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Web特集

2010年03月29日

内装需要創出のチャンス到来 鍵を握るのは塗料販売店(内装塗料特集2010から)

業界にとって大きな課題であった内装需要創出への糸口が見えてきた。昨年から全国的に広がってきた「塗装教室」への生活者の反応がその根拠。内装をテーマとした「塗装教室」はいずれも定員を上回る応募が殺到、潜在ニーズが広がっていることを予感させる。需要創出のチャンスがやってきた。
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アトムサポートが、各地の塗料販売店からの要請で「塗装教室」を開催した数は、2年間で151回に上る。主催販売店が新聞折込みなどで地域に告知すると、応募者が多いため土日の午前、午後計4回に分けて対応するなど「塗装教室」への反響が高い。
関西ペイントが生活者ダイレクトマーケティングの一環として昨年10月に開いた「アレスシックイ塗装教室」は、30名の募集に対して、100組150名が応募、落選者を対象に12月に追加開催したほど。この反響を受けカンペハピオも10月と今年2月に家庭塗料の塗装教室を開催、いずれも定員をオーバーする申し込みがあった。


カラーワークスが東京・用賀のショールームで行っている「インテリアペイントスクール」はすっかり定着、今ではほぼ毎週のように開催されている。
オーストラリア製「ポーターズペイント」の輸入販売元・オリエンタル産業は6年前からペイントワークショップ(体験教室)を継続開催、「昨年春頃から応募者が急増し始め、それまで月1回だったものを2回に増やしました。それでもフローして次回に回ってもらうことも度々」と、反応の変化に驚いている。


塗料販売店が独自に開くケースも全国的に増えている。「昨年8月と12月に開催したが、いずれも予想を超える応募。近々追加開催の予定」(仙台市・スガイ塗料商事)と高い人気だ。
これらの塗装教室に共通しているのは、インテリア(内装)をテーマとしている点。室内壁のセルフペイントであったり、手持ちの家具のリメイクであったり、『インテリアを変えたい』といったニーズへの「解」としてペイント教室への反応が高まっている。その背景に、業界の課題であった内装需要創出の糸口を探れそうだ。

ライフスタイルの変化を読む

生活者を対象とした塗装教室は今に始まったことではない。10年ほど前にも一部のメーカーや塗料店ではトライアルしていた。ただし、参加者を集めるのに汲々としていた当時と今とでは反応度合いがまるで違う。なぜか。
最近、「外から内へ」というキーワードをよく目にする。「レストランなどでの外食から、家での内食へ」などが良い例だ。つまりこれまで「外」で楽しんでいたコトを「内」で楽しむ、「内」の暮らしを充実させるといったようにライフスタイルが変化してきている。長引く不況による経済的な理由や価値観の変化が背景にある。


もちろんこれは住まいにも当てはまる。というより、「内」暮らしの充足を図る上で住まいの在り方は最大のテーマだ。ところがほとんどの住宅は、無難な白系のビニル壁紙と出来合いのラッピング建材で覆われた面白みのない画一的な空間。ホテルやレストラン、海外のインテリアシーンなど洗練されたデザインの空間を「外」で経験した生活者の目から見ればどうしてもチープに映ってしまう。
加えて工業化製品のビニル壁紙や新建材はそれ自体が完成品で、竣工時が100%の状態。後は経年で汚れ、傷み、劣化していくだけで、張り替えしか手段がない。ほとんどの人が漠然とした不満を抱えながら"我慢して暮らしている"というのが実態だ。
「内」の暮らしを充実させたいというニーズと現状のギャップを漠然と抱えている生活者にとって、それを解消できるかもしれない「塗装教室」の情報は有益に映る。それが変化の背景だ。


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需要を拾い上げるのは塗料店

冒頭触れたように、内装をテーマとした塗装教室への反応は予想以上に高い。更に体験後の感想は、「クロスの上に塗れ、リフレッシュできることを知って嬉しい」「大胆な模様替えが手軽にできそう」「環境改善にも役立ちそう」「使ってみたい」「さっそくやりたい」など、ほぼ100%ポジティブな意見。つまり、認知さえきちんとしてもらえれば内装塗料の市場性が十分にあることを証明している。本題はそれをどのようにビジネスにつなげていくかだ。
化粧品のように「美しくなりたい」1点だけに目的が集約されるアイテムと異なり、デザイン、機能、環境など目的が細分化し、使用方法もそれぞれで異なる塗料はテレビCMなどのマスマーケティングにはそぐわない。今のところ、対面による伝達が最も有効。そういった意味で、伝達役は生活者に近い場所に店舗を構えている塗料販売店がやはり基点になる


とは言え、1回の塗装教室で収容できるのはせいぜい5‐6人、多くても10人ほど。その面だけを捉えるとビジネス化はほぼ不可能に見えてくる。
東北の販売店でこんな事例がある。対業者販売の先行きへの限界感から、地域の生活者に塗料(屋根ペン)を直接使用してもらうよう、意識して対面販売に努めた。塗装方法などこと細かい説明、時には現場に出向いて下地診断、仕様組み、必要量の算出と必要分の量り売りなど、とにかく手がかかる。それに対して1回の取引はせいぜい1~2万円。割には合わない。


ただ地域の生活者にしてみれば、業者に頼むことを考えれば遥かにお得で有益な情報。こうした情報は口コミで地域に浸透する。社長いわく「始めはスポットの需要でも街全体に面として広がったとき、立派な市場になる。屋根ペンだけでなく、外壁、更には内装へも広がっている」と説明。売上のうち、地域生活者への店頭小売が2割ほどに達し、利益率が向上。経営の安定化にも大きく貢献している。中小企業生き残りの方策である地域密着戦略をまさに実践している事例だ。


屋根ペンと内装では必要度が違うといわれるかもしれないが、細かな対面販売という作業は同じだ。打てば響く需要があることが分かった今、裾野の広い内装はむしろ市場性が大きいとの見方もできる。
塗装教室を開催している事例では、仙台のスガイ塗料商事が「おぼろげながらビジネス化の輪郭が見えてきた」(菅井清浩社長)とコメントを寄せる。
同社では昨年の8月と12月に開催。いずれも告知後即座に定員(20名)を超える反応ぶり。特徴的なのは塗装業者とコラボして行っている点。プロの技を"魅せる"のが狙いだ。「刷毛捌き一つとってもプロの技はそれ自体がパフォーマンスになる。教室が盛り上がるばかりでなく、そこでの生活者との結びつきで実際に施工(内装、外装)が発生する確率は非常に高い。協働できる塗装店との取引が増えることは卸売りへの相乗効果があるとともに、教室の集客力が誘引となり大工やデザイナーなどを巻き込み、より面白い幅の広い提案が可能になる。そうした生活者対象ビジネスの共同体の基点に当社がなり得ることで、ビジネスの可能性が大いにひろがる」と事業への手応えをつかみ始めた。 両社はどちらも建築汎用を中心としたごく一般的な販売店。ボリュームゾーンを占めるこうした塗料店が機能すれば、生活者需要、内装需要創出への有効性は高い。

イメージを膨らませる提案力

課題は生活者対象ビジネスにおけるサービス体制の構築。最も重要なのは接客力。中でもコンサルティング力、提案力の向上は不可欠だ。塗料は説明商品であり、相手は初心者なのだから当然手がかかる。一つひとつの商売は小さいが、いつか地域に面で広がり市場になるとの強いビジョンと忍耐力が最重要。
それと同様に大切なのが提案力。塗料の強みはなんといっても色、つまりデザインの自由度だ。説得力のあるカラーコンサルティングは必須条件。更に照明などの知識も持ちたい。壁の色は間接照明による陰影によって格段に演出効果が高まる。DIYでできる範囲でも十分効果があり、ドラマチックな空間に変身する。費用対効果への満足度は高まるはずだ。


また塗料の機能を提案しても良い。関西ペイントの「アレスシックイ」が、消臭や抗ウィルスに高い関心が持たれたように、環境改善の機能はモチベーションを高める。可視光反応光触媒などは話題性があり関心を集めるはずだ。更に、塗るだけでホワイトボードになる「アイデアペイント」、壁に磁石がつけられる「マグネットペイント」、壁を黒板にできる「チョークボードペイント」などの面白塗料は生活者の遊び心をくすぐる。体験教室などで試してみると反応が分かる。
提案の引き出しを多く持ち、生活者にとって有益な情報が提供できる店づくりができれば自ずと人が集まり、地域での存在感が高まる。内装需要の創出は、需要縮小で閉塞感が日増しに高まる塗料販売業にとって、生活者対象ビジネスの糸口にもなる。

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