Web特集
2010年03月30日
超耐候・重防食塗料特集2010 各社動向
重防食
下地処理工法の改善に期待 ネクスコ東日本、首都高速
ネクスコ東日本は設計要領第二集・橋梁保全編(平成21年7月)及び構造物施工管理要領(同)を基準に塗装仕様を組んでいる。
重防食塗装系としては、素地調整1種、有機ジンクリッチペイント、変性エポキシ樹脂系、フッ素樹脂塗料用中塗、フッ素樹脂系という塗装仕様(c-3)を指針としている。また、薄膜仕様(i-1)として、素地調整3種、変性エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂塗料用中塗、ポリウレタン樹脂系の仕様があり、「現状ではこのi-1仕様がほとんど」(担当者)という。
というのも課題となっているのが素地調整の1種ケレン。今年度では5橋でサンドブラスト処理を行ったが、施工環境により現場が限定されている。
「現状のサンドブラスト工法は環境負荷が大きい。騒音や粉塵の問題があり、その問題を克服できる工法を期待したい。また、1種ケレンでは素地調整後4時間以内と短い時間内に有機ジンクリッチペイントを塗らなければならず、品質管理の面でも課題は残る」と担当者。
21年度は39橋33万での塗り替え工事を実施。塗り替え規模が大きいこともあり、環境対応や長寿命化など新技術に対する取り組みも積極的。ネクスコグループの研究所である、高速道路総合技術研究所(ネクスコ総研)では新技術、新材料の標準スペック化に向けた研究を進める。
首都高速道路では橋梁塗装設計施工要領(平成18年4月)に準じて塗装を実施している。塗り替えでは素地調整2種もしくは3種、有機ジンクリッチペイント(2種の場合)、変性エポキシ樹脂系、厚膜ポリウレタン樹脂系(中上兼用)の仕様で行っており、弱溶剤タイプを極力使用するとしている。
下地処理として1種は標準仕様には入っていないが、現場ブラスト処理は湾岸線での事例はある。仕様に採用できない理由は騒音問題。首都圏という土地柄騒音を出すことはできない。LCC低減を考慮すると「旧塗膜をなんとか剥がしたい」(担当者)との思いがあり、騒音問題がクリアでき凹凸部など入り組んだ部位への施工が可能となれば採用したいとの考え。
試験的にネオリバー泥パック工法を使用するなど新技術への取り組みには積極的。「今後は剥離剤工法やブラスト処理、塗り替えでのフッ素樹脂系の採用など耐候性の向上を図っていきたい。民間企業のノウハウと当社のデータベースを組み合わせた形での共同研究にも取り組んでいきたい」(担当者)。
エア式静電、高いパフォーマンス実証 大阪府塗装協同組合
重防食分野の最大テーマのひとつに施工の効率化がある。都心部にある道路橋の工事期間の短縮ばかりでなく、周辺への環境・安全性の確保が緊急テーマ。当然、工期短縮はコストメリットにも直結する。
こうした中で注目が集まっているのが現場・静電塗装工法。主として工業用ラインで実績のある静電塗装を現場塗装に応用しようとの発想。塗着効率が向上し、塗装の作業性がアップするメリットがある。
そこでまず実用化されたのが電気式静電塗装方法。名古屋地区など愛知県で実績を重ねてきた。しかし装置そのものが大型で高価なことから汎用化しにくく、加えて高圧のケーブルを引かなければならず安全性確保も課題と指摘されている。
この課題を克服するため開発されたのがエア式。正式には「エア式静電塗装工法」という。電気式のように大型の電源装置が必要ではなく、静電スプレーガン、塗料用ポンプ、コンプレッサーと装置はいたってシンプル。導電マット、アース線など付属品も安価という特徴がある。
開発の中心となったのが大阪府塗装工業協同組合。これに副資材でアサヒハケ、静電スプレーガンでグラコが協力。数年かけてテスト施工を実施してきた。
「我々施工業者も待ちの姿勢ではなく独自の技術をもって対外的にアピールしなければ仕事が回ってこない時代。現場の課題に対し施工の視点から新しいシステムとしてアピールしていきたい」(田伏理事長)と狙いを話す。
しかし開発がスムーズにいったわけではない。大きな課題は飛散防止の対策。これはエア式に限らないテーマだが、塗装作業中の現場は塗料の飛散により白く濁ってしまう。ミストの飛散・付着対策を万全に確保する必要があった。テスト施工を続ける中でこうした課題を克服していった。
この動きに注目した阪神高速が道路橋などの改修にエア式を採用、昨年だけで約10件を発注。一気にエア式の認知が加速した。1物件で約1億円規模の改修も含まれる。
昨年には近畿6県の塗装工業組合がタッグを組み、エア式静電塗装工法の認定講習会を開催。約100名の認定施工士が誕生している。
これからのテーマとして挙げられるのがエア式の比較優位性の検証。スプレー工法や電気式と比べどれだけのメリットを発揮できるかというデータを積み上げる必要がある。今のところ1,000m2以上の現場でエア式の優位性が実証されつつありつめていく考え。
また3月下旬にはNETISの登録が予定され、施工法としての公的な認知が確立する。これを受ける形でエア式の普及を加速していく。
「NETIS登録により幅広い展開が可能になってくる。一部民間工事での採用の動きも出始めており、重防食分野以外にも適用が進むことを期待している。このため塗料メーカーを含めた技術的な連携が不可欠。業界の底上げにつなげていければ」(田伏理事長)と次のステップに踏み出す。
有害廃棄物処理大幅に圧縮 土木研究所、山一化学「インバイロワン」
独立行政法人土木研究所と山一化学工業がタイアップして開発した塗膜剥離工法「インバイロワン」(特許工法)が立ち上がってきた。その背景には橋梁の改修に伴うブラスト処理の問題がある。
現状の工法の旧塗膜除去はブラスト処理が一般的。しかし改修物件が増える中で、コストと環境の両面でブラスト工法のネックがクローズアップしてきている。
まずはコスト。ブラストは施工自体が大掛かりとなり、吸引された旧塗膜やブラスト材は何トンもの量になる。施工コスト以上にこの廃棄物のコストがかかるケースが続出する。しかも処理場の確保といった問題もからむ。
次いで環境面からブラスト処理に課題が突きつけられている。廃棄物に含まれる重金属類が環境汚染につながるとの指摘。国や自治体の関係者が対策に動き始めている。
そこでクローズアップしているのが「インバイロワン」による塗膜剥離工法。実橋での採用が増えるにつれ、現場ノウハウを加味して工法としてブラッシュアップしてきた。技術的確立とともに施工ノウハウが重要なポイントになる。
「旧塗膜とひと口にいっても状態はいろいろ。剥離プロセスも異なる。すべて1回で剥離できるケースばかりではなく、部分的にはインバイロワンを2回施工した方がよい場合もある」と担当者は指摘する。
実橋での実証から、旧塗膜が500μm以上あるケースでは2回塗布を標準とするなど、工法面の内容を充実させている。また同時に施工業者とタイアップした検証に時間をかけ、施工技術面からのアプローチを行ってきた。
こうした材工システムのレベルアップにより、インバイロワン工法が幅広く認知されるようになり、採用実績が増える傾向にある。特に評価されるポイントとしては、旧塗膜の下層にまでインバイロワンが浸透する点が挙げられる。このため18~20時間後には旧塗膜の除去がスムーズに行えるケースが目立つ。
逆に旧塗膜除去に効果がありすぎるため、新規塗膜への影響が懸念されていたが、2年間の暴露テストを実施した結果クリア。インバイロワンが残存していてもウエスの拭き取りでほぼ問題がなくなる。場合によっては不織布による研磨を条件設定すればよい。
今最も注目されているのが環境負荷低減メリット。インバイロワン工法で発生する廃棄物はブラスト処理に比べて400分の1。このため施工コストと廃棄物処理コストの合計での比較で数十分の1にまで圧縮が可能になる。また安全性の面でもOECDの化学品テストの生分解性でハイレベルの易分解性を示している。作業者に対する安全性も高い。
ブラスト処理一辺倒から剥離工法認知へと歩みを進めてきたインバイロワン工法。今後の見通しについて「応用し適用できる範囲を拡大していきたい。データも拡充されてきているので、信頼性の高い工法としての地位を確立したい」(担当者)とコメントする。
剥離ノウハウを注力、展開へ 三彩化工「ネオリバー泥パック工法」
塗膜剥離剤のスペシャリストである三彩化工が注力して開発した「ネオリバー泥パック工法」が立ち上がりつつある。素地調整2種程度のサンドブラスト工法に代替できる塗膜剥離工法としてクローズアップしている。
評価ポイントは3つある。トータルコストの低減、作業環境の改善、周辺環境の保全。トータルコストに関しては産業廃棄物処理コストを40‐50%圧縮できることが実証されている。
「サンドブラスト工法では大量の廃棄物が発生する。この処理が大きな問題になっている。これにはPCBなどの有害物質が含まれ、処理を万全に行う必要がある。これに比べて剥離工法は発生する量を少なくできるメリットがある」と担当者。
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特にネオリバー泥パック工法は、高圧水洗で塩分や汚れを除去後、塗布し16時間から24時間ほど放置し、刃付スクレーパーなどで除去する。このため塗料粉の粉塵が舞うことがなく、工法的な優位性がある。
トータルコストの比較では、同社のシミュレーションによるとサンドブラスト工法に比べ30‐40%のコスト削減となる。「ケース・バイ・ケースでコストは異なりますが、圧縮できることは確実。施工面での習熟が進めばコストメリットは増大していくものと期待しています」
作業環境の面で差は歴然としている。粉塵で視認性が低下する現場環境は安全面で問題視する声が強まっている。旧塗膜に塗布し放置する作業プロセスだけなので、作業者の負担は限りなく小さい。
また周辺環境に対しても粉塵の飛散を心配することがなく、クリーンな環境を保全する。
ネオリバー泥パック工法の剥離剤は生分解成分が82%と高く、易分解性の判断基準は60%以上(OECD化学品テストによる)、このため微生物により分解されやすい製品設計。
適合する旧塗膜は鉛系さび止めペイント-長油性フタル酸樹脂塗料、鉛系さび止めペイント-フェノールMIO塗料/塩ゴム系塗料。
今後のテーマは施工実績を積み上げ現場データを集積するところにある。「施工性の面で工夫するノウハウが拡大すれば技術的かつ生産性の面でレベルアップが可能になる。剥離工法そのものの信頼性を高めることにつなげていきたい」(担当者)とコメントする。
超耐候性・厚膜ふっ素樹脂塗料に注力 大日本塗料
大日本塗料は鋼構造物向け超耐久性塗装システムとして、超耐候性・厚膜ふっ素樹脂塗料「VフロンHBシリーズ」の販売に注力している。
同システムはふっ素樹脂塗料に厚膜性と低汚染性を付与させた「VフロンHB」と弱溶剤低汚染タイプの「VフロンHBクリーンスマイル」を揃え、「環境」「省工程」「LCC低減」といったマーケットニーズに対応した展開。
煙突や鉄塔、タワーなどで引き合いが増えており、現在建築中の東京スカイツリー(R)や広島高速道路の高架橋でも採用された。「発注者側は新技術の提案にも前向きに対応する傾向が強まっている」(担当者)として、川上への営業活動も積極的に進めている。
また、コンクリート構造物の省工程剥落防止仕様としてナイロンメッシュを使用した「レジガードHGシステム」を昨年発売した。同システムは高速道路のコンクリート構造物で採用される剥落防止システムに適合。中塗工程を省いた省工程システムで、端部への作業性に優れる2軸ナイロンメッシュを採用している。省工程、作業性、LCC低減をアピールして普及を図る。
今後は道路橋などの構造物に対しては、予防保全の立場からの提案を強めていく意向。「劣化診断から対策を施すことが大切で、そのためには塗り替えの判断基準を明確にしてユーザーにきちんと納得してもらわなければならない。ソフト面からそうしたシステム構築を強化していきたい。これからは塗料で付加価値を高めていかないと防食市場の拡大はできない」(担当者)。
差別化製品で市場優位性 日本ペイント
市場では差別化技術の要望が強まっており、日本ペイントは鋼構造物向けにさまざまな優れた機能を有する製品及び技術の展開に注力している。
民間企業をメインとした各種プラント設備、屋根、建築鉄部など向けにここ数年採用が増えているのが、弱溶剤形下上兼用塗料の「ハイポンダブルガード」。エポキシ/シリコン変性樹脂系の「同Si」とエポキシ/ウレタン変性樹脂系の「同U」をラインアップし、省工程、LCC低減をアピールしている。
コンクリート構造物に対しては、塗るだけでコンクリート片の剥落を防止する「タフガードQ‐R工法」の販売に注力している。上市から6年が経ち、約10万m2の採用実績となっている。
コンクリートの劣化・剥落防止に対しては一般的には繊維シート工法が普及しているが、それに比べて同工法は超厚膜のウレタン/ウレア樹脂塗料を塗るだけなので、工期・工程短縮が可能となる上、作業性でも優位性を発揮するのが大きな特長となっている。
同社では規定膜厚を目視で判定できる「NOA」の提案を積極化する。同品は変性エポキシ樹脂塗料で、下地が隠れて見えなくなることで膜厚をコントロールしており、下地が見えなくなったら規定膜厚が確保されたと分かる。目標膜厚は240μm。色はバフ色。
「従来であれば計測機械でしかも部分的にしか測れなかったが、この塗料であれば一目で全体の膜厚が分かる。結果として品質向上につながる」として、橋梁の箱けた内面向けなどで提案していく意向。
差別化システム「ユニティーモ」で攻勢 関西ペイント
関西ペイント販売は重防食塗装システム「ユニティーモ=UNITIMO」の展開を本格化する。他のシステムとは技術とパフォーマンスの両面で差別化し、オンリーワンシステムとして構築していきたい意向。
同システムの最大の特長は従来工法の3回塗り・4回塗りを2回塗りの省工程を可能にしたところ。そのためコストパフォーマンスが飛躍的に高まった。従来工法に比べ30‐40%の塗装コスト削減が期待できる。
これを可能にしたのが低VOCで厚膜化できる弱溶剤変性エポキシ樹脂系さび止め塗料「エスコNBマイルドH」。液状エポキシと独自開発した特殊樹脂とを反応させ、弱溶剤に可溶で溶剤分の少ない変性エポキシ樹脂を開発。更に新規開発した特殊粘性調整剤による厚膜化と塗装作業性との両立を実現。
またシリコン変性エポキシ樹脂系塗料「ユニテクト30SF」は造膜プロセスでシリコン樹脂が表層に配行する同社独自の傾斜構造機能を付与。下上塗り兼用タイプ。「エスコNBマイルドH」との組み合わせで、4工程のフッ素樹脂系システムに匹敵する耐候性性能を発揮する。アクリル変性エポキシタイプ「ユニテクト20セーフティ」もラインアップ。
同システムは昨年11月30日付で国土交通省のNETISに登録。これを受け全国規模で反響が広がっている。「施主やコンサル会社に対してダイレクトに営業をかけたい」(担当者)と一気に攻勢の構え。
チタン箔で長期防錆を実現 中国塗料
中国塗料は新設鋼構造物向けでの計画的な指定活動をメインに営業展開を進めてきた。近年は新設案件で需要減が進んでおり、「これまで手薄だった塗り替え市場にも注力する」方針を示す。
同社では土木研究所と日鉄防蝕と共にチタン箔を用いた鋼橋長寿命化技術を開発、市場展開を強化する。
同技術はチタン箔シートによる補強工法。橋梁の端部では塗料が付きにくいため発錆しやすいといった問題があった。そうした部材端部にチタン箔と基材テープで構成されるチタン箔シートの貼り付けと重防食塗装を複合施工させる。チタン箔により水分や塩分などの劣化因子を完全に遮断して、鋼材腐食を抑制することにより、部材端部の防食性能を向上させる。
同社では「この工法により鋼橋塗装のライフサイクルコストの縮減が可能になる」として、橋梁の他にもプラントなどの鋼構造物での実績作りに注力する意向。
また、フッ素樹脂塗料では「フローレックス」シリーズをラインアップ。低汚染形の「フローレックスNo.500上塗」及び弱溶剤形の「フローレックス上塗MS」でメンテナンスマーケットでの重防食塗装系の上塗りとして採用を伸ばしている。
ポリウレタン樹脂塗料は、厚膜塗装が可能で工程短縮に大きく貢献するハイソリッド形の「ユニマリンHS」と作業環境の改善を図った弱溶剤形の「ユニマリンNo.300上塗MS」でマーケット対応している。橋梁や煙突、プラント、風力発電設備などで採用。
NETISに登録、メンテ市場に勝機 ローバル
ローバルは亜鉛含有率96%の常温亜鉛めっき塗料「ローバル」を擁し、グローバル規模での需要拡大を見据えている。最近では日本語版、英語版、中国語版の共通カタログを作成。「高性能、高品質塗料としてのブランドイメージを確立させていく」(担当者)とグローバルブランドとしての展開を鮮明にしている。既に海外においては代理店の積極策により販売量が増加。中でも中国では、歩道橋や高速道路の橋脚に採用が決まるなど、需要領域にも広がりを見せている。
一方、国内においては、「立体駐車場やビル階段部での塗り替えが増えている」とメンテナンス分野での需要拡大に集中していく方針。新設物件でも亜鉛メッキの皮膜が薄いものは3‐5年で錆が発生することから、15年以上の耐久性付与を武器に提案を強めている。
昨年9月には、溶融亜鉛めっきの最高グレード「HDZ55」と同等の防錆性能を持つ「ローバル工法」が国土交通省による新技術提供システム「NETIS」に登録された。同システムは民間企業で開発された優れた技術を実際の現場で活用できるようにとデータベース化したもの。「設計折り込みに入りやすい環境となった」と販売拡大に期待感を募らせる。
上塗り適合タイプ、高防錆タイプ、エアゾールタイプなど豊富なラインアップを揃える中にあって、将来的に見据えるのは水系化への対応。年内にも「試作品を完成させる予定」と、ハードルの高い水系化対応にいち早く着手することで技術優位性を訴求していく。
水系防食の採用に取り組む トウペ
トウペは重防食塗装系の理想系としてオール水系化を位置付けて事業を展開し、実績も着実に重ねてきている。
同社が注力しているのが、水系防食塗装システム「トアガイアシステム」。防食塗料での水系化を目指して開発された同システムは、従来の溶剤系システムの耐久性を維持し、有機溶剤量の削減を目指している。
「トアガイアプライマー」は耐水性及び付着性に優れた変性エポキシ樹脂エマルション、鉛・クロムフリーの防錆顔料及び防錆剤の働きにより優れた防錆性を発揮する。また、プライマーと同様の変性エポキシ樹脂エマルションの「トアガイア中塗」を組み合わせることで更に防食性がアップする。両品は旧塗膜が活膜の状態であればそのまま上に塗装することが可能。
同システムの上塗りには水系1液形ハルスハイブリッド樹脂塗料「トアガイア上塗」を構成。紫外線による樹脂劣化を防ぐHALS(光安定剤)を樹脂骨格に組み込んでいるため、紫外線劣化が非常に少なく、その耐久性はシリコン変性アクリル樹脂系を上回りフッ素樹脂系に迫る性能を有する。
また、塗り替えでニーズが高いのがが、弱溶剤フッ素樹脂塗料「ニューフッソ21DC上塗」。従来のフッ素樹脂塗料と同様に耐候性が極めて優れる上、指定化学物質量が少ない環境配慮製品として拡販している。
下塗には厚膜変性エポキシ樹脂系なども揃えており、「環境、省工程などさまざまな市場ニーズを汲み取り、多角度的にユーザー提案していく」。
ソリッドで省工程・省資源に寄与 AGC旭硝子
AGC旭硝子のフッ素樹脂「ルミフロン」が好調に推移している。昨年生産プラントを増強し、旺盛な需要に対応した。『鋼道路橋塗装・防食便覧』の改訂で新設には強溶剤タイプ、改修では弱溶剤タイプのフッ素樹脂塗料がスペックに入ることで弾みがついた格好だ。
また20余年の実績は国内にとどまらず韓国の長大橋に採用された他、中国、台湾などでも実績を高めている。「明石海峡大橋は吊橋としては世界一。その採用実績は世界でも注目されている」とコメントする。
国内では官から民への展開を急ぐ。化学プラントや電力・通信分野、更に石油タンクなどインフラ整備に伴う重防食塗装に対し、メンテナンス周期の延長によるLCCの大幅コストダウンを提案する。
同社は実証事例として20年を経過した常盤橋を挙げる。「フッ素樹脂塗装仕様に変える以前は塩化ゴム系塗装仕様で行われていたが、新設後8年を経過した時点でフッ素樹脂塗装仕様に変わった。現時点ではフッ素樹脂塗装仕様は20年以上の耐用年数を得ており、塩化ゴム系塗装仕様の58.9%の年コストで推移している」と説明する。
更にLCCから工程短縮・省資源に向けた展開を押し進めている。東京スカイツリーに採用された厚膜形フッ素樹脂塗料は中塗り、上塗りを1回で55μmの膜厚に仕上げることができる。100年間のうちに実施される塗装工事から発生する総VOC量を試算すると、東京都推奨の低VOC塗装と比較しても36%の削減となる。
新規開拓の武器「ラストボンド」 ジャパンカーボライン
防食のメンテナンス塗装で最も大切なのが素地調整(ケレン)の精度だ。しかし実際には、電動工具が入らない狭い部位、火気厳禁エリア、ケレンをすると穴があくため手工具ケレンに頼らざるを得ない箇所など、ケレン不足による不具合の発生は多発。更にアングル材の背合わせ面、リベットやボルトの隙間など物理的に防錆困難な箇所も多数存在する。
施設管理者や施工者にとって悩みの種であるこうした課題を一挙に解決するのが悪素地面用浸透性エポキシシーラー「ラストボンド」だ。
最大の特長はサビ層への驚異の浸透力。接触角が極めて小さく、毛細管現象による浸透力が大きい。このため、旧塗膜の見えない割れ目や隙間、周囲から浸み込み、ポーラスなサビ層にたっぷりと浸透、強固な下地を形成する。3~4種の軽微なケレンで済み、同品を下塗りに用いた3回塗り仕様で変性エポキシ4回塗り以上の防錆力を実証している。
更に組成中の吸水特殊成分が層内の水分を吸収してサビの成長を止める上、塗膜内部応力が極めて小さいことから浮き上がっている旧塗膜のエッジ部を本塗膜内に押さえ込み、クラックや剥離の発生も減少させる。
他にないこうした特性が施設管理者やユーザーの目を惹きつける。「これまでほぼ諦めていた箇所の防錆ができることからインパクトが大きい。試験施工から成約に至る確立が極めて高い」(担当者)と、新規開拓の強力な武器になるようだ。
機能性、環境対応形塗装系を充実 神東塗料
下塗りから上塗りまで各種用途、環境適正に応じた豊富なラインアップを有する神東塗料。昨年は2液形水系変性エポキシ樹脂塗料「水性さびコート」の販売を本格化するなど、環境対応力を武器に需要拡大を狙う。
重腐食環境向けの長期耐久形塗り替え仕様としては(1)変性エポキシ「さびコート」+ポリウレタン仕上げ「NYポリンK上塗」(期待耐用年数10年)(2)変性エポキシ「さびコート」+ふっ素仕上げ「シントーフロン♯100橋梁用」(期待耐用年数12年)(3)厚膜型変性エポキシ「セラボーンMP」+厚膜形アクリルシリコン仕上げ「セラボーンHB」(期待耐用年数15年)の塗装系を構築。ポリウレタン仕上げの「NYポリンK上塗」には、鉛・クロムフリータイプの「NYポリン上塗ライト」並びに「NYポリンK上塗HB」(厚膜形)も揃えている。
一方、機能性製品として水中・湿潤面硬化タイプ「ネオゴーセー#6000」、タールフリーエポキシ樹脂塗料「オピヤ#3000タールフリー」、高腐食雰囲気用メンテナンス塗料「タフグリップN」、亜鉛めっき面用「ガルバロック#300システム」などをラインアップ。
「ネオゴーセー#6000」は湿潤面での塗装を可能にした微溶剤形厚膜エポキシ樹脂塗料で水中硬化の際にも優れた接着性、耐水性、物理性を発揮する。 また「オピヤ#3000タールフリー」は発ガン性が認められているコールタールを含有することなく、従来のタールエポキシと同等の性能を確保した。高橋塗装、配管、港湾施設用途に適する。
新タイプのブラスト回収システム 大塚刷毛製造
大塚刷毛製造は画期的なブラスト材回収システム「OTV」を販売し好評だ。研掃材やケレンダストを効率よく回収でき、作業の大幅な省力化を実現。
システムは搬送装置「OTT50ASCE‐4」により吸引・搬送し、専用の回収装置「OTC900」で完全回収する。
「OTT50ASCE‐4」は、内部に複雑な構造や突起物がなく、吸引から搬送までスムーズに直接処理できる設計。内部機構のヘッド部、ディフューザー部にセラミックを内蔵し、耐摩耗性が大幅に向上した。
性能は100psで1‐2時間あたり約2.5‐3.0トンの吸引・搬送が可能。200psにレベルアップすれば約3.5‐4トンに高まる。
仕様は吸引内径53mm、排出内径100mm、全長は約770mm、幅約240mm。重量約19kg、使用空気量最低5.0m3/min以上、コンプレッサー0.294MPa(3kgf/cm2)以上、搬送ライン最長は100m以上が可能。
回収装置「OTC900」は内部に特殊フィルターが装着されているため、クリーンな排気を実現。下部にフレコンバックなどを取り付け、排出される研掃材・旧塗膜・サビなどを回収する。研掃材をリサイクルする場合、オプションとして分離装置が用意されている。
仕様は高さ約3,280mm(使用時)・約2,600mm(運搬時)、奥行き約2,000mm、幅約1,500mm、ブロワー部モーター出力・三相200V/3.7kW。エアーパルス必要エアー量0.18m3/min以上。
「重防食分野の市場が拡大する中で、システムの普及を図りたい」(担当者)。
狭所、高所に高評価、現場負担を軽減 好川産業
エアレスガンと刷毛を一体化することで省工程、省エネに寄与する工法を提案する好川産業のエアレスガン用刷毛ALB―101。
発売開始から1年が経過し、その間にこれまで想像もつかなかった現場での需要を見出す一方で、「早く、ムダなく、安全に」という想定通りの評価を得ている。タンク内部などの身動きがとりづらい狭所作業や、車線規制の時間制限などスピードを求められる高速道路での作業にも効果的であることが分かっている。
同品の特長はエアレスガンの先端に刷毛を装着することでスプレー吐出後、そのまま刷毛塗りとして施工でき、エアレスの効率と刷毛塗りの膜厚・低飛散を両立させたところにある。
刷毛内部をドーナツ型に空洞化することにより塗料の詰まりやボタ落ちを防止、フリーパターンチップの採用によりノズル口径を手元で変えることができ、塗料系の違いによる微調整と詰まりの即時解消につながる。
開発のきっかけとなった鉄塔塗装現場でも、片手がサゲ缶によって塞がらないため安全確保にも役立ち、塗料の塗着効率が良くなる合理性から高い評価を得ている。鉄塔塗装のようなタテに高い、またはガードレールなどヨコに長い作業場では特に威力を発揮する。
同社ではユーザーの意見を十分に取り入れながら細かく改良を続けており、重防食塗料メーカーとのタイアップも見据えつつ、塗料を最大限に生かしきるツールを提供する。
塗膜剥離作業の労力を大幅に軽減 ナニワ研磨工業
各種製法の角砥石やダイヤモンド工具を製造販売するナニワ研磨工業は、疲労軽減、作業時間の短縮に寄与する改修工事用ダイヤモンド塗膜剥離機「ダイヤシェーバー」を開発、塗装向けへの販売展開を本格化している。
同社が"進化系の塗膜剥離機"と位置付ける同品の最大の特長は、独自開発した「複合ダイヤチップ」(特許取得済)の採用。市場で問題を抱えていた焼結ダイヤチップと基板の接着の問題にいち早く着目し、技術改良を行ったことで商品寿命の安定化を実現した。更に振動吸収フランジを採用したことにより、長時間の作業においても作業員の疲労を軽減させ、従来の同種作業工具と比べて飛躍的に切削時間を短縮することが可能となった。
これまで塗膜剥離作業においては、ディスクペーパーやダイヤモンドドライカップによる剥離が主流だったが、目詰まりや先端工具の付け替えによる時間の浪費の問題から焼結ダイヤで剥離する概念が生まれてきた背景がある。同社としては、金物、建材、刃物向けと長年にわたって培ってきた技術力を生かした新基軸製品を開発することで、塗装分野での需要拡大を見据えている。
製品ラインアップとしては、コンクリート外壁などの非金属向けに3アイテム、金属(鋼板)向けに1アイテムを発売。更にそれぞれ狭部向けのミニタイプを揃える。また近日中にも高能率でかつ広範囲に対応する「ダイヤシェーバー鋼板用W(ダブル)」を発売し、多様化するユーザーニーズに対応していくとしている。
超耐候
水性セラタイトが好評 エスケー化研
長期耐候性と低汚染機能のトップランナーブランド「水性セラタイトシリーズ」が好調だ。同社の中核的なシリーズとして存在感を増す。
同シリーズには「水性セラタイトSi」(アクリルシリコン樹脂系)、「水性弾性セラタイトSi」(同弾性タイプ)、「水性セラタイトF」(フッ素樹脂系)、「水性弾性セラタイトF」(同弾性タイプ)の4種で構成され、品揃えは充実している。
好評の理由として、まず技術力が挙げられる。同シリーズに導入されている独自のセラミック複合技術(特許)は、塗料中に分散しているセラミック成分が乾燥プロセスで塗膜表面に配行。これにより表層のセラミック成分がリッチとなることで長期耐久性を発揮する。同時に分子同士の結合エネルギーを高め低帯電性となり、汚染物質の付着を低減する。
2番目の理由は高いパフォーマンス性にある。フッ素からアクリルシリコン系まで、性能とコストで選択することが可能。クライアントや販売するディーラーからは「ケース・バイ・ケースで選ぶことができ、汚れにくく長持ちする」と評価の声。売れているのはアクリルシリコン系で、同社の商品体系のボリュームゾーンの一角を形成する。
「デフレ不況下、ユーザーはコストにシビアになっている反面、性能や品質に関しても落としたくないニーズが強い。このニーズに水性セラタイトがマッチしているのだと思う」と担当者は強さを分析する。
特殊機能でニッチ需要を喚起 イサム塗料
アクリルシリコン樹脂塗料に特化し、いち早く市場に高耐久・低汚染機能を訴求してきたイサム塗料。特殊機能を付与した製品開発を得意としており、最近では新基軸製品として磁器タイル改修システム「タイルガード」、滑り止め工法「スキッドガードAD」を投入。汎用の主戦場とは一線を画したニッチ需要の深掘りを強めている。
タイル壁面改修工法として展開する「タイルガードシステム」は同社の独自技術である塗膜防水技術と低汚染技術を融合させた工法。弾性でかつ透明度の高いアクリルシリコン樹脂塗料を主材に用いることで、酸性雨、水、湿気、排気ガスなどから磁器タイル面を保護。上塗りには「ネオシリカ21Cシリーズ」で定評の低汚染高耐久アクリルシリコン樹脂塗料のクリヤータイプで親水性を付与。セルフクリーニング機能により、ホコリや油分を雨で落とし、長期間にわたって美観を維持する。下塗りから主材、上塗りと透明度が高く、磁器タイル面の意匠性を生かした鮮やかな壁面を実現する。
一方、「スキッドガードAD」はマンションや商業施設などの廊下、エントランスなどのタイル床面を用途にした滑り止め塗料。雨が降ると滑りやすくなることに着目し開発した。転倒事故の防止の面から採用が増えている。特長は透明性に優れ、タイルの意匠を生かした機能付与を実現する。また1回塗り仕上げと施工性にも優れる。
担当者は「床用塗料にも力を入れていきたい」と機能性による需要領域の拡大を見据えている。
変性無機を中心に差別化 恒和化学工業
防食塗装のトップコートとして変性無機塗料のポテンシャルが高まっている。NETISに試行登録されている「ダイヤスーパーセラン」が昨年3月、国道50号線(栃木県小山市)の陸橋(高欄壁内面)に試験採用。「同時塗装したフッ素塗料との比較検証を行っているが、施工後半年で既に耐汚染性では明確な差が出てきた」。この他、耐候性による構造物の延命効果、それによるLCC低減など追跡調査を行い、次世代の防食塗装のトップコートとしての位置付けを鮮明にしていきたい考えだ。
また環境対応面での技術開発も加速。構造物、建造物塗装の水系化が進む中、同品の水系タイプ「スーパーセランアクア」の性能アップに注力する。耐候性では22~25年の超ロングライフを実現しているものの、更に海岸部での耐塩害性向上に向けて取り組むなど完成度を高めていく。
一方、同品をベースに開発した戸建住宅改修向けの「ダイヤSPR工法」が好調だ。住宅外壁で主流の多色(デザイン)サイディングが改修期を迎えており、基材が持つ意匠性を生かした改修工法として同品のクリヤー塗装が伸びている。無機に由来する次期改修までのロングスパンに加え、同工法のために開発した高耐候シーラーとの組み合わせで下塗り1回、上塗り1回の省工程、省コスト、工期短縮を実現。施主への説得力が高く、他にない工法のため差別化を図れることからリフォーム業者の採用が飛躍的に伸びている。
変性無機を中心とした得意技術で、幅広い市場で差別化を図っていく。
ナノコンポジット施工網の拡充強化 水谷ペイント
水谷ペイントは「ナノコンポジットW」の普及に注力している。ナノテクノロジーから生まれた無機質塗料に限りなく近い塗料として、超低汚染、優れた耐候性、マット仕上げをアピールして市場展開を進めている。
同品のパートナー施工店は全国1,200社まで広がりを見せており、年内には1,500社を目標にネットワークを強化する方針。「"環境"ニーズの高まりから、施主や元請への環境をキーワードとした提案をする必要性が強まっている。この商品はそうした流れにマッチする」(担当者)として、施工店や販売店への拡販を図る。
ナノコンポジット樹脂は超微粒子シリカを内包することで石油系資源を大幅に節約しており、地球温暖化対策壁用塗料として優位性を持つ。
また、窯業系サイディングボード向けでは、専用クリヤー「パワーアシストクリヤー」をメンテナンス需要向けで販売している。同品は弱溶剤2液型シリコン変性樹脂塗料で、サイディングボードの意匠性がなくなってしまう前に同品でコーティングして、テクスチャーパターンや色彩を長持ちさせる。
結合エネルギーの大きいシロキサン結合に紫外線吸収効果を加え、今までにない優れた耐汚染性を有する。「シリコン樹脂のポテンシャルを最大限に引き出した。フッ素樹脂に匹敵する塗膜性能、特に耐久性を実現した」と自信を持つ。
艶有りと3分艶を揃えており、住宅塗り替え工事の提案型商品としてユーザーにアピールする。
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