Web特集
2010年04月19日
遮熱(屋根用)塗料特集2010 マーケットトピックス
JISがもたらす影響とは "色相JIS"との認識増す
今回のJISを分かりやすく説明すると、塗料性能の要となる日射反射率を基準に設けた点。ただ、この日射反射率を指標にするといっても明度によって異なるため、新JISでは明度によって一定の日射反射率を超えなければならないとの基準を設けている。 現在、基準として設定されているのは、明度L値の日射反射率40%を下限に、それ以上の明度においては日射反射率(Y)と明度L(X)をY=Xで相関させるというもの。つまり、明度30では日射反射率40%以上が求められる一方、明度50では日射反射率50%以上、明度80では日射反射率80%以上、明度95では日射反射率95%以上が要件となる。
実際は明度といっても、製品化された色相によって日射反射率が異なるため、色相それぞれにJIS基準をクリアしなければならないことになる。 このことから、「今回のJISは"色相JIS"との認識を強めている。これまでのように、JISさえ取得していればいいという問題ではない」(メーカー担当者)との声が随所で聞かれる。 というのも、調色対応という製品供給体制が根底からひっくり返される事態が想定される。色ごとに日射反射率を測定して、JIS認可を得るということが事実上困難になるためだ。 その結果、常備色対応が主流となると見られ、現在各社は標準色の見直しを実施。標準色を何色揃えるかという問題は、生産体制やコストにも直結する課題だけに、各社の出方が注目される。
それらの動向を先んじてか、日本ペイントは昨年秋に投入した新遮熱塗料ブランド「サーモアイ」で屋根用向けだけで濃色、淡彩色合わせ40色の標準色をラインアップした。生産効率及び在庫面で負担を抱えるが、豊富な常備色対応で優位性を狙う。 現在のところ、各メーカーの遮熱色の標準色は8~12色が主流。カラーニーズが求められる戸建て住宅分野において高反射率塗料市場がどこまで成長するかは未知数なところもあり、メーカー各社は市場成長性と得意とする需要領域との見極めを探りながら対応しようとしている。
機能の"見える化"追求 販促物に工夫
戸建て住宅向けに手軽で分かりやすい販促物の開発が活発化している。過去には日本特殊塗料がアタッシュケースを用いた温熱比較装置を開発したが、このほど東日本塗料は表紙と裏表紙に遮熱塗料と一般塗料を塗布したカタログを作成。太陽光にかざすだけで効果が体感できるという。また日本ペイントは「サーモアイ」専用WEBサイトで、3月からカラーシミュレーション機能を追加した。色の違いで反射性能の違いを伝えている。
助成事業が拡大、市民認知進む 東京都8区助成事業実績
自治体による遮熱塗装の助成事業が拡大している。東京都区下に限ると2008年度は荒川区、北区、墨田区、千代田区、港区の5区の実施。2009年度は更に品川区、新宿区、豊島区が加わり、8区の実施となった。
助成が対象とするのは、断熱リフォーム、太陽光発電パネル、太陽熱温水器、CO2冷媒ヒートポンプなど遮熱塗装以外の環境技術も対象としている区が多い。その中で、北区、墨田区、港区は遮熱塗装の助成実績が拡大。墨田区の担当者は「助成事業に対する認知が進んだ。特に施工業者による施主への提案が進んだのではないか」と話す。
特に上限50万円とする塗料材料費全額の助成を行った新宿区は、3期に分けての助成を実施(期ごとに予算200万円)。実績数は、第1期14件、第2期6件、第3期3件となり、春から夏にかけての申請が多く寄せられた。
また新宿区と同様、初年度事業となった品川区は戸建て住宅の改修工事のみの対象。「予算が少なめですぐに上限に達した」と実績数は2件。
その他、今年度は補正予算による追加募集を行った区も多く、助成事業に対する積極的な姿勢がうかがえる。
2010年度は8区とも継続の意向を示している。新たに実施する区も出てくると見られ、助成事業は拡大傾向にある。
顔料設計に見る耐久性の追求 濃色、白色ともに技術課題抱える
新JISでは明度による日射反射率基準に加え、塗膜の劣化や退色が日射反射率に大きく影響するとして、原案では暴露試験2年を求めている。そのため経年変化による日射反射率の確保を要件とした「日射反射率保持率」を設定する方向で進められている。
日射反射率保持率については、20%以内の減少率を規定し、日射反射率80%の場合は2年暴露後64%以上、50%の場合は40%以上の確保が要件となっている。
現在、高反射率塗料市場ではフッ素樹脂、シリコン樹脂塗料といった耐候性グレードを上げた新製品の投入が活発化している。普及期から成長期の突入に伴い、樹脂グレードを上げることによる付加価値化や販売単価の維持・アップが想定されるが、経年劣化による対策も含まれていると見られる。
しかし、樹脂グレードを上げるだけでは、日射反射率の性能は確保できない。日射反射率性能には顔料設計がポイントとなるためだ。
高反射率塗料は、配合されている顔料による性能が大きく寄与している。特に黒色の場合、これまで廉価で安定性、塗料分散性に優れたカーボンブラックは熱吸収が高く、高反射率塗料の顔料としては敬遠する方向にある。そのため、多少漆黒性が劣っても、カーボンブラック以外の黒顔料を使うか、それ以外の処方で対応するしかない。
しかし顔料設計の変更は、品質管理、技術的対応、製造コストと製品開発に大きく関わる。品質管理面での課題は顔料自体の色ぶれの問題が挙げられる。同じ顔料でも発色性に差があり、ロット管理に難しさを抱えている。また技術的課題としては、特に濃色品の場合、複合した顔料を混合させて色出しするため、耐候性にバラツキが生じる可能性がある。そのため、反射性能を確保する上で、色相ごとに耐候性バランスを揃えた顔料設計を施すことが必要となる。
また顔料のグレードアップは、そのまま製造原価に反映する。市場ニーズに見合うコストで性能を担保した高反射率塗料を提供できるか。メーカーの総合力を駆使した技術力勝負の様相を呈している。
一方で、濃色のみならず白色の反射率性能向上も迫られている。日塗工がJIS原案策定の前に実施した製品テストでは、明度90で近赤外線日射反射率が90%を超える製品が1製品もなかったことが分かっている。JIS委員会の今後の動向により基準変更の可能性も残されているが、現在メーカー各社は白色での性能向上に向け開発を急いでいる。
遮熱性舗装累計50万m2を突破 東京都が41%のシェア
遮熱性舗装が堅調な伸長を見せている。道路施工会社20社が参画する遮熱性舗装研究会の調査によると、平成18年度に施工実績が10万303m2(昨年度比279.2%増)と初めて10万m2の大台をクリアした以降、平成19年度14万2,147m2(141.7%増)、平成20年度は17万1,895m2(120.9%増)を記録。累計施工面積は54万3,815m2と50万m2を突破し、累計施工件数は481件となった。平成21年度も更に拡大する見込みとなっている。
調査開始年度となった平成14年度から平成17年度まではテスト施工が続いたが、平成18年度以降各自治体による導入本格化が開始。特に東京都は平成19年から本格運用を始め、平成14年度‐20年度までで累計22万5,590m2の実績。全国シェア41%と群を抜いている。2位は神奈川県4万8,459m2、3位は兵庫県4万3,386m2、4位は千葉県2万7,766m2。
遮熱性舗装は、アスファルト面の温度上昇抑制効果及び劣化防止に寄与する他、騒音低減機能を有するなど一定の評価を得ている。しかしながら、MMA樹脂による臭気対策など課題も少なくない。また車道においては、道路としての安全性確保が最優先されるため、明度色調の安定化、すべり抵抗性能の確保など適切な仕様に基づいた施工管理が重要視されている。
« 前のWeb特集 | Web特集アーカイブ | 次のWeb特集 »