Web特集
2009年10月29日
粉体塗料・塗装特集2009 各社動向(塗料メーカー)
低温硬化性能の追求 神東塗料
神東塗料の粉体塗料事業は「自動車、建機など他のIU(工業用)関係に比べれば相対的に落ち込みは少ないものの、需要伸長の機運に欠けるのは否めない」(担当者)といった状況。
そうした中にあって重点施策として推し進めているのが低温硬化性能の追求。低温硬化により従来焼付塗装からの切り替えのハードルを下げるとともに、塗装工程からのCO2排出削減、厳しいコスト環境下での原燃料費低減への貢献など、低温硬化によるメリットを明確に示し需要開発につなげる狙い。
特に他社に先駆けて市場投入し経験も豊富なポリエステルHAAタイプは150℃×20分、160℃×15分といったレベルを実現。拡販施策も戦略的に推し進めていることもあり、前年比20%増と計画通りに伸ばしている。
次に掲げるのがユーザーの生産状況への徹底した適合化。「低温硬化もそのひとつだが、逆に高温短時間でキュアしたいとの要望など、細分化したニーズへの対応を徹底することで顧客にとっての当社の有益性を鮮明にしていく」(同)方向。このため、塗料のモディファイだけにとどまらず、前処理の改善や新しい乾燥方法の提案、時にはライン設計などユーザーへの最適ソリューション提案で価値を訴求していく方向にある。
一方、新たな需要創出については、土木学会でオーソライズされた粉体塗装鉄筋が順調に伸びていること、また鋳鉄管の塗装では内面コートに加え、その余熱を利用した外面塗装の需要も喚起、ボリュームアップに寄与している。更に数年前から取り組んでいるUVパウダーの開発にも積極的。「例えばUV塗料使用における毒性の問題を改善できる点など、粉体塗装ならではの訴求点を見出し需要創出に向けて取り組みたい」意向。
同社では粉体塗料の国内市場に関して、「総需要が伸びないこと、また中国の競争力が急速に高まっていることも考え合わせると、今後国内では汎用的な製品の生き残りは難しいと思う。当社としてはユーザーニーズへのカスタマイズを徹底して顧客価値を訴求、高付加価値化により粉体塗料事業の採算性を高めていく」と焦点は明確。
顧客の商品開発に参画、機能性粉体に活路 久保孝ペイント
粉体市場の景況感について担当者は「3カ月単位で見ると持ち直し傾向が顕著に見られる」とコメント。しかしながら自動車関連では改善の兆しが見られる一方で、工作機械分野などは弱含みのまま。海外シフトも加速の様相を見せており、依然予断を許さない状況として危機感を強くしている。
国内市場を主戦場にする同社にとって見据えるのは成長産業を視野に入れた特化戦略。「需要ある分野に強みを生かした展開をするしかない」と顧客との共同開発に注力している。
その体制づくりとして、既に技術部と連携した形で市場開発チームを編成し、単なる仕上げとしての塗装ではなく、需要家のものづくりに参画する形での製品開発を始動している。
一方、小口対応においてはかねてから実施している常備色対応(15kgオーダー対応)として、ソリッド色171色、模様仕上げ21色の計192色を揃えたカラーカードシステムを基本とした展開は変わらず。競合他社が小口対応を強める中、更なる増色により顧客からの要求に応えられるよう検討を行っている。
同社のカラーカードシステムに盛り込む塗色は基本的には顧客の頻度の高いものを取り入れており、絶えず市場性を見ながら追加を行っている。ただ、塗装環境や塗装条件の違う不特定多数のユーザーに対応するための塗料設計には長年のノウハウが生かされている。「ブロッキングや製品安定性、硬化温度など、さまざまな要求を平準化した設計を施す必要がある」と小口対応を強みとしてきた自信も見せる。
製品開発面では、昨年本格販売を開始した非ブロックイソシアネート(非B‐NCO)硬化型ヤニレス粉体塗料「ニッシンパウダーPE.777ライン」が耐候性、耐食性、耐熱黄変性を特長とした環境配慮型粉体塗料として、道路資材や照明灯反射板などでの実績を上げている。HAA硬化型粉体塗料は150℃×20分の開発が完了しており、市場評価を得ている段階。
現在は機能性粉体塗料の開発に注力。「ものづくりの力を上げていく形での開発を進めている」とニッチ市場における付加価値展開を指向している。
小ロットで成長、生産能力増を計画 三王
三王は粉体塗料「コナール」をオンデマンドオーダーで展開する。オーダー色を1ケース・15kgから受注できる小ロット戦略を進めている。
粉体事業は堅調に推移してきたが、昨年末からの景気後退の影響で出荷数量も減少。「今年に入って需要減が続き3割程落ち込んでいる」(高橋専務)。ただそうした落ち込みも6月を底に回復傾向が見られ、現在のところ前年比で9割まで持ち直している。
こうした景気状況にあっても、小ロット対応を展開する同社への引き合いは増えているという。「問い合わせや見積依頼はなくならない。ユーザーの粉体塗装への関心はますます強まっているように感じる」と高橋専務。溶剤からの切り替えを考えたとき小ロットで粉体塗料を注文できることは現場では大きなメリットとなる。
同社ではエポキシ/ポリエステル、ポリエステル、高耐候ポリエステルの他、リップル・サテン調の模様タイプやボンディングメタリックタイプも揃えている。
模様タイプではエポキシ/ポリエステル樹脂系が工作機械などで採用が増えている。また、配電盤など屋外向けとして高耐候ポリエステル樹脂系の引き合いも強いという。ボンディングメタリックタイプは「溶剤塗装と比べてまだらにならず均一に仕上がる粉体塗装の評価が高い」という。
また、省エネ効果が期待できるなど低温硬化タイプへの関心が強まっている。同社ではエポキシ/ポリエステル樹脂系で160℃から硬化可能な塗料を上市しているが、ポリエステル樹脂系の開発も進めている。
「プリミド硬化系で製品化を目指しているが、艶消しや貯蔵安定性などいくつか課題があり引き続き開発を続けている段階」。
現在、同社では3基の製造ラインを有している。直近では少しの落ち込みはあるが、それまでは生産能力はフル稼働状態だった。そのため、ラインの増設計画を検討している。「小ロット対応が顧客から評価されて成長してきたので、今後も販売店特有の細かな対応・サービスを提供するとともに生産量を増やして更なる事業拡大を図っていく」
外装建材に期待、フッ素粉体も品揃え トウペ
鋼製家具、鋳鉄管、自動販売機、自動車部品向けをメインに展開するトウペ。景況感について「自動車関連の落ち込みに比べて、鋼製家具分野の落ち込みは少ない」(担当者)と需要動向にも業種による差異があると説明する。
持ち直し基調にあるとはいえ、市場全体としては依然として低調に推移しており、生産調整、効率生産に伴う小口ニーズが増加している。
小口対応において同社は、技術供与関係にあるメーカーと提携する形で、小口対応を行っている。同社としては小口対応はあくまでも顧客との個別対応で差別化を図っていく方針を掲げている。
同社では中長期的視野においてはVOCフリー、溶剤フリーの社会的要請から、メラミン塗装から粉体塗装への置き換えが進むと予測。「ゼネコン、公共事業体ともにVOCフリー建材を採用する動きが高まっており、コーターレベルでの切り替えも加速していくだろう」とコメント。いまだに大きなウェイトを占めるメラミンユーザーに対して粉体置換を図ることが粉体事業の成長に直結するとの見方を強めている。
更にマーケットボリュームの多い外装建材の粉体化も成長市場として視野に入れる。既に同社では高耐候性ポリエステル粉体塗料を上市する他、国内ではまだ少ないフッ素粉体樹脂塗料をラインアップ。カーテンウォールなど外装建材への採用に向け、準備を進めている。
既に屋外用途としては、高耐候性ポリエステル粉体が主流を占める中にあって「海外の建築物では、定期的に洗浄を行うなどメンテナンスに対する考え方が違う。国内においても同様の仕様で通用するか疑問点が残されている」と指摘。耐候性で群を抜くフッ素粉体塗料はコスト面から実需には課題が残されているものの、環境対応塗装としての焼付フッ素からの置換、高耐候性ニーズを追い風に「将来性は高い」と期待感を募らせている。
意匠性・低温硬化の改善進める 大日本塗料
大日本塗料の粉体塗料出荷量は直近で約30%落ち込んでいる。「昨年11月までは環境対応のため溶剤から粉体に切り替えるユーザーが多かったが、11月以降は需要が落ち込んでいる」(担当者)という。
需要減は分野に関係なく全体的に言える傾向だが、特に建設機械及び工作機械の落ち込みが激しくなっているという。それでも「建設機械分野は9月から戻りつつある。自動車部品も9月では前年比で75%まで戻っている」(担当者)など一部では回復傾向も見られる。
そんな中、同社では意匠性、低温硬化をポイントに製品開発を進める。
薄膜美装粉体塗料の「FINE V‐PET」は膜厚40‐50μmで鋼製家具向けをメインに実績を重ねている。机やロッカーなどもともとメラミン・アクリル焼付塗装されていた用途に対して、溶剤塗装並みの仕上がり外観をアピールするとともに、更なる拡販に向けて価格帯も競争力あるレベルに近づけていきたい意向。
意匠性としては他にメタリック粉体塗料を積極的に提案している。ボンディングメタリックが意匠性や回収可能な点が評価され、自動車部品関係で採用されている。
低温硬化可能な粉体塗料については、ポリエステル樹脂系で150℃、エポキシ/ポリエステル樹脂系で140℃から硬化する製品を上市しているが、ここ数年開発に注力しているのは硬化剤としてプリミドを使用したものだ。
従来使用されてきたウレタン硬化タイプでは、焼付時に解離するブロック剤がヤニの原因となる問題があった。プリミドタイプでこの問題をクリアし低温硬化を可能にすることができるため、同社では開発し製品化及び改善を進めている。既にガスボンベで採用されており、今後は幅広い用途に向けて展開していく。
また、今後の粉体塗料の新需要として見据えるのがカーテンウォールなどビル建材への採用。意匠性や色出し・色決め、耐久性、コストなど要求事項は高いが、高耐候性ポリエステル粉体塗料やふっ素粉体塗料などの開発を進め需要創造に取り組む。
メタリックやテクスチャーで差別化 タイガードライラックジャパン
タイガードライラックジャパンは大阪に営業所を開設した。名古屋以西(西日本)の営業のテコ入れを目的に末端需要の開拓を行う。3年前に人員を引き上げ西日本への対応は本社(神奈川県相模原市)からフォローしていたが、建材需要が順調に進むなど一定の成果が見えたことから新たに市場の掘り起こしを行う考えだ。
ここ数年、同社はサッシやカーテンウォールなどのアルミ建材に向けた事業展開を進めてきた。「高層ビルの外装物件に高耐候性粉体塗装が採用されることで従来のフッ素樹脂塗装(PVDFタイプ)とは異なるテクスチャーが提案でき、2コート2ベークを1コート1ベークで仕上げることでコスト的にも環境的にもいいことがご理解頂けたと思っている。既に中堅のゼネコンさんがカーテンウォールに粉体塗装を指定するなど広がりを見せつつある」とコメントする。
更に次の戦略としてビルや店舗の内装部材に向けて粉体塗料の推進を図っていく考えだ。「内装部材は全く手付かずの状態。我々の持つファインテクスチャーによるデザインの提案、またボンディングメタリックによる高輝度感をお勧めしていくことで需要は開拓できると踏んでいる」と述べる。
一方、従来からの汎用マーケットについては国内メーカーが対応できにくい色調や模様など特色のある粉体塗料で差別化を図っていく方向だ。「メタリック75色、ファインテクスチャー30色、ラルの見本帳全色に対応。ソリッドは60kg、メタリック300kgをミニマムロットとし、更にサンプルとして2.5kgから受けられる」と品数の豊富さと小ロット対応を強調する。
また今回、欧州においてタイガードライラックとSchwing Engineeringがパートナーを組んでクロム代替の展開を進めているCFC(Chrome6+Free Chrome)システムの紹介を行う。同システムは下塗りにエポキシ粉体塗料をかけ、次いで真空蒸着を施し、上塗りにアクリル粉体塗料のクリヤーで仕上げるというもの。
同社では「クロムの代替としてドアノブ、高級アルミホイールなど付加価値の高い分野に向けて紹介していく」考えを示す。
1袋対応で汎用的な広がり目指す ナトコ
ナトコの粉体塗料出荷量は直近では前年比3割減となっている。それでも環境配慮などから溶剤塗装からの切り替えは進みつつあり、分野に限らず全体的に需要は戻し傾向にあるという。「粉体ラインへの切り替えは、この景況下では設備投資やランニングコストの問題があって実施するのは厳しいようだが、検討を進めているユーザーは多い」との見方を示す。
内製化工場を持つ大手メーカーの溶剤塗装から粉体塗装への切り替えが進む中で、まずはその下請業者での粉体の導入の動きが見られるという。下請業者では従来の溶剤ラインとは別に手吹きでも粉体塗装ができなければ受注できなくなってしまうからだ。
溶剤からの切り替えでは低温タイプを提案する。低温タイプを採用することで従来の乾燥炉設備を使用でき、設備投資する負担がない。
同社ではエポキシ/ポリエステルのハイブリッドで140℃、プリミド硬化系のポリエステルで160℃硬化可能のものを製品化している。ポリエステルでは更に低温化を上市するべく開発を進めている。
また、鋼製家具など意匠性や平滑性を求められるケースには薄膜タイプを提案している。同社の薄膜タイプは微粒子化ではなく独自の手法で平均膜厚40μmを可能にした。
「今後の開発ポイントとしては、低コストと薄膜化と低温化の改良という方向性は変わらないが、その他に低発泡性やプライマー的性能、光沢安定性など細かな要求に対応していく」
また、同社では汎用的な広がりを狙って、1袋(15kg)から受注する小ロット対応をスタートさせている。当初は限定ユーザーを対象としていたが、この程すべてのユーザーを対象に事業展開をスタート。販売店へのアナウンスも始めている。
同社では小ロット対応の専用の生産ラインを2ライン新設。ポリエステル、ハイブリッド、模様粉体などすべての塗料を供給する。10色程度しか常備色は持たず、基本的には要望色を短納期で出荷できるため、汎用的な広がりを期待する。
性能向上させ差別化 日本ペイント
日本ペイントの粉体塗料事業は昨年下期の需要減が響き、出荷量は昨年比で約80%となった。
需要減の理由として「建設機械の回復が遅れている。この分野ではまだまだ溶剤やハイソリッドなど液状での塗装が主流であり粉体塗料の影響は少ないとは言えるが、回復してもらわないと厳しい」(担当者)との見方を示す。今下期からの回復を期待する。
家電分野向けでは住宅着工軒数と連動する形で減少した。「底がまだ続いており、好調だった昨年上期に比べて80%くらいの感触」(担当者)。
また、鋼製家具分野は水性塗装と粉体塗装の2極化が進んでいる。工場の老朽化から新ラインを増設する際には環境配慮などの理由から粉体塗装に切り替えるユーザーが増えており、同社としても粉体塗料の提案を積極化させている。
意匠戦略で主力としているのが、光輝意匠粉体塗料「多彩ビリューシア メタフィール」。上市から5年が経ち年間売上は数億円規模にまで成長した。現在はボンディング技術を駆使し、より輝度感向上を発現させる開発を進めている。優れた意匠性と実績をアピールして工作機械向けなど新たな分野での広がりを期待している。
また、粉体塗料の製品開発は成熟化の段階に入っているとみられ、主力製品である微粒子粉体塗料「ビリューシア」についても「コモディティ化しており差別化を鮮明にできる新たなものを開発する必要がある」(担当者)との思いがある。
そこで同社が開発に注力しているのが低温タイプの改良。現在はプリミド硬化系のポリエステル樹脂系で160℃×20分タイプを製品化しているが、更なる低温硬化タイプの開発に取り組んでいる。
「硬化系をプリミドタイプでいくのか、または新たな硬化剤が必要なのかもしれない。開発には原料から着手する必要がある」として、原材料の解析に取り組んでいく意向。
低温タイプで切り替え提案 中国塗料
中国塗料の粉体事業ではここ数年堅調に推移していたが、世界的景気後退の影響から「分野を問わず、ユーザーの生産ラインの動きは鈍ってきている」(担当者)
そんな中、同社が注力しているのが溶剤からの切り替え提案。農機具などで採用されるなど、新需要に向けた営業を積極化させている。溶剤からの切り替えで課題となるのが焼付温度の上昇だが、低温硬化タイプを提案することで対応している。
低温硬化としては160℃×20分タイプをラインアップ。エポキシ/ポリエステル、ポリエステル(プリミドタイプ)、高耐候ポリエステル(プリミドタイプ)の樹脂系を揃えており、鋼製家具などで採用されている。更なる低温化に向けて引き続き開発を進めていく意向。
意匠性としては、メタリック粉体塗料のボンディングタイプとドライブレンドタイプを展開。仕上がり外観や耐薬品性が向上し、屋外向けで採用されるなど用途が広がっている。
また、同社では韓国の塗料メーカーに粉体塗料の製造を委託している関係で、プリミドタイプとTGICで競争力を有する。道路資材向けで低発泡型のTGICタイプ(ポリエステル樹脂系)を販売するなど、ニーズに合わせた最適な製品を提供していく。
「需要が落ち込んでいる現状では、ユーザーが何を求めているのかを今まで以上に理解して、最も適した製品を提供していく必要がある」
価格優位性で需要増 コープラント
厳しい環境下にあってもコープラントの粉体塗料ビジネスは順調に伸長している。「今年の1‐3月はユーザーの生産量が大幅に落ちこんだことから出荷数量も減ったが、4月以降は戻り、むしろ量は伸びる方向にある」とコメントする。
もともと大ロットの塗料供給というよりも小ロットで、かつ国内メーカーにないボンディングメタリックや模様粉体をメインに手掛けてきた。それが奏功し急激な需要減にあっても大幅な落ち込みは避けられた。
特にここにきてユーザーの原価軽減、品質の向上から、同社から塗料を引くユーザーが増えつつある。「国内メーカーのハイブリッドからアクゾブランドのハイブリッドに置き換わるケースが多い」と説明する。塗着効率の向上、塗料単価の低減によってユーザーの原価低減に寄与する。特に単価においては国内メーカー品と比べて20‐30%安価だ。
またボンディングメタリックでも新色で受注から納品まで3週間程度と国内品と変わらず、ミニマムロット100kgから対応している。「価格的にもロットによって異なるものの平均キロ単価1,100円から1,600円とかなりリーズナブル」という。
その他、粒度分布のシャープなレベリング性に優れた「AF塗料」など国内メーカーとひと味違った特徴のある粉体塗料を手掛けている。
小ロット対応スタート 邦和工業
邦和工業は粉体塗料の製造をスタートさせた。技術供与を受けている三王のOEM供給に対応するとともに、一部はスペックインした自社の塗装製品に使用している。
同社はこの春からHOWA Powder Coatings system(邦和パウダーコーティングズシステム)事業部を立ち上げ、本格的な製造に入っている。設備は中国製の混合分散器、溶融混錬機、粉砕機等の粉体塗料製造装置などを設置。生産ラインの能力は1日約200kg、対応色は10色前後。
事業展開としては「当面三王のOEMをメインに生産していく。原色は4‐5色程度に抑え、三王で1次加工したマスターバッチに顔料を配合し色を合わせていく。常備する色数は10色程度」という。「毎日数袋のレベルで生産しており、ΔE1以下のレベルで出荷している。品質管理に関しては小分けしたものを三王に送り検査して出荷する段取り」と説明する。
既にOEMと同時にスペックインした自社の塗装製品にも使用しているが、「試作品の対応も始めた。ユーザーの新製品開発のお手伝いすることで、将来的に大きな量に結びつく可能性もある」と期待を寄せての試作品だ。同時に自社の調色技術、品質管理のレベルアップにも結びつくとの読みもある。
「塗料メーカーとして踏み出した以上、自社でギャランティできるように早くしたい。現状の粉体塗料は濃・淡色に絞られるが、次のステップとして模様粉体を手掛けたい」と積極的。
本業の塗装に加え、粉体塗料の製造を始め、また新たに板金加工の仕事も手掛ける。既にタレットパンチプレスにプレスブレーキなどを導入し本格的に行っていく意向を持つ。「2人を専属にし、塗装の前工程として取り込むことで最後の組立まで一貫で行える。最終の製品に近い形でユーザーに納品できる仕組みを作っていくことでユーザーにもメリットを享受して頂ける」と前向き。
自社の持つ技術を活用する 東亞合成
東亞合成は自動車部品を対象に粉体事業を進めている。金融破綻に端を発した世界同時不況の影響で今年の1~3月は厳しい局面を迎えるもここに来て昨年比70%まで回復しつつある。「自動車の生産数量がそのまま出荷数量に反映する。国内に関しては(自動車の生産数量)大きな伸びは期待しにくい」というのが本音だ。
自動車部品への対応としてユーザーごとにニーズをくみ上げ、機能性を付与するなど細かな対応を図ってきた。また自社の強みであるアクリル酸エステルからの一貫生産メーカーとしての利点を生かし、アルミホイール向けにトライアルを進めた。「塗膜品質としてはいいものができたと思うが(アクリル粉体塗料の)コストがネック」という。樹脂自体が画期的なものができないとなかなか採用に結びつかない。同社は合成グループと協力して開発を進めていく方向を示す。
自動車産業はエコカーに象徴されるように従来のガソリンによるエンジン駆動から電気によるモーター駆動に変わろうとしている。「電子制御になることで駆動部周りを含め塗装仕様が変わる可能性がある。粉体塗料の採用の幅が広がるかもしれない」と期待する。
同社ではこれまでの熱硬化性樹脂塗料に限らず光硬化などの材料も視野に入れ、単量単品ではなくシステムとして提案を図ることで需要に対応していく考えだ。「自社の持つさまざまな技術を応用することでもう一段高いレベルの化学メーカーとしての提案を行っていきたい」と述べる。
低温硬化ハーベスト上市 関西ペイント
工業用需要の落ち込みで同社の粉体塗料の市況も「前年度比で20%強ダウン。7‐8月に入りわずかだが持ち直し傾向にある」(担当者)といった厳しい状況が続いている。
ユーザーの粉体塗料採用が設備投資の凍結から「ほぼ完全にストップ」の状況に変化はなく、今期中の回復は見込めないとの見方。その一方で新政権が国際公約したCO2排出の25%削減は長期的にはビッグチャンスとして差別化を強めていく。
その一環として開発されたのがHAA低温焼付型粉体塗料エバクラッドシリーズの「HAA Best(ハーベスト)」(商品名)だ。低温焼付で最先端レベルを確保した。
ハーベストはポリエステル/HAAタイプの粉体塗料。高耐候の汎用粉体の主力製品。溶剤系塗料の焼付温度の標準140℃×20分に迫る150℃×20分(素材温度)を可能にした。設定条件によっては140℃×30分での焼付もできる。低温焼付の効果は大きく、省エネによるCO2削減に直結する。
本格発売を前に建機キャビンでの採用で綿密な検討を実施したところ、高いユーザー評価が得られている。そのポイントは従来の溶剤塗料システムとの比較での性能品質とコスト。いずれもユーザー評価をクリアした。
特にこの塗料は仕上がり外観の平滑性が向上。ほぼ2液ウレタン系の外観品質との評価。またHAAタイプのためオーブンのヤニレスが顕著で炉内の汚れや臭いの改善が期待される他、従来のHAAタイプに比べ耐水性のグレードが向上した。
日塗工LCA連絡会の一般的工業ラインモデルをベースに計算された関ペのシミュレーションによれば、従来粉体に比べハーベストは低温焼付によるガス代削減が年間で約576万円、脱臭炉停止によるガス代削減が410万円、CO2排出量削減が140トンと試算。「ユーザーの利益に直結するメリットが見込めることをアピールしたい」(担当者)と意気込む。
今後、建設機械の他、家電製品、建材、鋼製家具などでの採用を働きかけていく。「低温化の1つの目標は達成できた。更に次のレベルを目指した開発に力を入れる」と開発担当者。
ハーベストは2年後、月間20トンの販売を見込む。
粉体事業が拡大、顧客との深掘図る 川上塗料
昨年、110℃×20分の超低温粉体塗料「ポーセラック2000‐21」を上市した川上塗料。メラミン並みの焼付条件を確保し、エネルギーコストの大幅削減に寄与するとして、業界内外の注目を集めた。
担当者は「引き合いが多く、関心の高さを感じている。しかし、コスト面など本格的な普及には克服すべき課題がある」とし、更なる性能向上に向け開発を続けている状況にある。
工業用塗料を主力にする同社にとって、粉体塗料事業は脱VOC塗料として主力事業に据えており、この10年間で他の商品群と比べて飛躍的な伸長を遂げている。需要動向こそ不況のあおりを受けているものの、粉体塗料事業の社内シェアは前年比で5ポイント増加。社会的な環境ニーズを追い風に溶剤型塗装からの置き換え提案を積極化。「新規案件が増えている」と今後の成長性に手応えを見せている。
同社が需要先として得意とするのは、家電、工作機械、フェンス、建機、ボンベ、道路資材などの金属塗装全般。特にユーザーに密着した展開を指向しており、顧客ニーズに応じた製品開発に磨きをかけてきた。
しかし、昨年末から突入した不況は、需要家である末端メーカーの生産体制の在り方を変化させている。生産調整を経て、需要が持ち直しつつある中にあって省在庫、効率生産に移行。粉体塗料においても小口ニーズが増加している現状にある。
同社の小口対応については、「経済縮小に伴い、今後も小ロット需要は更に増加すると見られる」とコメント。粉体塗料の小ロット生産は生産設備の側面からエネルギー、人的資源で高コスト傾向になることから、同社は限定的な対応の中で実施していく意向。「需要家のコスト面での理解を頂きながら、生産設備の改善を含め対応を図っていきたい」としている。
需要家のものづくりの多様性に伴う高付加価値ニーズが増大。強固な顧客との関係を基盤に機能性粉体塗料の開発を積極化させている。
高付加価値製品で差別化展開 ローム・アンド・ハース
ローム・アンド・ハースは昨年4月に国内に粉体塗料事業部を開設し、市場調査に注力するとともに高付加価値製品で差別化を図り大手ユーザー向けの展開に取り組んでいく。
同社では自動車部品のコイルスプリング用途向けに、ジンク粉体塗料+エポキシ粉体塗料の2コート1ベークで仕上げる「デュアルコートシステム」を開発しており、北米向け自動車などで採用実績を持つ。「今後は性能を上げたものを開発して他用途向けに横展開していきたい」(担当者)。
自動車部品ではアルミホイール用(中塗り、上塗り)でも海外自動車メーカーにおいて実績があるため、その技術を国内ホイールメーカーにも提案していく意向。
機能性粉体塗料としては、耐熱粉体塗料「MOR‐TEMP」を展開している。直火にも耐えられる性能を有し、実験では315℃×16時間でも完全な塗膜を維持するとともに塗膜付着及び光沢保持でも問題はなかった。
色相は黒、メタリック、白の他着色系塗色を揃えており、黒・グレー・メタリックでは400~500℃の領域でも使用が可能となっている。海外ではバーベキューグリルやホットプレート、ストーブの内面部、排気管などで採用さている。
導電性粉体塗料「SPARK‐LITE」は導電性及び消散性を有し、幅広い色相を持つと同時に静電気に起因して発生する問題を防ぐ特長を持つ。
「一般的な絶縁性を有する塗料では、静電気が蓄積してしまい突発的な静電気が放出される恐れがある。しかし、この製品で塗装すれば静電気の蓄積を効果的に防ぐことが可能になる」
用途としては電気機器、家電製品、電子機器を収納する棚やキャビネットなどで最適となっている。
« 前のWeb特集 | Web特集アーカイブ | 次のWeb特集 »