Web特集
2009年10月16日
建築塗料特集2009 企業動向(メーカー16社の市場戦略)
光触媒塗装で差別化鮮明に ピアレックス・テクノロジーズ
光触媒塗装採用へのハードルを大きく引き下げた塗料に注目が集まっている。ピアレックス・テクノロジーズ(本社・大阪府泉大津市、社長・北村透氏)の光触媒フッ素樹脂コーティング「ピュアコート」は、1液による使いやすさ、バリア層形成の作業不要、シーリングへの塗布可能といった施工サイドへの直接的なメリットに加え、塗装直後から防汚機能発現、期待耐用年数20年、他社品から大幅にプライスダウンした材工設計価格2,800円/㎡といったセールスポイントが施主への説得力を飛躍的に高める。光触媒塗装の課題を次々と解決したことで塗装店、施主の双方に対して使用、採用への垣根を下げ、光触媒塗装を身近なものにした。
この鮮明な差別化を可能にしたのが、デュポン社のフッ素樹脂系イオン交換樹脂(ナフィオンR)に世界で初めて光触媒を分散させた塗料技術の開発。
ナフィオンは主に燃料電池のセパレータとして使われ、卓越した耐久性と化学的安定性が特徴。この樹脂を塗料の基本骨格としたことで1)光触媒の酸化作用に分解されず旧塗膜へのバリア層が不要で工数を軽減2)塗膜は330%の伸張率があり、従来施工が困難だった弾性塗装面はもちろん、シーリングへの塗装も可能で、シールの逆養生といった手間から開放されるなど施工サイドへのメリットを鮮明化。
一方、施主サイドに対しては1)工数軽減と組成に由来する大幅なプライスダウンを筆頭に2)樹脂そのものが優れた親水性を持つため乾燥後すぐに親水機能を発現。防汚機能がその場で確認できる安心感に加え、光触媒酸化チタンとの組み合わせで長期間親水機能を持続3)高耐候の代表・フッ素樹脂を基本骨格としているため期待耐用年数20年のロングライフで、イニシャルでの割安感に加え、ライフサイクルコストでも訴求力を持つ―など、光触媒塗装に対するネガティブ面のイメージを大きく変えた。
同社ではナフィオン応用技術をベースに独自性の高い新製品開発も加速。
「ピュアコートS-100」は世界初の変成シリコンシーリング材用光触媒コーティング材。シーリング材に追従する柔軟性、フッ素樹脂による可塑剤ブロックでブリードの問題を解消、シーリング材の寿命を大幅に長期化、シーリング未硬化時でも塗装できるため作業時間を短縮など、光触媒塗装の弱点であったシーリング対応を一挙に解決。エアゾールタイプにするなど使いやすさにも配慮した。
また九州工業大学の横野研究室と共同開発した可視光反応型内装用光触媒塗料「ピュアコートV」は今後の期待製品だ。同研究室が開発した硫黄ドープ酸化チタンは、これまでの可視光反応光触媒に比べて極めて高い活性を示す。ネックとなっていた塗料化を同社の技術で克服し製品化にこぎつけた。蛍光灯、白熱灯、LEDのいずれの室内光でも、悪臭物質やホルムアルデヒドなどの有害化学物質、大腸菌やインフルエンザウィルスなどの細菌類に対する極めて高い効果が公的機関で確認、業界初の技術として注目されている。内装需要開発への有望な足がかりにする。
特色ある製品で独自性明確化 恒和化学工業
昨年、大幅な戦略変更を行った。建築仕上塗材メーカーとして従来の主軸であったアクリルタイル、弾性タイルなどのいわゆる主材の製造・供給を取りやめ、特色のあるトップコートや機能性製品に特化していく動き。低粗利品をカットし、利益体質を高めることと、"外装材の恒和"とは別の市場ポジションを確立する狙いがある。
改修市場がターゲットであることには変わりはないが、差別化を明確にできる製品、販売戦略で独自性を構築していく。
今春、戸建住宅の改修向けに発売した「ダイヤSPR工法」は、多色サイディングのクリヤー仕上げ工法として優位性がある。トップコートには水系変性無機塗料「ダイヤスーパーセランアクア」のクリヤーを開発。得意の無機・有機ハイブリッド技術によるフッ素を上回る耐久性が、住宅長寿命化時代において施主への説得力を高める。
更に今回、それ自体で耐候形1種の耐候性を持つクリヤープライマーを新たに開発。基材への浸透力とトップコートの密着性に優れ、ボードの複雑な動きに追従する。下塗り1回、上塗り1回の2工程で期待耐用年数20年超のロングライフを実現、汎用シリコン系塗料並みの設計価格2,400円/m2に抑えることに成功した。
更に建物の非汚染化、耐久性ニーズに応え、水系光触媒コーティング材「ダイヤエコグレイスチタン」を独自にラインアップした。非汚染性の裏づけとなる水との接触角が促進耐候2,000時間後も10°以下をキープ。長期間にわたって非汚染効果が持続する。
施主への説得力の高いこうした新規製品を販売するに当たり、新たな販売戦略を展開している。地域の有力なリフォーム会社など、物件獲得能力の高い企業の指定材料として供給を展開。リフォーム会社にとっても差別化による塗り替えリフォームの受注率向上に貢献することから、パートナー企業が増加している。従来の汎用的な販売からセグメントや特定ユーザーに絞り込むことで販売効率を高める狙い。
一方、集合住宅などの大型物件に対しても施主(管理組合)に対して説得力の高い商材・工法を切り口に需要拡大を図る。
保証付き防錆システム「ダイヤシャスコートシリーズ」はメンテナンス周期の短い鉄部に対して長期防錆保証を担保することで、施主の悩みを解決。エポキシ錆止め+高耐候ウレタン系上塗りの「ダイヤシャスコート・ロング」は6年、水系アクリルの厚膜塗装による環境対応型「ダイヤシャスコート・アクア」は3年保証を付けた。頻度の高い鉄部塗り替えでの優位性を突破口にその後の大規模修繕につなげていく展開だ。
また親会社・ダイフレックスのタイル剥落防止工法「エバーガード」も展開する。特殊繊維によって塗膜強度を高めた透明度の高いアクリル樹脂をタイル面に被覆することで既存タイルの意匠性を保持しながら剥落を防止する。ダイフレックスとのシナジーによる物件対応能力の高さも同社ならではの強みだ。
工業技術、汎用開発に注入 日本ペイント
日本ペイントは自動車・工業用塗料の開発ノウハウを汎用塗料に横展開し、技術的差別化でリードしていく。その第1弾となったのが、昨年秋に上市した「ニッペ クリスタコート」。基礎研究から開発を進めた無機系超低汚染コーティングで、独自にシラノールドメイン構造を導入した。
クリスタコートは、シリコンと水酸基を有するシラノール化合物を主成分とした無機系塗料。混合液中で加水分解し親水化するため、塗膜形成と同時に超親水性を発現する。更にシラノール化合物が加水分解中にシリケートユニットを形成、このユニットが塗膜表面上で海・島構造(シラノールドメイン構造)となり、下層塗膜と強固に結合する。
シラノールドメイン構造のイメージは、シラノール化合物のユニットが点状に存在する形。このため上層と下層の塗膜が強固かつフレキシブルに密着しているので、下層塗膜の湾曲に対し上層塗膜の追随性が高い。
従来の親水化技術は、無機系の親水化剤で塗膜表面を親水化することで、耐汚染性を向上させていた。この技術では乾燥までの初期汚染性が不十分な他、膜切れが発生するなどのネックを抱えていた。
クリスタコートのメカニズムは、光や湿度などの外部因子で超親水性を発現するのではなく、乾燥直後から水となじみやすく、表面に汚れが付着しても水の力で洗い流すもの。
同社は水性1液タイプのトップコートとして、建造物から構造物までの保護コーティング材として普及させていく。新設だけでなく、メンテナンス市場でも需要が見込め、幅広い分野での適用を図る。
クリスタコートは工業用と汎用といった従来のタテ割り技術を打ち破ったものとして注目される。「自動車用の開発のテクノロジーを汎用に注入していくと、他社がマネのできない技術的優位性のあるコーティング材が開発できる。基礎技術は工業用の方が汎用より厚いので、応用できる余地はたくさんある」(汎用塗料事業本部長・安藤善夫氏)という。
その一方、カラモニー事業を再構築する。新生・カラモニーは地域密着による生活者対応。これはカラモニーの原点であったが、生活者対応と業者販売が混在化し、コンセプトが色褪せたとの反省から、カラモニーは生活者に向かうチャンネルとの性格を鮮明にする。
また、カラモニー事業を基盤にのせるため、モデルとなるカラモニー店を立ち上げる。生活者へのコンサルティングを通じ、価値ある塗り替えサービスを提供。施工も専門クルーとしての品格とマナーをもった"おもてなし施工"とし、生活者に安全・安心を与えるスタイルに作り込む。
新生・カラモニーを誕生させるには人材育成を含め、時間をかけ育成していくため、地域を限定した形でモデルを作り、事業としての採用をチェックし、成功モデルを構築する。「数を追うのではなく、まずはしっかりしたモデルを」(同)をコンセプトに、来年度にかけて具体化していく。
機能性塗料ラインを充実 エスケー化研
エスケー化研は機能特性を特色とした製品ラインの拡充に注力している。その最新製品が「SKフレックスロール」。可とう形塗材に防火認定性能を付与した差別化商品だ。
SKフレックスロールは、防火性可とう形外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材。防火性能と可とう性が最大の特徴。
建築物の防火に対する審査が厳しくなっていることを背景として、集合住宅などでは内装だけではなく、準外部で防火認定が必要とされるケースが増加傾向にある。このような部位には複合型化粧用仕上材塗り(旧基材同等0005号:複層塗材Si)が採用されてきたが、省力化と機能性の面で工期短縮と防水性を高めた防火認定材料が求められていた。
このニーズを受けSKフレックスロールが開発された。同品は1)不燃材料(有機質砂壁状塗料塗り)2)準不燃材料(同)3)難燃材料(同)の防火材料認定を取得。集合住宅の共用部や建築物の準外部・外部で、防火認定を必要とする部位に適用する。
可とう性に関しては、一般的な複層塗材Siに比べ5倍近い塗膜伸び率を確保(JIS A6909の伸び試験準拠)した他、強靭かつ柔軟なアクリルシリコン樹脂塗膜は下地の微細なひび割れに追従し、防火性を高める。
また、紫外線エネルギーよりも高い結合エネルギーのシロキサン結合を持つアクリルシリコン樹脂をバインダーとしているため、優れた耐候性を発揮する。
防カビ・防藻性を付与、安全性に関してはシックハウス物質フリー、水性塗料の環境への優しさを実現。工期は複合型に比べ、下塗り(1回)、主材塗り(2回)の3工程で省工程型となっている。
SKセラミファイントップは超低汚染を実現した水性クリヤートップ。超親水性のナノセラミック粒子を導入し、意匠性塗材の自然な質感を生かしたまま、壁面の美しさを維持する。また、同品は塗料の状態では薄紅色をしているため、塗り残しを防止する視認性を付与。この色は数日で消える。建築物のメンテナンスサイクルの延長に寄与する。
"省エネは壁から"をキャッチコピーにした同社の外壁用遮熱塗装工法「クールテクト工法」が伸長している。
同工法は、微弾性を持つ下塗り層と遮熱性・低汚染性を持つ上塗り層で構成。従来の外壁用塗料と比べ、塗膜表面温度を最大-17℃低減させ、室内温度の上昇を抑制。更に壁面の熱劣化を抑制し、下地基材の熱による膨張収縮も緩和する。
製品ラインは水性クールテクトF(ふっ素系)、水性クールテクトSi(アクリルシリコン系)、クールテクトF(弱溶剤ふっ素系)、クールテクトSi(弱溶剤アクリルシリコン系)で構成。標準色28色を揃える。
今後の機能性シリーズに関して、担当者は「環境対応をベースにしたエコにつながるさまざまな機能に特化した塗材、その性能アップに注力した当社独自の機能ラインを充実させたい」とコメントする。
得意製品で骨太に展開 大日本塗料
「得意な製品を牽引力に建築分野の需要を喚起していく」と方向性は明確だ。
その一つとして重点製品に掲げているのが遮熱塗料「エコクール シリーズ」。塗料による環境貢献の考えから他社に先がけて遮熱塗料を開発、投入してきたパイオニアとしての自負がある。「知名度、ブランドといった先行企業としての優位性を後押しする展開」を指向する。
「エコクール シリーズ」は優れた遮熱・断熱機能もさることながら、バリエーションの多彩さが特筆される。無機素材、金属素材、舗装面などさまざまな被塗面に対して、ふっ素、シリコン、ウレタン、MMAなど機能や期待耐用年数に対する需要家の幅広いニーズに応える製品群を誇る。屋根・壁・床といった遮熱を必要とするそれぞれの部位への対応力は他社をリードする。
「遮熱塗料は温暖化、ヒートアイランドといった現代の社会問題と直接的にリンクすることから説明会などでの反応もこれまでとは異なる」と手応えを感じている。スタッフのモチベーションをも高め、「年率20%の伸長」で好調さをキープしている。幅広い製品ラインアップ、末端への認知度向上といった「先行メーカーとしての本筋」の戦略を進める傍ら、大手塗料メーカーでは初めて「エコクール シリーズ」をカーボンオフセット商品とするなど、環境貢献性を更に明確にする手法も構築。重点製品としての展開に更に拍車をかける。
一方、同社ならではの強みを発揮できる製品として建築分野においても核に据えているのがふっ素樹脂塗料「Vフロン#200クリーンシリーズ」だ。昭和57年に国内で初めて常乾型ふっ素樹脂塗料を発売。建築物の超高層化に伴うメンテナンスフリーニーズの高まりとともに、実績を積み重ねてきた。
ここにきて、橋梁における国のスペック化で市民権を得てきたこと、また建物の長寿命化の中でLCC(ライフサイクルコスト)のコンセンサスが普及・定着してきたことから「ふっ素樹脂塗料の市場での存在感はますます高まっている」ことを実感、そのシンボリックな事例として「東京スカイツリー」での同社採用を挙げる。「高さ600メートルを越える過酷な環境下、溶射やメッキなど他の手法ではなく、ふっ素樹脂塗料が採用されたのが実力の裏付け。低汚染、ハイビルド化、VOC削減などふっ素樹脂塗料に関する技術的な進化が認められた証」と胸を張る。
こうしたシンボリックな事例により、ふっ素樹脂塗料の市場での認知度が進むことに加え、建物の長寿命化といった大きな流れの中で競争力が高まるとし、建築塗料分野の柱として育成していく方針に揺るぎはない。
また裾野の広い戸建住宅の塗り替え需要に対しては多色サイディングのデザイン性復元を目的とした水系クリヤーを試験的に展開。サイディングのプレコート用でトップメーカーの同社ならではの味付けを行い、本格発売を見据える。「自社の得意な製品の骨格を更に骨太にし、市場での競争力を高める」方針。
ユーザー支援ベースに高い伸び アステックペイントジャパン
厳しい市況の中、「対前年で20~30%の伸びを続けている」(菅原徹社長)とアステックペイントの販売が好調だ。その要因は塗料そのものの独自性と販売戦略にある。
製品差別化でのポイントは「防水+遮熱」の次元の高さだ。アステックペイントは塗料化するために変成されたアクリル樹脂とは異なり、アクリル本来が持っている耐久・耐候性を極限まで引き出す"ピュアアクリル樹脂"を採用。可塑剤を一切用いずに660%に及ぶ超伸縮性を実現し「塗装の本来の目的である防水性能が極めて高く、ピュアアクリルの長期耐候性で建物を永く守る」のが最大のセールスポイント。
住宅長寿命化の中で建物への雨水の侵入に対する要求がますますシビアになる中で「超防水性能の説得力が更に高まっている」と自信を深める。
更に遮熱機能に関しても独自のナノセラミック粒子により屋根表面温度を20℃~30℃下げ、内部への熱の侵入を大幅にカットする。防水、遮熱といった社会的な要求の高い性能を高い次元で備えていることが競争力につながっている。
一方、販売に関しては流通を介在させず、施工店直取引の施策をとる。現在、施工加盟店は全国に250社を数えるが、物件獲得能力の高い加盟店が多く、またそれ故に他社品との差別化が明確に示せ、施主への説得力の高いアステックペイントを取り扱いたいとの要望が強い。両者の相乗効果によって更に販売を押し上げているかたちだ。
同社では戸建住宅の他、工場屋根などの法人物件、ワンオーナー経営の低層賃貸住宅の3つのチャンネルにセグメントして販売戦略を立てている。戸建住宅は元請型施工店(後述)の他、OB顧客開拓に意欲を持つリフォーム会社や地域ビルダーなども加盟しているが、その他は基本的に元請型施工店が中心。
それぞれのチャンネルでプロジェクトを組み、加盟店の受注力向上、成長支援をベースとした各種施策を実施。着実に効果を上げてきており、塗料の販売実績として現れている。
戸建住宅チャンネルの重点施策として現在強力に推し進めているのが、「国内ナンバーワンの塗装ブランド確立」を目指した元請型塗装店のフランチャイズ組織「プロタイムズ」。同社がフランチャイザーとなり、現在20社の塗装店が加盟、今年度中には40-50社の加盟が見込まれている。
ここでは毎月1回経営者研修会を実施し、営業効果を高めるための各種プロモーションツールの整備や販促方法などについての企画会議が行われているが、その中で画期的な営業手法が生み出されつつある。
プロタイムズ独自の営業手法として構築しようとしているのが「ヤクルトレディ」の塗り替えリフォーム版の仕組み。「戸建住宅塗り替えリフォームの最大のポイントは潜在顧客の掘り起こし。それにはやはり対面営業が最も効果的で、女性による需要開発の成功事例であるヤクルトレディの塗装リフォーム版を構築する」とし、プロタイムズ独自の需要開発手法確立を急ぐ。
生活者ダイレクト強める 関西ペイント
関西ペイントは「アレスシックイ」を生活者対応の第1弾と位置づけ、内装市場開発の突破口としていく考え。インフルエンザウイルスの感染抑制機能など、独自のコンセプトを込めた漆喰塗料として生活者ブランド化。生活者ブランドの"関ペ"認定を進める。
このため「アレスシックイ」の販促は方向を変え、マーケットダイレクトを指向する。具体的には一般媒体への露出の他、生活者を対象とした塗装教室の開催など、売るための仕掛けづくりに注力する。
こうした同社の動きに反響は大きく、塗装教室には3日間で約150名の応募があり、この場を通じて生活者の生の声を吸収していきたい意向。また塗装教室をスタンダード化し、販促の手段として確立するためマニュアル化を図る。各地域での開催によって生活者との密着度を高める。
昨年9月のリーマンショック以降、同社は小林社長の指示で化粧品業界をベンチマークした事業構造の改革を探ってきた。化粧品業界に比べ遅れをとってきたポイントは①原材料コストの高さ②マーケティング手法の差異。この2点について構造改善の動きを本格化させていた。
特に汎用市場においては内装市場の創造がテーマ。生活圏である内装に塗装が入れば、インテリアペイント需要を喚起できるばかりでなく、生活者からの信頼が得られ、更なるビジネスチャンスが生まれると同社は見ている。「アレスシックイ」はこの方向の起爆剤としていく。
"ニットクらしさ"徹底追求 日本特殊塗料
日本特殊塗料は"ニットクらしさ"をコンセプトとした他社との差別化を鮮明にしていく。遮熱・断熱、防水、防音といった機能性に特化した製品ラインの拡充とともに、施工店組織である「ニットク・アメニティ・システム会」の活性化がテーマ。
遮熱塗料ではトップシェアを有し、品揃えは充実。建造物ばかりでなく、車両から工業用への展開を進め"遮熱のニットク"の市場認知を強固なものとする。
防水に関しては塗料メーカーの中ではトップ。最近陸屋根(コンクリート屋上)の遮熱・防水スペックが増大しているため、同社はビッグチャンスと捉え販促を強化する。
注目される防音は、車の防音技術のノウハウの横展開で汎用性の高いビジネスに引き上げたい意向。騒音は隠れた公害とも言われ、防音ニーズは潜在化している。
そのため独自のマーケティングが不可欠。チャンネルも未整備なため、今後の課題としている。製品としては「防音くんシリーズ」を上市。
汎用展開のポイントとして遮熱機能を体感させるデモが好評であったことから、体験型のデモンストレーションに力を入れるとともに、光触媒事業で実施している人材研修を他分野にも広げていきたい意向。「機能は技術をベースとしているので、研修やデモばかりでなく、今後プラスアルファの要素を加えニットクらしさを深く浸透させていきたい」(担当者)とコメント。
機能性に特化、ニッチ市場開拓 イサム塗料
イサム塗料は、高耐久低汚染アクリルシリコン樹脂塗料「ネオシリカシリーズ」、タイル壁面低汚染改修システム「タイルガード」、磁器タイル床面滑り止め工法「スキッドガード」など機能性製品に特化した展開を見せている。
需要環境について担当者は「公共、民間ともに物件数が減っており、これから需要が伸びる要素は少ない。しかし当社としては、保有するシェアは小さく伸ばせる要素は大きい。機能性に集中することで、建築市場におけるニッチ分野を拡充させていきたい」とコメント。主戦メーカーとは一線を画した差別化戦略を指向している。 同社の強みは高耐候性、低汚染性機能を持つアクリルシリコン樹脂の塗料化技術。竹中工務店と共同開発した「ネオシリカ21C」を始め、弱溶剤系、水系に各種1液、2液タイプを揃える豊富なラインアップが武器。「こだわりのある施主の支持が高い」と高付加価値ニーズに強みを発揮している。
「タイルガード」も同社の防水材技術とアクリルシリコン樹脂塗料技術を融合させた製品。磁器タイルの劣化に対しては、タイルの張り替えや塗りつぶしといった処方しかなかったが、弾性でかつ防水性を持たせた主材と高耐久・低汚染機能を有するトップコートを開発。これにより既存タイルの意匠や風合いを残したままタイル壁面の美装、保護、機能付与を可能にした。
「スキッドガード」は玄関アプローチや通路面に施された磁器タイル床面向けに滑り止め効果を付与し、降雨時や水廻り部の歩行安全性に寄与する。
トップメーカーの優位性に磨き TOTOオキツモコーティングス
「光触媒による各種性能の発現を極限まで追求した」自信作「ハイドロテクトカラーコートECO-EX」を牽引役に順調に出荷を伸ばしているTOTOオキツモコーティングス。ハイドロテクトの認定施工店は5,000社を超える数に達し、現在も増加中だ。認定施工店の質の低下を防ぐため、試験制度の導入も検討中で、光触媒トップブランドとしての地盤固めに注力する。
販売戦略ではリフォーム事業者へのハイドロテクトの導入を積極化させる。「水廻りや内装など他のリフォーム工事に比べ、塗装は手離れが良く利益率が高いことから各リフォーム会社は塗り替えの受注率を高めたい」ものの、ハウスメーカーや訪販、塗装専業者など他の受注体に比べ競争力は弱い。「ハイドロテクトを導入してもらうことで見積り自体の魅力を高める」とともに、見積作成やプレゼンのノウハウを注入し、塗り替え需要を取り込みたいリフォーム会社の後押しをする。TOTOリモデルクラブなどのインフラを活用していく意向だ。
一方、親会社のTOTOは今春、塗料や衛生陶器、タイルなどに分散していた光触媒関連事業を組織再編し、ハイドロテクト事業部を創設した。日本発の環境技術・光触媒をグローバル展開するのが狙いで、既に引き合いが活発化しているという。この組織再編に伴い、ハイドロテクト事業部の技術陣営も大幅に増強。「異分野の技術との融合によってダイナミックな製品開発へのシナジーが期待できる」とし、優位性に磨きをかける。
外壁用高反射率塗料を投入 スズカファイン
「ラフトンジャンボ」(吹付材)、「ビューレ」(単層弾性)、「リメイクプラ」(弾性プラサフ)、「クールトップ」(遮熱)とその時代時代において革新的な製品投入を行ってきたスズカファイン。全国7支店、14営業所、9出張所、8調色センター、3物流拠点を有する国内ネットワークも顧客関係を下支えする強みとなっている。
競合ひしめく建築塗料市場にあって「当社は地方を中心とした地域密着対応が強み。隙間の需要を積み上げていきたい」(担当者)と語る。
同社は8月末に太陽熱高反射率塗料シリーズとして新製品を投入。ラインアップに厚みを加えることで、堅調な伸長を見せる遮熱塗料市場で拡販を積極化している。
新製品として投入したのは、「カベクールSi」「ワイドシリコン遮熱」「クールトップホドウ」の3製品。
「カベクールSi」は壁用高耐候性水系反応硬化形アクリルシリコン樹脂塗料で高反射率顔料とセラミックバルーンの相乗効果により塗装表面温度を抑制、室内への熱を削減する機能を持つ。コンクリート、モルタル、PCパネル、ALCパネルなどに適応。屋根向けを主力とする遮熱市場にあって外壁向けは新たな需要分野。「需要家のニーズが高まっている」ことも上市を後押しした。「ワイドシリコン遮熱」は高耐候性弱溶剤2液形アクリルシリコン樹脂塗料。耐久性、耐汚染性に優れた高グレード品。「クールトップホドウ」は歩道用水系塗料として上市。歩道や広場などの温度上昇を抑制する。
隙間産業で材料とツールセット化 玄々化学工業
玄々化学工業は建築分野において木部用に商品展開を進めてきたが、ここにきてマーケットのシュリンクが鮮明になりつつあり、危機感を強めている。「これまでウッドデッキは木材着色塗料などが利用されてきた。しかし、そのデッキが合成木材に変わりつつある」と説明する。
合成木材は10年以上前から開発が進められてきた。プラスチックと廃材を利用して押出成形で製品化を進めてきたが、当初は品質が安定化しないことに加え、バージン材を利用するなどコスト的にも合わなかった。しかし、ここ数年で改良技術が進み、建材メーカー各社が商品を上市してきた。「メンテナンスの必要がなくなる」と危機感を示す。
新設の住宅着工数は減少方向にあり、ストック需要、とりわけ非木部への対応が急がれる同社ではあるが、これまで関連製品としてはアウロの住宅ケア製品、耐火塗料・ファイアーディレーF4や内外装向けのサドリンクラシック、機能塗布剤ザ・撥水、更に床用では現場施工のUVコーティングシステムや耐久性能のフィルムなどを展開している。「比較的ニッチなマーケットでの展開ではあるが、Webを利用して販売するなど従来の汎用ルートとは異なる展開を進めてきた」とコメントする。
今後もユニットバスの改修などUV装置とのセット展開や住宅のクリーニングキットなどツールと材料をセットにした販売を進めていく。「より消費者に近いところで事業展開を図っていく」意向だ。
一貫仕上げで下地補修重視 菊水化学工業
菊水化学工業の建築・外装への取り組みは"下地から仕上げまで一貫して行う"とコンセプトは明確化している。特に無機をベースに下地、躯体の補修に重点を置き、現場での施工ノウハウを自社の強みとしている。「下地あっての仕上げ、見た目だけでは信頼感は得られない。改修においては補修のノウハウが施主への訴求力になる」(担当者)とコメントする。
マーケットはフローからストックへと大きく変わりつつある。より付加価値の高い製品戦略とともに市場創造に向けた価値訴求の仕組み作りが求められてくる。「住宅分野においてはハウスメーカーの下で受注活動を行っており、実績を高めつつある。我々の持つ現場の補修に関わる施工ノウハウを生かせる分野においてクローズドシステムで臨んでいく」方向だ。
既に同社はアスベストの除去工事などクローズドシステムで行っており実績を持つ。「特に工事に関しては品質管理とともに安全管理が求められている。この辺のノウハウが大きなポイント」とし、その仕組み作りに向けた展開を図っている。
また同時に付加価値訴求に向けた商品戦略としての仕様の見直しを進めていく。「マーケットニーズを意識し、それを具体的な形に落とし込んで製品ラインアップを図っていく。カテゴリーごとに製品の見直しを行い、よりリアルな製品で戦略的に対応していく」考えだ。更に調色センターの機能強化をより鮮明にし、サービスを強めていく方針だ。
簡易防水材に遮熱機能付与 インターナショナルペイント
水系塗料の開発に特化しているインターナショナルペイント。環境対応型製品の開発が社会気運として不可欠となる中、水系専門メーカーとしての存在感を増している。自社製品では建築向けを主力とするものの、各分野からの開発依頼が増加している。
同社は独自の塗料設計技術を駆使し、ユーザー目線に立った施工性の改良や機能性付与に強みを見出してきた。吸い込みの多いコンクリートブロック向けに開発した「ヨウヘキコート」、現場調色を可能にした屋内外木部用ステイン「IP水性ウッドカラーシステム」、プライマーなしで塩ビ鋼板に塗装できる「IP軟質塩ビコート」などユニークな製品開発が目立つ。中でもプライマーなしで金属面への塗装を可能にした「IP水性メタルコート」は、SOPやFEといった油性ペイントに代わる環境対応型仕様としてユーザーの支持を得、需要を伸ばしている。
現在、新製品として「IPシリコンルーフNEO」「IPライトプルーフ遮熱」の販売に力を入れている。
「IPシリコンルーフNEO」は高耐候性シリコン樹脂、UV抑制材を配合した水系1液型シリコン樹脂塗料。従来品を超える高耐候性、光沢保持性を実現した他、色相の違いによる耐候性のバラツキを抑えた。
「IPライトプルーフ遮熱」は水系1液型厚膜簡易防水材で、太陽熱を反射させる特殊遮熱顔料を配合した。建物屋上面の温度上昇を抑える効果を有し、遮熱機能を兼ねた簡易防水材として陸屋根物件などへの展開を強めている。
塗膜保証延長で顧客価値高める ジャパンカーボライン
ジャパンカーボラインの建築分野での核となるのが低層賃貸住宅の改修事業だ。国内最大の低層賃貸住宅管理会社を顧客に持ち、これまでの塗り替え工事の実績は1万棟を優に超える。ここでのシェアアップをいかに図るかが建築塗料分野での大きなテーマ。
同管理会社が建設・管理する物件は洋風コロニアル調の外観デザインが特徴的。タイル調・石目調など高級感のある多色サイディングの壁に窓モールやサイドモール、エントランスモールの白がアクセントとして映える。入居率を高める上で外観デザインは大切な要素といえる。
こうしたデザイン性の高い物件の外装改修で好評を博しているのが「DKセラエースクリヤー」だ。無機-有機ハイブリッドの水系クリヤーで無機由来のフッ素を超える耐候性、堅牢性、耐火性と建物の動きに追従する有機由来の可とう性を両立。
特徴的な外観デザインをそのまま生かすクリヤー仕上げだが、特筆されるのはその艶感。新築時以上の高級感を醸し出すことから物件オーナーへの説得力が強く、同品指定の物件が急増している。
同社では更に、これまでの塗膜10年保証を15年に延長する新たな戦略を打ち出した。同管理会社が推進するメンテナンスを含めた30年一括借上げに対応したもので、築後10年目の塗り替えでその後15年保証されることから、以降の借上げ期間中は事実上メンテナンスフリーとなる。塗料への確かな自信で顧客価値を高めた。
水系プラス機能性提案 トウペ
トウペは環境配慮型プラス機能性を重視した製品戦略を進めていく。
「ユーザーの塗料選択の目は以前よりも厳しくなっている。水系など環境負荷を低減したものが前提で、更に耐候性、耐汚染性、低臭などが要求されている」(担当者)。
そんな中、同社が戦略製品として市場に投入しているのが、水性2液反応硬化形ポリウレタン樹脂塗料「トア杜 Mori」。一般鉄部・木部・コンクリート部・無機建材など一般建築塗料用の上塗り塗料として展開している。
同品は水系でありながら優れた仕上がりが得られるのが大きな特長のため、「単なる価格競争にはしない。この塗料の特長を求める施主やユーザーに提供していく」戦略で、確実に施工実績を重ねている。
また、新たに超高耐候性2液常温硬化形水性無機塗料「トア無機 Muki」を上市した。無機塗料が持つ優れた耐候性や耐汚染性、不燃性と有機塗料の持つ耐アルカリ性、耐屈曲性、耐クラック性を併せ持つ次世代の水性塗料として拡販を図っている。
一般鉄部やコンクリート、無機建材向けに適しており、微弾性フィラーを下塗りとして一般外壁でも積極的に提案している。耐候性としては「フッ素樹脂塗料に迫る」性能を有する。
また、同社では従来から建物塗り替えシステムとして「トアアクセス21システム」を販売している。水系微弾性フィラーに、ポリウレタン樹脂系からフッ素樹脂系までを揃え、ニーズに対応したシステムを提案している。
高級グレードで資産価値向上 神東塗料
神東塗料は改修市場向けへの展開に注力している。「落ち込みの少ない改修マーケットにおいて、建物に対する施主の資産価値の意識の高まりを感じる。メーカーとしては高級グレードを提案して、資産価値の向上を提供すると同時に適正単価の底上げにつなげていきたい」(担当者)。
同社が高級グレードとして展開しているのが、超耐候性超低汚染水系有機無機ハイブリッド塗料「水性ハイテンセラ」。同品は特殊無機成分を配合したオルガノポリシロキサン系樹脂エマルションとエポキシ変性シリコンオリゴマーから構成される2液常温反応形塗料で、無機系塗膜の特長である耐候性や難燃性が優れており、新設や改修時の上塗りとして最適。
「市場では水性フッ素以上の耐候性として提案している」(担当者)として、最高級グレードでの拡販を図る。
また、建物の仕上げとして増えているタイル仕上げに対して、「マイルドハイテンクリヤー」を展開している。
同品は磁器タイルに塗装することで、タイルの汚れ防止や目地の保護を実現する弱溶剤形アクリルシリコン樹脂系クリヤー塗料。「タイル仕上げは汚れたら洗えば良いという認識だが、それでは目地の劣化は防げない。中性化して劣化する恐れもある」として、同品での保護を提案している。
また、屋内及び屋外の一般建築鉄部向けとして、2液形水系変性エポキシ樹脂塗料「水性さびコート」を新開発した。JIS K 5551 C種1号に準じる基本性能を有し、市場での普及を図る。
タイル面の保護、再生で評価 セブンケミカル
セブンケミカルは独自技術と小回りの利くスピーディな製品開発で存在感を強めている。そうした同社のポリシーを体現し、ヒット商品となっているのが「セブンS」(商品名)。
「セブンS」はタイル面やコンクリート打ち放し面の持ち味を生かしつつ再生する塗料。シリコンアクリル樹脂系のクリヤーで、競合品との違いは次の3点にある。
タイル面改修では表面にひび割れが発生しており、これをカバーできる性能が求められる。ひび割れを補修しつつ高意匠タイルの質感を損なうことがない。また汚染の少ない仕上げができる。乾燥工程で汚れが巻き込まれることがあるが、汚染を抑制する性能を付与。更に保護機能を高めた耐久仕上げを実現した。
透明塗膜で防水性に優れているため、外壁からの雨水の侵入を防ぐ。また機密性が高く遮熱性に優れているため、酸性ガスや塩分の侵入を防ぐ。タイル、コンクリート面の密着性が良好。
工法としてはS-T工法、水性S-T工法を確立。水性S-T工法はセブンSコンクリートシーラーII、セブンS(2工程)、水性セブンSトップ(2工程)の計5工程仕様。
外装タイル仕上げは、劣化が進んだタイル表面に汚染物が付着したり、ひび割れ、浮き、剥落、目地部からのエフロレッセンスや中性化が問題となっている。セブンSは発売以来戸建住宅からマンション、オフィスビル、公共施設で続々と採用。設計や施主からの評価を高めており、拡販に力を入れる。