薬剤成分は防腐・防カビ・防虫効果を有する薬剤の含有を定めているのみ。薬剤成分の効能、含有量までは規定しておらず、「もっと性能基準を明確にしなければ木材保護塗料の信頼性を社会的に向上させることはできない」との声も浮上している。薬剤技術と塗料技術の融合という付加価値を強く打ち出すことで、その他の屋外用木部塗料との差別化を明確にしようとの動きも出ている。ただ一方で、性能規準を厳格化すれば、防虫、防腐試験などに多大な費用を要するため、上市メーカーによってはふるいにかけられることも想定される。


しかしそれらの性能やメンテナンス効率といった機能的側面からではなく、消費者の感性に訴求した展開を見せる企業も出ている。ニッペホームプロダクツはガーデニングファンを対象にしたマーケティングを展開。女性をターゲットに缶の荷姿やカラーバリエーションなどに工夫を凝らすなど、庭づくりを演出するツールとしてのイメージを訴求しようとしている。木材という馴染みの深い素材であるからこそ、多角的な視点での需要開発の可能性も潜んでいる。


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トピックス ネット販売の存在際立つ

塗料販売店によるインターネット販売(ネット販売)がじわじわと存在感を増している。全体から見ると細い商流ながらも既に専門のスタッフを雇用し、独立採算ベースで運営しているネット販売店も生まれるなど、見逃せない商流の1つとなっている。
特にほとんどのネット販売店において、木部用塗料をメイン商材として位置づけている傾向が高い。木材という素材の汎用性の高さから、塗装業者のようなプロユースから工務店、材木業者などのセミプロ、更に一般生活者までユーザーに幅が広いのも特徴だ。また木部用塗料は目的買いの製品。ホームセンターで買っても重い塗料を持って帰らなくてはならない、調色の必要性もないことから、あるネット販売店の担当者は、「塗料はネット販売に適している商材かもしれない」との見方を示す。


しかし、メーカーサイドにとってはこれらのネット販売の存在が価格低下を招くと危機感を募らせている。既に流通量の多い製品ほど、価格競争にさらされており、これまで主導権を持って展開してきた付加価値展開が損なわれるとの見方を強めている。
ネット販売の特性上、商圏は存在せず、顧客は全国が対象となる。ネット販売店にとっては、複数の取り扱い製品を不特定多数の顧客に販売できるという点で魅力は大きい。更に塗料、塗装用具、副資材をキット化して販売するなど、ターゲットとする顧客に応じた品揃えや販売方法にも多彩さをみせる。


しかし現状では、どこでも扱っている製品をいかに安く売るかが最も成果を見出しやすい販売施策となっているのも事実。塗料メーカー、塗料販売店といったこれまで培ってきた強力な流通網は、ネット販売の存在によって価格、ブランドとも消費者に主導権が移行することを意味する。メーカーのマーケティングが根本から見直しを迫られることも想定される。
現在、一部を除いてネット販売店の多くは月商数百万円程度で、本業を支えるだけの大きな商流を築くまでには至っていない。またその成長も容易ではない。
ネット販売店は企業の大小、形態問わず参入できる一方で、価格競争を繰り広げれば、仕入の問題はさし置きいずれ大資本系のネット販売に呑み込まれることは想像に難くない。品揃えや顧客ニーズなどのトレンドに対応するためのホームページ開発費、即効性が期待できるヤフーや楽天などのポータル系インターネットショッピングサイトへの出展費用など経費もかさむため、価格競争はネット販売店にとって得策ではない。


価格競争以外の付加価値を顧客に訴求する上で重要になるのは、地域性とサービスの向上。汎用的に全国の顧客を対象にするという形態では、インターネット内での露出度勝負になるため多くの企業が介在できるだけの余地がない。販売店が所在する地域に特化することで、本業とネットとの相乗効果が図れないか。ネット販売もオリジナル性が問われてくる。

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