Web特集
2009年10月29日
粉体塗料・塗装特集2009 各社動向(原料メーカー)
フッ素粉体の市場形成に積極化 旭硝子
フッ素樹脂「ルミフロン(R)」を展開する旭硝子は、フッ素粉体樹脂塗料の市場拡大に向け、プロモーション活動を本格化している。
既にフッ素粉体塗装の普及が進む海外では大手外資系塗料メーカーに供給するなど堅調に需要を拡大させる一方で、国内においては粉体塗料自体の使用量も低くフッ素粉体の実績も少ない。樹脂メーカーとして塗料メーカーへの採用活動を積極化する一方で、ゼネコン、ディベロッパー、ビルオーナーに向けフッ素粉体の性能、環境適性を訴求するなど啓発活動を含めたマーケティングを実施している。
特に同社が市場として見据えているのが、カーテンウォールなどの外装アルミ建材のフッ素粉体化。既に中温焼付フッ素で多大な実績を有する同社にとって、フッ素粉体化は社会ニーズが高まる環境対応技術として位置づける。フッ素樹脂最大の優位性である耐候性を武器にLCC(ライフサイクルコスト)によるコスト低減効果と環境適性で差別化を図る構えだ。
しかしながら、屋外向けの粉体塗装仕様としては現在、高耐候ポリエステル樹脂粉体塗料が徐々に採用されている現状がある。その中で同社担当者は「耐候性では高耐候性ポリエステルを寄せつけない性能を有している。『屋外はやはりフッ素粉体』との流れを作りたい」と意気込みを見せる。
課題となるコスト面についても「粉体であれば1コート1ベークで塗装ができ、塗着効率などを考慮すると、施工単価では溶剤型焼付フッ素仕様と比べて遜色ない」とコメント。環境対応型塗装として、当面は溶剤型高温焼付フッ素からの置換を図る。
また一方で、開発面においては平滑性など美観性向上に努めている。「海外と比べて日本は美観に対する要求度が厳しい」。来年にも平滑性、美観性を向上させた新規「ルミフロン(R)」粉体フッ素樹脂を投入する構えだ。
高機能化、コストダウンに寄与 ビックケミー・ジャパン
公開セミナーの開催など塗料開発担当者に対して積極的な情報訴求を図るビックケミー・ジャパン。塗料の高機能化、高付加価値化が求められる中で、添加剤技術への関心は年々関心度を増している。同社では粉体塗料向けとしてワックス添加剤、レベリング剤、プロセス添加剤をラインアップし、市場全体が低調に推移する中にあって、数量、採用企業とも伸ばしている状況にある。
ワックス添加剤においては、多孔質被塗物からの気泡の排出を向上させる「CERAFLOUR 961」と粒度分布が異なる「同 962」を上市。マイクロナイズド変性ポリエチレンワックスを組成とし、脱ガス機能付与に寄与する。融点は140℃。既に主要の粉体塗料メーカーを中心に通常品として採用されている。
「同 967」は合成ポリマーを組成とした表面模様付与添加剤。メタリック顔料を添加すると均一なハンマートーン及びアンティーク模様が得られるのが特長。均一で極めの細かい表面模様を付与する「同 965」「同 968」「同 969」と合わせて、「意匠性に寄与する添加剤として、これから販売に力をいれていきたい」(担当者)とコメントする。
「同 970」はマイクロナイズドポリプロピレンワックスを組成としており、表面特性の向上を特長とする。粉体塗料、溶剤型塗料全般に適し、塗料需要が減少する中で、新規採用が増えるなど堅調に推移。「艶消しとしての処方が増えている」と定番品としての認知を高めている。
またマイクロナイズドポリエチレンワックス組成の「同 991」も表面特性の向上に寄与し、粉体塗料の他、缶及びコイルコーティング、印刷インキに適応するなど、今後の販売拡大を見据えている。
一方、レベリング剤ではハジキ防止性とレベリング性を備えた高級グレードと位置づける「BYK‐368P」を筆頭に「同‐3900P」「同‐3950P」「同‐3951P」をラインアップ。「同‐3900P」はクレーター防止及び塗装によるコンタミによる不具合を低減し、新規採用が増加。顔料に親和性のある基を有するコポリマー組成の「同‐3900P」「同‐3951P」は外観向上剤としてフロー性、レベリング性を飛躍的に向上させる他、湿潤分散効果によりフィラーの高濃度化が可能となる。「不純物への抵抗許容範囲が広いため、塗料設計サイドのコストダウンに寄与する」として、現行品からの置き換えを図る。
PrimidXL‐552に次ぐ製品を紹介 エムスケミー・ジャパン
エムスケミー・ジャパンが展開している架橋剤「PrimidXL-552」の国内販売が鈍い。大幅な需要減に今期は前年比30%減の出荷数量になりそうだ。
しかし、欧州はTGICの代替として出荷が伸びていることから、スイス・本社では生産設備の改善を図り、このほど生産キャパシティーを従来の20%アップに高めた。「欧州ではTGIC代替として建材に使用されているが、国内はボンベ関連がメインとなっており用途が異なる」という。
これまで指摘されてきた耐水性の問題については「各メーカーの協力でできることはやったと思っている。塗料メーカーの配合技術に負うところが大きい」と今後に期待を寄せつつ、「省エネ、CO2の問題から粉体塗装の低温化が求められてくる。ポリエステル樹脂タイプでは唯一の低温硬化が可能な触媒」とアドバンテージを強調する。
そのPrimidXL‐552は昨年末に同社の特許が切れた。既に中国、韓国、欧州の4メーカーが国内において同等品の販売をスタート。「エムスのXL-552とは純度が違うようだが低価格の攻勢で我々も25%程価格を下げることで、ウレタン硬化に対し価格競争力は高まったと判断している」と述べ、他社製品との使い分けが進むと見る。
また同社は既に欧州においてガスオーブン内での安定性(黄変性)を改良したPrimidQM‐1260や流動性を高めた同SF‐4510を紹介、サンプル供給を始めた。
国内マーケットへの対応強化 ダイセル・サイテック
ダイセル・サイテックの(国内)粉体塗料用樹脂のビジネスは人材を投入して拡大を図っていく方向にある。
今後VOC対策から粉体塗料は伸長していくとの読み。「特に低温硬化ニーズからHAAタイプの樹脂に期待している」とコメントする。
同社は国内においては後発組に入る。従って国内樹脂メーカーとの差別化としてフロー性に優れた低温硬化の樹脂をメインにハイブリッドと欧州で実績を有すHAAタイプを中心に展開を図ってきた。
この戦略が奏功し同社の出荷数量の約60%がハイブリッドで占められ、低温硬化タイプとしてアルミホイールの下塗りに採用されるなど高い実績を持つ。一方HAAタイプも先行した欧州での採用実績と品種の多さから国内でも採用が進み、艶消しタイプが一部インテリア関連で使用されている他、屋外用途においては高耐候性グレード(QUV1500時間、フロリダ暴露5年)が商業ベースで流れているようだ。
「国内ではポリエステルのウレタン硬化の比率が高いが、サイテックには透明感のある仕上がり外観に優れた製品などもあり、今後OHタイプの樹脂の拡販にも力を注いでいく」意向を示す。
また同社が積極的に取り組んでいるのがUVパウダー樹脂。なかなかUVパウダーの特性を生かせるアイテムが見つからない中で、「再度マーケティングを行い市場開拓にチャレンジしたい。技術レベルは確実に向上しており、硬度も3Hレベルまで来た。更にMDFに塗装しても泡が発生しないなど我々もノウハウを蓄積できた。塗料メーカー、ユーザーとの三位一体で事業化に向け取り組んでいく」方向にある。
HAAタイプで5品種ラインアップ 日本ユピカ
日本ユピカは粉体塗料用樹脂「ユピカコート」を展開している。今年の1‐3月は需要減退から出荷数量は前年比で半減したものの、ここに来て昨秋比で75%まで回復しているという。しかし「原油価格が上昇基調にあり、樹脂原料も上がりつつある。先行き不透明な中で予断を許さない経済環境」とコメントする。
同社の樹脂開発の方向は低温硬化、高耐候性、無揮発(ヤニフリー)、艶消しに主眼を置く。特に力を注いできたのが低温硬化、無揮発のニーズに対応可能なHAA硬化系のポリエステル樹脂。既にPX-3168Bを基本グレードに酸化を下げたPX‐3188BとPX‐3170Bを有す。前者は耐沸水性、後者は耐湿性を改良したもの。
また高耐候性グレードにはPX‐3143Bを揃える。「サンシャインウエザオメーター1200時間をクリア、光沢保持率80%以上というもの。焼付時の塗膜黄変を考慮して樹脂設計をした」と説明する。更に加工性に優れるPX‐3197Dはサンプル出荷の段階にある。「5製品をラインアップしているがHAAタイプは反応が速く、粘度が下がらないうちに硬化が始まるので仕上がり外観にやや難がある。当社では酸化を下げ硬化剤の添加量を変えることで対応している」という。
マーケットでは艶消しのニーズも高い。HAA硬化系のポリエステルタイプでは艶のコントロールが難しい。同社では現状5分まで可能となっている。ウレタン硬化の高耐候性ポリエステルタイプではフルマットまで可能。「硬化剤の異なる2種類のポリエステル樹脂を利用して塗膜表面の艶を消す手法で、良好な完全艶消し塗膜が得られた。SS-WOMによる促進耐候性試験で1000時間、光沢保持率80%以上」とコメントする。
同社では低温硬化、高耐候性、無揮発(ヤニフリー)、艶消しの4つのテーマを同時にクリアできる樹脂開発に今後も力を注いでいく意向を示す。
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