Web特集
2009年10月16日
建築塗料特集2009 動き始めたメーカー新戦略 生活者への価値訴求に焦点
建築汎用分野はこれまで、各社横並びの製品をバッチで製造し、後は塗料流通にお任せといったスタイルが一般的であった。パイの縮小に連動して出荷数量も減少するに任せ、需要創出のための道筋も見出せないままウレタンからシリコン、フッ素といった塗料グレードのアップで食いつないできたというのが実態だ。
しかし収益源であった自動車、電気、建材などの需要が大きく落ち込み、改めて建築分野のテコ入れに迫られているというのが実情だが、「それ行け、やれ行け」といったような従来のドブ板的な営業手法では市場は反応しなくなっている。また、塗料グレードにしても「行き着くところまで行っており、よほど革新的な技術開発がない限り、塗料製品自体の魅力で需要創出することは難しい」(メーカー関係者)と閉塞感は高い。
塗料流通のある経営者は「耐候性が〇〇年長くなりますよといった一本やりの営業トークはもう通用しなくなっている。需要家のもっと根源的なニーズを揺り起こすアプローチが必要ではないか」と市場で感じ取っている変化を口にする。
そのような市場に対してメーカー各社の販売戦略に変化が生じてきた。関西ペイントは最終顧客である生活者に価値訴求するダイレクトマーケティングに着手。生活者に最も身近な内装で暮らしの場を改善する機能が見えやすい「アレスシックイ」を切り口に需要創出の糸口を探る。
日本ペイントは環境に優しいアメニティ工場といったコンセプトで企業に価値提案する「パワーファクトリー」を始動。また「カラモニー」も製販装の価値連鎖をより明確にして、やはり最終顧客である生活者市場でのブランディングを図るべく再構築に乗り出した。
これらの動きに共通したキーワードは「生活者」だ。これまでほとんどその存在すら認識されることのなかった塗料・塗装に対して、その存在感を高めることで需要創造、価格形成力を持ち、塗料需要を活性化させていくとの動き。
従って、これまでのように耐候性○年、ライフサイクルコスト〇年といった要件は背景に置き、暮らしが便利になる、楽しくなるといった生活者価値の根源に触れることを主としたアプローチが模索されている。
両社の動きひとつとっても建築塗料の売り方が大きく変わりつつあることは明らかだ。
また他の塗料メーカーの動きも様変わりしてきた。特徴的なことは施工業者との結びつきを強める方向の追求。
水谷ペイントは差別化に自信を持つ「ナノコンポジットW」の普及を図る上で、その良さを知ってもらうために経営者自らが全国の塗装店を行脚。同品のファンからなるパートナー施工店が拡充され、同社にとって新たな「壁面需要」創出のための起爆剤となりつつある。
恒和化学工業も戦略を大きく変えた。建築仕上塗材メーカーとしての象徴であったアクリルタイルや弾性タイルなどの主材の製造、供給を取り止め、特徴的なトップコートなどに絞り込んだ製品体系に変更。併せて地域の有力なリフォーム会社など、物件獲得能力の高い企業の指定材料として供給を展開、より効率の高い売り方へと方法を変えている。
ベンチャー企業の動向も見逃せない。アステックペイントジャパンはその発足当初から塗料流通を介さず、施工店との直取引で始動。施主への訴求力が高い製品差別化が鮮明なことから元請志向型の施工店が全国から多数加盟した。更には塗り替えリフォームのブランド化を目的としたフランチャイズ組織「プロタイムズ」を発足、生活者(施主)に有効な営業手法の開発など体系的な戦略が練り上げられつつある。
生活者に直接働きかける経営資源を持たないこうした中小・ベンチャーは、末端市場に最も近い施工店とのつながりを深くし、間接的に自社製品の生活者市場への売込みを図っている構図が見える。
その一方で、大手ハウスメーカーの塗り替えリフォームの受け皿となり、黒子に徹しつつも収益を上げる仕組みづくりにまい進している塗料メーカーも存在する。新築減からリフォームの強化に向かわざるを得ないハウスメーカー事情、また品確法や住宅長寿命化を背景に、塗り替えにおいてもハウスメーカーの存在感が高まってくることを考え合わせれば合理的な選択ともいえる。
こうした一連の動きからあぶりだされてくるのは塗料流通の立ち位置が改めて問われる点。生活者への価値創造を働きかける動きが強まる中で、機能強化が不可欠だ。
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