Web特集
2010年01月27日
自動車補修塗料マーケット クリヤー大戦争 シェアを獲るか、シェアを固めるか?!
クリヤーはこれまでペインター(スプレーマン)が自分の感覚で選択するケースが主流となってきた。このためメーカーは10対1、5対1、3対1、2対1などのシステムを投入。各メーカーとも7-8ラインのクリヤーを保有し、ペインターのテイストに合わせる展開をしている。
一方BPは入庫の減少が経営を圧迫、コストダウンが至上命題。オートサプライヤーのルートセールスに拒否反応も出始めている。勝手に在庫補充してもらっては困るというのだ。更に在庫コスト削減から、使用塗料を絞り込むケースが目立っている。特に単価の高いクリヤーが槍玉にあげられ、一本化するBPが増える傾向を見せる。
メーカーもクリヤーの品種の集約は緊急テーマとなっている。回転率の悪いクリヤーは廃止、新規クリヤーでカバーしていきたい意向を示す。中長期的には水性システム時代の到来を控えているため、水性クリヤーないしハイソリッドクリヤーでの統合による新クリヤー体系が念頭にある。つまりその方向に向けての前哨戦にあるとの認識が強い。
もうひとつクリヤーの動きを活発化させている理由は、新規クリヤーを武器に顧客開発を進める動きがある。この辺はメーカーとオートサプライヤーが連携しているケースが多い。当然オートサプライヤー単独でクリヤーを武器に切り崩しに入る場合もある。いずれにしてもベースコートをひっくり返す前段として「クリヤーを獲る」との戦略。あるオートサプライヤーは「クリヤーを固定して使っているケースも多いので、コスト感覚に訴えるチャンスにある」と語る。
高級クリヤーで攻める 日本ペイント
日本ペイントはクリヤー攻勢をかけている。その背景には新しい体系への移行を踏まえた市場戦略がある。「ユーザーの生産性改善やトータルコストダウンニーズに応えていくクリヤーの新バージョンの投入」(担当者)と説明する。同社は分かりやすいクリヤー体系を目指して品種統合を実施してきている。
品種統合を推進する中で、現場発想から開発されるクリヤーを順次投入してきた。2年前に「naxマルチエコ(3:1)20LXクリヤー」を投入。昨年には「naxイージス(3:1)RSクリヤー」の上市をはじめ、「naxマルチエコ(3:1)15ミラークリヤー」「naxマルチ(5:1)40ハイポクリヤー」「同(8:1)80ネオアルバクリヤー」を共通ハードナーであるウルトラハードナー仕様として相次いでリニューアルした。
とりわけ最高級クリヤー「LXクリヤー」は同社のクリヤー戦略の看板商品といえる。60℃×12分でポリッシュ可能の速乾性と肌伸びに特色がある。顧客からは使うと違いが実感できると好評。販売地区によっては驚異的に売上を伸ばしている。担当者は「クリヤーはペインターにとって仕上がりの喜びを感じるプロセス。それだけに良し悪しが実感される。LXクリヤーはうたい文句に技術が入っているタイプ」と自信を示す。
「RSクリヤー」は最速50℃×15分(60℃×10分)でポリッシュ可能がアピールポイント。同社のクリヤー群の最高峰との位置づけ。美肌テクノロジーは優れた外観ばかりでなく、つや残りを発揮。高級車の肌合いにフィットする。
「LX」「RS」の両クリヤーは現場発想から開発されたクリヤーの新バージョン。ユーザーの経営側が求める生産性向上、ペインターの仕上がり実感への欲求、これをクロスさせた性能・品質を具現化させた。
「塗ってみると差が分かる、選ばれるクリヤーとして展開。地域差はあるが全般的に新規クリヤーの評価は高い。差別化を明確にできるコンセプトがあるので、クリヤーに関しても市場イニシアチブを執っていきたい」(担当者)。
90%はセット販売の強み 関西ペイント
関西ペイントはハイソリッドクリヤー「レタンPGエコHSクリヤーQ」「同HSクリヤー」を中核に展開する。
同Qタイプは最先端の樹脂技術を導入して開発された速乾型のハイソリッドクリヤー。従来のクリヤーに比べVOC排出量を63%も削減する。またノンセッティングタイプのため、作業時間の大幅な短縮が可能になる。
今年に入り新製品「レタンPGエコ ダブルアールクリヤー」を投入。ミドルソリッドタイプとスタンダードタイプの2種類。60℃×10分、60℃×15分のポリッシングを可能にした。現場ニーズである仕上がり、作業時間を向上させ、塗料の使用量の削減につなげる。エコノミーな高品質を追求したバージョンといえる。
「当社のクリヤーの90%はベースコートのセットで出ているのが強み。技術的にもセットで使った方がクリヤーの性能が発揮しやすい設計。ベースコートの層との相関で技術的な工夫がしてある。顧客にもこの点を理解してもらっていると思う」(担当者)
現場発想でクリヤー体系化 イサム塗料
イサム塗料は一貫して現場主義からのクリヤー開発を進めてきた。「アクセルシリーズ」は十人十色のスプレーマンが要求するマッチングを重視したラインアップ。
例えばタイプ別のクリヤー選択。(1)ガン距離遠めのケース(2)エアー圧を下げるケース(3)ガンスピード遅めのケース(4)吐出量を絞るケース。スプレーマンのクセを知りつくした条件を設定し、クリヤーのマッチングをアピールする。
この基本コンセプトを維持しつつも、市場変化に対応した新クリヤー体系への移行を進めている。顧客ニーズが在庫削減を強めていることを受け、生産性と作業効率を追求するニーズに応えていく。回転率の悪いクリヤーは廃止の方向で統合する。
また環境システムである水性補修用を加速する面からも新クリヤーへの移行を重視する。「水性に関しては当社は国内メーカーとしてトップを切り、製品の2世代目を投入。フィールドでの実績は国内メーカーより先行していると自負している。実績も着実に上がっており、問い合わせは増大している。水性ベース+クリヤーの展開に注力したい」(担当者)。
セット販売を重視 デュポン
デュポンはEUの環境基準に適合したハイソリッドクリヤーを前面に出した展開。ヨーロッパではクリヤーの統合がドラスティックに進み、ミディアムソリッドタイプはなくなる方向にある。例えば同社の「7700S」は国内競合品対抗のミディアムソリッドタイプだが、製造が中止されている。
これに代わり新たに投入されたのが「G2-4700S」「G2-4500」「G2-7600」。いずれもハイソリッドクリヤー。同社にとってクリヤー体系の転換をスムーズに乗り切ることが鍵。不況下でユーザーの使いやすい性能・コストの設定に知恵を絞っている。
ヨーロッパ型のハイソリッドクリヤーは固形分が高く、冬場には粘度が上昇するなど寒暖の差の影響を受けやすい。従来のクリヤーと違ったレベルの管理と使い方が要求される。この点の理解が同社のハイソリッドクリヤー拡大の鍵といえる。「クリヤーは仕上がり感が実感できる点で、塗装テクニックを発揮するプロセスでもある。平滑性、艶、肉持感など、ハイソリッドクリヤーを実感してもらえれば分かっていただけると思う」という。
水平流ブース、関心高める アンデックス
アンデックス(本社・尾道市)が初めて開発した水平流方式プッシュプル塗装ブース(特許出願中)が注目を集めている。上下流方式に比べ必要風量は3分の1となるため、排気ファンヒーターの容量を減らすことに加え、バーナーの熱量、電気・ガスなどのエネルギーコストの大幅削減につながる。
上市以来実販売数の伸びは同社が期待するほどではないが、見学や体験依頼は日々増加している。同社にあるモデルシステムはフル稼働に近い。「全く新しい方式なので、一度は見て体験したいとのニーズが強いのかもしれません。関心は高まっていますので、販売実績は追いついてくるものと期待しています」と担当者。
既に各塗料メーカーは「CAB-H2」を使った実証テストを終了しており、上下流システムと遜色ない性能との評価が出されている。注目される水性補修塗料に関しては大きな問題もなく、エネルギー効率の改善は各メーカーも認めている。
上下流を水平流にするといったコペルニクス発想の転換は"タテのものをヨコにしたら"という単純なアイデアからスタート。しかしモデルはない。手探りの開発となった。
技術的最大テーマは表面積の小さい正面扉からいかにして安定的な風量が確保できるかにあった。ところが設計を進める中で課題よりもメリットの方が大きいことが判明。
まず天井フィルターがなくなった分、スペースに余裕ができる。またピットのないフラットなフロアは設置に関わる工事や施工費を短縮することが可能。更にシングルアクションで開くフィルター・ストッパーが給気フィルターの交換を容易にした。
省エネ効果については「CAB-H2」と同社の最新バージョン「CAB-07」との比較テストを実施。同一条件の使用でランニングコストの差は1年間で100万円近くになるとのシミュレーション結果が得られている。導入ユーザーからもエネルギーコストの削減の声も出始め、トータルコストのメリットが実証されつつある。
一方、体験したユーザーからは風量能力のアップなどの注文が出されている。同社としては水平流技術のノウハウを固め、改善・改良を加えていく。
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