Web特集
2009年12月21日
1116(いいいろの日)特集2009 ケーススタディ
日本ペイントのカラーブランド戦略「HANA*COLLECTION(ハナコレクション)」が着実に認知度を増している。その契機となったのが、今年4月に日産自動車とコラボ出展した「丸の内フラワーウィークス2009」。ハナコレのデザインをあしらったNISSAN MARCH(マーチ)に来場者の視線は釘付け。色の楽しみ方やペイントが得意とする多彩なデザイン性を強く訴求する場となった。
すると、この出展会に来場した一般女性が自身のブログで紹介するなど口コミが拡大。またハナコレで塗り替え提案する塗装業者が新聞紙面に取り上げられるなど、業界内外の注目を集める結果となった。有償を前提としたプレゼンテーションブック(ハナコレブック)も2万部以上を配布しており、ホームページのアクセスも4月から月平均1万件を超えるなど、確かな反響が得られている。
塗装のイメージを変える
ハナコレが狙うのは、塗装に対するイメージの転換。一般的に塗り替え塗装はメンテナンスの領域として、「やらなければならない」という消極的な動機が主流。そのため塗料製品においても耐候性、耐久性といった長く持たせることに主眼が置かれてきた。
それに対し、ハナコレは"家のイメージ"を変えるという感性提案がテーマ。カラーの選択しかり、配色に至るまで自由自在にカラーコーディネートができるという要素を押し出すことで、塗装からの新しい価値を見出そうとしている。
日本ペイント販売カラモニー部・石井貴幸氏は「ハナコレで施工されたあるお客様は家のイメージが変わったことで植栽を始めた。塗り替えがライフスタイルに影響を及ぼすことが分かり、大きな可能性を感じている」と期待感を見せる。
しかし、ハナコレの持つ華やかなイメージの一方で、実物件で採用されるか否かについては、別の課題が立ちはだかる。それは具現化のための落とし込み。同社は既にその点についても課題を見出しており、具現化につなげるためのツール開発を積極化させている。
施主の心を動かすことが求められる感性マーケットにおいて、施主のイメージをどう引き出していくか、どのように近づいていくかが重要となる。「お客様が望む暮らし方、過ごし方、趣味などを通じ、イメージをどういう風に引き出していくか。また日本の文化、地域性、ライフスタイルにも配慮した提案が必要になる」と、有形無形の施策を打ち出している。
まずは昨年第1回目の開催となった「ハナコレコンテスト2008」。ハナコレカラーで施工した物件を募集し、デザイン性に優れた物件に対し賞を与えるというもの。受賞物件においては施主、施工業者の満足度を高める一方で、これから施工を考えている施主に対しても実物件の事例を紹介することで、信頼性と具体的なイメージを与えることができる効果があった。
また8月にはハナコレ専用ホームページにおいて、自宅の写真でカラーシミュレーションができる機能を追加した。専用ソフトのダウンロードが不要で、WEB上で自宅画像を読み込ませ、簡易的なカラーシミュレーションができる。外壁色はハナコレカラーも収録している標準色28色から選択。屋根色6色を加え、部位に応じた好みのカラーシミュレーションが可能で、施主の漠然としたカラーイメージの具現化に寄与する。
この他、積雪の影響から外壁以上に屋根の塗り替えが頻繁にある北海道、東北向けに寒冷地バージョンを提案。トタン屋根、サイディングボードが多い地域性に配慮したカラー提案は予想を上回る反響を得ている。
また一方でハナコレブックの改訂版も発刊。「これまでパステルカラーを中心としたカラーコーディネートを収録していたが、客層を絞ってしまうという反省があった。新カラーブックでは、より採用しやすい配色を心がけた」と説明。花の色彩イメージから抽出した6つのカラーバリエーション名もホワイトナチュラル、オレンジプリティ、イエローカジュアルといった西洋的な分類から、白、黄、橙、赤、桃、紫の和名に変更。カラーサンプルもトーンを落としたより落ち着いた塗色で配色している。
ハナコレを本格始動して2年が経過。石井氏は「まだまだ認知を広げることが優先」としつつも、「塗り替えは建て替えよりも経済性が高く、環境によく、オシャレであることをもっと訴えていきたい」とコメント。新たなペイント文化の創出に手応えをつかんでいる。
景観法(平成16年)の成立を背景に全国の自治体が"魅力ある景観づくり"に取り組んでいる。しかしせっかく景観計画や景観条例を策定しても生きた施策として活用されている事例は少ないのが実態だ。その理由の1つとして市民による下からの盛り上がりに欠ける点が指摘される。神奈川県平塚市は今年4月、"みんなで進める""1人1人が主役"の景観づくりに乗り出した。いわば市民を巻き込んだ形での平塚らしい景観形成を目指す。
平塚市は東京都心から1時間あまり、首都圏のベッドタウンという顔とともに、湘南の海、そして山々など豊かな自然に恵まれた土地柄。とはいえ外部から見ると際立った特色がないことも事実。平塚といえば全国に知られている七夕祭くらいで、ランドマーク性やシンボル性に欠ける。
そこで市は「豊かな自然」と「長い歴史の中でつくられてきたまちの姿」「人々の暮らしが彩るまちの表情」といったコンセプトを抽出。景観計画では自然・眺望・歴史・都市・生活の5系統に分類し、更に田園、住宅などに類型して整理。景観を構成する要素を抽出した。
具体的な景観づくりは次の3つの柱にまとめた。
1)景観法の仕組みを活用し、景観に与える影響の大きい行為について届出制度による良好な景観づくり
2)景観づくりを先導的に進めていく景観重点区域の取り組みをはじめ、地域の特性を生かした景観づくり
3)景観づくりの方向性や関連情報をまとめた景観要素シートを活用し、1人1人が景観づくりの活動を積み重ね、身近な景観要素から景観づくりを進める
景観要素シートの抽出とは景観づくりのツールといえる。例えば都市系統の目標は「うるおいある美しいまちなみの形成」で、景観類型として住宅、工業地、商業地、公共施設、道路、鉄道があり、住宅景観では地域特性を要素として抽出。こうすることで市民の目線で景観づくり導入ステップが見えてくる。
また河川景観の要素としては、相模川、金目川、市街地の中小河川、田園の中の中小河川、小川と水路がある。市では70の景観要素に関わる景観要素シートを作成し、ウェブサイトで公開している。
注目されるのは景観に与える影響の大きい建築物を建設する場合や景観重点区域内に建築物を建てる場合、事前届出制を定めている点。増改築にも適用され、建物の規模で対象を定めている他、重点地区ではすべての建築行為が届出の対象となる。
基準となるのは緑化誘導、デザイン誘導、そして色彩誘導からなり、色彩に関しては「彩度2以下」をベースに色相による彩度6以下として、外壁や屋根には原則として原色や突出色の使用を禁止している。
景観づくりのポイントは市民の参加意識にあるといわれる。平塚市でも市民や事業者を主体として市がバックアップする三位一体の取り組みを指向。具体的な取り組みの1つに「まちづくりY2(わいわい)塾」がある。
11月18日、25日、12月2日に開催されるテーマは「あなたがつくるまちの色―自分の家からはじめよう」。その内容は色の基礎知識を学び、公園のベンチの塗装実習、そして住まいの色を考える3段階ステップ講座。講師である同市の景観アドバイザーで関西ペイントCD研究所部長研究員の宮川理香氏は「景観は大きく考え、小さな努力を積み重ねていく実践が大切です。なにげない公園のベンチの色も色使い1つで景観の良し悪しを左右する要素であることを理解してほしい。そうした視点から自分の住宅の色にも関心をもてるようになれば、見えていて見ていないものが見えてくると思います」と話す。
同市まちづくり政策部・都市景観担当長主管の鈴木敏男氏は「身近なところから関心をもってもらいたいとの思いがあります。関心から塗装体験にまでもっていくことで、考え行動につながることを期待しています」という。
市では4月の景観条例制定、景観計画策定では定性的なステップと位置づけ、今後はアクションプランにつなげる段階にある。その一環として景観審議会をスタートさせる他、市内の大学とも連携して若者たちの参加意識を高め、湘南エリアの各市・県と連携した景観プランを実践していく方針。
都市景観担当の真壁佳世子氏は「景観づくりで色彩は大事なポイント。市民の関心を引き出したい。しかし色彩の大切さを伝えることが難しい。なんとか色彩は面白いもの、楽しいもの、活用すれば感動できるものということを訴えていきたい」と意欲を示す。
山本通産(本社・大阪、社長・石川吉之助氏)は『色は不滅』とのポリシーを持って、色彩専門商社として商材をただ単に紹介するだけでなく、塗料業界の発展に少しでも『お役に立つ存在となる』ことが使命との信念に立つ。カラーコミュニケーターを合言葉に、その上でさまざまなカラーマーケティング活動の展開を図っている。
代表的なものとして現在、同社では世界的なグラフィックアーツ、ファッション、家庭装飾、インテリア、グラフィック、塗料、建築、工業デザイン分野での色のトレンドの情報を収集、分析し、定期的にクライアントへその情報や提案のサービスを提供し、好評を博している。
また、同社ではインターネットを利用したカラーマーケティングにも積極的に取組んでいる。顔料市場(URL http://www.ganryo.com)とネーミングされたサイトでは最新の色に関する情報や新製品の情報を入手できる。また、クライアントが希望する色や探している色を条件設定するだけで同社の取扱いの色材が簡単に検索できる仕組みになっており、クライアントの要望でそのサンプル、値段や商品データを入手できる。また、顔料市場経由での問い合わせもでき、会員数は既に1,500人以上が登録。
同社は世界有数の顔料メーカーの色材を取扱う専門商社であるが、顔料や染料の色材に限定せず、樹脂、添加剤、カラランツなどの化学品や分散機、色彩測定機器、放射温度計、光沢計、耐侯試験機、電子天秤などの精密機器も取扱い、塗料業界へカラーのトータルソリューションを提供。色材に関する専門知識を持ったセールススタッフがあらゆるクライアントの要望に応えることが塗料業界の発展にもつながり、ひいては同社の顔料ビジネスも促進されるとの考え。
来年からスタートする第3次3カ年経営計画ではタイ、韓国、中国、台湾、ベトナムの5カ国においても日本と同じサービスを行い、日本のカラーコミュニケーターからアジアのカラーコミュニケーターへ飛躍する。
山本通産は今後、機能性色素などを通じ「光と色」の世界を追求する。「色彩に関わるビジネスは進化。成長することはあれ衰退することはない」と石川社長は強い信念を示す。
サンカラーはデータカラー社の「PAINT」の国内展開をスタートさせた。このシステムは小売店(塗料専門店など)に向けたペイントカラー提案ツールとなっており、一般消費者に対するカラーソリューションを提供する。 特色は建築用塗料の色彩提案のツールとして活用できる他、小口調色に適したソフトが付与されている。 新機能としてCRTに塗料色を正確に表示でき、塗料の選定を視覚的に補助する機能が付与された。例えばサンプルからフォーミュレーションの解析、そしてペイントカラーへの落とし込みまでのCCMが視覚的プロセスを通じて行える。このため顧客へのビジュアル提案ツールとしても役立てることが可能。
更に標準装備されたDatacolor Coordinate(カラー・ハーモニー・アナライザー)は顧客オリジナルのサンプルや配合処方ブックから選んだカラーを使って顧客のテイストに合った魅力的な配色を作成する。基準となる最初の色はカラーサンプルを分光光度計で測定するかCoordinateソフトに組み込まれている自社カラーライブラリーからの選択も可。ライブラリーの登録により提案色を広げることができる。 操作的には基準見本色を画面に表示し、配色の条件を設定することで相応しい色をカラーライブラリーの中から見本帳番号とともにCoordinateソフトが見つける。
配色条件の設定は2つの組み合わせで行う。1つはボタン方式によって「標準色」「伝統的な配色」「強調色」などから選ぶ。もう1つはプルダウン方式により「対照的な配色」「シンプルで寒色系の類似色」「ミックスで暖色系の類似色」などさまざまな選択肢がある。 条件設定を行うと、それぞれの配色の特徴がより詳しく画面上に解説される。例えば対照的な配色であれば「色相環の反対側の色、補色が選ばれます」と表示する。選択された色は基準見本色とともに画面表示。条件を変え繰り返し行うことができる。 更に配色の効果を確認するDECORATEというソフトが用意されている。あらかじめ登録していた内装、外装のデジタル写真にCoordinateで選んだ色であたかも塗装したようなシミュレーションが行える。どんな色の壁が合うかのイメージを視覚的に確認できる。
また「Paintmaker」は缶内調色用簡易CCMソフトウェア。電子配合表、カラーカード、配合計算、修正計算、顧客管理などの多機能を備えながら簡単な操作性を実現した。 これには3段階の機能別システムがあり、レベル1は記憶されている基準配合を元に缶サイズに合わせ出力、レベル2はレベル1プラス記憶されている見本帳の反射率に対しCCM計算、レベル3はレベル2プラス顧客の持ち込んだ見本を測色しCCM計算。 世界的には塗料の小売部門でCCMを使ったカラー提供が一般化して、消費者をペイントカラーで刺激するスタイルが定着している。PAINTはその最新バージョンとなる。
カドワキカラーワークス(本社・神奈川県横浜市、社長・門脇正樹氏)が展開を進めている同社オリジナルパウダーコーティングカラーセレクション『GLOBE COLORS』から傘袋自動装着器"傘ぽん"に10色が採用された。これまで特注色として対応してきたが、今回から標準色となった。
採用された10色はパウダーコーティングカラーセレクション(GLOBE COLORS)約300色中からイタリアンレッド、キャロットオレンジ、フレッシュレモン、クローバーグリーン、ウルトラマリン、パールバイオレット、リンクルホワイトスパークル、リンクルブラック、シルバーウェーブ、ブロンズゴールドの10色を選択。「メタリックやサテン調、スエード調、パール調、縮み模様、凹凸模様など粉体塗装ならではの質感が演出されているのが特長」とコメントする。
もともとこのカラーセレクションはカスタムカラーの対応を行っている関連会社・カドワキコーティングが培ってきたベース色を元に作成したもの。
そして今や"カドワキ"ブランドは自転車や二輪のカスタムカラーの世界で絶大な支持を得ている。粉体塗装をベースにこだわりを持つオーナーにデザイン提案を行い、これが口コミで徐々に広がり車椅子や4輪パーツへと支持層を広げている。
このカスタムカラーで培ったデータベースを工業用生産に持ち込み、粉体塗装のデザイン提案のツールとしたのがパウダーコーティングカラーセレクションである『GLOBE COLORS』だ。
昨年オリジナルカラーセレクションとして製作し、JAPAN SHOPや産業機械要素展などの展示会に出展。デザイナー、設計関係者にアピールしてきた。その成果が今回の傘袋自動装着器(傘ぽん)への採用だ。
同社ではデザインプロダクツや量産向けとしてパウダーコーティングカラーセレクション『GLOBE COLORS』を活用することで粉体塗料・塗装の認知度を高めるとともに、差別化戦略として営業展開を進めていく意向を持つ。
「工業用製品の中でブランド戦略は非常に難しいが、デザインや色といったソフトの部分であれば十分可能だ。特にデザイン関係者は目新しい色相を求めている。そこにうまくマッチすれば採用いただける。その前にまずは粉体塗料・塗装の認知を得ることが先決」と門脇社長。
粉体塗装に特化している同社にとって粉体塗料・塗装の普及の遅れはややもすれば事業の縮小になりかねない。そのような中で、リスクを抱えながらのチャレンジが続く。
米国・パントンやマンセル製品などカラー見本帳及びソフトウェアなどの輸入販売を展開しているユナイテッド・カラー・システムズ(本社・横浜市、社長・山岸義昭氏)。昨年にはドイツ・RALの正規販売代理店になるなど製品ラインアップに厚みを加え、印刷業界、デザイン業界に加え、塗料業界への普及拡大を積極化させている。 自動車や携帯電話などの工業デザインの世界では、カラーツールでの色採用は極めて少なく、ほとんどがデザイナーによるオリジナル色の開発が主流。しかし、世界に目を向けると主力であるパントン、RALともグローバルに利用されているカラーツールとして知られており、デザイナーの常備ツールとして一般化。グローバル市場での拡大を図る日系企業においても無視できないカラーツールとなっていることから「じっくり時間をかけて普及させていきたい」(山岸社長)と期待感を見せる。
先日、同社のコーディネートによってドイツからRALの販売担当役員が来日。塗料メーカーを訪問し、カラーツールに対して意見交換を行った際にも、「従来は需要家サイドでのカラー開発が主流だが、これからは塗料メーカーからも主体的にカラー提案をしていく必要性を感じている」とのコメントが寄せられ、塗料業界への普及啓蒙を一層積極化させる意向を固めている。経済状況、環境対応などのグローバル化に伴い、カラートレンドも共通化の傾向を高めていることも追い風となっている。 カラーツールの強みは幅広い選択肢を提供すること。約1,000万色の可視色があると言われる中で、塗装色として使われているのはその内の200-300色程度。生産性、経済性の観点からカラーバリエーションは増やしたくないとの事情が絡むものの、デザインによる付加価値化が加速する中にあって、幅広い選択肢からの"抽出"が差別化の原点となる。
現在、パントンブランドとして同社がラインアップしている商材としては、印刷・グラフィック系色見本帳、ファッション・インテリア系色見本帳に加え、プラスチック色見本帳を揃える。 「パントン プラスチック カラーシステム」と呼ぶ同見本帳は、実際のプラスチックで色の選択、色あわせをすることで、デザイナー、メーカー双方の合理化に寄与する業界初のカラーリファレンス。透明、不透明合わせて全1,740色のチップから構成され、双方で同システムを保有していれば、チップの番号のみで正確なカラー情報の伝達が可能となる。
一方、RALにおいては、定番品である「RAL クラッシクカラー」(全210色)を軸に各種カラーチャートをラインアップ。 パステルカラー26色を含む1,625色を収録した「D2」(水溶性塗料半光沢仕上げ)、420色のソリッドカラー(水溶性塗料半光沢仕上げ)と70色のメタリックカラー(アクリル塗料光沢仕上げ)を収録した「E2」など、実際の塗装色を施すことでイメージの具現化に寄与する。現在、販売強化に際し、取扱店の募集も行っている。
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