Web特集
2010年05月25日
シリーズ: 地域力
地域力(第1回) トハン(埼玉県) 若い力を最大限引き出す
トハンの攻めの営業を支えるのは30代前半のヤングパワー。既存の顧客であろうと新規顧客であろうとまず声をかける運動を実践。生の声を聞きとることを営業のスタートラインとして徹底する。
同社は首都圏の周辺エリアに立地し、建築汎用全般を扱う。このエリアは当然のことながら競合が激しい反面、需要ボリュームも絶大。ここで生き残るには顧客に密着するしかないとのポリシー。声かけ運動は新規顧客との関係作りの第一歩というわけだ。 このシンプルだがその分使命感の支えがないと持続が難しい運動は、伊藤社長の営業実感から編み出された。「若い力は理屈よりも実践させた方が伸びる。若造の言うことを聞いてもらうには各自の工夫が必要。それを体験してもらう手段としてはベスト。若さだけで突っ走り、顧客に迷惑をかけるリスクもあるが、そのリスクを吸収してもメリットの方がずっと大きい」(伊藤社長)とロジックは明解。
解ではなく問題の共有化
顧客の生の声を活用する場が仕事前のミーティング。単なる打ち合わせといった内容ではなく、ミーティングは即トレーニングでもある。持ち回りでミーティングをリードし、情報交換を行う。初めてのケースでは何をどう話すかが分からずドキドキする姿も目立つ。ところが回を重ね、先輩の良いところを吸収するにつれて、ミーティングの力は目に見えて向上するという。
顧客からのクレームでこう対処したがまた小言を言われたとの話。これに対してケンケンガクガクの意見が出され、ミーティングが迷走し始めたとき、トップの一言で流れがスムーズになる。が、基本的には管理職やトップは介在しない主義だ。
「たぶん正解はないのだと思う。営業をしているといろいろな壁に直面する。そうしたとき相談する場があると気持ち的に楽になる。と同時にミーティングで自分の意見に説得力を持たせたいとの意欲も出る。これがミーティングすることの最大の効果。自分で解決する力がついてくる」(同)。
こうした中から誕生したのが「トハンニュース」。社員の持ち回りによる手作り広報紙で、顧客への密着がベースとなっているだけに、顧客サイドに立ったコンテンツが多い。例えば顧客が現場で使ってよかった製品紹介、顧客の悩みでは同世代の立場から記事を作り上げている。顧客目線のニュースは販促の一助にもなっている。毎月1回発刊で2年以上継続。ニュースを待ちわびる顧客も着実に増えてきた。
また「1分間勉強会」もユニーク。60秒という短時間で1つの問題に対して解答を考える。ブレーントレーニングの1つ。このポイントは回答よりも何を問題とするかが重要という。"日々の何気ないルーティンワークの中の疑問"や"こうした方が良いのでは"が問題として表面化する効果がある。
「先日はコーキングに関する問題が出され、問題意識を共有化できた。とにかく問題を発見すること、それが小さな疑問であれ、そこから営業活動のエネルギーが出てくる。漠然とお客に会っているのは時間のムダ。顧客からすれば新しい情報への期待にもつながる」(同)。
同社は3人チーム制を採用。チームが目標を持ち連帯した営業活動を実行する。「個人プレーは1人の優秀な営業マンを生むかもしれないが、落ちこぼれもつくる。3人の力を合わせることで全社的なパワーアップにもなる。チームごとに競い合い、目標を高めあうことにもなる」と伊藤社長。
顧客密着の効果は不況の中でもジワリと出ている。次の目標は顧客密着から地域密着にある。「今のところ塗装業者が顧客の中心だが、不況で仕事が少なくなっている。これでは新規顧客を増やしても材料を売れない。施主へのアプローチをして、我々の力で需要創造につなげ、顧客との新しい関係をつくっていく。そのため調色、在庫、配送などの機能を見直すとともに、施主に対するコンサルティングなどソフト機能を充実させていく」と次のステップに踏み込んでいく。
◇会社概要:トハン
本社・埼玉県越谷市千間台東4‐55‐2、TEL048‐974‐3330、FAX048‐974‐3356。代表取締役・伊藤純氏。建築外装用資材がメイン。
伊藤社長(39歳)は社長に就任して2年目。オーナー社長であった小河内梅幸氏(現会長)からその手腕を見込まれてバトンタッチ。抜擢の理由を小河内会長は「顧客に対する気配り、行動力がいい。まだ若いし社員も若い。若さの力で新しいビジネスを創ってもらいたい」と話す。これを受ける伊藤社長にてらいはない。「エンドユーザーサービスで他にない当社独自のものを構築するだけ。それには、考え悩み顧客の立場に立った行動力を社員一体で発揮できれば困難も怖くない」。
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