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Web特集

2010年03月29日

シリーズ: 揺れるライン塗装

揺れるライン塗装№155 日東工業・掛川工場 VOC、CO2削減対策の新工場稼働 電着+粉体塗装で環境と性能クリア

キャビネット・分電盤など電気機械器具の大手製造メーカーの日東工業㈱(本社・愛知県愛知郡長久手町、社長・山本博夫氏)は一昨年の秋に小型キャビネットの量産工場である掛川工場を立ち上げた。板金・加工、塗装、組立の一貫ライン。塗装は電着塗装―粉体塗装の環境対応型仕様にするとともに、太陽光パネルによる発電システムやLEDを導入するなど環境に対応した新工場となっている。なお塗装の生産キャパシティは月産30,000m2に及ぶ規模。
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藤井俊之掛川工場長

日東工業㈱の開発・生産する製品群は電路システムから通信ネットワークなどのあらゆる場面で利用されるキュービクル、分電盤、光接続箱、金属製キャビネット及びシステムラックと多岐に及ぶ。いわゆる箱物といわれるものだ。また生産拠点は全国に8工場を擁し生産の効率化とともに迅速な供給体制を整えている。 新工場の掛川工場は小型キャビネットの量産工場として2008年11月にオープンした。従来磐田工場で生産していたCH製品のフルモデルチェンジに合わせて生産性と品質の向上を目的に設計された最新の工場。

また同工場は随所に環境への配慮がなされている。塗装では下塗りに低攪拌タイプの電着塗装、上塗りに粉体塗装を採用することでVOC対策と同時に低攪拌による省エネ化を図るとともにエッジカバー性など耐久性能にも優れる。 更に太陽光パネルによる発電システムとLEDによる省電力化を積極的に進めCO2削減に向けた同社の取り組みを具現化した工場でもある。既に発電電力は累積で11万3,000KWに及ぶ。

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量産品の小型キャビネット

「一昨年の11月にオープンし、12月からCH製品の作り込みに入ったが、リーマンショックに続く世界同時不況に見舞われ生産調整を余儀なくされた。昨年の7月頃から定時の稼働まで回復。現状平成19年度比の70~75%まで戻っている」と藤井俊之工場長。 新工場の生産品目は主力のフルモデルチェンジしたCH製品の他に、発泡剤でシールドしたコントロールパネル盤などに利用される高気密性のエプティ製品などを生産している。素材は鉄をメインにステンレスにも対応。

生産ラインは板金・加工、塗装、組立の一貫生産ラインとなっており、品質の向上のための先端技術を導入して自動化、省力化を図るとともに、半世紀に及ぶモノ造りのノウハウが随所に生かされている。 「生産性とコスト低減を実現した自動化ラインは自社のノウハウを織り込んだものだ。溶接はスポット溶接から自動レーザー溶接に変えることでスポット跡が残らず品質の向上に寄与。更に使用設備も油圧方式から電動方式に変えることで省スペース化とともにスムーズな動作性と追随性を可能にした」と大石利昭生産課長は省工程、省エネ性を強調する。 更に特長的なひとつが移載機だ。直線を有効利用し各処理工程に入るところで移載機を使って移し変えていく仕組みだ。その動力はコンベアーの動力を利用したもの。

低攪拌電着塗装で省エネ化

塗装工程は下塗りに電着塗装を行い、粉体塗装で仕上げる仕様。小型キャビネット及びコントロールパネルは各種工場の他、食品関連やクリンルームなどに利用されることから使用環境を考慮するとともに電路基材の保護、安全性といった観点からも厳しい品質レベルに置かれている。
表面処理ラインはキャビネットの箱物を処理するボックスラインとそのボックスの内部の鉄基盤を処理する鉄ベースラインから成る。
前者は前処理+電着塗装+粉体塗装の仕様で2コート2ベーク、後者は前処理+電着塗装の仕様の1コート1ベークで行っている。
前処理ラインは両ライン兼用の編成になっており、予備脱脂‐脱脂‐水洗‐化成処理(リン酸亜鉛)‐水洗‐水洗‐純水洗のフルスペック。前処理の脱脂液は低温タイプを採用している他、液の温度管理は焼付乾燥炉(都市ガスを使用)の廃熱を利用したインバーターによる自動管理となっている。


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自社でも使用しているコントロールボックス

電着塗装は省エネタイプの低攪拌電着塗料を採用。更にUFフィルターによる洗浄後の水と塗料の分離、再利用によって省資源化にも努める。
粉体塗料はCO2低減に向けた低温タイプを採用し、低温電着塗料の使用によって低攪拌ハーフベークシステムを導入する方向にある。「当初から低温電着塗料(130℃×20分)を使用してハーフベークの状態で粉体塗装を行い焼付乾燥できっちりと硬化させる仕組みを検討していた。海外規格の認証がやや遅れ、認証が得られ次第導入する見込み」と大石氏は経緯を説明する。
低温電着塗料による低攪拌ハーフベークシステムは自社内で既に実証済みであることからいつでも導入できる状況にあるようだ。なお導入時の試算では低温焼付タイプの電着塗料+粉体塗装仕様よって環境負荷低減はCO2換算でガスが49.43t/年、電気が29.91t/年の削減効果に結びつくという。


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着荷場

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鉄ベースラインの前処理と電着ライン

高使用効率の粉体塗装

ボックスラインの粉体塗装はCH製品のメイン色であるライトベージュとクリームの専用色ブースを並列に設置して塗装している。ブース及び塗装機器はホソカワミクロンワグナーが供給しているワグナー社製を採用。ブースはICFタイプのカートリッジフィルター式のプラスチックブース。1ブースに1レシプロ7ガンを対面に設置するとともに固定に3ガンを配備。更にボックス内面用に補正を置く。
ブース全長は8m、最大被塗物1,200mmの長さに対応可能。「CH製品の最小寸法は110mm(高さ)×150mm(幅)×80mm(奥行き)から最大寸法600mm(高さ)×600mm(幅)×250mm(奥行き)まであり効率よく着荷して塗着効率を高めるとともに治具なども自社で考案している」という。


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専用ブースに1レシプロ7ガンを対面に設置。固定3ガンによる塗装

また塗料の回収再利用に際しては超音波振動篩を使用して凝集している塗料の再生を行うことで(塗装の)再現性を高めている。現状の塗料の使用効率は98‐99%と驚異的な数字を上げている。
平均膜厚は同社の品質規格に則り総合膜厚で60‐80μmに設定(屋外仕様70‐80μm、屋内仕様60‐70μm)。所定の膜厚を確保するために被塗物のサイズに合わせガン距離と吐出量の調整でカバーしている。
使用しているオートガンはワグナー社が誇るソフトなスプレークラウドによって理想的な吐出パターンを実現したHicoat‐C4ガン。


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検査場

粉体塗装箇所はブースをアウターブースで覆い、内部を完全空調している。常に一定の温湿度に保たれることで品質の安定と同時に現場の作業員の環境面にも配慮がなされている。 
更に品質管理の面では、通常の目視検査の他、塗膜の物性試験(密着性、耐衝撃性、耐屈曲性、耐薬品性など)をロットごとに行う。電着塗料は月に2回塗料メーカーによるPH測定などを実施。前処理の化成処理剤は濃度測定よるデータ分析を行っている。「TPM活動を通し品質の向上に取り組んでおり、品質レベルはAAクラス」と大石氏は品質の高さを強調する。


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管理見本板

ノウハウを生かし事業領域の拡大

同社の事業領域は一般住宅から大規模工場までさまざまなシーンで利用されている。電設・電材分野からFA・制御分野、更には高度化するマルチメディアなどの情報・通信分野へと裾野が拡大しており、ますます多様化する中でオーダーメイド品が増えつつある。
「塗装においても標準色からユーザーの企業色である指定色が増える傾向にあり、色替え対応していくことが求められる」と藤井工場長。従来指定色は同社菊川工場及び外注に出して溶剤塗装で対応してきた。今後この辺の対応が課題となってくる。それと同時に海外生産との整合性だ。


現在同社はタイ、中国に進出しキャビネットの生産を始めている。「タイではプラスチック製のブレーカーの生産を行っており、中国では日東嘉工を設立しステンレス製のキャビネットの生産を行っている」と藤井工場長。
その一方で国内では事業領域の拡大に向け昨年豊田自動織機と通信機能付充電スタンドを共同開発。電機自動車の普及に向けたインフラ整備の事業に乗り出した。「今回の実証事業は複数企業が充電設備を相互利用し、個別の充電設備を社会インフラ化するための仕組み検証」(藤井工場長)とコメント。培ってきた配電盤技術を生かし電力の効率化に取り組んでいく方向にある。

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